とさでん交通桟橋線

日本の高知県高知市を通るとさでん交通の軌道路線
駅前線から転送)

桟橋線(さんばしせん)は、高知県高知市はりまや橋停留場桟橋通五丁目停留場を結ぶ、とさでん交通軌道路線である。2014年9月30日までは土佐電気鉄道により運行されていたが、翌10月1日より同日付で設立された新会社とさでん交通による運行に移行した。

駅前線・桟橋線
はりまや橋交差点を行く桟橋線電車(画面中央) 路面電車同士の十字クロスは全国唯一
はりまや橋交差点を行く桟橋線電車(画面中央)
路面電車同士の十字クロスは全国唯一
概要
起終点 起点:はりまや橋
終点:高知駅前(駅前線)、桟橋通五丁目(桟橋線)
駅数 4駅(駅前線)
8駅(桟橋線)
運営
開業 1928年2月16日(駅前線)
1904年5月2日(桟橋線)
全通 1928年2月16日(駅前線)
1928年8月10日(桟橋線)
所有者 とさでん交通
使用車両 とさでん交通#車両を参照
路線諸元
路線総延長 0.8 km(駅前線)
2.4 km(桟橋線)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 直流600 V 架空電車線方式
テンプレートを表示
停留場・施設・接続路線
JR四国土讃線
STRq BHFq STRq
JR高知駅
uKBHFa
0.8 高知駅前停留場
uBHF
0.5 高知橋停留場
uhKRZWae
江ノ口川
uBHF
0.3 蓮池町通停留場
uSTR
伊野線 / 駅前線
uSTRq uTBHF uSTRq
0.0 はりまや橋停留場
uSTR
桟橋線 / 後免線
uhKRZWae
鏡川
uBHF
0.6 梅の辻停留場
uBHF
1.1 桟橋通一丁目停留場
uBHF
1.3 桟橋通二丁目停留場
uBHF
1.6 桟橋通三丁目停留場
uBHF
1.8 桟橋通四丁目停留場
uKDSTaq uABZgr
桟橋車庫
uBHF
2.2 桟橋車庫前停留場
uKBHFe
2.4 桟橋通五丁目停留場
2009年に移設された高知駅前電停

本項では、かつて桟橋線の一部であったはりまや橋停留場から高知駅前停留場までの駅前線(えきまえせん)[1]についても記述する。案内上は、駅前線と桟橋線を合わせて「南北線」と呼称されることもある[2]

路線データ 編集

駅前線 編集

  • 路線距離(営業キロ):0.8 km
  • 軌間:1067 mm
  • 駅数:4駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(直流600 V)

桟橋線 編集

  • 路線距離(営業キロ):2.4 km
  • 軌間:1067 mm
  • 駅数:8駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(直流600 V)

概要 編集

高知市の市街地を南北に縦断する路線で、ほぼ全線が道路上を走る併用軌道である。はりまや橋で東西方向の路線である伊野線後免線と接続する。

わんぱーくこうち開園時間帯には、桟橋通五丁目行きの電車に「わんぱーくこうち行」と書かれた方向板が掲げられる。かつて1987年頃までは後免線・伊野線からの桟橋通五丁目行きの電車には、青地に白文字で「桟五」と書かれた方向板が掲げられていた。

2001年(平成13年)に高知駅前がJR高知駅の正面のロータリー内に移設され利便性が向上。2009年(平成21年)には前年に高知駅が高架化されたことに伴う高知駅前の再移設や、桟橋通五丁目の整備などさらなる改良工事が行われた。

運行形態 編集

多くが全線通し運行で、毎時8本程度運行される。平日朝に高知駅前 - 伊野線の直通便があるほか、出入庫便として桟橋通四丁目始発・桟橋車庫前終着の伊野線・後免線直通便が設定されている。

歴史 編集

  • 1904年(明治37年)5月2日:(初代)土佐電気鉄道により潮江線として梅ノ辻 - 桟橋(現在の桟橋車庫前)間が開業。
  • 1905年(明治38年)4月7日:南へ約100 m延伸。桟橋(現在の桟橋通五丁目)開設。(旧)桟橋は岸壁通に改称。
  • 1906年(明治39年)4月6日堀詰 - 梅ノ辻間が開業。桟橋線[注 1]と改称。
  • 1922年(大正11年)8月1日:土佐電気鉄道と土佐水力電気が合併し土佐電気を設立。同社の路線となる。
  • 1928年(昭和3年)
    • 2月16日:江ノ口線高知駅前 - はりまや橋間が開業。
    • 8月10日:はりまや橋 - 梅ノ辻間が開業。堀詰 - 梅ノ辻間廃止。
  • 1941年昭和16年)7月12日:高知鉄道が土佐電気の軌道部門と土佐バスを合併し、土佐交通に社名変更。土佐交通の路線となる。
  • 1948年(昭和23年)6月3日:南海鍛圧機(土佐電気が社名変更)が土佐交通を合併し、(二代目)土佐電気鉄道に社名変更。土佐電気鉄道の路線となる。
  • 1947年(昭和22年):貨物用の環線0.2 km撤去。
  • 1951年(昭和26年)5月24日:高知駅前の線路を左曲がりから右曲がりに移設。
  • 1955年(昭和30年)6月20日:桟橋通三丁目新設。これに伴い(旧)桟橋通三丁目は桟橋通二丁目に改称。(旧)桟橋通一丁目を廃止し、帯田を桟橋通一丁目に改称。
  • 1967年(昭和42年)11月1日:潮江橋北詰廃止。
  • 1997年(平成9年)3月31日:高知駅前 - 潮江橋北詰(はりまや橋 - 梅の辻間)間のセンターポール化工事が竣工。
  • 2001年(平成13年)
    • 3月27日:高知駅前 - 蓮池町通間に高知橋が再開業。
    • 4月1日:高知駅前をJR高知駅前ロータリーに移設。
  • 2002年(平成14年):高知駅前→枡形・鏡川橋間直通運転の実証実験を開始。
  • 2005年(平成17年)4月1日:はりまや橋付近の交差点を改良。高知駅前方面から伊野線への右折線を設置。高知駅前 - 枡形・上町五丁目・鏡川橋間直通便を運転開始[3]
  • 2006年(平成18年)4月1日:この年の『鉄道要覧』より高知駅前 - はりまや橋間が桟橋線から分離され、駅前線の名称で独立して記載[4][5]
  • 2007年(平成19年)1月10日:岸壁通を桟橋車庫前に改称。
  • 2009年(平成21年)
    • 1月22日:桟橋車庫前を約50 mはりまや橋寄りに移設。
    • 2月14日:高知駅前を30 m北側に移設。2線のうちの1線での暫定使用。
    • 3月11日:高知駅前移設工事が完成。2線の全面使用開始。
    • 3月23日:桟橋通五丁目の改良工事が完成。
  • 2014年(平成26年)10月1日:土佐電気鉄道の高知県交通土佐電ドリームサービスとの経営統合に伴い、とさでん交通に承継。

停留場一覧 編集

全停留場が高知県高知市に所在。

路線名 停留場名 停留場間キロ 営業キロ 接続路線
駅前線 高知駅前停留場 0.3 0.8 四国旅客鉄道土讃線(高知駅 (D45, K00))
高知橋停留場 0.2 0.5  
蓮池町通停留場 0.3 0.3  
はりまや橋停留場 - 0.0 とさでん交通:伊野線後免線
桟橋線
梅の辻停留場 0.6 0.6  
桟橋通一丁目停留場 0.5 1.1  
桟橋通二丁目停留場 0.2 1.3  
桟橋通三丁目停留場 0.3 1.6  
桟橋通四丁目停留場 0.2 1.8  
桟橋車庫前停留場 0.4 2.2  
桟橋通五丁目停留場 0.2 2.4  

廃止停留場 編集

八百屋町通停留場、紺屋町通停留場、朝倉町通停留場、潮江橋北詰停留場、(旧)桟橋通一丁目停留場

延伸計画 編集

桟橋線には南北それぞれに延伸の話があった。

南へは、宇津野トンネル以南の慢性的渋滞解消や桂浜、雪渓寺、高知競馬場(移転後に計画浮上)へのアクセス向上を目的として、道路改良とともに軌道を設置するという計画であったがトンネルの費用などの問題があっては白紙となった。

北へは、高知駅高架化(駅施設は2008年、周辺整備は2009年に完成)に際し、その下を抜けてイオン高知SC(当時)までの延伸計画があったが、高知駅北側の道路が狭く軌道を設置するために用地買収や久万川大橋の架け替えが必要になったり中心商店街の反対があり、その是非を検討中に、高知駅高架化の設計期限が来てしまい、延伸を考慮せずに設計されたため、架線を考慮するとその下をくぐり抜けるのに必要な高さが無く、地下化する必要も生じ、延伸計画は事実上、白紙となった。2009年2月に高架化で移動したJR駅前まで高知駅前停留場が北側に30m移設されたが、終着駅として整備されている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 平成6年度版の『鉄道要覧』までは「桟」に旧字体を用いた「棧橋線」と表記されていた。

出典 編集

  1. ^ 電車軌道路線図 とさでん交通(2024年4月9日閲覧)
  2. ^ 電車のご利用方法 とさでん交通(2024年4月9日閲覧)
  3. ^ 高知駅から県庁方面への直通便運行開始及びセレモニー開催等のお知らせ (PDF) - 国土交通省 四国地方整備局 土佐国道事務所、2005年3月24日(2014年11月28日閲覧)
  4. ^ 『平成17年度 鉄道要覧』電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.232
  5. ^ 『平成18年度 鉄道要覧』電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.226

関連項目 編集

外部リンク 編集