15平均律(じゅうごへいきんりつ)は、15-tET, 15-EDO, 15-ET, とも略称され、オクターヴを15段の等間隔なステップ(等しい周波数比)に分割することにより得られる音律である。各ステップは周波数比( ) 、または80セントである。15は3と5に因数分解されるため、インドネシアガムランスレンドロ音階に似た5平均律を、3等分したものと見ることもできる。

歴史 編集

15平均律により調律されたギターが作られてきた。アメリカの音楽家ウェンディ・カルロスはアルバムTales of Heaven and HellAfterlife という楽曲の中で、2つの音階のうちの1つとして15平均律を用いている[1]Easley Blackwood, Jr. は15平均律のギターのための楽曲を書き、録音している[2]

音程 編集

音程名 サイズ(段) サイズ(セント) 純正比 純正(セント) 誤差
完全五度 9 720 3:2 701.955 -18.045
限界の三全音 7 560 7:5 582.512 22.512
十一限界の三全音 7 560 11:8 551.318 -8.682
15:11幅の広い四度 7 560 15:11 536.951 -23.049
完全四度 6 480 4:3 498.045 18.045
七限界の長三度 5 400 9:7 435.084 35.084
長三度 5 400 5:4 386.314 -13.686
短三度 4 320 6:5 315.641 -4.359
七限界の短三度 3 240 7:6 266.871 26.871
七限界の全音 3 240 8:7 231.174 -8.826
広い十一限界の中間的二度 2 160 11:10 165.004 5.004
狭い十一限界の中間的二度 2 160 12:11 150.637 -9.363
七限界の全音階的半音 1 80 15:14 119.443 39.443
全音階的半音, 純正 1 80 16:15 111.731 31.731
七限界の半音階的半音 1 80 21:20 84.467 4.467
22:21幅の半音階的半音 1 80 22:21 80.537 0.537
半音階的半音, 純正 1 80 25:24 70.672 -9.328
七限界純正律における三分音 1 80 28:27 62.961 -17.039

15平均律はセブンス、イレブンスの和音とよく調和するが、3度や5度の和音とは粗い調和しか見せない。完全五度12平均律19平均律22平均律英語版 に比べて音程が外れており、15平均律の長三度は12平均律のそれと同じであるものの、その他の音程は12平均律のほうがよく調和している。15平均律は使用可能な完全五度を持ちつつイレブンスの和音と調和する最少分割数の平均律であるが、イレブンスにおいても、五度や長三度においてもよりよく調律されている22平均律のそれには和音として劣っている。

15平均律は、完全五度、長三度、短三度の音程を含んでいるものの、15平均律におけるその他の和音や旋律の語法は12平均律とは大きく異なっており、従って、15平均律はXenharmonicとして記述することができる。15平均律は12平均律19平均律 と違い、11:8や16:11の周波数比の和音とよい一致を見せ、 7:5や10:7の三全音とは一致しない。また、15平均律は、中間的な二度や七限界の全音を持ち、長三度を構築するにはサイズの異なるこの2つの音程を積み重ねる必要がある一方で、長三度を、短三度と完全四度を二等分する間隔の音程とすることができる。

出典 編集

  1. ^ David J. Benson, Music: A Mathematical Offering, Cambridge University Press, (2006), p. 385.
  2. ^ Easley Blackwood, Jeffrey Kust, Easley Blackwood: Microtonal, Cedille (1996) ASIN: B0000018Z8.

外部リンク 編集