フェラーリ・488GTB

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488GTBは、イタリア自動車メーカー、フェラーリが2015年から2019年にかけて製造した製造・販売したスポーツカーである。

フェラーリ・488GTB
488GTB
488GTB
488スパイダー
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア マラネロ(モデナ)
販売期間 2015年 - 2019年
デザイン フェラーリ・スタイリング・センター
フラビオ・マンツォーニ
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドアクーペ
駆動方式 MR
パワートレイン
エンジン TipoF154型 3,902 cc V型8気筒DOHCツインターボ
最高出力 493kW(670PS)/8,000rpm
最大トルク 760Nm(77.5kgfm)/3,000rpm
変速機 7速DCT
前後:ダブルウィッシュボーン
前後:ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,568mm
全幅 1,952mm
全高 1,213mm
車両重量 1,370 kg (乾燥時)
その他
0-100km/h 3.0秒
最高速度 330 km/h以上
系譜
先代 458イタリア
後継 F8トリブート
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概要 編集

488GTB 編集

2015年1月31日(イタリア現地時間) 、フェラーリが「謎の新型車」の登場を予告する情報を公開[1]。同年2月3日には、新型車が458イタリアの改良版であり、車名を「488GTB」とすることが発表された[2][3]。車名の「488」は1気筒あたりの排気量を表し[4]、GTBはGranTurismo Berlinetta(グランツーリスモ・ベルリネッタ)の略である[5]

488GTBはスタイリング、車名とともに、かつての308GTBを彷彿とさせるものとなっている。2015年3月に開幕したジュネーヴ・モーターショーにて初公開された[5]

488スパイダー 編集

 
488スパイダー

2015年9月に開催されたフランクフルトモーターショーにて488スパイダーが発表された[6]。日本では同年10月23日に初公開された[7]。アルミ製のトップを採用し構造は458スパイダーのそれを踏襲している。458スパイダーは走行中の開閉はできなかったが488スパイダーは時速45キロまでは開閉が可能となった。

488ピスタ 編集

 
488ピスタ

エンジンが720馬力にパワーアップされ、空力と軽量化されたモデル。台数は公表されていないが限定生産される。日本では2018年6月29日に富士スピードウェイで行われた「フェラーリ・レーシング・デイズ」で、フェラーリ・チャレンジ・ドライバーに初公開された。

488ピスタ・スパイダー 編集

 
488ピスタ・スパイダー

488ピスタのスパイダー版。より少ない数が限定生産される。

488ピスタ・ピロティ・チタニウム 編集

 
488ピスタ・ピロティ・チタニウム

フェラーリがFIA世界耐久選手権でドライバーズタイトルとコンストラクターズランキングを獲得したことによる限定記念モデル。サイドと、フロントバンパーからリアバンパーにかけてセンターにイタリアントリコロールが入っているのが特徴。エンジンも740馬力/770NMにパワーアップされている。

488チャレンジ/GT3/GTE/GT モディフィカータ 編集

2016年12月には、フェラーリのコルセ・クリエンティ部門の主催で世界各国で開催されるワンメイクレースである「フェラーリ・チャレンジ」向けのレース専用車輌「488チャレンジ」が、アメリカ合衆国デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたフィナーリ・モンディアーリで発表された。2017年初めより世界各国のユーザーに納入され、同年4月にアブダビで開催されたアジア・パシフィック選手権の開幕戦においてレースデビューした[8]

また、「FIA 世界耐久選手権」や、「GTワールドチャレンジ」や「SUPER GT」など、各国で開催されるGT選手権に参戦するために「ミケロット・アウトモビリ」の協力を得て開発された、レース専用車輌の「488 GT3/GTE」も同部門より販売されている。

なおこれらのレース専用車輌は、ナンバー取得(=一般道での走行)ができないサーキット専用車輌であり、「488チャレンジ」は、「フェラーリ・チャレンジ」に参戦する意向があり、国際C級ライセンスを所持したオーナーのみに、また「488 GT3/GTE」は、レーシングカーの整備施設が整えられ、かつGTマシンでのレース参戦の実績のあるレーシングチームにしか行われない。また、GT3は2018年と2020年にアップデートされている。[9]

488 GT3および488 GTE用に開発されたテクノロジーを使用して488 GTモディフィカータが開発・販売された。この車もサーキット専用車輌であり、サーキットでの日中の使用、およびフェラーリクラブコンペティツィオーネGTイベントのみで使用が許可されている。

J50 編集

 
J50

488スパイダーをベースに作られた限定生産モデル。フェラーリの日本進出50周年を記念して、10台のみ製造された。488スパイダーでは折りたたみ式ハードトップを採用しているが、J50ではシート後方に収納できるツーピースタルガトップを採用している。最高出力は690PS(508kW:690hp)。

SP38 デボラ 編集

 
SP38 デボラ

488GTBをベースに作られたワンオフモデル。車名のデボラはボディカラーがデボラ・レッドなのに由来している。リアバンパーには「KEBBEL」のバッジが取り付けられている。実車は2018年のヴィラ・デステで公開された。

P80/C 編集

 
P80/C

488GTBをベースに作られたワンオフトラック専用車。製作期間はフェラーリのワンオフモデルでは最長の4年を要している。トラック専用車のため公道走行は想定されておらず、ヘッドライトが存在しない。代わりに小さなフォグランプが取り付けられている。

KC23 編集

2023年7月11日に発表されたワンオフモデル。13日にはイギリスの「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で実車が初公開された。KC23は488GT3 Evo 2020をベースに製造されたサーキット専用モデルで、2種類の仕様を持つ点が特徴。静止状態では流麗なフォルムとなっている。両サイドのエアインテークは、V型8気筒ガソリンツインターボエンジンが始動すると、モーター駆動によって自動で開く。リアウィングは取り外し可能となる。
また、エンジンを始動すると、フロントタイヤ後方のパネルからフェンスが現れ、これがフロントダウンフォースを押し上げて、車両全体の空力バランスを取る。また、リアのパネルからインテークが現れ、ここからインタークーラーと補機類、エンジンに適切な量の空気を供給する。ボディカラーは専用開発の4層アルミニウムペイントである「ゴールドマーキュリー」で塗装された。ドアはバタフライドアを採用。ホイールは2種類デザインされ、18インチホイールはサーキット走行向け、フロント21インチリア22インチのホイールは展示向けである。
インテリアは、助手席側のドアパネルとダッシュボードの仕上げを除いて、無駄を削ぎ落としたデザインとなっており、専用シートはアルカンターラでトリミングされ、そこにロゴが電気融着されている。後方視界はビデオカメラシステムで確保したため、フェンダーのミラーを廃止している。[10]


2019年、後継車種でビッグマイナーチェンジモデルであるF8トリブートの発表に伴い、販売終了。

メカニズム 編集

488GTBは、V型8気筒3,902ccの488GTB専用に開発されたIHIツインターボチャージャーを搭載[4]。458イタリアより600ccダウンサイジングされたものの、100PSの出力アップとなった。なおターボ搭載車は現行モデルでは「カリフォルニアT」に続いて2台目である。

車体のデザインは従来フェラーリのデザインを手掛けたピニンファリーナではなく、「ラ・フェラーリ」同様フェラーリ社内のデザインセンターが手掛けている。両ドアはサイドに設置されたインテークへの吸気流量が最大に採れるようにと大きくえぐられた形状となり、そのサイドインテークはカーボンの板により空気は仕切られ上段がエンジンに導かれ、下段がインタークーラーに導かれる構造である。

出典 編集

  1. ^ 森脇稔 (2015年2月2日). “フェラーリ、謎の新型車を予告…キーワードは「デザイン」”. レスポンス (Response.jp). 2015年2月4日閲覧。
  2. ^ Ferrari 488 GTB:究極のドライビングスリルをもたらす究極のパワー”. オフィシャル・フェラーリ・ウェブサイト (Ferrari.com). 2015年2月4日閲覧。
  3. ^ 森脇稔 (2015年2月4日). “【ジュネーブモーターショー15】フェラーリ 458 イタリア、488 GTB に進化…3.9ターボは670ps”. レスポンス (Response.jp). 2015年2月4日閲覧。
  4. ^ a b カーグラフィック2015年8月号66頁「Ferrari 488GTB」より
  5. ^ a b Hirokazu Kusakabe (2015年3月5日). “【ジュネーブ2015】フェラーリ、V8ターボをミドシップに搭載した「488 GTB」を発表!(ビデオ付)”. 全米人気No.1の自動車サイト - Autolog 日本語版. 2015年3月17日閲覧。
  6. ^ フェラーリ史上最強V8オープン「488スパイダー」上陸。価格は3,570万円 clicccar.com
  7. ^ フェラーリが「488スパイダー」を日本初公開 webCG
  8. ^ コルセ・クリエンティ
  9. ^ 【GT300マシンフォーカス】『空力と粘り』が持ち味の最新フェラーリ488 GT3"EVO" | スーパーGT | autosport web”. AUTO SPORT web (2021年5月14日). 2022年4月23日閲覧。
  10. ^ https://response.jp/article/2023/07/13/373216.html

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • Ferrari 488 GTB - フェラーリ・オフィシャル・ウェブサイト Ferrari.com (日本語)