理論物理学において、BPS状態(BPS states)は、超対称な中心電荷 Z に等しい質量を持つ拡大超対称性英語版(extended supersymmetry)の質量表現である。量子力学では、超対称性が破れない場合、質量がちょうど Z の絶対値に等しい。この重要性は、多重項が生成時の質量表現よりも短くなることにあり、状態は安定で、質量公式は完全になる。

d=4, N=2 の場合 編集

超代数英語版(superalgebra)の奇の部分の生成子は、次の関係式を持つ[1]

 

ここに、:   はローレンツ群のインデックスで、A, B は R-対称なインデックスである。

上の生成子の線型結合を次のように取る。

 

4つの運動量   を持つ状態 ψ を考える。次の作用素をこの状態へ適用すると、

 

を得る。

しかし、これはエルミート作用素の平方であるので、右辺の係数は、すべての   に対し、正である必要がある。

特に、このことから導かれる最も強い結果は、

 

である。

応用例 編集

  • 超対称性を持つブラックホールのエントロピーSupersymmetric black hole entropies[2]

参照項目 編集

参考文献 編集

  1. ^ Moore, Gregory, PiTP Lectures on BPS States and Wall-Crossing in d=4, N=2 Theories, http://www.physics.rutgers.edu/~gmoore/PiTP_July26_2010.pdf 
  2. ^ Strominger, A.; Vafa, C. (1996). “Microscopic origin of the Bekenstein-Hawking entropy”. Physics Letters B 379 (1–4): 99. arXiv:hep-th/9601029. Bibcode1996PhLB..379...99S. doi:10.1016/0370-2693(96)00345-0.