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黄金の夜明け団

黄金の夜明け団(おうごんのよあけだん、The Hermetic Order of the Golden Dawn)は、19世紀末にイギリスで創設された隠秘学結社である。黄金の暁会ゴールデンドーンなどとも訳され、GDと略される。現在の魔術の中心であるウイッカセレマテウルギアスピリチュアルなどの儀式概念に影響を与えた20世紀最大の西洋オカルト組織である。

黄金の夜明け団
Rose Cross Lamen.svg
黄金の夜明け団が掲げた薔薇十字
略称 GD
前身 英国薔薇十字協会英語版
後継
設立年 1887
廃止年 1903
種類 秘密結社
本部 ロンドン
位置
秘密の首領

創設者のウィリアム・ロバート・ウッドマン英語版ウィリアム・ウィン・ウェストコット英語版マグレガー・メイザースの三人はフリーメイソンで女性は男性と平等を認められた。構成は第一の黄金の夜明け団はカバラ四元素占星術タロット占いジオマンシーを、第二のルビーの薔薇と黄金の十字架団はスクライングアストラル投射錬金術を習得、第三の秘密の首領は熟練されている者がなると三階級に大きく分かれているが、総称として黄金の夜明け団と呼ばれる。

目次

前史編集

 
ポリグラフィア

「黄金の夜明け団」は薔薇十字団の影響から1865年頃に設立されたメーソン系団体英国薔薇十字協会英語版(SRIA)の会員が創設した団体である。1886年2月ウィリアム・ウィン・ウェストコット英語版は、トリテミウスポリグラフィア英語版による暗号で書かれていた、黄金の夜明け団の暗号写本英語版と呼ばれる物を手にした。彼は同僚のマグレガー・メイザースと会長ウィリアム・ロバート・ウッドマン英語版に助けを頼み、1887年9月、復号に成功し、それにはドイツアンナ・シュプレンゲル英語版の住所があり、送った書簡の返信に、秘密の首領から聖堂の設立と、ウェストコット・メイザース・ウッドマンの三人にアデプタスの許可があったとした。

聖堂の成立編集

 
ウィリアム・ウィン・ウェストコット
 
マグレガー・メイザース
 
フローレンス・ファー

1888年3月1日ロンドンにドイツ薔薇十字団の聖堂に続く№3とする「イシス・ウラニア聖堂英語版」を設立した。またSRIAと違い男女平等とした。その年ウェストン・スーパー・メアオシリス聖堂、ブラッドフォードホルス聖堂を設立する。1893年には、エディンバラアーメンラー聖堂、パリハトホル聖堂を設立した。その後アメリカ合衆国にも広まり1900年以前にはシカゴトートヘルメース聖堂が設立された。

黄金時代編集

1890年半ば迄に、ヴィクトリア朝社会のあるゆる階級から100人以上の団員がいた。女優のフローレンス・ファー英語版オカルティストアレイスター・クロウリー、作家のアイルランドの革命家モード・ゴーン英語版、アイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツウェールズの作家アーサー・マッケンなど。

1891年、ウェストコットはシュプレンゲルからの連絡が途絶えたとした。またウッドマンが死亡した。1892年、メイザースはパリアンリ・ベルクソンの実妹で妻のミナ・メイザース英語版と移り秘密の首領との連絡が出来たと公言した。1897年、ウェストコットはハンサムキャブの事件から、結社との繋がりが知られるようになり辞任し、パリにいたメイザースが秘密の首領になった。そしてフローレンス・ファー英語版をイギリス代表とした。しかしアデプタス達は他のメンバーとの人格の衝突や、イギリスの活動の頻繁な欠席のために、メイザースのリーダーシップに不満を募らせていた。

1899年イシス・ウラニア聖堂はクロウリーのアデプタス・マイナーへの昇格をロンドンの聖堂は拒否した。メイザースは決定を覆し、1900年1月16日、ハトホル聖堂で認め、ロンドンに戻ったクロウリーは承認を要求した。ファーはイシス・ウラニア聖堂の閉鎖と、イギリス代表の辞職の意思を表明した。メイザースは、背後にウェストコットがいると信じ、シュプレンゲルの書簡は捏造と暴露した。3月3日、委員会が選出され、問題の完全な調査を要求したが、メイザースは証拠提出を拒否した。23日、メイザースはファーをイギリス代表から解任したが、逆に29日の総会でメイザースの追放が決定された。怒ったメイザースはクロウリーを派遣してブライス・ロードの聖堂を奪取しようとしたが失敗した。

分裂編集

メイザースにはウェストン・スーパー・メアとブラッドフォード聖堂がつき、エドモンド・ウィリアム・ベリッジ英語版をロンドン代表として、「黄金の夜明け団メイザース派、後の、A∴O∴(アルファオメガ)英語版」を設立した。残ったイシス・ウラニア聖堂は、ファーの創設したスフィア・グループと他のアデプタス・マイナーの間が揉めていた。ウィリアム・バトラー・イェイツを代表としたが、アニー・ホーニマン英語版が衝突し、1901年イェイツは辞職した。ローラ・ホロス英語版をシュプレンゲルと信じたメイザースによる事件が発生し、ジョン・ウィリアム・ブロディ・イネス英語版らが代表になった。1903年5月アーサー・エドワード・ウェイトらと紛争があり、曙の星英語版に改名した。ロバート・ウィリアム・フェルキン英語版が代表になりイェイツは所属したが、ブロディ・イネスはアーメン・ラー聖堂に戻った。ウェイト・アーサー・マッケンアルジャーノン・ブラックウッドパメラ・コールマン・スミスらはイシス・ウラニアを残し「聖黄金の夜明け団」を設立した。またアレイスター・クロウリーは世界各国への旅に出た後1907年銀の星を設立した。

教義・階級編集

その教義はカバラを中心に、 当時ヨーロッパでブームを起こしていた神智学の東洋哲学や薔薇十字団伝説、錬金術エジプト神話タロット占いグリモワールなどを習合させたものであった。

階級構造の大部分は英国薔薇十字協会英語版を踏襲している。教義の習得ごとに、生命の樹カバラの創世論の図)になぞらえた位階を設定。昇格試験を経て上位の位階に進むというシステムを採用し、一種の「魔法学校」の様相を呈していた。後に英語圏で設立された多くの秘教団体がこのシステムに範を取っている。数字の左側は下から、右側は上からの序列を表している。第一階級は火・空気・水・土の四元素に関連している。ポータルグレードは、一階と二階を分離する中間の階級である。人間の階級は当初最低が「ニーオファイト」で最高が「アデプタスマイナー」であるとされていたが、後期には指導者が勝手にそれらより上の階級である「アデプタス・メジャー」等を名乗り始める。

長らくその内容は謎に包まれていたが、イスラエル・リガルディーによって出版されて公に知れることになった。なお、リガルディーは1969年に自宅を魔術マニアに荒らされ、コレクションを盗まれる。関係者の中にはこれを天罰だという向き[誰?]もあった[1]

黄金の夜明け団編集

新参者(Neophyte、ニーオファイト)
(0°=0)
熱心者(Zelator、ジーレイター[注釈 1]
(1°=10)
理論者(Theoricus、セオリカス)
(2°=9)
実践者(Practicus、プラクティカス)
(3°=8)
哲学者(Philosophus、フィロソファス)
(4°=7)
中間—ポータル グレード

ルビーの薔薇と黄金の十字架団編集

小達人(Adeptus Minor、アデプタス・マイナー)
(5°=6)
大達人(Adeptus Major、アデプタス・メイジャー)
(6°=5)
被免達人(Adeptus Exemptus、アデプタス・イグゼンプタス)
(7°=4)

秘密の首領編集

神殿の首領(Magister Templi、マジスター・テンプリ)
(8°=3)
魔術師(Magus、メイガス)
(9°=2):
自己自身者(Ipsissimus[注釈 2]、イプシシマス)
(10°=1)

在籍した人物編集

登場する作品編集

鎌池和馬とある魔術の禁書目録アレイスター・クロウリー - 学園都市統括理事長。元世界最高最強の魔術師にして現世界最高の科学者。アニメ版の担当声優関俊彦黄金夜明 - マグレガー・メイザース率いる勢力。

関連文献編集

  • 『ロンドンを旅する60章』 (42章「魔都」ロンドン 執筆担当太田直也) 2012年、明石書店、ISBN 978-4-7503-3603-9

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 日本では慣習的に「ジェレイター」と表記される。
  2. ^ ipsissimus:ラテン語の強意代名詞 ipse (他ならぬ;それ自身)を語幹とする形容詞最上級の男性単数主格形。「まさしく他ならぬ…そのもの」の意。

出典編集

  1. ^ イスラエル・リガルディー編 『黄金の夜明け魔術全書 下』 江口之隆訳、国書刊行会、1993年、「訳者解説」

関連項目編集

外部リンク編集