電子商取引

Eコマースから転送)

電子商取引(でんししょうとりひき)あるいはeコマース(イーコマース、: e-commerceあるいはelectronic commerce 、略称:EC)とは、コンピュータネットワーク上での電子的な情報通信によって商品やサービスを売買したり分配したりすること。「イートレード」とも言い、消費者側からは「ネットショッピング」とも呼ばれている。

現在広く一般に「eコマース」、法律用語・行政用語などで「電子商取引」と呼ばれているのは、コンピュータネットワーク上での電子的な情報通信によって商品やサービスを分配したり売買したりすることである。インターネットを利用したものも、特定顧客用の専用線を利用したものも、どちらも含まれる。一般の人々が「ネットショッピング」と呼んでいる行為もこの電子商取引の一種に当たる。

インターネット上の商行為の幅は大きく広がってきており、商品売買宣伝契約締結、資金決済などが行われるようになっている。

この記事では電子商取引全般について解説するが、結果としてインターネットを通じての企業と消費者との商品売買について多く記述することになる。商取引を行うためのウェブサイトについては、ここでも説明の途中で若干は触れるが、詳しくは「ECサイト」や「電子商店街[1]の記事を参照のこと。

歴史編集

1976年、Atalla Technovation社(米国、カリフォルニア州)およびRamo Corporationが、金融会社がオンライン上での安全な取引を行うための製品を売り出した。

1979年にはMichael Aldrichがオンラインショッピングのシステムのデモンストレーションを行った(これが「初のオンラインショッピング・システム」とも言われることがある。)

1981年にはThomson Holidays UK社が企業間(B2B)のオンライン取引のシステムを設置した(これがB2B商取引の最初のシステムとも言われている)。

1982年には、フランス国内でフランス電電公社のMinitel(ミニテル)のネットワークが爆発的に普及し、これがオンライン発注にも大々的に利用されるようになった。

1983年にはカリフォルニア州議会が「electronic commerce」についての最初の公聴会(関係者からの意見の聞き取り)を、カリフォルニア州にあるVolcanoで行った。この公聴会にはCPUCに加えてMCI MailProdigyCompuServeVolcano TelephonePacific Telesis の各社が参加した。

1984年にはテスコ社がB2Cオンラインショッピングシステムの利用を開始。最初の家庭からの利用者は72歳の女性だった。 1984年4月にはCompuServeが米国とカナダでElectronic Mall(電子商店街)を開始。利用者に理解しやすいサービスとしては最初のものとなった。

1989年5月にはSequoia Data CorpがCompumarketというシステムの利用を開始。これがインターネットを利用したeコマースシステムとしては最初のものだと考えられており、買い手はデータベースから商品を検索し、クレジットカードで購入することができるものだった。

インターネットの発達にともない、1990年代後半から、企業がインターネットを介して(主にウェブサイトなどを介して)不特定多数の人々(消費者)に対して小売(企業対消費者間取引、B2C、BTC[2])を行うことが、少しづつ広まっていった。

さらに時がたつにつれて、消費者間取引(C2C、CTC[3]、たとえばインターネットオークションなど)が、ウェブサイト上で行われるようになってきた。

関連 法規編集

各国での法規
日本

日本では、インターネットによる一般消費者の国内業者からの商品の購入取引については、「特定商取引に関する法律の通信販売に関する事項」が適用されているが、この結果、クーリングオフが原則的には適用されないという事態を招いているので要注意である。

インターネット電子商取引のメリット・デメリット編集

通信販売#通信販売の利点・欠点も参照

売り手側編集

実店舗を持つよりも、(他の通信販売と同様かそれ以上に)少ない費用で販路を得ることができ、資金が少ない人でも販売を始めることができる。 また大規模な消費地から地理的に離れている人も販売を行うことができ、(やり方によっては)国内だけでなく外国の市場にも販売することができる。

クリック・アンド・モルタル - 実店舗とECサイトとの連携によって期待されるシナジー効果

買い手側編集

他の通信販売と同様かそれ以上に低価格で商品が購入できる。(この背景には、売り手側の運営上のコストや流通コストの低減がある)

また、他の通信販売と同様かそれ以上に、商品の販売価格、品質、性能などに関する情報収集と選定を簡単に行える。

サイト内に「客からの評価」欄がある場合は、多数ある品物の中からの選定や 買う/買わない の決断に役立つ場合がある。ただし「客からの評価」はいわば「諸刃の剣」であり、嘘・偽りの無い評価が掲載されている場合は、その情報を参考にして品質のよい商品や自分に合った商品を購入するための参考にできるが、反対に、「客からの評価」欄に売り手が雇った者や、売り手側に買収された者などが、当該製品を実際よりも良く思わせるためのニセの情報を書き込んだり、ライバル会社の製品の品質を実際よりも悪く思わせるためのウソを書き込むことが行われていると、「客からの評価」の欄が、逆に購入者を惑わせ、品質の悪い品物や、相対的に品質の低い品物を買ってしまう原因ともなっている。

なお電子商取引そのものからやや脇にそれる話ではあるが、価格比較サイト、製品批評サイトなど、消費者にとって自らに有利な意志決定を早く確実に行いやすい情報を提供するサイトもある。

詐欺事件の多発

近年では服飾品やブランド品などでニセモノが送付されてくることが多発している。こうした事態に直面した場合は、まずは消費者センターなどに連絡・相談をするのが基本である。ニセモノを送付してくるような悪徳な者に対して、ニセモノだったことを指摘し返金などを請求しても、それが実行されたのはわずか1%程度にとどまっている、ということが消費者センターなどの統計によって明らかになっている。悪徳販売者は購入者から連絡しても返信・応答もなく、さらに連絡先がやがて不明になってしまうこともしばしばで、結局、99% 返金や交換が実行されないのである[要出典]。そのため、泣き寝入りしないためには裁判をおこなうことが必要になる場合もある。ネットショッピングモールでの売買に関しては悪徳販売者ばかりを追及するのではなく、ショッピングモール運営企業を、悪徳販売者を放置しているので責任がある、という面から追及したり裁判を起こし、回復措置をとらせたり(返金をさせたり、ニセモノの代わりに本物の品を提供をさせる)、もしもモール運営者がそれを行なわないような不誠実な対応をした場合は、その事実を広く世の人々に公表し不買運動を呼び掛ける、といったことが現実的な解決策となることがある。

また、出店者がプロバイダからポイントを不正取得する事件も発生しており、プロバイダ側が業者の告訴を検討中である[4]

インターネット電子商取引特有の問題点編集

通信販売#通信販売の利点・欠点も参照

インターネット回線特有の問題編集

  • インターネット回線では、特有の構成(オープンネットワーク)から、商取引の安全性保持や消費者保護(主に個人データクレジットデータなどの外部への流出)などにおける、何らかの対策が必要となる。データの機密保持についての代表的な対策例として、TLSなどの暗号化通信が使われる。このほか、回線そのものや、プロバイダの設備トラブルなどの問題が挙げられる。一般の電話FAXなどの非専用線も同様の問題が存在するが、攻撃手法が限られ比較的損害が少ないため問題となりにくい。

ウェブシステム特有の問題編集

  • 販売サイトを装ってID/パスワードをはじめとする個人データやクレジットデータなどを騙し取ることが目的の、フィッシング詐欺が存在する。また、システムに不具合があればクラッキングの標的にされ、サイトを改竄されたり個人情報を盗まれる事件も発生している。
  • 販売業者が外国にある場合、消費者側の国の法律の適用が困難な場合が多く、取引上のトラブル発生時に問題となることがある。

販売側の負担編集

上記のネットワーク問題だけでなく、コンピュータシステム自体の安定稼働が必須である。在庫管理や発送・保証などの一連の業務をシステムに記録および参照する必要があるためシステムに不具合があれば致命的である。通常の通販と同じく送料が必要であり、返品や修理の場合にも負担となりやすい。また、配送業者の作業遅延も問題になる。

情報技術から見た電子商取引編集

情報技術の視点からは、電子商取引は商業トランザクションが目的とされたビジネスアプリケーションの実際の利用であるともみなせる。

あるいは電子商取引は

のいずれか、もしくはこれらの複合であるともいえる。

参照編集

  1. ^ 複数の業者が同一のドメインで運営するもの
  2. ^ B to C。「Business to Consumer」の略。卸売取次といった中間流通が効率化もしくは省略された、という文脈においても用いられることがある。これと同じ方式で企業間取引を呼ぶ場合は「B2B」あるいは「BTB」(=B to B、Business to Business)と呼ばれる。
  3. ^ 「シー・トゥー・シー」と読む。C to C、「Consumer to Consumer」の略。
  4. ^ ヤフーが出店者の告訴を検討 ポイント不正取得か 47NEWS 2015年3月7日

関連項目編集

外部リンク編集