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高雄捷運Urbos電車

スペインCAF社の超低床路面電車

高雄捷運Urbos電車(たかおしょううんUrbosでんしゃ)は2015年台湾高雄市高雄捷運環状軽軌(高雄ライトレール、LRT環状線)で運用を開始した超低床路面電車車両。正式な形式名は開業後もないが、現地では「小緑緑、シャオリューリュー、繁体字: 小綠綠)の愛称がある[8][9]:131

高雄捷運環状軽軌Urbos電車
経貿園区駅を発車する列車
経貿園区駅を発車する列車
基本情報
運用者 高雄捷運公司
製造所 スペインの旗 CAF
製造年 2014-2015年
製造数 [1](p76)9編成45両
運用開始 [2]2015年
投入先 環状軽軌
主要諸元
編成 5(C1+S1+R+S2+C2)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750V
架空電車線方式[注釈 1]・ACR(キャパシタ)併用
最高運転速度 [4](p86)50 km/h
設計最高速度 [5]70 km/h
起動加速度 [注釈 2]4.68 km/h/s
減速度(常用) [注釈 3]5.4 km/h/s
減速度(非常) [注釈 4]9.72 km/h/s
車両定員 [6](p185)250人
編成長 [3]34.166 m
全幅 [6](p184)2,650 mm
全高 [6](p184)3,600 mm
車体高 [6](p184)3,045 mm
床面高さ [6]35cm
車体 アルミニウム合金
台車 [7]独立車輪式
固定軸距 [3]C:1,800 mm
[3]R:1,850 mm
台車中心間距離 [3]11,245 mm
軸重 [4](p86)13t
制御方式 [4](p85)IGBT-VVVF
備考 所有は高雄市政府捷運工程局
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目次

概要編集

 
中央公園で試走するシーメンス・コンビーノ(2004年)

高雄ライトレールでは環状線の全線開業時で24編成の車両を調達する予定で、このうち第1期区間用にスペインCAFから9編成の100%低床車両であるUrbos 3が導入された。 2013年にCAFのコンソーシアムが入札で優先交渉権を獲得[10][11]、第1編成が2014年に台中港経由で高雄に搬入された。台湾では初の営業用ライトレール車両であるとともに、台湾初のスペイン製車両。

過去に高雄市政府では2003年に中央公園中国語版シーメンスが列車一式を提供し、展示やデモンストレーション走行を行うなど建設の機運を高めていた[9]:83[12]:22。市政府が策定した環状線の全区間無架線方式の仕様に応じ[13]、CAFは自国のセビリアで実績のあった無架線走行が可能な仕様を提供した[9]:96。2014年8月に海上輸送で台湾に上陸した第1編成は高雄ガス爆発事故により前鎮機廠が使用不可となったため、紅線の南機廠中国語版で一時保管されたのち[14]、11月より環状線で試運転を開始した[9]:184

2015年秋に1期区間の一部でプレ開業を迎え営業運転を開始したが、15編成の追加調達を公示した翌2016年8月の2期区間機電工程入札では中国鋼鉄アルストムコンソーシアムに敗れたため導入は9編成にとどまることになった[15]

ほとんどの部品を国外製品に頼っているが、2020年代以降に到来する更新時期に合わせて一部国産品の採用を目標にしている[16]

仕様編集

運転室
 
機廠内では架線走行モードで移動する

この車両はスペインのCAFが製作し[5]、自社ブランドのUrbosの3台車5車体の連接車両をベースに、エクステリアデザインをイタリアジウジアーロが担った[17]

走行装置はニッケル・水素充電池電気二重層キャパシタによるACRスペイン語: Acumulador de Carga Rápida英語: Rapid Charge Accumulator、急速充電)ユニットを搭載[18](p114)、停車時の急速充電と駅間での無架線走行を実現した[1](p77)[9]:134。キャパシタは1.4km分の走行電力を充電できる[18](p115)

構成はモジュール品による車体生産や偶数号車が無台車構造であることや[1](p78)、車両間の特殊な連結構造および3両目屋根のパンタグラフ搭載などの構造で[1](p79)、後発の台湾国産車両『淡海輕軌電車』と類似している。

駅ホームにある剛体架線ではパンタグラフを上昇させ、次駅までの電源の20秒以内での急速充電を可能としている[19](p5)[7]。登坂能力は60パーミルまで対応している[6](p185)

ブレーキは奇数号車にあり、無動力台車の3両目にはハイドロリック・ディスクブレーキ、電磁吸着ブレーキの2種を、制御電動車の両端2両はそれらに電力再生ブレーキを加えた3種を装備している[4](p86)

外観編集

素材はステンレス鋼および耐候性鋼を使用している淡海輕軌電車と異なり、アルミニウム合金が使われている。 先頭部は流線形状で、運転室は大型の曲面ガラスが採用されている。上部にLED式行先表示器が、下部連結部周辺には高雄捷運とCAFのロゴが配置されている[1](p79)、 先頭両側には監視カメラがあり、運転室で映像を見ることができる。[1](p80)。塗装は白が主体で緑色の帯は前面が窓を囲む楕円形、側面はストライプ状にあしらわれている。連結部は幌で覆われている[1](p78)

側面ドアは幅1.3メートルのプラグドアが採用され、乗客自身で開閉操作を行う手動のドアボタンで省エネとバリアフリーを両立している[9]:124

内装編集

   
ドアボタン
カードリーダー

内装のカラーリングは超低床の床面から天井板に至るまで白主体の淡色となっている。天井にはLEDの旅客案内装置があり、吊革は紅線橘線高運量電車と同様、ゴム素材が採用された[1](p81)

保安用に煙探知機も設置されている[9]:126FRPの座席部分は人体工学に基づいた設計となり、背もたれの上部には金属製の手すりがある。台車配置の関係で、奇数号車は固定式クロスシートが、無台車の偶数号車はロングシートが採用された。 博愛座(優先座席)は色がライトグリーンでその他と明確に区別されている。左右ドアの中間にはスタンションポールがあり、IC乗車カードのリーダーや旅客案内装置の固定にも使われている[1](p82)

     
屋根上(前鎮之星駅
クロスシート配置の奇数号車
ロングシート配置の偶数号車


編成編集

← 籬仔内
哈瑪星 →
号車[4] 1
C1
2
S1
3
R
4
S2
5
C2
機器配置[4](p85) キャパシタ 整流器、冷房 シングルアーム式パンタグラフ 整流器、冷房 キャパシタ
台車 動力台車 無動力台車 動力台車
車内設備 扉,  扉, ,  扉, ,  扉, 
座席形状 クロスシート ロングシート クロスシート ロングシート クロスシート
座席定員 64
乗車定員[注釈 5] 250
全長(mm) 7,873 5,800 4,100 5,800 7,873
車両形式[注釈 6] 015
:
095
014
:
094
013
:
093
012
:
092
011
:
091
記号
  •  :バリアフリーエリア
  •  :IC乗車カードリーダー

配属編集

全車が前鎮機廠中国語版に配属されている。

その他編集

 
哈瑪星駁二線のUrbos 3ミニ列車

特別仕様車編集

関連商品編集

  • 鐵支路模型(Touch Rail)より迴力車(無動力のデフォルメ模型)が発売されている[25]

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 機廠内
  2. ^ 1.3m/s/s。[6](p185)
  3. ^ 1.5m/s/s。[6](p185)
  4. ^ 2.7m/s/s。[6](p185)
  5. ^ 5人/平米で計算した立席定員は186。7人/平米での立席定員は260、全定員324人となる。
  6. ^ 上2桁は編成番号、下1桁は号車番号

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h i (繁体字中国語)黃柏文 (2015-02-12). “高雄輕軌即將啟程!臺灣軌道車輛最新注目焦點 高雄輕軌車輛基本介紹”. 鐵道情報 (中華民國鐵道文化協會) (222期). ISSN 20732163. 
  2. ^ (繁体字中国語)蔡孟妤 (2017年6月15日). “高雄輕軌C9至C12今履勘 預計月底通車”. 聯合報. オリジナルの2017年6月21日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20170621103203/https://udn.com/news/story/7327/2526699 2017年6月21日閲覧。 
  3. ^ a b c d (繁体字中国語)JR Chen's Transportation World(高雄市政府捷運工程局副總工程司) Facebook (2015年1月12日). “高雄輕軌列車的主要特性”. 2019年5月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e f (繁体字中国語)高華聰/林建華/簡聖民 (2018年2月). “土木水利 第四十五卷 第一期 高雄環狀輕軌捷運(第一階段)車輛概述”. 中國土木水利工程學會. pp. pp82-86. 2019年5月5日閲覧。
  5. ^ a b (英語)KAOHSIUNG TRAM”. CAF. 2013年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月21日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i (繁体字中国語)陳幼華、林建華、王慶麟、于新源 (2013年10月31日). “中華技術 100期 國內輕軌之啟航─ 高雄環狀輕軌捷運”. 財團法人 中華顧問工程司. pp. pp174-189. 2019年5月5日閲覧。
  7. ^ a b “世界初の全線架線レスLRT 高雄市内を走るLRTが2015年末に開業”. 鉄道ダイヤ情報 (交通新聞社) (No.377 2015年9月号): pp.64-66. (2015-08-12). 
  8. ^ (繁体字中国語)輕軌小綠綠全家福 首度曝光 2015-04-12 自由時報
  9. ^ a b c d e f g (繁体字中国語)陳俊融 (2016-08). 那些年 我們一起迎接輕軌. JR Chen's Transportation World. ISBN 978-986-93575-0-0. 
  10. ^ (繁体字中国語)賴維玫 (2013年1月30日). “全國首條「高雄輕軌捷運」簽約 陳菊:打造移動地標”. 今日新聞網. オリジナルの2017年6月21日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20170621125406/http://www.nownews.com/n/2013/01/30/332109 2017年6月21日閲覧。 
  11. ^ (繁体字中国語)地方中心 (2013年1月5日). “高雄輕軌捷運工程 西班牙團隊以近57億台幣得標”. 東森新聞網. オリジナルの2017年6月21日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20170621125138/http://www.ettoday.net/news/20130105/148906.htm 2017年6月21日閲覧。 
  12. ^ (繁体字中国語)蘇昭旭. 臺灣鐵路火車百科第三版. ISBN 978-986-5903-40-4. 
  13. ^ 高雄市政府捷運工程局 (2012年11月26日). “高雄都會區輕軌運輸系統高雄環狀輕軌捷運建設修正計畫書”. 高雄市政府. 2017年6月21日閲覧。
  14. ^ (繁体字中国語)旅遊中心 (2014年9月13日). “首輛輕軌列車運抵高雄 先展開靜態查核、檢測”. 東森新聞網. オリジナルの2017年6月21日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20170621112744/http://travel.ettoday.net/article/400893.htm 2017年6月21日閲覧。 
  15. ^ (繁体字中国語)104F1123A標 決標公告”. 行政院公共工程委員会 政府電子採購網 (2016年8月25日). 2019年5月5日閲覧。
  16. ^ (繁体字中国語)107年軌道系統 2018-05-17 高雄捷運公司
  17. ^ (繁体字中国語)高雄輕軌列車 11月9日上線測試 2014-09-12 中国時報
  18. ^ a b (繁体字中国語)施媺嬍、廖俊榮、黃世明(高雄市政府捷運工程局) (2018年8月). “工程 91期 No.4 全線無架空線輕軌系統之營運特性”. 中國工程師學會. pp. pp.102-124. 2019年5月5日閲覧。
  19. ^ (繁体字中国語)高雄市政府捷運工程局 (2013年4月30日). “高雄輕軌的執行現況”. 中華智慧運輸協會. 2019年5月5日閲覧。
  20. ^ (繁体字中国語)辣椒方舟 - 少女與戰車 高瞻廣告股份有限公司
  21. ^ (繁体字中国語)輕軌「少女與戰車」藏玄機 網友:好害羞 2017-01-05 中天電視
  22. ^ (繁体字中国語)太尷尬了! 高雄輕軌車門按鈕竟放這裡… - ウェイバックマシン(2019年8月18日アーカイブ分) 2017-01-06 聯合報
  23. ^ (繁体字中国語)〈新聞稿〉暑假最夯虛擬動漫再次瘋襲 全台首列輕軌痛車正式啟航 高捷少女推動城市觀光 愛的叮嚀輕軌搭乘宣導 2017-07-27,高雄捷運公司
  24. ^ ライトレールのラッピング列車に高雄メトロの美少女萌えキャラ/台湾 2017-07-28 フォーカス台湾
  25. ^ (繁体字中国語)高雄輕軌列車 編號 QV069T1 鐵支路模型

関連項目編集

外部リンク編集