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2018年イタリア総選挙(2018ねんイタリアそうせんきょ)は、イタリア共和国立法府である代議院元老院を構成する議員を選出するために、2018年3月4日に行われた選挙である。

2018年イタリア共和国総選挙
Elezioni politiche italiane del 2018
イタリア
2013 ←
2018年3月4日

代議院(下院)630議席/元老院(上院)315議席
投票率 72.93%(減少2.27%)
  第1党 第2党 第3党
  Matteo Salvini 2.jpg Luigi Di Maio daticamera 2018.jpg Matteo Renzi crop 2016.jpg
党首 マッテオ・サルヴィーニ[注 1] ルイージ・ディ・マイオ マッテオ・レンツィ[注 2]
政党 中道右派連合
政党連合
五つ星運動 中道左派連合
(政党連合)
前回選挙 125(代議院)
117(元老院)
109(代議院)
54(元老院)
345(代議院)
127(元老院)
獲得議席 265(代議院)
137(元老院)
227(代議院)
112(元老院)
122(代議院)
60(元老院)
議席増減 増加 138(代議院)
増加 20(元老院)
増加 114(代議院)
増加 58(元老院)
減少 227(代議院)
減少 65(元老院)
得票率 37.0%(代議院)
37.5%(元老院)
32.7%(代議院)
32.2%(元老院)
22.9%(代議院)
23.0%(元老院)

  第4党
  Pietro Grasso crop.jpg
党首 ピエトロ・グラッソ
政党 自由と平等
(政党連合)
前回選挙 新党結成
獲得議席 14(代議院)
4(元老院)
得票率 3.38%(代議院)
3.27%(元老院)

Italian 2018 elections Chamber of Deputies constituencies.svg Italian 2018 elections Senate constituencies.svg

各選挙区の投票結果(左:代議院/右:元老院)


選挙前首相

パオロ・ジェンティローニ
中道左派連合(民主党所属)

選出首相

ジュゼッペ・コンテ
無所属

目次

概要編集

選挙法改正と五つ星運動
議席の大部分が比例代表であったこれまでの選挙から、2017年に成立した選挙法改正によって3分の1が小選挙区で選出される制度に改められた。合わせて比例選挙での小政党乱立を防ぐ為の追加議席制度も廃止され、単一政党での政権獲得が困難になった。
改正案は連立を否定する新興政党の五つ星運動を左翼・右翼の政党連合が警戒したものとされており、五つ星運動が単一過半数を達成できるのか、あるいは連立協議に応じるのかが焦点となった。
左派政党の分裂
上記の選挙法改正より前にイタリア民主党選出のマッテオ・レンツィ首相は憲法改正による議会制度の再編を推し進めて大規模な反対運動を招き、自らの進退を賭けた事が仇となって内閣総辞職に追い込まれた。民主党のパオロ・ジェンティローニが政権を継承したものの、政界引退を約束していたレンツィが前言を翻して民主党書記長選に出馬、党内でレンツィの責任論を巡って激しい対立が起きた。
最終的に憲法改正反対派は離党して憲法第1条・民主進歩運動英語版を結成した。総選挙においても対立は尾を引いており、民主進歩運動は中道左派連合に加わらず、急進左派「イタリアの左翼」と新しい選挙連合「自由と平等英語版」を組織した。また共産主義再建党も政党連合「人民へ力を!英語版」を組織しており、左派政党の分裂が深刻化している。
反EU・反移民
近年、中東情勢の不安定化やEUの統合深化によって国境外からの移民者が増加している事について、イタリアにおいても社会問題になっている。こうした中で郷土主義的な労働問題の延長線上から移民排斥と反EUを掲げていた北部同盟は、マッテオ・サルヴィーニ書記長の組織改革によって郷土主義をスローガンから外し、右派ポピュリズムに転向して党名を「同盟」と改称した。
「同盟」が右翼層から急速に支持を集める一方、右派政党の中心であるフォルツァ・イタリアは親EU路線を掲げており、右派連合内での主導権争いも起きている。

基礎データ編集

  • 議員任期:5年間(代議院・元老院)
  • 選挙制度:小選挙区比例代表併用制
  • 総定数
    • 代議院:630名
    • 元老院:315名
  • 選挙区
    • 代議院:比例区63(386議席)/小選挙区232(232議席)/在外選挙区(12議席)
    • 元老院:比例区33(193議席)/小選挙区116(116議席)/在外選挙区(6議席)

主要政党編集

中道左派連合編集

民主党(PD)
社会民主主義政党。左翼民主党(PDS)を前身とする左翼民主主義者(DS)を中心に、左派政党の政党連合「ルニオーネ」(L'Unione)の諸政党が合流して結党された。
左翼民主党を通じて西欧最大の共産党であったイタリア共産党(PCI)の系譜も引くが近年はリベラル的な中道左派勢力が主導権を得ている。政党連合「中道左派連合」を主導する。
よりヨーロッパへ (+E)英語版
リベラル政党の政治同盟。イタリア急進主義者(RI)が主導して様々な自由主義者・親欧州主義者英語版(Pro-Europeanism)によって結成された。PDによる中道左派連合への協力を表明。
インシエーメ(I)英語版
進歩主義政党の政治同盟。2007年に再結党されたイタリア社会党(PSI)が主導して結成した。PDによる中道左派連合への協力を表明。
一般市民のリスト(CP)英語版
中道主義政党の政治同盟。自由の人民(Pdl)から分離した新中道右派(NCD)を前身とする中道政党人民の選択肢(AP)英語版が主導して結成した。PDによる中道左派連合への協力を表明。
南チロル人民党及びトレント自治運動(SVP-PATT)
穏健な地域政党南チロル人民党(SVP)とトレント自治運動(PATT)英語版による政治同盟。PDによる中道左派連合への協力を表明。

中道右派連合編集

フォルツァ・イタリア (FI)
キリスト教民主主義政党。タンジェントポリ後の政界再編の主軸として行動し、国民同盟との合流によって右派政党の合同を実現したが、Pdlの解散により再結党された。中道右派連合に参加を表明。
同盟(L)
右派ポピュリズム政党。イタリア北部の郷土主義政党であった北部同盟(LN)を前身とするが、近年は反EUや排外主義などが支持基盤に変わりつつあり、党名も「同盟(L)」に変更した。中道右派連合に参加を表明。
イタリアの同胞(FdI)
民族主義政党。Pdlから離党した国民同盟(AN)出身の一部議員によって結党された。右翼の中心であったANを通じてネオファシスト政党イタリア社会運動(MSI)の伝統を引き継いでいる。中道右派連合に参加を表明。
私達とイタリア(NcI)英語版
リベラル政党。市民の選択(SC)英語版などが合流して選挙直前に結党された。右派寄りの政治主張を持ち、キリスト教民主主義も掲げている。中道右派連合に参加を表明。

第三極編集

五つ星運動 (M5S)
ポピュリズム政党。インターネット政党として立ち上げられた。反政党政治直接民主主義)やEU離脱など急進的政策を掲げ、政治不信の募る若年層の間で急速に台頭した。
政治腐敗の原因であるとして連立や政党連合にも反対していたが、選挙法の改正によって単独過半数が極めて困難となり、方針の転換に迫られている。
自由と平等(LeU)英語版
社会民主主義政党の政治同盟。PDの反主流派による民主進歩運動(MDP)英語版が主導して結成した。中道左派連合への不参加を発表。
人民へ力を!(PaP)英語版
共産主義政党の政治同盟。共産主義再建党(PRC)が主導して結成した。中道左派連合への不参加を発表。
カーサパウンド・イタリア(CPI)英語版
ネオファシズム政党。イタリア社会運動(MSI)の穏健化に反対した三色の炎(MS-FT)を前身とする。普段は反民主主義政党として直接行動を中心にしている。

選挙結果編集

代議院・元老院のいずれも概ね選挙前の予測通りの展開となった。

下院(代議院)編集

中道右派連合が比例区・小選挙区双方において優勢を維持し、265議席を獲得して第1党派となった。政党連合内ではフォルツァ・イタリアが選挙前と比較して50議席近く議席数を増加させたが、Pdlへの合流直前(2006年)に有していた140議席には達しなかった。かつての党勢にまで回復しない再結党後のフォルツァ・イタリアに対し、新たに109議席の議席を増加させて党再編前の党勢を超えた「同盟」の発言権が強まっている。他に民族主義政党のイタリアの同胞が25議席を上積みしたのに比べ、穏健右派のイタリアと私達は4議席獲得に留まった。右翼支持層でキリスト教民主主義など中道右派の支持が弱まり、民族主義・国家主義など急進右派が支持を伸ばしている。

中道左派連合ではイタリア民主党が追加議席制度が廃止されたとはいえ、一挙に180議席以上を失う歴史的大敗を喫して第1党の地位を失った。新規に結党・組織された政党や政治連合も支持を伸ばせず、左派連合全体でも前回選挙の3分の1となる122議席しか獲得できなかった。第三極の中心である五つ星運動は選挙前にユーロ離脱の保留や連立についての譲歩など穏健化が功を奏して勢いを失わずに選挙戦を戦い抜き、227議席を獲得して単独政党としては第1党となった。しかし目的としていた単独過半数はやはり達成できず、今後は右派・左派の政党連合との組閣交渉を進める意向を示している。自由と平等英語版民主進歩運動英語版イタリアの左派英語版ら参加政党の主要メンバーらが当選し、中道左派連合とは距離を置いた状態で14議席を獲得した。

共産主義再建党による人民へ力を!英語版は37万票、ネオファシズム政党のカーサパウンド・イタリア英語版は31万票を獲得するなど善戦したが、議席獲得はならなかった。

代議院議席数
党派 比例区 小選挙区 在外選挙区 合計議席 増減
得票数 得票率 議席 得票数 得票率 議席 得票数 得票率 議席
 中道右派連合  L 同盟 5,691,921 17.37 73 12,147,611 37.00 49 232,078 21.49 2 125 +140
 FI フォルツァ・イタリア 4,590,774 14.01 59 46 1 104
 FdI イタリアの同胞 1,426,564 4.35 19 12 0 32
 NcI 私達とイタリア英語版 428,298 1.30 0 4 11,845 1.09 0 4
比例合計 151 小選挙区合計 111 在外選挙合計 3 265
 M5S 五つ星運動 10,697,994 32.66 133 10,727,567 32.68 93 188,933 17.50 1 227 +119
 中道左派連合  PD 民主党 6,101,836 18.72 86 7,497,814 22.85 21 285,429 26.44 5 112 -223
 +E よりヨーロッパへ英語版 836,837 2.55 0 2 60,859 5.63 1 3
 I インシエーメ英語版 196,766 0.60 0 1 N/A N/A 0 1
 CP 一般市民のリスト英語版 177,825 0.54 0 2 30.375 2.81 0 2
 SVP-PATT 南チロル人民党/トレント自治運動 134,651 0.41 2 2 N/A N/A 0 4
比例合計 88 小選挙区合計 28 在外選挙区合計 6 122
 LeU 自由と平等英語版 1,109,198 3.38 14 1,113,369 3.39 0 61,714 5.71 0 14 N/A
 MAIE 在外イタリア人協力運動英語版 N/A N/A 0 N/A N/A 0 104,538 9.68 1 1 -1
 USEI 南米のイタリア移民連合英語版 N/A N/A 0 N/A N/A 0 65,363 6.05 1 1 0
合計 630 -

上院(元老院)編集

元老院に関しても中道右派連合が第1党派、五つ星連合が第1党ながら過半数は取得できず、中道左派連合は議席を大幅に失うという構図は変わっていない。

元老院議席数
党派 比例区 小選挙区 在外選挙区 合計議席 増減
得票数 得票率 議席 得票数 得票率 議席 得票数 得票率 議席
 中道右派連合  L 同盟 5,317,019 17.62 37 11,323,360 37.49 21 218,553 22.04 0 58 +20
 FI フォルツァ・イタリア 4,352,380 14.43 33 23 2 57
 FdI イタリアの同胞 1,286,122 4.26 7 9 0 18
 NcI 私達とイタリア英語版 361,737 1.19 0 4 10,404 1.04 0 4
比例合計 77 小選挙区合計 58 在外選挙区合計 2 137
 M5S 五つ星運動 9,713,763 32.21 68 9,729,621 32.22 44 174,948 17.64 0 112 +58
 中道左派連合  PD 民主党 5,768,101 19.12 43 6,943,450 22.99 8 268,612 27.03 2 53 –57
 +E よりヨーロッパへ英語版 712,844 2.36 0 1 52,494 5.29 0 1
 I インシエーメ英語版 163,028 0.54 0 1 N/A N/A N/A 1
 CP 一般市民のリスト英語版 157,205 0.52 0 1 31,293 3.15 0 1
 SVP-PATT 南チロル人民党/トレント自治運動 128,282 0.42 1 2 N/A N/A N/A 3
 VdA ヴァッレ・ダオスタ連合 N/A N/A N/A 1 N/A N/A N/A 1
比例合計 44 小選挙区合計 14 在外選挙区合計 2 60
 LeU 自由と平等英語版 987,706 3.27 4 990,500 3.28 0 55,279 5.57 0 4 N/A
 MAIE 在外イタリア人協力運動英語版 N/A N/A 0 N/A N/A 0 107,879 10.88 1 1 0
 USEI 南米のイタリア移民連合英語版 N/A N/A 0 N/A N/A 0 65,069 6.56 1 1 0
合計 315 -

脚注編集

  1. ^ 政党連合(中道右派連合)の代表は特に定まっていないが、所属政党で最大規模となった同盟(レガ)の書記長を便宜上の代表とした
  2. ^ 政党連合(中道左派連合)の代表は特に定まっていないが、所属政党で最大規模となった民主党の党首を便宜上の代表とした

関連項目編集