2020年の世界ラリー選手権
本記事に加筆をする際は出典を忘れないでください。 出典の提示時には記事名のほか配信元・閲覧日だけではなく配信日もお願いします。 当記述には、出典があり内容の検証性がとれるもののみ掲載しています。 |
2020年の世界ラリー選手権 | |||
ドライバー選手権優勝![]() マニュファクチャラー選手権優勝 ![]() | |||
前年: | 2019 | 翌年: | 2021 |
2020年の世界ラリー選手権(英: 2020 World Rally Championship)は、FIA世界ラリー選手権の第48回大会である。
ドライバーズ/コドライバーズ選手権では、トヨタ・ガズー・レーシングWRT所属のセバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア組が通算7回目のタイトルを獲得した。マニュファクチャラーズ選手権では、ヒュンダイ・シェル・モービスWRTが昨年に続いて優勝し通算2回目のタイトルを獲得した[1]。
2020年のスケジュール編集
国際自動車連盟 (FIA) は選手権をよりグローバル化するため、ヨーロッパ圏内のイベントを減らし、ヨーロッパ圏外のイベントを増やす方針でカレンダーを決定した[2]。サファリラリー(ケニア)は2002年以来17年ぶり、ラリー・ニュージーランドは2012年以来7年ぶり、ラリージャパンは2010年以来10年ぶりにWRCに復活する。ラリージャパンは北海道から本州の愛知県・岐阜県に舞台を移して開催される。代わりにツール・ド・コルス(フランス)、ラリー・カタルーニャ(スペイン)、ラリー・オーストラリアが落選した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による予定変更編集
改訂後の開催について編集
ラウンド | 日程 | ラリー名 | 本拠地 | 詳細 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
スタート | フィニッシュ | 路面 | SS数 | 距離 | 注記 | |||
1 | 1月23日 | 1月26日 | ラリー・オートモビール・モンテカルロ | ギャップ | 混合 | 16 | 304 km | [注釈 1] |
2 | 2月13日 | 2月16日 | ラリー・スウェーデン | トルスビー | スノー | 11 |
180 km |
|
3 | 3月12日 | 3月15日 | ラリー・グアナフアト・メキシコ | レオン | グラベル | 21 |
251 km |
|
4 | 9月4日 | 9月6日 | ラリー・エストニア | タルトゥ | グラベル | 17 | 233 km | |
5 | 9月18日 | 9月20日 | ラリー・オブ・ターキー | マルマリス | グラベル | 12 | 223 km | |
6 | 10月8日 | 10月11日 | ラリー・イタリア・サルディニア | アルゲーロ | グラベル | 16 | 239 km | |
7 | 12月4日 | 12月6日 | ラリー・モンツァ | モンツァ | ターマック | 16 | 239 km |
- 新型コロナウイルスの影響は複数のイベントに及んだ。
- 第2戦のラリー・スウェーデンは、スウェーデン国内の記録的な暖冬による雪不足・路面の凍結不十分のため、予定していたコースの一部で開催が困難となり、全19ステージの予定が11ステージに短縮された[3]。
- 第3戦のラリー・メキシコは最終日のSSが全て中止となった[4]。
- ラリー・イタリア・サルディニアはアルゼンチンやポルトガルと同様に延期となったが[5]、当初ラリーGBが予定されていた10月29日~11月1日の期間での開催が決定された[6]。
- 追加開催として、昨年にプロモーションイベントが行われていたラリー・エストニアが第4戦で9月4日から6日の期間で行われる。
- ラリー・モンツァが第7戦で12月4日から6日の期間で、モンツァ・サーキットで行われる[7]。
中止が決定したイベントについて編集
ラリー名 | 本拠地 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
路面 | 中止理由 | 注記 | |||
ラリー・チリ | コンセプシオン | グラベル | 政情不安 | ||
ラリー・アルゼンチン | ビジャ・カルロス・パス | グラベル | COVID-19の流行 | ||
ラリー・ポルトガル | マトジーニョス | グラベル | |||
サファリ・ラリー | ナイロビ | グラベル | |||
ラリー・フィンランド | ユヴァスキュラ | グラベル | |||
ラリー・ニュージーランド | オークランド | グラベル | |||
ラリー・ドイチュラント | ノーフェルデン | ターマック | |||
ウェールズ・ラリーGB | スランディドノ | グラベル | |||
ラリー・ジャパン | 愛知県長久手市 | タ-マック | |||
イープル・ラリー | イーペル | ターマック |
- 当初第4戦として開催される予定だったラリー・チリは、もともとチリ国内において政情不安で治安が悪化していたことに加え、開催予定だった4月に憲法改正のための国民投票が行われることになったため、2019年12月に開催中止が決定した[8]。
- ラリー・アルゼンチンは、アルゼンチン政府が流行を抑えるために感染拡大防止の対策を発表。コルドバ地方の政府の指示によって開催が延期となり[9]、その後公式に開催キャンセルされた[10]。
- 10月からの開催を目指していたラリー・ポルトガル[11]、7月に開催される予定だったサファリ・ラリー[12]、8月に開催される予定だったラリー・フィンランド[13]、9月に開催される予定だったラリー・ニュージーランド[14]、10月16日から2日間の開催を予定していたラリー・ドイチュラント[15]、10月から11月までの期間に開催される予定だったウェールズ・ラリーGB[16]、最終戦として行われる予定だったラリー・ジャパン[17]は入国制限により開催中止となった。また、イープル・ラリーがラリー・ジャパンの代替開催として11月19日から22日の期間で行われる[18]予定だったが、感染再流行を恐れて中止となった[19]
- なお、中止になった大会は翌年のシーズンに持ち越しされる形で候補に選ばれた。
2020年の参加チームおよびドライバー編集
チームの変更点編集
シトロエンが前年限りでワークス・チームとしての参戦を終了[20]。撤退理由としては「セバスチャン・オジェが2019年限りでチームを離脱すること」を挙げ、「彼のような第一線級のドライバーが不在の状態では、ワールドタイトルを争うことはできない。そのため、WRCプログラムを終了するという決断に至った」としている[20]。なおシトロエン・C3 R5によるカスタマープログラムは継続する[20]。
また、長年PWRCやWRC2を支えてきたシュコダも19年シーズンをもってワークス活動を終了。今後はカスタマーを中心にプライベートチームを支援する。
マニュファクチャラー | エントラント | チーム代表 | タイヤ | クルー | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
No. | ドライバー名 | コ・ドライバー名 | 出走Rd. | ||||
Mスポーツ・フォード (フォード・フィエスタWRC) |
Mスポーツ・フォードWRT | リチャード・ミルナー | M | 3 | テーム・スニネン | ヤルモ・レーティネン | all |
4 | エサペッカ・ラッピ | ヤンネ・フェルム | all | ||||
44 | ガス・グリーンスミス | エリオット・エドモンドソン | 1,3-7 | ||||
ヒュンダイ (ヒュンダイ・i20クーペWRC) |
ヒュンダイ・シェル・モービスWRT | アンドレア・アダモ | M | 6 | ダニ・ソルド | カルロス・デル・バリオ | 3,6-7 |
8 | オィット・タナック | マルティン・ヤルヴェオヤ | all | ||||
9 | セバスチャン・ローブ | ダニエル・エレナ | 1,5 | ||||
11 | ティエリー・ヌービル | ニコラ・ジルスール | all | ||||
16 | クレイグ・ブリーン | ポール・ネイグル | 2 | ||||
42 | 4 | ||||||
トヨタ (トヨタ・ヤリスWRC) |
トヨタ・GAZOO・レーシングWRT | トミ・マキネン | M | 17 | セバスチャン・オジェ | ジュリアン・イングラシア | all |
33 | エルフィン・エバンス | スコット・マーティン | all | ||||
69 | カッレ・ロバンペラ | ヨンネ・ハルットゥネン | all |
マニュファクチャラー | チーム | タイヤ | 車番 | ドライバー | コ・ドライバー | 出走Rd. |
---|---|---|---|---|---|---|
トヨタ (トヨタ・ヤリスWRC) |
ラトバラ・モータースポーツ | M | 10 | ヤリ=マティ・ラトバラ | ユホ・ハンニネン | 2 |
トヨタ・GAZOO・レーシングWRT | M | 18 | 勝田貴元 | ダニエル・バリット | 1-2,4,6-7 | |
ヒュンダイ (ヒュンダイ・i20クーペWRC) |
ヒュンダイ・2Cコンペティション | M | 7 | ピエール=ルイ・ルーベ | ヴァンサン・ランデ | 4-6 |
15 | ピテル・ツュン | エディー・シュヴェリエ | [21] | |||
96 | オーレ=クリスチャン・ヴェイビー | ヨナス・アンデション | 7 | |||
ヒュンダイ・モータースポーツ・ニュージーランド | M | 20 | ヘイデン・パッドン | ジョン・ケナード | [22] | |
フォード (フォード・フィエスタWRC) |
Mスポーツ・フォードWRT | M | 19 | デイヴィダス・ヨツィウス | ミンダウガス・ヴァルジャ | 2 |
34 | 3 | |||||
40 | 1 | |||||
OTレーシング | M | 64 | ゲオルグ・グロス | ライゴ・モルデル | 4 | |
ヤンプロレーシング | M | 65 | キムモ・クルケラ | レータ・ハマライネン | 4 | |
フォード (フォード・フィエスタ RS WRC) |
マルティン・プロコップ | M | 22 | マルティン・プロコップ | ズデニェク・ユールカ | 6 |
シトロエン (シトロエン・C3 WRC) |
サンテロック・ジュニアチーム | P | 21 | ペター・ソルベルグ | アンドレアス・ミケルセン | 6 |
チーム | タイヤ | ドライバー | コ・ドライバー | 出走Rd. |
---|---|---|---|---|
PHスポール (シトロエン・C3 R5) |
M | マッズ・オストベルグ | トシュテン・エリクセン | 1-2,4,6-7 |
ヒュンダイ・モータースポーツ・N (ヒュンダイ・i20 R5) |
P | ニコライ・グリヤジン | ヤロスラフ・フェドロフ | 1-3 |
コンスタンティン・アレクサンドロフ | 4,6 | |||
オーレ=クリスチャン・ヴェイビー | ヨナス・アンデション | 1-4,6 | ||
Mスポーツ・フォード (フォード・フィエスタ R5 MKII) |
M | アドリアン・フルモー | ルノー・ジャムール | 1-2,4-6 |
リース・イェイツ | ジェイムズ・モーガン | 1 | ||
Tokシュポルト (シュコダ・ファビア R5 evo) |
P | ポンタス・ティデマンド | パトリク・バルト | 2-7 |
エイヴィンド・ブリニルドセン | イルカ・ミノア | 4-6 | ||
ヤン・コペツキー | ヤン・フロウシェク | 7 |
ドライバーの変更点編集
前年ドライバーズチャンピオンのオィット・タナックがトヨタからヒュンダイに移籍した[23]。
トヨタはドライバーを総入れ替えし、シトロエンを離脱したセバスチャン・オジェに加え、Mスポーツからエルフィン・エバンスが移籍、さらに前年のWRC2チャンピオンであるカッレ・ロバンペラの3人が加入する[24]。前年まで在籍していたヤリ=マティ・ラトバラはスポット参戦で北欧系のラリーに出場する[25]。
レース結果とランキング編集
各ラリーの結果編集
ラウンド | イベント | 優勝ドライバー | 優勝コ・ドライバー | 優勝エントラント | 優勝タイム | 出典 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ラリー・モンテカルロ | ティエリー・ヌービル | ニコラ・ジルスール | ヒュンダイ・シェル・モービスWRT | 3:10:57.6 | |
2 | ラリー・スウェーデン | エルフィン・エバンス | スコット・マーティン | トヨタ・ガズー・レーシングWRT | 1:11:43.1 | |
3 | ラリー・メキシコ | セバスチャン・オジェ | ジュリアン・イングラシア | トヨタ・ガズー・レーシングWRT | 2:47:47.6 | |
4 | ラリー・エストニア | オィット・タナック | マルティン・ヤルヴェオヤ | ヒュンダイ・シェル・モービスWRT | 1:59:53.6 | |
5 | ラリー・オブ・ターキー | エルフィン・エバンス | スコット・マーティン | トヨタ・ガズー・レーシングWRT | 2:43:02.7 | |
6 | ラリー・イタリア・サルディニア | ダニ・ソルド | カルロス・デル・バリオ | ヒュンダイ・シェル・モービスWRT | 2:41:37.5 | |
7 | ラリー・モンツァ | セバスチャン・オジェ | ジュリアン・イングラシア | トヨタ・ガズー・レーシングWRT | 2:15:51.0 |
ドライバーズ・チャンピオンシップ編集
|
Notes: |
コ・ドライバーズ・チャンピオンシップ編集
|
Notes: |
マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ編集
|
|
注釈編集
- ^ ラリー・モンテカルロではスノー/ターマックの路面が混在する。
出典編集
- ^ “【速報】WRCモンツァ:オジエ勝利で7度目の戴冠へ。マニュファクチャラーズタイトルはヒュンダイが連覇。勝田は初のSSベストを記録”. RALLY PLUS. 2020年12月20日閲覧。
- ^ マトン「WRCをよりグローバルに」、WRCジャパン招致委員会は2021年、2022年の開催国も一部発表 RALLY PLUS(2019年9月27日)
- ^ WRC:第2戦スウェーデンの最新アイテナリー発表。当初より8つ少ない全11ステージで構成 - オートスポーツ・2020年2月7日
- ^ ラリー・メキシコ、日曜日のステージをキャンセル - RallyX.net 2020年3月15日
- ^ WRC:5月開催のポルトガル、6月のイタリアが延期に。新型コロナウイルスの影響続く - オートスポーツ・2020年3月25日
- ^ WRC、今季の暫定カレンダーを発表。ラリー・ジャパンは予定通り11月に開催へ
- ^ ラリー・モンツァが2020年カレンダー入り。最終戦として12月4~6日開催へ - オートスポーツ・2020年10月10日
- ^ WRC:国内情勢不安の第4戦チリは開催中止へ。2020年シーズンは全13戦での争いに - オートスポーツ・2019年12月2日
- ^ WRC:新型コロナ対策で4月23~26日の第4戦アルゼンチンが開催延期に。振替日は今後決定 - オートスポーツ・2020年3月13日
- ^ WRCアルゼンチン、2020年の開催を公式にキャンセル - rallyplus.net 2020年7月2日
- ^ WRC:新型コロナの影響続く。ポルトガルの開催中止が決定、シリーズ再開は7月以降に
- ^ WRCサファリラリー、2020年の開催を断念し21年に延期へ - RALLY PLUS・2020年5月15日
- ^ ラリーフィンランド、2020年の開催キャンセルを決断 - RALLY PLUS 2020年6月3日
- ^ ラリーニュージーランドも今季の開催キャンセルを決断 - RALLY PLUS・2020年6月3日
- ^ WRCドイツが開催キャンセルを発表、サルディニアは会期を繰り上げ
- ^ WRC、10月末のラリーGBの開催中止を発表。新型コロナによる中止は5戦目 - motorsport・2020年6月10日
- ^ WRC日本ラウンド『ラリージャパン』2020年の開催断念。10年ぶりの復活は幻に - auto sport・2020年8月19日
- ^ イープル・ラリーが今季WRCカレンダーに追加 - rallyx.net・2020年8月19日
- ^ WRCイープルラリー・ベルギーが開催キャンセルを発表 - rallyplus.net・2020年10月30日
- ^ a b c WRC:シトロエンCEOが撤退理由を改めて説明。「セバスチャンなしの2020年は想像できない」 - オートスポーツ・2019年11月21日
- ^ ベルギー王者チューン、ヒュンダイWRカーで参戦 - RallyX・2020年10月28日
- ^ 元ヒュンダイのパッドン、2020年スポット参戦中止も“オールブラックス”の車両イメージ公開 - オートスポーツ・2020年6月11日
- ^ 【WRC】衝撃的な噂が現実のものに…トヨタで今季王者となったオット・タナク、来季はヒュンダイに移籍 - Response・2019年11月1日
- ^ WRC:トヨタ、三冠目指す2020年に向け体制一新。エースとしてセバスチャン・オジエ起用 - オートスポーツ・2019年11月27日
- ^ ラトバラ、2020年もヤリスWRCでスポット参戦へ。「マキネンとチームの力になりたい」 - オートスポーツ・2019年12月23日
- ^ WRC:Mスポーツが2020年布陣発表。元シトロエンのエサペッカ・ラッピが加入 - オートスポーツ・2020年1月3日