飯食い幽霊(めしくいゆうれい)は、元禄時代の仮名草子狗張子』にある怪異譚[1]。原題は「隅田(すだ)宮内卿家の怪異」で、「飯食い幽霊」の名は漫画家・水木しげるによるもの[2]

狗張子』より「隅田宮内卿家の怪異」

天文時代、武田信玄の家来である隅田宮内卿の家に化け物が住み着いた。しかし、その姿は見せず、朝晩の食べ物ばかり人並みに食べていた。

家の使いの者たちが宮内郷の噂話をすると、宮内郷に告げ口して罰を受けさせると言って威した。また、宮内郷夫婦がこの化け物のことを話すと、自分の悪口を言うと災いを起こすと言って威し、実際に家の物がなくなるなどの怪異が起きた。

主人は化け物をそのままにするわけにもいかず、山伏に祈祷を依頼したが、化け物は家を崩してやると言って威し、家の柱を切るような音をさせて驚かせた。その後、高僧の祈祷によって化け物は鎮まったものの、宮内郷は後の合戦で討ち死にしてしまったという[1]

脚注 編集

  1. ^ a b 浅井了意 著「狗張子」、朝倉治彦 編『仮名草子集成』 第4巻、東京堂出版、1983年、72-75頁。ISBN 978-4-490-30160-1 
  2. ^ 水木しげる『図説 日本妖怪大全』講談社〈講談社+α文庫〉、1994年、445頁。ISBN 978-4-06-256049-8