2015年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ アスコット

2015年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ アスコットでは、通算10回目となるレッドブル・エアレース・ワールドシリーズの内、2015年8月15日16日イギリスアスコット競馬場で行われた2015年シーズン第5戦について述べる。イギリスでのレースは通算で7度目、アスコット英語版が開催地に選ばれるのは、2014年シーズン第5戦に引き続き2度目である。アブダビ千葉ロヴィニブダペストと海や川など水上を舞台に繰り広げられてきた今シーズンでは、内陸が舞台となるのは初である[1]

概要 編集

第3戦の地・ロヴィニでは、ポール・ボノムが3連勝できるかが話題に上ったが、アスコットではハンネス・アルヒが同じ質問をされることになった。これまでに1シーズンで3連勝したことがあるのは、2005年シーズンマイク・マンゴールドと、2010年シーズンのアルヒのみである。[2]

シーズン前半の4戦を終えたところで、ポイントランキングは、ポール・ボノムが34ポイントで1位、ハンネス・アルヒとマット・ホールが29ポイントで同率で2位、1位と2位の差がわずか5ポイントという状況である。本戦を含む残る4戦の開催地は2014年シーズン後半戦と同じで(順番は異なる)、全てのパイロットが48ポイントを取るチャンスがあることに変わりはない。今シーズン表彰台を逃したのは第3戦ロヴィニのみの首位を走るボノムはシーズン3勝目を、昨シーズンのアスコットで8位に沈んだアルヒは昨年の反省点を振り返りながら[3]今シーズン3連勝を、ホールはキャリア初優勝を目指した。[4]レーストラックは昨シーズンと同じコースに設定された[5]

予選前日のトレーニング・フライトは悪天候で中止となった[6]。トレーニング・フライトは予選の直前に行われ、ボノムがミスでタイムを落とし、マット・ホールが首位に立った[7]。予選本番では、ボノムがミスを取り戻し首位[8]、アルヒがコース脱線によるセーフティ・クライム・アウトでDNF判定を受け14位となり(予選2本目はエンジンの不調によりスタートできず[9][10]、ポイントランキングで1位と2位の2人がラウンド・オブ・14から激突することとなった。ラウンド・オブ・14ではアルヒがボノムを上回り予選1位通過、敗者の中で最速タイムを出したボノムはシーズン3勝目へ望みをつなぎ、2人はラウンド・オブ・8で再び相見えることとなった[11]。しかしながら、ラウンド・オブ・8でアルヒはエンジントラブルでスタートできないまま敗退という結果に終わった[12]。日本の室屋義秀は今シーズン初のファイナル4進出を果たし、2014年第2戦以来の自己最高となる第3位でレースを終え、ボノムが母国のファンを前に有終の美を飾った[13]

チャレンジャークラスは、スウェーデンのダニエル・リファが3連勝を目指して、予選から好タイムを記録したが[14]、決勝でミスが出て2秒加算されるペナルティを受け3位、チェコのペトル・コプシュタインがシーズン2勝目を挙げた[15]

マスタークラス 編集

予選 編集


No. パイロット タイム ペナルティ
1 55   ポール・ボノム 1:06.023
2 95   マット・ホール 1:06.284
3 8   マルティン・ソンカ 1:07.172
4 91   ピーター・ベゼネイ 1:07.443
5 31   室屋義秀 1:07.864
6 27   ニコラス・イワノフ 1:08.075
7 10   カービー・チャンブリス 1:08.136
8 9   ナイジェル・ラム 1:08.220
9 99   マイケル・グーリアン 1:08.438
10 21   マティアス・ドルダラー 1:08.439 +2秒1
11 12   フランソワ・ルボット 1:09.280
12 26   フアン・ベラルデ 1:09.996
13 84   ピート・マクロード 1:10.631 +2秒1
14 22   ハンネス・アルヒ DNF2
  • ^1 水平違反により+2秒のペナルティ[10]
  • ^2 ゲート通過時の高度が高すぎたため、セーフティ・クライム・アウトを選択[10]

ラウンド・オブ・14 編集

ヒート 予選1 パイロット1 タイム1 タイム2 パイロット2 予選2
1 5   室屋義秀 1:07.623 1:08.844   マティアス・ドルダラー 10
2 4   ピーター・ベゼネイ 1:08.919 1:13.5111   フランソワ・ルボット 11
3 6   ニコラス・イワノフ 1:07.967 1:08.721   マイケル・グーリアン 9
4 3   マルティン・ソンカ 1:07.405 1:09.003   フアン・ベラルデ 12
5 7   カービー・チャンブリス 1:10.5902 1:10.0472   ナイジェル・ラム 8
6 2   マット・ホール 1:06.833 1:11.0193   ピート・マクロード 13
7 1   ポール・ボノム 1:06.961 1:06.178   ハンネス・アルヒ 14
凡例
ラウンド・オブ・8進出
ノックアウト(敗退)
敗者の中で最速(=進出)
  • ^1 スモークが出ておらず+1秒、水平違反により+2秒のペナルティ[11]
  • ^2 ゲート通過時の規定高度違反(高度超過)により+2秒のペナルティ[11]
  • ^3 パイロン・ヒットにより+3秒のペナルティ[11]

ラウンド・オブ・8 編集

ヒート 予選1 パイロット1 タイム1 タイム2 パイロット2 予選2
8 4   ピーター・ベゼネイ 1:07.465 1:06.706   室屋義秀 5
9 3   マルティン・ソンカ 1:10.114 1:08.088   ニコラス・イワノフ 6
10 2   マット・ホール 1:06.531 1:06.993   ナイジェル・ラム 8
11 1   ポール・ボノム 1:06.542 DNS1   ハンネス・アルヒ 14
凡例
ファイナル4進出
ノックアウト(敗退)
  • ^1 エンジン・トラブルによりスタートできず[12]

ファイナル4 編集


No. パイロット タイム ペナルティ
1 55   ポール・ボノム[13] 1:06.416
2 95   マット・ホール 1:09.024 +2秒1
3 31   室屋義秀 1:09.426 +2秒1
4 27   ニコラス・イワノフ 1:10.804 +2秒2
  • ^1 水平違反により+2秒のペナルティ[13]
  • ^2 規定高度違反(高度超過)により+2秒のペナルティ[13]

最終結果 編集


パイロット ポイント
1   ポール・ボノム 12
2   マット・ホール 9
3   室屋義秀 7
4   ニコラス・イワノフ 5
5   ナイジェル・ラム 4
6   ピーター・ベゼネイ 3
7   マルティン・ソンカ 2
8   ハンネス・アルヒ 1
9   マイケル・グーリアン 0
10   マティアス・ドルダラー 0
11   フアン・ベラルデ 0
12   カービー・チャンブリス 0
13   ピート・マクロード 0
14   フランソワ・ルボット 0

チャレンジャークラス 編集

予選 編集


No. パイロット タイム ペナルティ
1 17   ダニエル・リファ 1:18.072
2 5   クリスチャン・ボルトン 1:21.094
3 62   フロリアン・バーガー 1:23.409 +2秒1
4 37   ピーター・ポドランセック 1:23.672 +2秒1
5 18   ペトル・コプシュタイン 1:24.576 +4秒2
6 77   フランシス・バロス 1:24.995 +2秒1
  • ^1 水平違反により+2秒のペナルティ
  • ^2 水平違反×2により+4秒のペナルティ

決勝 編集


No. パイロット タイム ペナルティ
1 18   ペトル・コプシュタイン[15] 1:20.776
2 5   クリスチャン・ボルトン 1:21.920
3 17   ダニエル・リファ 1:21.982 +2秒1
4 37   ピーター・ポドランセック 1:22.212
5 62   フロリアン・バーガー 1:27.444
6 77   フランシス・バロス 1:27.653 +4秒2
  • ^1 水平違反により+2秒のペナルティ[15]
  • ^2 水平違反により+2秒、規定高度違反により+2秒のペナルティ[15]

第5戦終了後のランキング 編集

マスタークラス

パイロット トー
タル
1   ポール・ボノム 46
2   マット・ホール 38
3   ハンネス・アルヒ 30
4   マルティン・ソンカ 18
5   ナイジェル・ラム 17
6   ピート・マクロード 14
7   マティアス・ドルダラー 12
8   室屋義秀 11
8   ニコラス・イワノフ 11
10   マイケル・グーリアン 8
10   ピーター・ベゼネイ 8
12   カービー・チャンブリス 2
13   フアン・ベラルデ 0
13   フランソワ・ルボット 0
チャレンジャークラス

パイロット トー
タル
1   ダニエル・リファ 28
  ペトル・コプシュタイン
3   クリスチャン・ボルトン 24
4   ミカエル・ブラジョー 22
5   ピーター・ポドランセック 14
6   フロリアン・バーガー 10
7   フランシス・バロス 4

出典 編集

  1. ^ Land lovers rejoice”. Red Bull Air Race (2015年8月11日). 2015年9月13日閲覧。
  2. ^ Arch readying for Ascot”. Red Bull Air Race (2015年7月15日). 2015年9月12日閲覧。
  3. ^ Arch to bury Ascot demons”. Red Bull Air Race (2015年8月12日). 2015年9月13日閲覧。
  4. ^ Who could be World Champion?”. Red Bull Air Race (2015年7月23日). 2015年9月13日閲覧。
  5. ^ The Brits back in front of the home fans”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  6. ^ 金曜日のトレーニングは悪天候でキャンセル”. Red Bull Air Race (2015年8月14日). 2015年9月13日閲覧。
  7. ^ Hall leads the pack after training”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  8. ^ Bonhomme bags Qualifying win for home fans”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  9. ^ 第5戦アスコット:マスタークラス予選後リアクション”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  10. ^ a b c Arch upset by Qualifying shake up”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  11. ^ a b c d Bonhomme grabs last ticket to Round of 8”. Red Bull Air Race (2015年8月16日). 2015年9月14日閲覧。
  12. ^ a b Ascot anguish for Arch in Round of 8”. Red Bull Air Race (2015年8月16日). 2015年9月14日閲覧。
  13. ^ a b c d 第5戦アスコットはボノムが優勝!室屋義秀は3位!”. Red Bull Air Race (2015年8月16日). 2015年9月14日閲覧。
  14. ^ Ryfa in a league of his own at Ascot”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。
  15. ^ a b c d Kopfstein runs away Challenger Cup at Ascot”. Red Bull Air Race (2015年8月15日). 2015年9月13日閲覧。

外部リンク 編集

前レース
第4戦   ブダペスト
レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ
2015年シーズン
第5戦   アスコット
次レース
第6戦   シュピールベルク