高速炉

高速中性子による核分裂反応を用いた原子炉
高速中性子炉から転送)

高速炉(こうそくろ、Fast Reactor:FR)とは、原子炉の一つ。

概要 編集

高速中性子による核分裂反応がエネルギーの発生源となっている原子炉である。高速中性子炉(Fast Neutron Reactor:FNR)とも呼ばれる。高速中性子による核分裂連鎖反応を用いてウラン238からプルトニウム239を生産する増殖炉は、高速増殖炉という。

2030年代以降の実用化が構想されている第4世代原子炉の炉形に挙げられている。マイナーアクチニド燃焼や放射性廃棄物の処分量減少、ウランの有効活用等の利点があり、21世紀半ばより後半にかけて現行の軽水炉型原子力発電に置き換わっていくものと期待されている。置き換えが完了したあとは約2000年に渡ってウラン資源の心配が要らなくなるとされる。 また、高速炉で発生する余剰中性子を利用した核変換技術を開発することで、高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性物質の半減期を短縮させることも可能である[1]

第4世代原子炉の炉形として挙げられているのは、ナトリウム冷却高速炉鉛冷却高速炉ガス冷却高速炉 があり、超臨界圧軽水冷却炉も高速炉として構成することが考えられている。

GNEP 編集

国際原子力パートナーシップによる開発が2006年に開始された。2008年には日本、アメリカ、フランスがナトリウム冷却型の実証炉の共同研究開発に合意した[2]が、2009年には凍結されている[3]

テラパワー社による高速炉の開発 編集

2020年代アメリカ合衆国テラパワー社とエネルギー省が、2028年を目処にワイオミング州で高速炉を建設、運転開始する計画を進めている。2022年日本原子力研究開発機構三菱重工業が高速炉の建設に向けて技術協力を行う合意書を取り交わしており、もんじゅなど過去の経験が反映される見込み[4]

脚注 編集

  1. ^ 長寿命核分裂生成物の半減時間を9年以下に短縮”. 東京工業大学 (2020年1月14日). 2023年5月25日閲覧。
  2. ^ “高速炉:実証炉の研究開発で日米仏合意”. 毎日jp (毎日新聞). (2008年2月1日). オリジナルの2008年2月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080202225323/http://mainichi.jp/select/science/news/20080202k0000m040124000c.html 2012年12月13日閲覧。 
  3. ^ 世界の高速炉開発の動向日本原子力研究開発機構 2016年12月09日
  4. ^ 米高速炉計画に日本参加へ…「もんじゅ」の技術共有、国内建設にも活用”. 読売新聞ONLINE (2022年1月1日). 2023年11月8日閲覧。

関連項目 編集