ギ酸3-メルカプト-3-メチルブチル

化学物質

ギ酸3-メルカプト-3-メチルブチルは、化学式C6H12O2Sで表される有機硫黄化合物の一種である。

ギ酸3-メルカプト-3-メチルブチル
3-mercapto-3-methylbutyl formate[1][2]
識別情報
CAS登録番号 50746-10-6
PubChem 526487
ChemSpider 458985
特性
化学式 C6H12O2S
モル質量 148.22 g mol−1
外観 液体
匂い カシスの香り。高濃度では動物の体臭を思わせる匂い。
密度 1.03
沸点

181 °C, 454 K, 358 °F

への溶解度 1000 mg/L
log POW 1.670
関連する物質
関連するチオール 酢酸3-メルカプト-3-メチルブチル
4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオール
4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

香り 編集

カシスの代表的な香り成分の一つであり、高濃度では動物の体臭を思わせる匂いとなる。白ワインブドウソーヴィニヨン・ブランにみられる、ネコ尿を思わせる香りの成分の一つでもある。コーヒーにおいては、ケニアの高地で生産されるアラビカ種コーヒー豆に特徴的に含まれる。本物質はコーヒー豆の焙煎過程で精油中のプレニルアルコールショ糖の加熱で生じるギ酸含硫アミノ酸が反応して生成するが、この地で採れるコーヒー豆には、含硫アミノ酸の元となるコーヒーペプチドが他の産地の1.5倍ほど含まれることに起因すると考えられる[3]。コーヒー抽出液中ではpH4.0前後で最も安定し、加水分解により減少する[4]。工業的には3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノールから合成される[5]

これまでにゴマおよびごま油から検出されたことはないが、ごま油にごく微量添加することによりゴマの香気を増強する効果が発見されている[6]

脚注 編集

参考文献 編集

  • 旦部幸博『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』(4刷)講談社ブルーバックス、2016年4月5日。ISBN 978-4-06-257956-8