ア・トライブ・コールド・クエスト

A Tribe Called Questから転送)

ア・トライブ・コールド・クエストA Tribe Called Quest)は、アメリカヒップホップグループ。1988年に結成され、5枚のアルバムを発表した後、1998年に解散。デ・ラ・ソウルジャングル・ブラザーズと並んでネイティブ・タン(Native Tongues)の中核グループのひとつであった。通称「ATCQ」。

ア・トライブ・コールド・クエスト
A Tribe Called Quest
2009年
基本情報
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク市クイーンズ区
ジャンル ヒップホップ
活動期間 1985年 - 1998年
2006年 - 2013年
レーベル ジャイヴ・レコード
公式サイト atribecalledquest.com
メンバー Qティップ
ファイフ・ドーグ
アリ・シャヒード
ジェロビ・ホワイト

来歴 編集

 
A Tribe Called Quest(2017年)

1988年、MCQティップ(グループ結成前は、MC Love Childと名乗っていた)とDJのアリ・シャヒードのデュオに、ファイフ・ドーグとジェロビが加わり結成。ジャングル・ブラザーズやDJレッドアラートの後押しを受け、1989年にシングル「Description Of A Fool」でデビュー。

翌年に、ファースト・アルバム『ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ・アンド・ザ・パスズ・オブ・リズム』を発表。サンプリングキャノンボール・アダレイロイ・エアーズの素材を用いるなど、ジャズの要素を絡めた作品になっている。一部の批評家からは「踊れないアルバム」などと酷評されたが、3枚目のシングル「Can I KIck It?」がナイキのCMに使われたことから、徐々に人気が高まる。

続く、1991年の『ロウ・エンド・セオリー』は、ジャズ・ベーシストのロン・カーターを迎えて制作され、さらにジャズに影響されたサウンドを展開した。「Jazz (We've Got)」などの曲を含む本作は、前作から一転して評論家の賛辞を受け、商業的にも成功した。『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、153位にランクイン。

ジャズ路線を継承した1993年のサード・アルバム『ミッドナイト・マローダーズ』 も大きな成功を収め、プラチナ・ディスクを獲得。グループ史上最大のヒットである「Award Tour」も収録されており、前作と並ぶ名盤として評価されている。

小室哲哉はメンバーと意気投合し、小室プロデュースによるニューシングル制作の企画が持ち上がった。実際にプロデュース作業まで行われ、発売こそされなかったが本格的に制作が行われてレコーディングが完了していた[1]

1998年に解散した後、2006年に再結成。2013年に再び解散。2015年11月にはテレビ出演のため、一時的に再結成した[2]

メンバー 編集

 
A Tribe Called Quest(2017年)
Qティップ(Q-Tip)
1970年4月10日生まれ、ニューヨーククイーンズ区出身。
MC担当、プロデューサー。グループ解散後はソロ活動を展開。また俳優としても活動している。90年代半ばにイスラム教に改宗した。
ファイフ・ドーグ(Phife Dawg)
1970年4月20日生まれ、ニューヨークブルックリン地区出身。
MC担当。グループ加入以前はバスケットボールのプロ選手になることを目指していた。遺伝性の1型糖尿病を患っている。
もともとバスケットボール選手であったこともあり、大のバスケファン。高校バスケのスカウトとしても働く。
糖尿病による合併症のため、2016年3月23日死去[3]
アリ・シャヒード・ムハマド(Ali Shaheed Muhammad)
1970年8月11日生まれ、ニューヨークブルックリン地区出身。
DJ担当、プロデューサー。
ジェロビ・ホワイト(Jarobi White)
1971年生まれ、出身地不明。
1989年加入し、1stアルバム発表後に脱退。2006年の再結成の際に復帰した。

ディスコグラフィ 編集

アルバム 編集

タイトル アルバム詳細 チャート最高位 認定
US
[4]
CAN
[5][6]
NZ
[7]
UK
[8]
1990 『ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ・アンド・ザ・パスズ・オブ・リズム』
- People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm
91 54
1991 『ロウ・エンド・セオリー』
- The Low End Theory
  • 発売日: 1991年9月24日
  • レーベル: Jive
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全米売上: 100万枚[9]
45 58
1993 『ミッドナイト・マローダーズ』
- Midnight Marauders
  • 発売日: 1993年11月9日
  • レーベル: Jive
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全米売上: 100万枚[9]
8 48 70
  • US: プラチナ[9]
1996 『ビーツ,ライムズ・アンド・ライフ』
- Beats, Rhymes and Life
  • 発売日: 1996年7月30日
  • レーベル: Jive
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全米売上: 100万枚[9]
1 7 32 28
  • US: プラチナ[9]
  • CAN: ゴールド[11]
1998 『ザ・ラヴ・ムーヴメント』
- The Love Movement
  • 発売日: 1998年9月29日
  • レーベル: Jive
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全米売上: 50万枚[9]
3 2 38
  • US: ゴールド[9]
  • CAN: ゴールド[11]
2016 『ウィ・ゴット・イット・フロム・ヒア・サンキュー・フォー・ユア・サービス』
- We Got It from Here... Thank You 4 Your Service
  • 発売日: 2016年11月11日
  • レーベル: Epic
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全米売上: 13.5万枚[12]
1 3 13 24
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。

映画 編集

  • ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~ - Beats Rhymes & Life: The Travels Of A Tribe Called Quest (2011年)

受賞歴 編集

脚注 編集

  1. ^ ソニー・マガジンズ刊『WHAT's IN?』1999年7月号「小室哲哉 世紀末前夜、最強のTRAP始動」pp.73-75より。
  2. ^ ア・トライブ・コールド・クエスト、テレビ番組出演のために再結成することに
  3. ^ 「ア・トライブ・コールド・クエスト」のファイフ・ドーグが死去
  4. ^ Billboard charts”. Billboard charts. 2009年11月14日閲覧。
  5. ^ A Tribe Called Quest Chart Positions”. RPM. 2009年11月14日閲覧。
  6. ^ The Love Movement > Charts & Awards > Billboard Albums. Allmusic. Accessed March 30, 2010.
  7. ^ "A Tribe Called Quest Discography" A Tribe Called Quest Chart Sales”. 2012年10月23日閲覧。. Charts.org.nz. eMedia Jungen. Retrieved 14 November 2009.
  8. ^ Uk Discography for A Tribe Called Quest”. ChartStats.com. 2009年11月14日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j Searchable Database”. Recording Industry Association of America. 2010年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月17日閲覧。
  10. ^ Certified Awards Search” (To access, enter the search parameter "Avenged Sevenfold" and select "Search by Artist"). British Phonographic Industry. 2013年6月28日閲覧。
  11. ^ a b Searchable Database”. Music Canada. 2013年6月4日閲覧。
  12. ^ Caulfield, Keith (2016年11月20日). “A Tribe Called Quest Returns to No. 1 on Billboard 200 Chart After 20-Year Wait”. Billboard. 2016年11月21日閲覧。

参考文献 編集

ジョーダン・ファーガソン『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』吉田雅史訳・解説、DU BOOKS、2018年8月。

外部リンク 編集