BYGレコード(BYG Records)は、フリー・ジャズを専門とするアクチュエル(Actuel)・シリーズで知られるフランスレコードレーベル。しかしながら、レーベルはムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァフリーダムゴングといったアーティストたちによるジャズ以外のレコーディングをいくつかリリースした。

BYGレコード
BYG Records
設立1967年
設立者ジャン・ゲオルガカラコス
ジャン=リュック・ヤング
フェルナンド・ボルソ
解散1973年 (1973)
ジャンルフリー・ジャズアバンギャルド
フランスの旗 フランス
本社所在地パリ

略歴 編集

BYGレコードは、1967年3月に、ジャン・ゲオルガカラコス、ジャン=リュック・ヤング、およびフェルナンド・ボルソによって設立された。レーベル名は、創設者3人の名前の頭文字からつくられた。ゲオルガカラコスはそれまでにレコードの配給者にして輸入業者としての地位を確立していた。一方、ヤングはバークレー・レコードで、ボルソはピエール・バルーによって設立されたレコードレーベルのサラヴァで働いていた。

このレーベルは、アメリカフリー・ジャズのミュージシャンたちをパリに招待し、1969年の夏、アメリカでほとんどサポートされず、注目を集めてもいなかった時期にレコーディングを行った。これらのミュージシャンの多くは、1969年7月にアルジェで開催されたパン=アフリカン音楽祭に出演したことで、当時すでに海を渡っていた[1](ジャズ写真家のジャック・ビスセリアがレーベルとミュージシャンをつなげる役割を主に担当しており、「BYG」の「B」はビスセリアを指すと誤って解釈されることがよくある)。結果として得られたアルバムは、当時のフリー・ジャズをレコーディングした重要な宝物庫となっている。

BYGアクチュエルは、1969年10月下旬にベルギーの小さな町アムージーで開催されたアクチュエル・フェスティバルの開催も担当した。フェスティバルは当初、パリまたはその近くで開催されることを目的としていたが、フランス当局によって禁止されてしまった。このフェスティバルは、フランク・ザッパピンク・フロイドキャプテン・ビーフハートソフト・マシーンテン・イヤーズ・アフターイエスナイスなど、多くのプログレッシブ・ロックをリードする主要な面々をフィーチャーしていた。フェスティバルは大好評となり、5夜にわたって約2万人の来場者を集めたが、経済的には失敗となった。1970年7月、ゲオルガカラコスはフレンチ・リヴィエラにあるビオットでポッパナリア・フェスティバルを開催したが、これも経済的に失敗した。1972年まで、財政問題が事実上、アンダーグラウンドに行きつくほどにBYGを悩ませた。ゲオルガカラコスとヤングは、後に独自のレコードレーベル「セルロイド」(ゲオルガカラコス)と「チャーリー」(ヤング)を設立した。2002年、レーベルのベストを選曲してフィーチャーしたコンピレーション・アルバム『JazzActuel: a collection of avant garde/free jazz/psychedelia from the BYG/Actuel catalogue of 1969–1971』がチャーリー(3枚組CDセットとして)と、イタリアのGet Backレコード(6枚組LPセットとして)からリリースされた。このコレクションは、ソニック・ユースのサーストン・ムーアとジャーナリストのバイロン・コーリーによってキュレーションされた[2]

ディスコグラフィ 編集

(「アクチュエル(Actuel)」シリーズのリリース)

カタログ番号
アーティスト アルバム
529301 ドン・チェリー 『ムー大陸 (ファースト・パート)』 - Mu - First Part ※旧邦題『ミュー 第1部』
529302 アート・アンサンブル・オブ・シカゴ 『ア・ジャクソン・イン・ユア・ハウス』 - A Jackson in Your House
529303 サニー・マレイ英語版 『アフリカへの捧げもの』 - Hommage to Africa
529304 アーチー・シェップ 『ヤスミナ、ア・ブラック・ウーマン』 - Yasmina, a Black Woman
529305 ゴング 『マジック・ブラザー』 - Magick Brother
529306 クロード・デルクルー & アーサー・ジョーンズ 『アフリカナジア』 - Africanasia
529307 ミシェル・ピュイグ 『痕跡』 - Stigmates
529308 バートン・グリーン・アンサンブル 『アクアリアーナ』 - Aquariana
529309 ジミー・ライオンズ 『アザー・アフターヌーンズ』 - Other Afternoons
529310 アラン・ジャック Bluesy Mind
529311 アーチー・シェップ 『ポエム・フォー・マルコム』 - Poem for Malcolm
529312 アラン・シルヴァ 『月の表面』 - Luna Surface
529313 ポール・ブレイ 『ランブリン』 - Ramblin'
529314 アクティング・トリオ 『アクティング・トリオ』 - Acting Trio
529315 アンソニー・ブラクストン 『アンソニー・ブラクストン』 - B-Xo/N-0-1-4-7a
529316 アンドリュー・シリル What About?
529317 ヨアヒム・キューン 『サウンド・オブ・フィーリングス』 - Sounds of Feelings
529318 アーチー・シェップ 『ブラーゼ』 - Blasé
529319 ジャック・クールシン・ユニット 『ウェイ・アヘッド』 - Way Ahead
529320 デイヴ・バーレル 『エコー』 - Echo
529321 グレイシャン・モンカー3世 『ニュー・アフリカ』 - New Africa
529322 ケネス・ターロード 『ラヴ・リジョイス』 - Love Rejoice
529323 クリフォード・ソーントン 『ケチャウア』 - Ketchaoua
529324 アム・ソン Catalyse
529325 フリーダム 『フリーダム・アット・ラスト』 - Freedom at Last
529326 ムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァ 『ザ・サウンド・オブ・プール』 - The Sound Pool
529327 ピエール・マリエタン & テリー・ライリー 『G・E・R・M』 - Germ-Keyboard Study 2
529328 アート・アンサンブル・オブ・シカゴ 『メッセージ・トゥ・アワ・フォークス』 - Message to Our Folks
529329 アート・アンサンブル・オブ・シカゴ 『リース・アンド・ザ・スムース・ワンズ』 - Reese and the Smooth Ones
529330 デイヴ・バーレル 『ラ・ボエーム』 - La Vie de Bohème
529331 ドン・チェリー 『ムー大陸 (セカンド・パート)』 - Mu - Second Part ※旧邦題『ミュー 第2部』
529332 サニー・マレイ 『アン・イーヴン・ブレイク』 - (Never Give a Sucker) An Even Break
529333 グレイシャン・モンカー3世 『或る朝早く目覚めて』 - Aco Dei De Madrugada
529334 デューイ・レッドマン 『ターリック』 - Tarik
529335 ムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァ 『都市を離れろ』 - Leave the City
529336 フランク・ライト 『ワン・フォー・ジョン』 - One for John
529337 ソニー・シャーロック 『モンキー・ポッキー・ブー』 - Monkey-Pockie-Boo
529338 アーチー・シェップ・アンド・フル・ムーン・アンサンブル 『ライヴ・イン・アンチーブ』 - And The Full Moon Ensemble Live In Antibes Vol. 1
529339 アーチー・シェップ・アンド・フル・ムーン・アンサンブル 『ライヴ・イン・アンチーブ VOL.2』 - And The Full Moon Ensemble Live In Antibes Vol. 2
529340 サン・ラ The Solar-Myth Approach Vol. 2
529341 サン・ラ The Solar-Myth Approach Vol. 1
529342-4 アラン・シルヴァ Seasons
529345 デヴィッド・アレン 『バナナ・ムーン』 - Banana Moon
529346 ヨアヒム・キューン 『パリ・イズ・ワンダフル』 - Paris is Wonderful
529347 アンソニー・ブラクストン 『ジス・タイム…』 - This Time...
529348 サニー・マレイ Sunshine
529349 ジャック・クルーシン Black Suite
529350 アーサー・ジョーンズ 『スコーピオ』 - Scorpio
529351 アーチー・シェップ Live at the Pan-African Festival
529352 スティーヴ・レイシー Moon
529353 ゴング 『カマンベール・エレクトリック』 - Camembert Electrique ※旧邦題『キャモンベール・エレクトリック』

(「ポップ・ブルース(Pop Blues)」シリーズのリリース)

カタログ番号
アーティスト アルバム
529501 エインズレー・ダンバー・リタリエーション Watchin' Chain

参照 編集

脚注 編集

  1. ^ Bridge across the cliff. Village Voice, 18 July 2000.
  2. ^ Downbeat, June 2002.

外部リンク 編集