2006年トルコグランプリ (II Petrol Ofisi Turkish Grand Prix) は、2006年F1世界選手権の第14戦として、2006年8月27日にイスタンブール・パークで開催された。

トルコの旗 2006年トルコグランプリ
レース詳細
2006年F1世界選手権全18戦の第14戦
Istanbul Park
Istanbul Park
日程 2006年シーズン
決勝開催日 8月27日
正式名称 II Petrol Ofisi Turkish Grand Prix
開催地 イスタンブール・パーク
トルコイスタンブール
コース Permanent racing facility
コース長 5.34
レース距離 309.72
決勝日天候 Sunny, hot
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 1:26.907
ファステストラップ
ドライバー ドイツの旗 ミハエル・シューマッハ Ferrari
タイム 1:28.005 (55周目)
決勝順位
優勝 Ferrari
2位 ルノー
3位 Ferrari

概要

編集

BMWザウバーは金曜日のプラクティスに19歳のセバスチャン・ベッテルをテストドライバーとして出走させた。ベッテルはこのセッションでベストタイムを記録した。

フェラーリのフェリペ・マッサが初のポールポジションを獲得し、レースもポール・トゥ・ウィンで初優勝した。前戦のハンガリーでジェンソン・バトンが勝利し、2戦連続で優勝者がそのキャリアにおける初勝利を達成したレースとなった。このように2戦連続初勝利というのは2003年シーズンマレーシアにおけるキミ・ライコネンブラジルにおけるジャンカルロ・フィジケラ以来のものであった。

チャンピオン争いではアロンソが2位となり、3位のシューマッハとのポイント差を広げた。レース序盤はマッサ、シューマッハ、アロンソの順で走行していたが、セーフティーカー導入時にマッサとシューマッハを同時にピットインさせたフェラーリの判断が凶と出た。シューマッハはマッサの作業が終わるまで待たされ、その間にアロンソが順位を逆転した。

勝者マッサが北キプロス・トルコ共和国大統領メフメト・アリ・タラートから優勝トロフィーを受け取ったことで、論争が引き起こされた。北キプロス・トルコ共和国トルコのみが承認している。キプロス共和国政府はFIAに公式に提訴した。FIAは事件調査の後、2006年9月19日にグランプリオーガナイザーに対して500万ドルの罰金を科した[1]

金曜出走ドライバー

編集
コンストラクター 国籍 ドライバー
  ウィリアムズ-コスワース   アレクサンダー・ヴルツ
  ホンダ   アンソニー・デビッドソン
    レッドブル-フェラーリ   ロバート・ドーンボス
    BMWザウバー   セバスチャン・ベッテル
  MF1-トヨタ   ジョルジオ・モンディーニ
  トロ・ロッソ-コスワース   ニール・ジャニ
  スーパーアグリ-ホンダ   フランク・モンタニー

予選結果

編集

From [2]:

順位 国籍 ドライバー コンストラクター Part 3 Part 2 Part 1
1   フェリペ・マッサ フェラーリ 1:26.907 1:27.059 1:27.306
2   ミハエル・シューマッハ フェラーリ 1:27.284 1:25.850 1:27.385
3   フェルナンド・アロンソ ルノー 1:27.321 1:26.917 1:27.861
4   ジャンカルロ・フィジケラ ルノー 1:27.564 1:27.346 1:28.175
5   ラルフ・シューマッハ* トヨタ 1:27.569 1:27.062 1:27.668
6   ニック・ハイドフェルド BMWザウバー 1:27.785 1:27.251 1:28.200
7   ジェンソン・バトン ホンダ 1:27.790 1:26.872 1:28.222
8   キミ・ライコネン マクラーレン-メルセデス 1:27.866 1:27.202 1:28.236
9   ロバート・クビサ BMWザウバー 1:28.167 1:27.405 1:28.212
10   マーク・ウェバー ウィリアムズ-コスワース 1:29.436 1:27.608 1:28.307
11   クリスチャン・クリエン レッドブル-フェラーリ 1:27.852 1:28.271
12   ペドロ・デ・ラ・ロサ マクラーレン-メルセデス 1:27.897 1:28.403
13   ヤルノ・トゥルーリ トヨタ 1:27.973 1:28.549
14   ルーベンス・バリチェロ ホンダ 1:28.257 1:28.411
15   ニコ・ロズベルグ ウィリアムズ-コスワース 1:28.386 1:28.889
16   クリスチャン・アルバース* MF1-トヨタ 1:28.639 1:29.021
17   デビッド・クルサード レッドブル-フェラーリ 1:29.136
18   スコット・スピード トロ・ロッソ-コスワース 1:29.158
19   ヴィタントニオ・リウッツィ トロ・ロッソ-コスワース 1:29.250
20   ティアゴ・モンテイロ MF1-トヨタ 1:29.901
21   山本左近 スーパーアグリ-ホンダ 1:30.607
22   佐藤琢磨 スーパーアグリ-ホンダ 1:30.850

*:ラルフ・シューマッハとクリスチャン・アルバースの両名はエンジン交換のため10位降格のペナルティが科された。従ってラルフは15番手、アルバースは22番手スタートとなった。

決勝

編集

展開

編集

オープニングラップでフィジケラがスピン、後方で接触事故がおこりライコネンやスピード、佐藤、モンテイロらがそのあおりを食うかたちとなったが、その場でリタイヤとなったのはモンテイロのみであった。しかしライコネンは翌周にリタイヤ、佐藤も長い時間ピットガレージの中で過ごすことになるが、スーパーアグリの新パーツのデータを取るためにリタイヤを選択せず、10数周遅れでサーキットに再度送り出された。

レースは12周目に大きく動いた。リウッツィがスピンしコース上に止まってしまう。これによりセーフティカーが導入され、各車がピットインする。フェラーリはマッサとシューマッハの両名がピットインすることになるが、シューマッハはマッサの後ろで待たされることになってしまう。このすきにアロンソが2位に順位を上げた。

その後はロズベルグのトラブル、アルバース(入賞圏内直前までポジションを上げていた)のクラッシュなどがあったが、上位勢の順位に大きな変動はなく、シューマッハは2度目のピットインでもアロンソの前に出ることはできず、最後0.1秒差まで差を詰めるものの、アロンソを上回ることはできず、ドライバーズチャンピオンシップとの差をさらに詰めることはできなかった。

その一方でマッサは67戦目での初優勝をポール・トゥ・ウィンで飾った。これによりルノーとのコンストラクターズポイント差を詰めることに成功した。

その後方では前戦のウィナー、バトンが4位でフィニッシュ。バリチェロも8位に入りホンダ勢はダブル入賞となった。前レースで初の表彰台に上がったデ・ラ・ロサも1ストップ作戦を上手く成功させ5位。6位はフィジケラ、7位はラルフ・シューマッハだった。

結果

編集

From [3]:

順位 No 国籍 ドライバー コンストラクター 周回 タイム グリッド ポイント
1 6   フェリペ・マッサ フェラーリ 58 1:28:51.082 1 10
2 1   フェルナンド・アロンソ ルノー 58 +5.575 secs 3 8
3 5   ミハエル・シューマッハ フェラーリ 58 +5.656 secs 2 6
4 12   ジェンソン・バトン ホンダ 58 +12.334 secs 6 5
5 4   ペドロ・デ・ラ・ロサ マクラーレン-メルセデス 58 +45.908 secs 11 4
6 2   ジャンカルロ・フィジケラ ルノー 58 +46.594 secs 4 3
7 7   ラルフ・シューマッハ トヨタ 58 +59.337 secs 15 2
8 11   ルーベンス・バリチェロ ホンダ 58 +60.034 secs 13 1
9 8   ヤルノ・トゥルーリ トヨタ 57 +1 lap 12
10 9   マーク・ウェバー ウィリアムズ-コスワース 57 +1 lap 9
11 15   クリスチャン・クリエン レッドブル-フェラーリ 57 +1 lap 10
12 17   ロバート・クビサ BMWザウバー 57 +1 lap 8
13 21   スコット・スピード トロ・ロッソ-コスワース 57 +1 lap 17
14 16   ニック・ハイドフェルド BMWザウバー 56 +2 laps 5
15 14   デビッド・クルサード レッドブル-フェラーリ 55 ギアボックス 16
リタイア 19   クリスチャン・アルバース MF1-トヨタ 46 スピン 22
NC 22   佐藤琢磨 スーパーアグリ-ホンダ 41 +17 laps 21
リタイア 10   ニコ・ロズベルグ ウィリアムズ-コスワース 25 水漏れ 14
リタイア 23   山本左近 スーパーアグリ-ホンダ 23 スピン 20
リタイア 20   ヴィタントニオ・リウッツィ トロ・ロッソ-コスワース 12 スピン 18
リタイア 3   キミ・ライコネン マクラーレン-メルセデス 1 接触 ダメージ 7
リタイア 18   ティアゴ・モンテイロ MF1-トヨタ 0 接触 19

レース後

編集

表彰式で大きな問題が発生した。優勝したマッサに優勝トロフィを手渡したのは北キプロス・トルコ共和国大統領のメフメト・アリ・タラートであったが、北キプロス・トルコ共和国はトルコしか国家承認していない国である。レース後FIAは「政治的中立性が損なわれたことは容認できない」とし、8月29日までに調査を開始。9月19日までにFIAはトルコ国内協議委員会(TOSFED)、トルコGP主催者(MSO)に対し500万ドル(5億8790万円、当時)の罰金を科した[4]

第14戦終了時点でのランキング

編集

参照

編集
  1. ^ F1 News > Turks fined only $5m
  2. ^ Domenjoz, Luc et al.. Formula One Yearbook 2006-2007. Chronosports S.A.. p. 176. ISBN 2-84707-110-5 
  3. ^ a b c Domenjoz, Luc et al.. Formula One Yearbook 2006-2007. Chronosports S.A.. p. 179. ISBN 2-84707-110-5 
  4. ^ トルコGP表彰式問題、罰金5億8,790万円で解決へ” (2006年9月20日). 2024年4月22日閲覧。

外部リンク

編集
前戦
2006年ハンガリーグランプリ
FIA F1世界選手権
2006年シーズン
次戦
2006年イタリアグランプリ
前回開催
2005年トルコグランプリ
  トルコグランプリ 次回開催
2007年トルコグランプリ

座標: 北緯40度57分20.5秒 東経29度24分29.7秒 / 北緯40.955694度 東経29.408250度 / 40.955694; 29.408250