10の冪
10の冪(じゅうのべき)または10の累乗数(じゅうのるいじょうすう)とは、適当な整数 n を選べば、10 の n 乗 (10n) の形に表せる数の総称である。
n = 0 の場合は 1 となり、定義上、1 も 10 の冪である。
SI接頭辞は、n が −3 から 3 までは 1 ごとに、それ以外は 3 ごとに設定されている。
正の冪編集
十進法においては、nが自然数(1以上の整数)の場合、10の n 乗 (10n) は1の後に0が n 個続く数となる。
数 | 冪指数 | 漢字表記 | SI接頭辞 |
---|---|---|---|
1 | 0 | 一 | (なし) |
10 | 1 | 十 | デカ (da) |
100 | 2 | 百 | ヘクト (h) |
1000 | 3 | 千 | キロ (k) |
0000 1 | 4 | 一万 | |
0000 10 | 5 | 十万 | |
1000000 | 6 | 百万 | メガ (M) |
0000000 1 | 7 | 千万 | |
0000000 10 | 8 | 一億 | |
1000000000 | 9 | 十億 | ギガ (G) |
0000000000 1 | 10 | 百億 | |
0000000000 10 | 11 | 千億 | |
1000000000000 | 12 | 一兆 | テラ (T) |
1000000000000000 | 15 | 千兆 | ペタ (P) |
1000000000000000000 | 18 | 百京 | エクサ (E) |
1000000000000000000000 | 21 | 十垓 | ゼタ (Z) |
1000000000000000000000000 | 24 | 一𥝱 | ヨタ (Y) |
... | ... | ... | ... |
世界では、位取り記数法のうち十進法が圧倒的に多く使われているので、命数法で位取りに用いられる語も一般的に10の冪を表す。巨大な数としては無量大数・グーゴル・不可説不可説転・グーゴルプレックスなども10の冪である。
負の冪編集
n が負数の場合、小数点以下第−n位(n = −1 のとき、小数点以下第1位)が1でそれ以外の位が0の数となる。下記の「名前」は一例である。
数 | 冪指数 | 漢字表記 | SI接頭辞 |
---|---|---|---|
1 | 0 | 一 | (なし) |
0.1 | −1 | 一分 | デシ(d) |
0.01 | −2 | 一厘 | センチ(c) |
0.001 | −3 | 一毛 | ミリ(m) |
0.000 1 | −4 | 一糸 | |
0.000 01 | −5 | 一忽 | |
0.000 001 | −6 | 一微 | マイクロ(μ) |
0.000 000 001 | −9 | 一塵 | ナノ(n) |
0.000 000 000 001 | −12 | 一漠 | ピコ(p) |
0.000 000 000 000 001 | −15 | 一須臾 | フェムト(f) |
0.000 000 000 000 000 001 | −18 | 一刹那 | アト(a) |
0.000 000 000 000 000 000 001 | −21 | 一清浄 | ゼプト(z) |
0.000 000 000 000 000 000 000 001 | −24 | ヨクト(y) | |
... | ... | ... | ... |
指数表記編集
詳細は「指数表記」を参照
指数表記 (scientific notation) は、非常に大きな、または、非常に小さな数[1]について、精度がそれほど重要でない場合に、これをコンパクトに表現するための手法である。
指数表記では、数は、10の冪と仮数 m の積で以下のように表される。
- m × 10n
n が正の数である場合は小数点の後に 0 が n 個つくことを意味し、n が負の数である場合は小数点と仮数の間に 0 が n 個つくことを意味する。
指数表記は mEn のようにも表記され、これをE表記 (E notation) という。プログラミングや表計算ソフト、データベースなどで使用されるが、科学論文では使用されない。