1954年イギリスグランプリ
1954年イギリスグランプリ (1954 British Grand Prix) は、1954年のF1世界選手権第5戦として、1954年7月17日にシルバーストン・サーキットで開催された。
レース詳細 | |||
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1954年F1世界選手権全9戦の第5戦 | |||
![]() シルバーストン・サーキット (1952–1973) | |||
日程 | 1954年7月17日 | ||
正式名称 | VII RAC British Grand Prix | ||
開催地 |
シルバーストン・サーキット![]() ![]() | ||
コース | 恒久的レース施設 | ||
コース長 | 4.7105 km (2.927 mi) | ||
レース距離 | 90周 423.949 km (263.43 mi) | ||
決勝日天候 | 曇(ウエット) | ||
ポールポジション | |||
ドライバー | メルセデス | ||
タイム | 1:45.0 | ||
ファステストラップ | |||
ドライバー |
![]() | マセラティ | |
![]() | ゴルディーニ | ||
![]() | メルセデス | ||
![]() | フェラーリ | ||
![]() | フェラーリ | ||
![]() | マセラティ | ||
![]() | マセラティ | ||
タイム | 1:50 | ||
決勝順位 | |||
優勝 | フェラーリ | ||
2位 | フェラーリ | ||
3位 | マセラティ |
90周で行われたレースは、フェラーリのホセ・フロイラン・ゴンザレスが予選2位から優勝、チームメイトのマイク・ホーソーンが2位に続き、ワン・ツー・フィニッシュを飾った。マセラティのオノフレ・マリモンが3位となった。
レース概要編集
前戦フランスGPで圧勝したメルセデスは当レースも流線型ボディ(ストリームライン)を使用したが、予選ではポールポジションを獲得したファン・マヌエル・ファンジオが何度もコースをはみ出すなど、ファンジオの操縦をもってしても手に余るものであった。決勝でも3速を失い、ブレーキはフェード気味となり、コースの縁に並べられたドラム缶にぶつかりボディを変形させてしまうなど、ファンジオは我慢のレースを強いられ4位に終わった[1]。
ゴンザレスはスタートでトップを奪うと最後までトップを譲らず、独走で1951年イギリスGP以来の自身2勝目を飾った。レース後半にはホーソーンとスターリング・モスが激しい2位争いで地元ファンを楽しませるが、81周目にモスのリア・ハブが破損して、フェラーリがワン・ツー・フィニッシュを達成した。マリモンは終盤に同郷の師匠であるファンジオを抜いて3位表彰台を獲得した[1]。
当レースは計測システムが秒単位だったため、ファステストラップ樹立者がゴンザレス、ホーソーン、モス、アルベルト・アスカリ(当レースはマセラティのワークスドライバーとして出場)、マリモン、ジャン・ベーラ、ファンジオの7名にのぼった。当時はファステストラップ樹立者にも1点が与えられており、樹立者が複数名の場合は人数で等分されることになっていたため、7等分した1⁄7点が各ドライバーに与えられた[2]。
エントリーリスト編集
- 追記
結果編集
予選編集
順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ファン・マヌエル・ファンジオ | メルセデス | 1:45.0 | — |
2 | 9 | ホセ・フロイラン・ゴンザレス | フェラーリ | 1:46.0 | + 1.0 |
3 | 11 | マイク・ホーソーン | フェラーリ | 1:46.5 | + 1.5 |
4 | 7 | スターリング・モス | マセラティ | 1:47.0 | + 2.0 |
5 | 17 | ジャン・ベーラ | ゴルディーニ | 1:48.0 | + 3.0 |
6 | 2 | カール・クリング | メルセデス | 1:48.1 | + 3.1 |
7 | 5 | ロイ・サルヴァドーリ | マセラティ | 1:48.4 | + 3.4 |
8 | 10 | モーリス・トランティニアン | フェラーリ | 1:48.6 | + 3.6 |
9 | 8 | ケン・ウォートン | マセラティ | 1:49.5 | + 4.5 |
10 | 6 | プリンス・ビラ | マセラティ | 1:49.6 | + 4.6 |
11 | 20 | ピーター・コリンズ | ヴァンウォール | 1:50.0 | + 5.0 |
12 | 19 | アンドレ・ピレット | ゴルディーニ | 1:51.0 | + 6.0 |
13 | 18 | クレマール・ブッチ | ゴルディーニ | 1:52.0 | + 7.0 |
14 | 12 | レグ・パーネル | フェラーリ | 1:52.1 | + 7.1 |
15 | 14 | ロベール・マンヅォン | フェラーリ | 1:52.5 | + 7.5 |
16 | 3 | ハリー・シェル | マセラティ | 1:53.0 | + 8.0 |
17 | 25 | ドン・ビューマン | コンノート-リー・フランシス | 1:55.0 | + 10.0 |
18 | 29 | ボブ・ジェラード | クーパー-ブリストル | 1:55.3 | + 10.3 |
19 | 22 | ビル・ホワイトハウス | コンノート-リー・フランシス | 1:56.0 | + 11.0 |
20 | 28 | ホレース・グールド | クーパー-ブリストル | 1:56.7 | + 11.7 |
21 | 24 | ジョン・リズリー=プリチャード | コンノート-リー・フランシス | 1:57.0 | + 12.0 |
22 | 23 | レスリー・マー | コンノート-リー・フランシス | 1:57.3 | + 12.3 |
23 | 26 | レスリー・ソーン | コンノート-リー・フランシス | 1:57.8 | + 12.8 |
24 | 21 | ピーター・ホワイトヘッド | クーパー-アルタ | 1:59.0 | + 14.0 |
25 | 30 | エリック・ブランドン 2 | クーパー-ブリストル | 1:59.7 | + 14.7 |
26 | 27 | アラン・ブラウン | クーパー-ブリストル | 2:00.0 | + 15.0 |
27 | 32 | ルイジ・ヴィッロレージ | マセラティ | 2:02.0 | + 17.0 |
28 | 33 | オノフレ・マリモン | マセラティ | 2:02.6 | + 17.6 |
29 | 30 | ロドニー・ナッキー 2 | クーパー-ブリストル | No time | — |
30 | 31 | アルベルト・アスカリ | マセラティ | No time | — |
31 | 15 | ルイ・ロジェ | フェラーリ | No time | — |
32 | 4 | ロベルト・ミエレス | マセラティ | No time | — |
DNP | 16 | ジャック・スウォーターズ 3 | フェラーリ | No time | — |
ソース:[4]
|
- 追記
決勝編集
順位 | No. | ドライバー | コンストラクター | 周回数 | タイム/リタイア原因 | グリッド | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | ホセ・フロイラン・ゴンザレス | フェラーリ | 90 | 2:56:14 | 2 | 8+1⁄7 |
2 | 11 | マイク・ホーソーン | フェラーリ | 90 | + 1:10[6] | 3 | 6+1⁄7 |
3 | 33 | オノフレ・マリモン | マセラティ | 89 | + 1 Lap | 28 | 4+1⁄7 |
4 | 1 | ファン・マヌエル・ファンジオ | メルセデス | 89 | + 1 Lap | 1 | 3+1⁄7 |
5 | 10 | モーリス・トランティニアン | フェラーリ | 87 | + 3 Laps | 8 | 2 |
6 | 4 | ロベルト・ミエレス | マセラティ | 87 | + 3 Laps | 32 | |
7 | 2 | カール・クリング | メルセデス | 87 | + 3 Laps | 6 | |
8 | 8 | ケン・ウォートン | マセラティ | 86 | + 4 Laps | 9 | |
9 | 19 | アンドレ・ピレット | ゴルディーニ | 86 | + 4 Laps | 12 | |
10 | 29 | ボブ・ジェラード | クーパー-ブリストル | 85 | + 5 Laps | 18 | |
11 | 25 | ドン・ビューマン | コンノート-リー・フランシス | 84 | + 6 Laps | 17 | |
12 | 3 | ハリー・シェル | マセラティ | 83 | + 7 Laps | 16 | |
13 | 23 | レスリー・マー | コンノート-リー・フランシス | 82 | + 8 Laps | 22 | |
14 | 26 | レスリー・ソーン | コンノート-リー・フランシス | 78 | + 12 Laps | 23 | |
15 | 28 | ホレース・グールド | クーパー-ブリストル | 44 | + 46 Laps | 20 | |
Ret | 7 | スターリング・モス | マセラティ | 80 | アクセル | 4 | 1⁄7 |
Ret | 22 | ビル・ホワイトハウス | コンノート-リー・フランシス | 63 | 燃料システム | 19 | |
Ret | 17 | ジャン・ベーラ | ゴルディーニ | 54 | サスペンション | 5 | 1⁄7 |
Ret | 5 | ロイ・サルヴァドーリ | マセラティ | 53 | トランスミッション | 7 | |
Ret | 6 | プリンス・ビラ ロン・フロックハート |
マセラティ | 44 | アクシデント | 10 | |
Ret | 32 | ルイジ・ヴィッロレージ アルベルト・アスカリ |
マセラティ | 40 | エンジン | 27 | |
Ret | 24 | ジョン・リズリー=プリチャード | コンノート-リー・フランシス | 40 | アクシデント | 21 | |
Ret | 12 | レグ・パーネル | フェラーリ | 25 | エンジン | 14 | |
Ret | 31 | アルベルト・アスカリ | マセラティ | 21 | エンジン | 30 | 1⁄7 |
Ret | 18 | クレマール・ブッチ | ゴルディーニ | 18 | アクシデント | 13 | |
Ret | 20 | ピーター・コリンズ | ヴァンウォール | 16 | エンジン | 11 | |
Ret | 14 | ロベール・マンヅォン | フェラーリ | 16 | エンジン | 15 | |
Ret | 21 | ピーター・ホワイトヘッド | クーパー-アルタ | 4 | オイル漏れ | 24 | |
Ret | 30 | エリック・ブランドン | クーパー-ブリストル | 2 | エンジン | 25 | |
Ret | 15 | ルイ・ロジェ | フェラーリ | 2 | エンジン | 31 | |
DNS | 27 | アラン・ブラウン | クーパー-ブリストル | - | 26 | ||
DNS | 30 | ロドニー・ナッキー | クーパー-ブリストル | - | ブランドンに交代 | 29 | |
ソース:[7]
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注記編集
- アスカリ、ベーラ、ファンジオ、ゴンザレス、ホーソーン、マリモン、モスの7名が1:50でファステストラップを記録し、1⁄7点を獲得した。
- 車両共有:
- 6号車: ビラ(42周)、フロックハート(2周)
- 32号車: ヴィッロレージ(30周)、アスカリ(10周)
- F1デビュー:
- ドライバー: ドン・ビューマン、クレマール・ブッチ、ロン・フロックハート、ホレース・グールド、レスリー・マー、ジョン・リズリー=プリチャード、レスリー・ソーン、ビル・ホワイトハウス
- コンストラクター: ヴァンウォール
- F1最終出走: アラン・ブラウン、レグ・パーネル、ピーター・ホワイトヘッド
第5戦終了時点でのランキング編集
- ドライバーズ・チャンピオンシップ
順位 | ドライバー | ポイント | |
---|---|---|---|
1 | ファン・マヌエル・ファンジオ | 28 1⁄7 | |
2 | 2 | ホセ・フロイラン・ゴンザレス | 14 9⁄14 |
1 | 3 | モーリス・トランティニアン | 11 |
1 | 4 | ビル・ブコビッチ | 8 |
11 | 5 | マイク・ホーソーン | 7 9⁄14 |
- 注: トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。
脚注編集
- ^ a b (林信次 2000, p. 98)
- ^ (林信次 2000, p. 100)
- ^ “Britain 1954 - Race entrants”. statsf1.com. 2017年8月22日閲覧。
- ^ “Britain 1954 - Qualifying”. statsf1.com. 2016年5月5日閲覧。
- ^ “Britain 1954 - Result”. statsf1.com. 2017年8月21日閲覧。
- ^ Lang, Mike (1981). Grand Prix! Vol 1. Haynes Publishing Group. p. 75. ISBN 0-85429-276-4
- ^ “1954 British Grand Prix”. formula1.com. 2014年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月9日閲覧。
参照文献編集
- 林信次 『F1全史 1950-1955』ニューズ出版、2000年。ISBN 4-89107-019-6。
外部リンク編集
前戦 1954年フランスグランプリ |
FIA F1世界選手権 1954年シーズン |
次戦 1954年ドイツグランプリ |
前回開催 1953年イギリスグランプリ |
イギリスグランプリ | 次回開催 1955年イギリスグランプリ |