鳥居清光
日本の浮世絵師、舞台美術家 (1938-2021)
鳥居 清光(とりい きよみつ、1938年 - 2021年5月24日)は、日本の女性画家、浮世絵師、舞台美術家。鳥居派9代目当主。本名せつ子[1]。鳥居派8代目・5代清忠の娘で、鳥居派で初の女性浮世絵師である[2][3]。木版画や鳥居派伝統の歌舞伎絵看板だけでなく、歌舞伎の衣裳や舞台美術も手がけ、舞台装置図のような立体図も制作[1][4]。
来歴編集
東京都出身。鳥居派8代目・5代清忠(言人)の娘として生まれる。幼少より家業の手伝いをしていたが[1]、兄・元宏が映画監督の道に進んだため、鳥居派を滅ぼすまいとした父から画法を伝授された[2]。高校時代には洋画家の伊藤清永に師事し、油彩画を学ぶ[1]。東京芸術大学日本画科卒業後[5]、日生劇場のデザイン室や技術部に勤務する[1]。また、父について鳥居派の画法を習得する[1]。1976年7月に父が没した後、父の画業を引き継いて女性浮世絵師として正式に発足[2]、1982年11月27日に鳥居派9代目を襲名し、清光を名乗る[5]。襲名披露には、中村歌右衛門、尾上松緑、松竹社長の永山武臣、楢崎宗重、山口桂三郎らが列席した[5]。
その画風は、「浮世絵に留まらず、美人画は鏑木清方に学んだ父譲りの画風があり、また大和絵の味も加わった独自なものがある」[1]と評される。
1986年エイボン芸術賞[6]、1988年長谷川伸賞、1994年日本演劇興業協会賞[1]、2016年第37回松尾芸能賞特別賞受賞[7]。2005年黄綬褒章受章[1]。
作品編集
- 「雪月花」木版画 大判 美人画 1980年
- 「春」 木版画 美人画 1982年 兜屋画廊版
- 「弁慶」 木版画 1999年
- 「娘道成寺」 リトグラフ 1999年
- 「鳴神上人」 肉筆画 1982年
展覧会図録編集
著書編集
- 『絵本歌舞伎』中山幹雄著、鳥居清光絵(アリス館、1985)
脚注編集
参考文献編集
- 有光次郎「鳥居家九代目鳥居清光さんのこと」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、6頁。
- 戸坂康二「鳥居家明治・大正・昭和」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、7頁。
- 阿部説子「「象引」図版解説」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、58頁。
- “鳥居清光”. 町田市ゆかりの美術家たち. 和光大学 (2008年10月). 2019年6月16日閲覧。
- ““ジャンルに留まらない部類の表現力”で、平幹二朗が松尾芸能賞大賞受賞”. ステージナタリー (2016年2月16日). 2019年6月16日閲覧。
- “エイボン女性年度賞 1979年〜2013年 受賞者一覧”. エイボン・プロダクツ. 2019年6月16日閲覧。