2014年バルカン半島洪水

バルカン半島洪水は、2014年5月にヨーロッパ南東部のバルカン半島で発生した大洪水である[1]ボスニア・ヘルツェゴビナでは、集中豪雨により過去120年で最多の降雨量を観測するなどし[2]、1世紀ぶりの大洪水と言われた[3]知恵蔵はこの洪水を「バルカン半島大洪水」と表記している[3]。この洪水により、セルビアボスニア・ヘルツェゴビナでは特に甚大な被害となり、被災者は220万人以上に達した[3]

2014年バルカン半島洪水
Krupanj 2014 - by Zoran Dobrin 1.jpg
洪水による被害
日付2014年5月13日 - 5月27日
場所セルビアの旗 セルビア
ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ
クロアチアの旗 クロアチア
ルーマニアの旗 ルーマニア
死者少なくとも86人

概要編集

5月13日にアドリア海で発生した温帯低気圧「タマラ(Tamara)」が、14日から15日にかけてバルカン半島付近で停滞したため、セルビアやボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアなどで集中豪雨が発生した[3][4]。さらに偏西風が大きく蛇行した影響で、上空の寒気と低気圧がバルカン半島付近で停滞したところに、南のアドリア海から暖かく湿った空気が流れ込み続けたため、この地域での激しい雨は長時間にわたって続いた。降り始めからの雨量は、平均で100〜200mmに達し、場所によっては300mm以上にもなった。15日には、各地で日降水量が過去最高記録となった[3]

影響編集

豪雨により、サヴァ川や、その支流のボスナ川等が増水・氾濫し、広範囲にわたって浸水。大規模な洪水が発生した。また、2100ヶ所で土砂崩れないし地滑りが発生したという[3]

ボスニア・ヘルツェゴビナのラグムジャ外相は5月19日、100万人以上もの国民(同国の人口の4分の1以上に当たる)が、清潔な飲料水を確保できていないことを発表。5月20日までに、少なくとも62人の死者と120万人の被災者が確認され、この地域での洪水被害としては過去120年で最悪となった[3][5]

5月23日には各地で洪水が収束に向かっているように見えたが、気温が上昇していたことから感染症が発生する危険性が高まったという[3]

この洪水により、ボスニア紛争で残された数多くの地雷が流出して散乱した[3][6]。当局は、地雷の埋設場所を示す標識などが、洪水で流されたりする危険もあるとして注意を呼び掛けた[7]

地雷や不発弾を除去するため、ボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアにはアメリカから約1億1000万ドル(約112億円)が支援された。ボスニア・ヘルツェゴビナを訪問したドイツシュタインマイヤー外相は、700万ユーロ(約9億8000万円)を被災支援や地雷除去のために拠出すると約束した。さらに5月17日には日本政府も、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府からの要請に応じ、国際協力機構(JICA)を通じておよそ1200万円に相当する緊急援助物資(テント、スリーピングパッドなど)を供与することを発表。2011年東日本大震災の折は、セルビア赤十字がいちはやく日本に数百万ドルもの寄付をしていたという話が広まっていた。日本赤十字だけでなく、民間企業をはじめ団体や個人などからも多くの寄付が寄せられた[3]

脚注編集

  1. ^ 【終了】バルカン半島洪水(2014年バルカン半島洪水支援)|日本赤十字社” (日本語). www.jrc.or.jp. 2020年9月19日閲覧。
  2. ^ セルビアで洪水、3人死亡「史上最悪の自然災害」” (日本語). www.afpbb.com. 2020年9月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 知恵蔵「バルカン半島大洪水」
  4. ^ 地球が見える 2014年 バルカン半島で発生した大洪水”. JAXA. 2020年9月19日閲覧。
  5. ^ バルカン半島で大洪水~120年で最悪の豪雨~ 写真特集:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年9月19日閲覧。
  6. ^ バルカン半島で洪水 26人死亡、地雷流され住民らに危険も” (日本語). CNN.co.jp. 2020年9月19日閲覧。
  7. ^ バルカン半島の洪水被害拡大” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2020年9月19日閲覧。

外部リンク編集