Dの食卓』(ディーのしょくたく)は、1995年4月1日に日本の三栄書房から発売された3DO3Dアドベンチャーゲーム

Dの食卓
ジャンル 3Dアドベンチャー
対応機種 3DO
開発元 ワープ
発売元 三栄書房
プロデューサー すずきおさみ
ディレクター 飯野賢治
シナリオ 飯野賢治
プログラマー 林田浩典
音楽 アルカディアスタジオ
美術 立石章三郎
シリーズ Dの食卓
人数 1人
メディア CD-ROM2枚組
発売日 日本 199504011995年4月1日
アメリカ合衆国 1995年
売上本数 世界100万本
その他 型式:日本 IMP-SA0701
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主人公のローラ・ハリスを操作し、凶暴化して医療スタッフを射殺し病院に立てこもった父親を説得する事を目的としている。当時ゲーム業界では珍しかった3DCGで「映画」を意識した演出を行った画期的な作品である[1]

開発はワープが行い、監督・脚本はバンプレストファミリーコンピュータ用ソフト『SDヒーロー総決戦 倒せ!悪の軍団』(1990年)を手掛けた飯野賢治が担当している。後にセガサターンPlayStationに移植された他、欧米ではWindowsPC/AT互換機などのパソコン各機種にも移植された。

マルチメディアグランプリ'95通商産業大臣賞を受賞した他、セガサターン版およびPlayStation版はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」においてゴールド殿堂を獲得。全世界で100万本を販売したとされる。

ゲーム内容編集

画面は基本的に一人称で進行し、イベントが発生すると「インタラクティブ・シネマ」の名前通り映画のように様々なカメラワークで臨場感を盛り上げてくれる。なお、リアルタイムCGではなく、ムービーシーンと静止画が交互に使われているため、移動できるポイントと見られる向きは完全に決まっている。

ゲーム中では最初から持っている母親の形見の「コンパクト」や「時計」の他、様々なアイテムがあり、要所で使いながら謎を解いていく。コンパクトは使用するとにヒントが表示されるが、一回ヒントが表示されるたびにヒビが入り、最終的には粉々に割れて使えなくなる。

本作では甲冑の騎士が突然動き出し襲い掛かってくるというイベントが存在するが、失敗してもゲームオーバーにはならない。後にセガドリームキャスト用ソフト『シェンムー』(1999年)の「QTE」において酷似したイベントが導入されている。

設定編集

ストーリー編集

1997年、ダウンタウンの病院で院長を務めるリクター・ハリスが突然凶変し、患者や医療スタッフなどを次々と射殺して立てこもるという事件が発生する。プレイヤーはローラ・ハリスとなり、凶変した父親を説得するため単身病院に乗り込むのだが、そこで突然、異次元空間のような物に引きずり込まれ、謎の古城に迷い込んでしまう。

世界観編集

古城は豹変した父親の精神世界であり、ローラはそこに放り込まれ「2時間以内」に出口を見つけ出して脱出しなくてはならない。時間が過ぎると異世界の扉が閉ざされ、ゲームオーバーとなる。古城には様々なトラップが仕掛けられており、数多の人々の死骸が横たわる部屋など、彼の精神状態を示唆するような物が多数存在する。また、4匹の「玉虫」を集める事でローラの閉ざされた記憶の一部が復活する。

本作は一見すると気がふれてしまった父親の精神世界をさ迷い、脱出するというチープなゲームに見えるが、真のテーマは「行方不明になった母親の行方を父親に対して問い詰める」というものである。

例えばゲーム中に登場する「指輪」は母親を示し、それは硬く閉ざされた扉のカギとして使われる。カギ=「母親の指輪」を頑丈なドアに差し込むという行為は、かたくなに真相を語ろうとしない父親に対して指輪を突きつけ 母親がどうなったのか無理にでも聞きだそうとする行為となる。その後、そのドアを先に進むと岩にふさがれて引き返せなくなる=その領域に踏み込んだら後には引き返せない、といった各種イベントがそれを暗示している。また、前述した「玉虫」を探し集める事でその「母親」がどうなったのかを知る事ができ、真のエンディングを迎える事ができる。

なお、ゲームの中で使われている音楽は、製作者である飯野が自ら世界観に合わせ作曲したものである。

移植版編集

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考
1 Dの食卓   199507281995年7月28日
  199603051996年3月5日
  199603081996年3月8日
セガサターン ワープ アクレイム CD-ROM2枚組   T-8101G
  T-8106H
  T-8106H-50
-
2 Dの食卓 コンプリートグラフィックス   199512011995年12月1日
  199603021996年3月2日
  1996031996年3月
PlayStation ワープ アクレイム CD-ROM3枚組   SLPS-00133/00134/00135
  SLUS-00128/00173/00174
  SLES-00065/10065/20065
-
3 D   1995年
  1995年
Windows Rozner Labs Software
ワープ
アクレイム CD-ROM - -
4 Dの食卓 ディレクターズカット   199601011996年1月1日
3DO ワープ アクレイム CD-ROM3枚組 FZ-SJ2356 -
5 D   199603311996年3月31日
  1996年
PC/AT互換機 Rozner Labs Software
ワープ
アクレイム CD-ROM - -
6 Dの食卓
サタコレ
  199706201997年6月20日
セガサターン ワープ アクレイム CD-ROM3枚組 T-8124G - 廉価版
7 Dの食卓 コンプリートグラフィックス
PlayStation the Best
  199807091998年7月9日
PlayStation ワープ アクレイム CD-ROM3枚組 SLPS-91072 - 廉価版
8 D:The Game INT 201601022016年1月2日
Linux
Macintosh
Windows
ワープ Night Dive Studios ダウンロード
(GOG.com)
- - PC/AT互換機版の移植

開発編集

開発中のタイトルは「トランシルバニア」であり、ペンギンソフトウェア社のアドベンチャーゲーム『トランシルバニア英語版』(1982年)から強い影響を受けている。

3DO版の発売時、作中に登場する「玉虫イベント」の表現が当時としては非常に過激だったため、発売禁止になるのを恐れて該当するイベントを削除したバージョンを「完成版」として関係者に配布し、実際に製品化する際に秘密裏に同イベントが入ったバージョンに差し替え発売された。

PlayStation版の初回生産本数に関して約束した本数が出荷されなかった事から、ワープ側がソニー・コンピュータエンタテインメントに対して不信感を抱いていた。その結果、ソニー主催のエネミー・ゼロ発表会において「エネミー・ゼロ事件」が起こり、PlayStationで発売予定だった『エネミー・ゼロ』(1996年)をわざわざソニーのイベント中にセガサターン(当時のPSの敵対ゲーム機)に乗り換えるという発表を行った。この件以降、ワープはPlayStation用ソフトは発売していない。

スタッフ編集

3DO版
  • ディレクター、シナリオ:飯野賢治
  • アート・ディレクター:立石章三郎
  • CGアニメーター:須藤秀希
  • ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザー:山本倫裕
  • CGデザイナー:宮崎朋浩
  • 3Dグラフィック・デザイナー:とのおかよしあき
  • 音楽:アルカディアスタジオ
  • プログラマー:林田浩典
  • セールス・マネージャー:岡田昭
  • プロデューサー:すずきおさみ
  • サンクス:3DOジャパン、三洋電機徳間書店インターメディア
セガサターン版
  • ディレクター、シナリオ:飯野賢治
  • アート・ディレクター:立石章三郎
  • CGアニメーター:須藤秀希
  • ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザー:山本倫裕
  • CGデザイナー:宮崎朋浩
  • 3Dグラフィック・デザイナー:とのおかよしあき
  • プログラマー:佐藤直哉
  • テーマ曲演奏:モスクワフェスティバルオーケストラ
  • サウンド・スタッフ
    • サウンド・プロデュース:アルカディアスタジオ
    • サウンド・エフェクト:松永宏紀
    • 音楽デザイナー:きむらけんいち、つるたかいお
    • サウンド・エディター:鈴木英太郎
    • オリジナル・テーマ曲:飯野賢治
    • テーマ曲オーケストレーション:川崎絵都夫
  • アクレイム・スタッフ
    • マーケティング&開発チーム:今野文樹、あいかわまさあき、名越進、清水俊作、山崎圭一
    • セールス&オペレーション:熊木龍男、さくらいみちのぶ
    • オリジナル・バージョン・プログラム:林田浩典
    • エグゼクティブ・プロデューサー:越川起吉
  • サンクス:アクレイムジャパン、セガ・エンタープライゼス
PlayStation版
  • ディレクター、シナリオ:飯野賢治
  • アート・ディレクター:立石章三郎
  • CGアニメーター:須藤秀希
  • ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザー:山本倫裕
  • CGデザイナー:宮崎朋浩
  • 3Dグラフィック・デザイナー:とのおかよしあき
  • プログラマー:佐藤直哉、三浦秀樹
  • テーマ曲演奏:モスクワフェスティバルオーケストラ
    • サウンド・プロデュース:アルカディアスタジオ
    • サウンド・エフェクト:松永宏紀
    • 音楽デザイナー:きむらけんいち、つるたかいお
    • サウンド・エディター:鈴木英太郎
    • オリジナル・テーマ曲:飯野賢治
    • テーマ曲オーケストレーション:川崎絵都夫
  • アクレイム・スタッフ
    • マーケティング&開発チーム:今野文樹、あいかわまさあき、名越進、清水俊作、山崎圭一
    • セールス&オペレーション:熊木龍男、さくらいみちのぶ
    • オリジナル・バージョン・プログラム:林田浩典
    • ムービー・ワーク:菅村弘彦、鈴木英太郎
    • エグゼクティブ・プロデューサー:越川起吉
  • サンクス:アクレイムジャパン、ソニー・コンピュータエンタテインメント

評価編集

評価
レビュー結果
媒体結果
AllGame      (3DO/SS)[2][3]
Computer and Video Games78% (SS)[4]
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー32/40 (SS)[5]
ファミ通32/40点 (SS)[6]
(ゴールド殿堂)
33/40点 (PS)[7]
(ゴールド殿堂)
GameFan262/300 (3DO)[8]
275/300 (3DO)[9]
ゲーム・インフォーマー6/10 (SS)[12]
GamePro4.5/5点 (3DO)[2]
4/5点 (SS)[3]
4/5点 (PS)[10]
Game RevolutionC (SS)[11]
GamesMaster85% (SS)[13]
GameSpot6.7/10点 (DOS)[14]
IGN7/10点 (PS)[10]
Play Magazine69% (PS)[15]
SATURN FAN24.0/30点 (SS)[16]
PlayStation Magazine21.6/30点 (PS)[17]
Maximum      (SS/PS)[18]
Next Generation      (3DO/SS)[19][20]
Sega Saturn Magazine83% (SS)[21]
CGM      (DOS)[14]
Adventure Gamers      (DOS)[14]
CGW      (Win)[22]
受賞
媒体受賞
マルチメディアグランプリ'95インタラクティブ部門
通商産業大臣賞
GameFan's 4th Annual Megawards3DO Game of the Year,
Best 3DO Graphic Adventure/FMV Game[23]
GamePro Editors' Choice Awards 1995Third Best 3DO Game[24]
「ゲーム通信簿」評価
項目 キャラクタ 音楽 お買得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
SS版 4.4 4.4 3.3 3.4 4.2 4.2 24.0
PS版 4.0 3.9 3.2 3.2 3.6 3.8 21.6

本作のセガサターン版およびPlayStation版は各種ゲーム誌において高い評価を得ている。

セガサターン版はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」において8・9・8・7の合計32点(満40点)でゴールド殿堂を獲得[6]、『SATURN FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は右記の通り24.0点(満30点)となり[16]、PlayStation版はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」において8・10・8・7の合計33点(満40点)でゴールド殿堂を獲得[7][25]、『PlayStation Magazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は右記の通り21.6点(満30点)となった[17]

セガサターン版は『ファミ通』の「クロスレビュー」において、レビュアーからセガメガCD用ソフト『夢見館の物語』(1993年)の路線であると指摘された他、グラフィックや演出を称賛する意見が多く挙げられ、浜村通信はCGが全てデータ再生によるものである事に触れた上で「CGのデキはよく、心臓バクバクの演出にビビりまくりだ」と称賛、羽田隆之はフラッシュバックの映像がデイヴィッド・リンチの作品のようであるとした上で「プレイヤーが操作可能な部分と、勝手に流れてしまう映像との継目の違和感もない」と評価、渡辺美紀は「ウネウネと動くCGで怖さも倍増」と評価、ローリング内沢はグラフィックや演出面の他に効果的な音の使い方に関して称賛した他、謎解きがブローダーバンドのパソコン用ソフト『MYST』(1993年)のようにプレイヤーを突き放した感があり「頭を悩ませるのが楽しい」と称賛した[6]。一方で短時間で終了する点に関しては否定的な意見が多く挙げられ、浜村は「勘のいい人なら5~6時間で終わるのでは」とした上でコストパフォーマンス面に疑問を呈し、渡辺は発見したアイテムが直後に使用するものであるなど謎解きが簡単すぎると主張し、「もう少し頭を使わせて欲しかった」と指摘、内沢は「ガンバれば2時間くらいで終わってしまう」と主張し「コストパフォーマンスの低さは逆に残念」とそれぞれ否定的に評価した[6]。また、ゲーム誌『超絶 大技林 '98年春版』(1998年)では、「一度ゲームを始めると、ゲーム中にポーズ、セーブができないようになっていて実際に映画を見ているような感覚でプレイすることができる」と紹介されている[16]

PlayStation版は『ファミ通』の「クロスレビュー」において、レビュアーからグラフィック面に関して称賛する声が多く挙げられ、浜村はプレイ時間の短さやポリゴンではなくムービーである事など否定的な評価がある事に触れた上で、「賛否両論あるが、新ジャンルでひとつの形を創出したことは、おおいに評価したい」と称賛、羽田は何度もプレイする内容ではないと指摘しつつも「それでもこの雰囲気、映像美は味わう価値、十二分にあり」と称賛、渡辺はコンプリートグラフィックスと銘打たれた事に触れた上で「光の加減やローラの洋服の動きなど、グラフィックはじつに美しい」と称賛、内沢はセガサターン版よりもグラフィックが向上していると主張した上で「美麗な絵と効果的なサウンドで恐怖感はバツグン」と称賛した[25]。一方で、短時間で終了する件に関して内沢は「2時間くらいでクリアーできるのでコストパフォーマンスは低い」と否定的に評価した[25]。また、ゲーム誌『超絶 大技林 '98年春版』では、「他機種版よりも、グラフィックが強化されている」と紹介されている[17]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ 3DCGとは言っても発売当時の家庭用ゲーム機のGPUは貧弱であったため、事前にワークステーションで作成されたレンダリング済みの動画を再生しているのみである。
  2. ^ a b D for 3DO (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年10月22日閲覧。
  3. ^ a b D for SEGA Saturn (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年10月22日閲覧。
  4. ^ Computer and Video Games - Issue 172 (March 1996)(EMAP Images)(GB)”. Archive.org. 2016年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月11日閲覧。
  5. ^ “D Review”. Electronic Gaming Monthly (Ziff Davis) (81): p. 33. (1996年4月) 
  6. ^ a b c d クロスレビュー 2005, p. 57.
  7. ^ a b Dの食卓 コンプリートグラフィックス まとめ [PS]”. ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2017年10月22日閲覧。
  8. ^ GameFan, volume 3, issue 10 (October 1995), page 18
  9. ^ GameFan, volume 3, issue 11 (November 1995), page 22
  10. ^ a b D for PlayStation (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年10月22日閲覧。
  11. ^ D Review”. Game Revolution (1997年6月6日). 1997年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月11日閲覧。
  12. ^ D”. Game Informer (1997年8月12日). 1997年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月11日閲覧。
  13. ^ GamesMaster, issue 39, pages 48-49
  14. ^ a b c D for DOS (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年10月22日閲覧。
  15. ^ Play, issue 6 (Easter 1996), pages 56-57, published March 28, 1996
  16. ^ a b c 超絶 大技林 1998, p. 753.
  17. ^ a b c 超絶 大技林 1998, p. 999.
  18. ^ “Maximum Reviews: D”. Maximum: The Video Game Magazine (Emap International Limited) (4): 142, 150. (March 1996). 
  19. ^ “D”. Next Generation (Imagine Media) (12): 185. (December 1995). 
  20. ^ “D”. Next Generation (Imagine Media) (16): 86. (April 1996). 
  21. ^ Hickman, Sam (1996年2月). “Review: D's Diner”. Sega Saturn Magazine (Emap International Limited) (4): pp. 82–83 
  22. ^ D for Windows (1995)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年10月22日閲覧。
  23. ^ GameFan, volume 4, issue 1 (January 1996), pages 104-106
  24. ^ GamePro, issue 89 (February 1996), page 26
  25. ^ a b c クロスレビュー 2005, p. 76.

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集