ECVT

電子制御電磁クラッチ式無段変速機

ECVT (Electro Continuously Variable Transmission) とは、富士重工業(現・SUBARU)とオランダファン・ドールネ(Van Doorne's Transmissie BV、VDT、現DAF)との共同開発によって世界で初めて実用化に成功したイージードライブシステム式オートマチックトランスミッションである。富士重工業はこれを「電子制御電磁クラッチ式無段変速機」と称した。

概要編集

通常のATは摩擦クラッチの代わりに流体継手の一種であるトルクコンバータを使っているが、富士重工業は「電子制御電磁パウダークラッチ」を使った。レックスサンバーに採用されたクラッチペダルレスの「オートクラッチ」システムの技術で、「クリープ現象が無く安全」とされていた。無段変速部は、DAFを買収したボルボの乗用車で使用実績のあったスチールベルト式CVTを使用していた。

変速ショックのない小排気量車にとっては理想のATとして、ジャスティを皮切りにレックス、サンバー、ヴィヴィオドミンゴと拡大採用されていった。

問題点編集

しかし、無段変速ATということで、通常のATと違う特性に人々は戸惑った。

ECVT車のスロットルには、電子スイッチがいくつか取り付けられており、アクセルペダルを踏み込む速さを検知して、電磁クラッチの制御を行っていた。電磁クラッチとプーリーの油圧制御は電子制御であるが、変速比制御は機械式であり、少々癖があった。例えば、完全に停止しないと変速比が低速寄りにならず、停止寸前からの再加速などのとき、プーリー比が小さい状態のまま加速しようとするので加速が鈍くなる弱点がある。これは、変速比も電子制御となったスポーツシフトで改善された。

そもそもなぜこのCVTが開発されたかと言うと、クリープ現象を伴わないタイプのクラッチを持つCVT車は、ことに発進時、繊細なアクセル操作を行なわなければ、ぎくしゃくして円滑さに欠ける車両挙動を示した為、より滑らかな作動を求めて開発されたのである。しかし、それでもこの問題の解決には至らなかった。更に、最大の売りである電磁クラッチが逆に最大の弱点となった。低速走行時のぎくしゃく感を嫌って上り道でブレーキを使わずにアクセルワークだけで停止したり、(サンバーにおいては)過積載で走行するような使用方法を続けていると、電磁クラッチに負担がかかって故障が頻発し、ECVTのイメージ悪化の一因となった。

この点を反省点として、サンバー・ヴィヴィオのマイナーチェンジでは、一部グレードを除いて通常のATに変更された。プレオ以降は全車種にCVTを採用しながらも、ロックアップ付トルクコンバータを使っている(i-CVT)。

一方、電磁パウダークラッチは現在では産業用で活躍、大進化している。

歴史編集

このほかフィアットへも供給され、パンダウーノに採用された。また、スズキ・カルタス(2代目ジャスティ欧州仕様)にも搭載された(SCVT搭載のカルタス・コンバーチブルを除く)

公益社団法人自動車技術会の委員会が「後世に語り継ぐべき特徴を持つ故実」として選定した「日本の自動車技術330選」にECVT(スバルジャスティ搭載) 製作(製造)年 1987が選ばれている。

関連項目編集

外部リンク編集