1992年モナコグランプリ

1992年F1世界選手権第6戦、第50回モナコグランプリ。

1992年モナコグランプリ (L Grand Prix Automobile de Monaco) は、1992年のF1世界選手権第6戦として、1992年5月31日にモンテカルロ市街地コースで開催された。

モナコの旗 1992年モナコグランプリ
レース詳細
Circuit de Monaco 1986.png
日程 1992年シーズン第6戦
決勝開催日 5月31日
正式名称 L Grand Prix Automobile de Monaco
開催地 モンテカルロ市街地コース
モナコ公国 モンテカルロ
コース長 3.328km
レース距離 259.584km (78 LAPS)
決勝日天候 ドライ
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'19.495
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ナイジェル・マンセル
タイム 1'21.598 (LAP 74)
決勝順位
優勝
2位
3位

予選編集

ナイジェル・マンセルが開幕6戦連続ポールポジション (PP) を獲得。アイルトン・セナは1.1秒差をつけられ、1988年から続けてきたモナコ連続PPが4でストップした。

開幕戦から迷走続きのアンドレア・モーダは、ロベルト・モレノが今回初めて予備予選を通過し、予選も最下位ながら決勝進出を果たした。結果的に、このチームが選手権から追放されるまでに決勝を走ることができた唯一のレースとなり、モナコというドライバーズサーキットでモレノの健闘が光った。モレノは自身のF1キャリアの中で、代役出場で2位表彰台に立った1990年日本GPと同じくらい、このモナコGP予選を忘れられないと語っている[1]

予備予選結果編集

順位 No ドライバー コンストラクター タイム
1 9   ミケーレ・アルボレート フットワーク無限ホンダ 1:25.413 -
2 29   ベルトラン・ガショー ラルースランボルギーニ 1:25.980 +0.567
3 34   ロベルト・モレノ アンドレア・モーダジャッド 1:27.186 +1.773
4 14   アンドレア・キエーザ フォンドメタルフォード 1:27.756 +2.343
DNPQ 30   片山右京 ラルースランボルギーニ 1:28.310 +2.897
DNPQ 35   ペリー・マッカーシー アンドレア・モーダジャッド No time  
  • 上位4台が予選進出

予選結果編集

順位 No ドライバー コンストラクター Q1 Q2
1 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズルノー 1:20.714 1:19.495
2 6   リカルド・パトレーゼ ウィリアムズルノー 1:22.309 1:20.368 +0.873
3 1   アイルトン・セナ マクラーレンホンダ 1:21:467 1:20.608 +1.113
4 27   ジャン・アレジ フェラーリ 1:22.942 1:20.895 +1.400
5 2   ゲルハルト・ベルガー マクラーレンホンダ 1:22.359 1:21.224 +1.729
6 19   ミハエル・シューマッハ ベネトンフォード 1:23.150 1:21.831 +2.336
7 20   マーティン・ブランドル ベネトンフォード 1:23.872 1:22.068 +2.573
8 28   イヴァン・カペリ フェラーリ 1:23.813 1:22.119 +2.624
9 12   ジョニー・ハーバート ロータスフォード 1:25.979 1:22.579 +3.084
10 4   アンドレア・デ・チェザリス ティレルイルモア 1:23.552 1:22.647 +3.152
11 9   ミケーレ・アルボレート フットワーク無限ホンダ 1:23.774 1:22.671 +3.176
12 24   ジャンニ・モルビデリ ミナルディランボルギーニ 1:24.567 1:22.733 +3.238
13 33   マウリシオ・グージェルミン ジョーダンヤマハ 1:24.235 1:22.863 +3.368
14 11   ミカ・ハッキネン ロータスフォード 1:25.809 1:22.886 +3.391
15 29   ベルトラン・ガショー ラルースランボルギーニ 1:23.606 1:23.122 +3.627
16 16   カール・ヴェンドリンガー マーチイルモア 1:23.978 1:23.264 +3.769
17 23   クリスチャン・フィッティパルディ ミナルディランボルギーニ 1:25.561 1:23.487 +3.992
18 22   ピエルルイジ・マルティニ ダラーラフェラーリ 1:25.665 1:23.508 +4.013
19 10   鈴木亜久里 フットワーク無限ホンダ 1:24.340 1:23.641 +4.146
20 21   J.J.レート ダラーラフェラーリ 1:25.050 1:23.862 +4.367
21 32   ステファノ・モデナ ジョーダンヤマハ 1:23.890 1:23.909 +4.395
22 25   ティエリー・ブーツェン リジェルノー 1:25.222 1:23.909 +4.414
23 26   エリック・コマス リジェルノー 1:24.816 1:23.974 +4.479
24 3   オリビエ・グルイヤール ティレルイルモア 1:24.533 1:23.990 +4.495
25 15   ガブリエル・タルキーニ フォンドメタルフォード 1:25.614 1:24.479 +4.984
26 34   ロベルト・モレノ アンドレア・モーダジャッド 1:25.185 1:24.945 +5.450
DNQ 7   エリック・ヴァン・デ・ポール ブラバムジャッド 1:25.702 1:24.981 +5.486
DNQ 8   デイモン・ヒル ブラバムジャッド 1:26.889 1:25.394 +5.899
DNQ 14   アンドレア・キエーザ フォンドメタルフォード 1:27.140 1:25.660 +6.165
DNQ 17   ポール・ベルモンド マーチイルモア 1:26.501 1:25.750 +6.255
  • 26台が決勝進出

決勝編集

展開編集

 
表彰式で優勝トロフィーを掲げるセナ

スタート直後の1コーナー(サン・デボーテ)でセナがパトレーゼのインを突いて2番手に上昇。オープニングラップこそトップのマンセルに肉薄せんとするセナだったが、その後は徐々に引き離される展開となる。

一方、3位以下は混戦模様となる。3位のパトレーゼはオーバーステアに苦しみ、セナを抜き返すどころではなくなっていた。4位争いはアレジとシューマッハとのドッグファイトとなるが、ロウズヘアピンでシューマッハが強引にインを突く形でアレジと接触、アレジは左のサイドポンツーンを損傷、程なくしてシューマッハはアレジを仕留める。その時のダメージが原因でアレジはリタイアとなる。6位争いはベルガーとブランドルで展開されるが、ブランドルはガードレールに接触してノーズを損傷し後退。しかしベルガーもギアボックストラブルでリタイア。パトレーゼとシューマッハの間で3位争いとなるが、手負いのマシンでパトレーゼも奮闘、シューマッハに付け入る隙を与えない。

残り8周、28秒ほどのリードを保っていたマンセルが左リアタイヤに異変を察知して緊急ピットイン、慌ててタイヤ交換を行うが、ピットアウトした時にはセナに先行されていた。これで1992年シーズン初めてトップに立ったセナをマンセルはフレッシュタイヤの利を活かしファステストラップを連発しながら猛追、残り3周でセナの背後に追いつく。しかしセナは限界寸前のマシンとタイヤを駆使し、パッシングポイントの少ないモナコの要所要所を締めて逃げをうつ。マンセルもマシンを左右に振ってアタックを試みたが、過去の両者のバトルで見られたような接触共倒れは起こさなかった。セナはそのままチェッカーフラッグを受けてシーズン初優勝を飾り、マンセルの開幕6連勝およびモナコ初優勝(ルノーエンジンにとっても)を阻止した。その直後、セナのマシンから白煙が上がる。マンセルもまた、表彰台でこれまで見せなかった疲労困憊状態となり、シャンパンファイトの後は座り込んでいた。

マンセルを襲ったタイヤトラブルはホイールの問題ではないかと云われたが、レース前にメカニックがタイヤを装着した時にタイヤウォーマーのストラップを噛んでしまい、ナットとハブの間に僅かな繊維が残っていたため、レース終盤にナットが緩んでしまったのが真相であった事が後日明かされた[2]

なお、マンセルが緊急ピットインした際の映像を捉えていたのは日本フジテレビの独自カメラだけであり、フジテレビブース以外の中継陣は状況がしばらく掴めていなかったとの事である[3]

決勝結果編集

順位 No ドライバー コンストラクター 周回 タイム/リタイア グリッド ポイント
1 1   アイルトン・セナ マクラーレンホンダ 78 1:50:59.372 3 10
2 5   ナイジェル・マンセル ウィリアムズルノー 78 + 0.215 1 6
3 6   リカルド・パトレーゼ ウィリアムズルノー 78 + 31.843 2 4
4 19   ミハエル・シューマッハ ベネトンフォード 78 + 39.294 6 3
5 20   マーティン・ブランドル ベネトンフォード 78 + 1:21.347 7 2
6 29   ベルトラン・ガショー ラルースランボルギーニ 77 + 1 Lap 15 1
7 9   ミケーレ・アルボレート フットワーク無限ホンダ 77 + 1 lap 11  
8 23   クリスチャン・フィッティパルディ ミナルディランボルギーニ 77 + 1 lap 17  
9 21   J.J.レート ダラーラフェラーリ 76 + 2 Laps 20  
10 26   エリック・コマス リジェルノー 76 + 2 Laps 23  
11 10   鈴木亜久里 フットワーク無限ホンダ 76 + 2 Laps 19  
12 25   ティエリー・ブーツェン リジェルノー 75 + 3 Laps 22  
Ret 28   イヴァン・カペリ フェラーリ 60 スピン 8  
Ret 2   ゲルハルト・ベルガー マクラーレンホンダ 32 ギアボックス 5  
Ret 11   ミカ・ハッキネン ロータスフォード 30 ギアボックス 14  
Ret 27   ジャン・アレジ フェラーリ 28 ギアボックス 4  
Ret 33   マウリシオ・グージェルミン ジョーダンヤマハ 18 ギアボックス 13  
Ret 12   ジョニー・ハーバート ロータスフォード 17 スピン 9  
Ret 34   ロベルト・モレノ アンドレア・モーダジャッド 11 エンジン 26  
Ret 4   アンドレア・デ・チェザリス ティレルイルモア 9 ギアボックス 10  
Ret 15   ガブリエル・タルキーニ フォンドメタルフォード 9 エンジン 25  
Ret 32   ステファノ・モデナ ジョーダンヤマハ 6 スピン 21  
Ret 3   オリビエ・グルイヤール ティレルイルモア 4 トランスミッション 24  
Ret 16   カール・ヴェンドリンガー マーチイルモア 1 ギアボックス 16  
Ret 24   ジャンニ・モルビデリ ミナルディランボルギーニ 1 ギアボックス 12  
Ret 22   ピエルルイジ・マルティニ ダラーラフェラーリ 0 スピン 18  
DNQ 7   エリック・ヴァン・デ・ポール ブラバムジャッド    
DNQ 8   デイモン・ヒル ブラバムジャッド    
DNQ 14   アンドレア・キエーザ フォンドメタルフォード    
DNQ 17   ポール・ベルモンド マーチイルモア    
DNPQ 30   片山右京 ラルースランボルギーニ    
DNPQ 35   ペリー・マッカーシー アンドレア・モーダジャッド    
  • ファステストラップ:ナイジェル・マンセル 1:21.598 (LAP 74)
  • ラップリーダー:ナイジェル・マンセル (LAP 1-70)、アイルトン・セナ (LAP 71-78)

脚注編集

  1. ^ ”苦労人”モレノの、忘れられないグランプリ:1992年モナコGP”. motorsport.com 日本版 (2018年1月1日). 2020年4月24日閲覧。
  2. ^ 「開発メンバーが語る、FW14B秘話」『F1 Modeling』第15巻、山海堂、2002年、 23頁。
  3. ^ 三宅正治著 「言葉に魂をこめて」 ワニブックス P163。

外部リンク編集

前戦
1992年サンマリノグランプリ
FIA F1世界選手権
1992年シーズン
次戦
1992年カナダグランプリ
前回開催
1991年モナコグランプリ
  モナコグランプリ 次回開催
1993年モナコグランプリ