ペガソ3560 BMR(スペイン語: Blindado Medio sobre Ruedas)とは、スペインのENASAが1979年から生産している装甲兵員輸送車である。

BMR装甲兵員輸送車
SFORに参加している、スペイン軍のBMR装甲兵員輸送車。
基礎データ
全長 6.15 m
全幅 2.49 m
全高 2.36 m(車体高)
重量 14.0 t
乗員数 2名 + 兵員11名
装甲・武装
装甲 mm
主武装 ブローニングM2重機関銃 x 1挺(弾丸2,500発)
機動力
速度 103 km/h以上
整地速度 103 km/h(路上)
不整地速度 km/h(水上)
エンジン ペガソ 9157/8, ディーゼル
310 hp
懸架・駆動 6x6
行動距離 1,000 km
出力重量比 hp/t
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開発 編集

1972年スペイン陸軍はENASAに新型6X6輪装輪装甲車の試作を要求した。ENASAは1975年頃に試作車であるペガソ3500を完成させ、1979年に改良型のペガソ3560がBMR-600の名で制式採用された。

車体 編集

車体はアルミ合金の溶接構造だが、車体前部は中空装甲になっている。防弾力は対7.62mm弾程度だが、増加装甲によって12.7x99mm NATO弾14.5x101mm弾にも耐えられる。水陸両用能力も有しており、通常はタイヤの回転だけで推進力を得るが、オプションで2基のウォータージェットを取り付けることも可能である。

操縦席は前部左側にあり、その後方に無線手兼射撃手の席がある。エンジンは操縦席とキューポラの右側に位置する。

BMR装甲車は各種の任務に対処することが可能である。装甲兵員輸送車として運用する際は、車体後部に10~11人の兵員を収容でき、車体両側面と後部に視察窓を兼ねた銃孔を各2箇所有する。固定武装は、サンタ・バルバラ製TC-3キューポラに装備したブローニングM2重機関銃のみだが、キューポラの代わりに90mm砲を装備したGIAT製TS90砲塔を搭載することができるほか、81mm、120mmなどの各種迫撃砲搭載型、指揮車、回収車などの各種派生型がある。

運用 編集

スペイン陸軍のほか、南米諸国などでも採用され、約1500両が生産された。

近年、スペイン軍は保有するBMRに対して、エンジンをスカニア製DS9 61A 24S エンジン(310hp)に換装し、増加装甲とエアコンを装備する「BMR 2計画」を行い、これを施されたBMRはBMR M1と呼ばれている。

派生型 編集

BMR 3560.50 (BMR-PP:Porta Personal)
基本型の装甲兵員輸送車。武装はラインメタルMG3かブローニングM2、SB LAG 40グレネードマシンガン。
BMR EDEX (Equipo de Desactivación de Explosivos)
爆発物処理用車両。屋根を高くし、爆発物運搬用の特殊な箱を搭載。
BMR C/C MILAN
戦車駆逐車。ミラン対戦車ミサイルを装備。
BMR C/C TOW
戦車駆逐車。BGM-71 TOW対戦車ミサイルを装備。
BMR VCZ (Véhiculo de Combate Zapadores)
戦闘工兵車。ドーザーブレードとウインチを装備。
BMR VRAC-NBQ (Vehículo de Reconocimiento de Áreas Contaminadas)
NBC偵察車。
BMR GEL (Guerra Electrónica)
電子戦車両。
BMR 3560.51 (BMR-PC:Puesto de Control)
指揮通信車。
BMR 3560.53E (BMR-PM-81:Portamortero)
自走迫撃砲。LN M-86 81mm迫撃砲と砲弾100発を搭載。
BMR 3560.54 (BMR AMB:Ambulancias blindadas)
戦場救急車。
BMR 3560.55 (BMR-Recup:Recuperación)
軽修理車両。クレーンとウインチ、牽引バーを装備。
BMR 3560.56
通信車。
BMR 3560.57
HOT対戦車ミサイルを装備した戦車駆逐車。試作のみ。
BMR 3560.59E (BMR-PM-120:Portamortero)
自走迫撃砲。L-65 120mm迫撃砲を運搬。
VMA (Vehículo Mecanizado Anfibio)
水陸両用機能を改良した型。試作のみ

採用国 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集