AADDシリーズ

ポータル文学

『AADDシリーズ』は、林譲治によるSF小説シリーズである。1999年の雑誌掲載で開始し、単行本は『ウロボロスの波動』『ストリンガーの沈黙』『ファントマは哭く』の3冊が既刊。22世紀の太陽系を舞台とし、異質な知性とのコミュニケーションがテーマとなっている。

あらすじ編集

2100年、太陽系近傍にブラックホールカーリーが発見された。カーリーに人工降着円盤 (AAD) を作りエネルギー資源として利用すべく、人工降着円盤開発事業団 (AADD) が設立された。AADDはプロジェクト駆動型の、地球圏とは異質な社会システムを構築し、地球人類と対立・さらには圧倒していった。

そうした中、地球外知的生命体ストリンガー（コズミックストリングを使うことからそう名づけられた）とのファーストコンタクトが始まった。彼らは、重力波観測で太陽系内に超対称性粒子生命SEを発見し、太陽系を訪れたのだった。

『ウロボロスの波動』2002年7月 ISBN 4-15-208430-8 （文庫: 2009年10月 ISBN 4-15-030815-2）
連作短編集（「ウロボロスの波動」「小惑星ラプシヌプルクルの謎」「ヒドラ氷穴」「エウロパの龍」「エインガナの声」「キャリバンの翼」）
『ストリンガーの沈黙』2005年11月 ISBN 4-15-208678-5、長編
『ファントマは哭く』2009年10月 ISBN 978-4-15-209078-2、長編

掲載誌は全て『SFマガジン』。『ウロボロスの波動』「エインガナの声」は単行本書き下ろし。

「エウロパの龍」1999年5月号、『ウロボロスの波動』収録、アンソロジー『日本SF名作集成 5 暗黒宇宙の謎』（2005年4月）再録
「小惑星ラプシヌプルクルの災厄」1999年10月号、改題し『ウロボロスの波動』収録
「ウロボロスの波動」2000年2・3月号（前後編）、『ウロボロスの波動』収録
「ヒドラ氷穴」2000年8月号、『ウロボロスの波動』収録
「キャリバンの翼」2001年2月号、『ウロボロスの波動』収録
「バンシーとの邂逅」2001年9月号、単行本未収録
「ラーフは月夜に飛ぶ」2003年4月号、単行本未収録
「イジュティハードの門」2004年7月号、単行本未収録
「大使の孤独」2007年4月号、アンソロジー『虚構機関年刊日本SF傑作選』（2009年6月）収録、加筆修正し『ファントマは哭く』「プロローグ大使の真実」として再録（書き下ろし扱い）
「古の軛」2010年2月号、単行本未収録