1973年の日本シリーズ(1973ねんのにっぽんシリーズ、1973ねんのにほんシリーズ)は、1973年10月27日から11月1日まで行われたセ・リーグ優勝チームの読売ジャイアンツパ・リーグ優勝チームの南海ホークスによる第24回プロ野球日本選手権シリーズである。

NPB 1973年の日本シリーズ
ゲームデータ
日本一
読売ジャイアンツ
9年連続17回目
4勝1敗
試合日程 1973年10月27日-11月1日
最高殊勲選手 堀内恒夫
敢闘賞選手 野村克也
チームデータ
読売ジャイアンツ()
監督 川上哲治
シーズン成績 66勝60敗4分 (シーズン1位) 
南海ホークス()
監督 野村克也
シーズン成績 68勝58敗4分(前期1位/PO優勝)
パリーグプレーオフ
1973年のパシフィック・リーグプレーオフ
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概要 編集

読売ジャイアンツ川上哲治監督)と南海ホークス野村克也選手兼任監督)との対決。パ・リーグは1973年シーズンより2シーズン制を導入、南海はプレーオフ阪急を撃破した勢いがあった。一方の巨人は2位で迎えた10月22日の最終戦の勝利で優勝を決め、66勝60敗4分という低勝率。日本シリーズに強い長嶋茂雄を全試合負傷で欠いていた。

南海は前期優勝の後、プレーオフで阪急を破り、パ・リーグ優勝チームとして日本シリーズに出場したが、年間トータルの順位では阪急、ロッテに次いで3位で、年間順位3位のチームが日本シリーズに出場する初のケースとなった。勝率2位以下のチームの出場もこの年の南海が初。パ・リーグ前後期制下で年間順位3位チームの出場はこの年の南海が唯一[1]

巨人が4勝1敗で南海を破り9連覇を達成。

第1戦は江本孟紀の好投などで南海が勝ったが、第2戦から巨人が4連勝。シーズンは12勝17敗、防御率4.52と不振だった堀内恒夫が日本シリーズで復調。堀内は打撃でも第2戦では延長11回に決勝打、第3戦では2本塁打を放ち、MVPに輝いた。巨人は地元後楽園に移った第3戦から打線が爆発し、1試合平均5点を挙げるなど投打が噛み合った。このシリーズでは投手は高橋一三、堀内、倉田誠の3人のみの登板で乗り切った。一方、南海は第2戦以降打線が2点以下しか取れず、さらにエラーから失点するなど守備の乱れも見られた。結局シリーズ最低(当時)のチーム打率.185を記録した。

また南海ホークスとしてはこれが最後の日本シリーズ出場となった。

試合結果 編集

1973年 日本シリーズ
日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月27日(土) 第1戦 読売ジャイアンツ 3 - 4 南海ホークス 大阪球場
10月28日(日) 第2戦 読売ジャイアンツ 3 - 2 南海ホークス
10月29日(月) 移動日
10月30日(火) 第3戦 南海ホークス 2 - 8 読売ジャイアンツ 後楽園球場
10月31日(水) 第4戦 南海ホークス 2 - 6 読売ジャイアンツ
11月1日(木) 第5戦 南海ホークス 1 - 5 読売ジャイアンツ
優勝:読売ジャイアンツ(9年連続17回目)

第1戦 編集

10月27日:大阪球場(試合開始:13時、入場者:27027人)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
読売ジャイアンツ 0 2 0 0 0 0 0 1 0 3 5 2
南海ホークス 0 0 1 0 0 0 0 3 X 4 5 2
  1. 巨:高橋一(8回)
  2. 南:江本(9回)
  3. :江本(1勝)  :高橋一(1敗)  
  4. 本塁打
    巨:土井1号2ラン(2回・江本)、森1号ソロ(8回・江本)
  5. 審判
    [球審]岡田豊
    [塁審]富澤(一)、吉田(二)、山本文(三)
    [外審]斎田(左)、岡田功(右)
  6. 試合時間:2時間49分
巨人
打順守備選手
1[中]柴田勲
2[遊]黒江透修
上田武司
3[左]高田繁
4[一]王貞治
5[右]末次民夫
6[三]富田勝
柳田俊郎
滝安治
萩原康弘
7[二]土井正三
8[捕]森昌彦
9[投]高橋一三
南海
打順守備選手
1[中]島野育夫
2[左]広瀬叔功
3[右]門田博光
4[捕]野村克也
5[一]C.ジョーンズ
堀井和人
小池兼司
6[遊]佐野嘉幸
打一W.スミス
7[二]桜井輝秀
8[三]藤原満
9[投]江本孟紀

土井正三の2ラン本塁打で先制した巨人は1点を返されたものの、8回森昌彦の本塁打で再び2点差とした。しかし8回裏、南海が桜井輝秀の押し出し四球で1点差に詰め寄りなお満塁の場面で藤原満が2点タイムリー安打を放ち、逆転。江本孟紀は9回も2安打で一死一・二塁のピンチを迎えるが、後続を抑えて完投勝利。

公式記録関係(日本野球機構ページ)

第2戦 編集

10月28日:大阪球場(試合開始:13時34分、入場者:28135人)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R H E
読売ジャイアンツ 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 1 3 9 0
南海ホークス 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 2 5 1
  1. (延長11回)
  2. 巨:倉田(6回0/3)、堀内(5回)
  3. 南:山内(6回)、佐藤(5回)
  4. :堀内(1勝)  :佐藤(1敗)  
  5. 本塁打
    巨:上田1号ソロ(6回・山内)
  6. 審判
    [球審]谷村
    [塁審]斎田(一)、富澤(二)、吉田(三)
    [外審]山本文(左)、道仏(右)
  7. 試合時間:3時間28分
巨人
打順守備選手
1[中]柴田勲
2[二]土井正三
3[右]末次民夫
4[一]王貞治
5[左]柳田俊郎
萩原康弘
高田繫
6[捕]森昌彦
7[三]富田勝
8[遊]上田武司
9[投]倉田誠
堀内恒夫
南海
打順守備選手
1[中]島野育夫
2[左]広瀬叔功
3[右]門田博光
4[捕]野村克也
5[一]C.ジョーンズ
6[遊]佐野嘉幸
W.スミス
小池兼司
7[二]桜井輝秀
8[三]藤原満
9[投]山内新一
片平伸作
佐藤道郎
相羽欣厚

桜井のタイムリー安打で南海が先制点を挙げたが、巨人は4回、投手の倉田誠の同点タイムリー安打、6回には上田武司の本塁打で逆転した。南海は7回、2つのヒットと四球で無死満塁と倉田を攻めた。この場面で巨人は堀内恒夫をリリーフに送る。堀内はウィリー・スミスに犠牲フライこそ許したものの、続く桜井を投ゴロ併殺に仕留め、1失点にとどめた。巨人は、延長11回に再び投手の堀内が決勝タイムリー安打で勝ち越して、対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んだ。

公式記録関係(日本野球機構ページ)

第3戦 編集

10月30日:後楽園球場(試合開始:13時、入場者:34713人)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
南海ホークス 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2 6 0
読売ジャイアンツ 0 0 2 0 1 2 1 2 X 8 11 0
  1. 南:松原(5回)、中山(2回)、村上(1回)
  2. 巨:堀内(9回)
  3. :堀内(2勝)  :松原(1敗)  
  4. 本塁打
    南:門田博1号ソロ(7回・堀内)
    巨:堀内1号ソロ(3回・松原)2号2ラン(6回・中山)
  5. 審判
    [球審]道仏
    [塁審]谷村(一)、斎田(二)、岡田功(三)
    [外審]岡田豊(左)、山本文(右)
  6. 試合時間:2時間34分
南海
打順守備選手
1[中]島野育夫
2[二]桜井輝秀
3[右]門田博光
4[捕]野村克也
5[一]C.ジョーンズ
6[左]W.スミス
打左片平伸作
7[三]藤原満
8[遊]佐野嘉幸
9[投]松原明夫
大塚徹
中山孝一
林俊宏
村上雅則
巨人
打順守備選手
1[左]高田繁
2[二]土井正三
3[右]末次民夫
4[一]王貞治
5[中]柳田俊郎
柴田勲
6[捕]森昌彦
7[三]富田勝
8[遊]上田武司
9[投]堀内恒夫

巨人は先発の堀内が打撃面でも大活躍。3回に松原明夫からソロ、6回にも中山孝一から、2ランと2本の本塁打を打った。投手面では、9回にも1点を許したが、この2失点だけで完投勝利。稲尾和久に並ぶシリーズタイ記録となる通算11勝目を挙げた。

公式記録関係(日本野球機構ページ)

第4戦 編集

10月31日:後楽園球場(試合開始:13時、入場者:38270人)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
南海ホークス 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 7 4
読売ジャイアンツ 3 1 0 0 1 0 0 1 X 6 7 0
  1. 南:江本(2回)、佐藤(3回)、中山(2回)、西岡(1回)
  2. 巨:高橋一(9回)
  3. :高橋一(1勝1敗)  :江本(1勝1敗)  
  4. 本塁打
    巨:王1号ソロ(5回・佐藤)
  5. 審判
    [球審]岡田功
    [塁審]岡田豊(一)、山本文(二)、斎田(三)
    [外審]富澤(左)、吉田(右)
  6. 試合時間:時間分
南海
打順守備選手
1[中]島野育夫
2[左]広瀬叔功
3[右]門田博光
4[捕]野村克也
5[一]C.ジョーンズ
6[二]桜井輝秀
7[三]藤原満
8[遊]佐野嘉幸
9[投]江本孟紀
青野修三
松井優典
佐藤道郎
大塚徹
中山孝一
相羽欣厚
堀井和人
西岡三四郎
巨人
打順守備選手
1[左]高田繁
2[二]土井正三
3[右]末次民夫
4[一]王貞治
5[中]柳田俊郎
柴田勲
6[遊]黒江透修
上田武司
7[三]富田勝
8[捕]吉田孝司
萩原康弘
森昌彦
9[投]高橋一三

1回裏、巨人は高田繁の四球、クラレンス・ジョーンズの失策でつくった好機から、末次利光柳田俊郎のタイムリー安打で2点をあげ。一死後、富田勝の内野ゴロの間に三塁走者を還して3点目とした。 さらに、巨人は、2回の4点目もジョーンズのタイムリー失策であげ、南海先発の江本は4失点ながら自責点ゼロでの降板となった。8回の6点目も失策がらみで、南海の6失点中、自責点がついたのは5回の1点だけだった。

公式記録関係(日本野球機構ページ)

第5戦 編集

11月1日:後楽園球場(試合開始:13時、入場者:37671人)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
南海ホークス 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 7 2
読売ジャイアンツ 2 0 1 0 0 0 2 0 X 5 6 1
  1. 南:西岡(2回)、山内(4回)、江本(2回)
  2. 巨:倉田(6回2/3)、堀内(2回1/3)
  3. :倉田(1勝)  :西岡(1敗)  
  4. 本塁打
    巨:王2号2ラン(1回・西岡)
  5. 審判
    [球審]吉田
    [塁審]岡田功(一)、岡田豊(二)、富澤(三)
    [外審]道仏(左)、谷村(右)
  6. 試合時間:2時間47分
南海
打順守備選手
1[中]島野育夫
2[左]広瀬叔功
林俊宏
相羽欣厚
3[右]門田博光
4[捕]野村克也
5[一]C.ジョーンズ
6[二]桜井輝秀
7[三]藤原満
8[遊]小池兼司
佐野嘉幸
9[投]西岡三四郎
大塚徹
山内新一
青野修三
堀井和人
江本孟紀
片平伸作
巨人
打順守備選手
1[左]高田繁
2[二]土井正三
3[右]末次民夫
4[一]王貞治
5[中]柳田俊郎
柴田勲
6[遊]黒江透修
上田武司
7[三]富田勝
8[捕]吉田孝司
堀内恒夫
9[投]倉田誠
森昌彦

1回表門田博の犠牲フライで南海が先制したが、巨人は、その裏に王の逆転2ラン本塁打。3回には黒江透修のタイムリー安打、7回には末次のタイムリー安打と王の犠牲フライで2点を追加し、5-1とし、シリーズ制覇を決めた。

公式記録関係(日本野球機構ページ)

表彰選手 編集

  • 最優秀選手賞、最優秀投手賞 堀内恒夫(巨人)
    • 3試合に登板し、2勝0敗、防御率0.91。打撃でも活躍し、打率.429(7打数3安打)、4打点。第2戦で決勝タイムリー、第3戦では投げては2失点完投勝利、打っては2本塁打、3打点と大活躍を見せた。日本一を決めた第5戦では胴上げ投手の栄誉に輝く。
  • 敢闘賞 野村克也(南海)
    • 打率.250(20打数5安打)、2打点。第4戦で2安打を放ち2打点をマーク。本塁打こそなかったが、低迷する打線の中で選手兼任監督として気を吐いた。
  • 打撃賞 末次利光(巨人)
    • 打率.364(22打数8安打)、3打点。第4戦と日本一を決めた第5戦で2試合連続打点。
  • 技能賞 王貞治(巨人)
    • 打率.286(14打数4安打)、5打点。第4戦と日本一を決めた第5戦で2試合連続本塁打。
  • 優秀選手賞 高田繁(巨人)
    • 打率.357(14打数5安打)。第4戦で3安打1打点。第5戦ではウイニングボールを捕球。

テレビ・ラジオ中継 編集

テレビ中継 編集

ラジオ中継 編集

脚注 編集

  1. ^ 年間順位3位のチームの出場はその後、クライマックスシリーズ導入後の2010年のロッテと2017年DeNAで、シリーズ優勝を果たしたのは2010年のロッテのみである。

関連項目 編集

外部リンク 編集