EFSエクスマキナ』(EFS ex Machina)は、白虎による韓国ライトノベルイラストCUTEGが担当している。韓国のライトノベルレーベルシードノベルD&Cメディア)より、2010年3月から刊行されている。既刊2巻。

EFSエクスマキナ
EFS ex Machina
(原題:EFS 엑스마키나
ジャンル スペースオペララブコメディ
小説
著者 白虎
イラスト CUTEG
出版社 大韓民国の旗D&Cメディア
レーベル シードノベル
刊行期間 2010年3月 -
巻数 既刊2巻
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概要 編集

韓国の小説家白虎が自身のSF小説『ガニメデ・ゲート』(Ganymede Gate、2000年 - 2004年、全13巻完結)の世界観と主要設定を引き継いで執筆したスペースオペララブコメディ。『ガニメデ・ゲート』とは世界観を共有しており、その世界観の中での重要人物は共通しているが、物語の展開は別物である。

イラストはシードノベルの『プリンセス・キス』のイラストを担当したCUTEGが担当している。

ストーリー 編集

地球連邦宇宙軍所属のカン・ヒョンジュン(姜賢俊)は、重大な失策をしたとして軍事裁判にかけられるが、自身にはその記憶がない。懲役刑が確定したのち、彼の前に特殊部隊・通称「ナイトメア」の隊長リー・ウェン(李文)が現れる。

「復隊したくないか? 大尉」

彼はヒョンジュンに、ナイトメアの最新鋭情報収集艦エクスマキナ(EFS ex Machina、Earth Federal Spaceship ex Machina)の副艦長を務めてくれるのならば復隊させてもいいと条件を提示する。条件を飲み艦に乗ったヒョンジュンを待っていたのは、「あらゆるものに優越するわがまま美少女艦長」リュ・シネ(柳神恵)だった。

復隊のため努力するヒョンジュンだったが、彼の常識的な軍隊生活は終わりを告げ、乗組員がたったの3人しかいないエクスマキナで、ヒョンジュンには頭の痛くなるような事件が次々と訪れる。

登場人物 編集

カン・ヒョンジュン(姜賢俊)
男、2119年10月5日生まれ、27歳、185cm、73kg
国籍:韓国、地球連邦 宇宙軍大尉、エクスマキナ副艦長
優れた観察力と集中力、経験的知識をもとに活動する頭脳派。しかし自身はその能力を過小評価している。エクスマキナで唯一の常識を持った乗組員であるため、頭痛が絶えない身の上。復隊のためには、まだまだ苦難の道が待ち構えている。
艦内ではシネのお目付け役に認定されている。
連邦軍で主流となっている人工知能を信頼せず、有人戦を主張する。[1]
リュ・シネ(柳神恵)
女、生年月日・年齢不明、151cm、体重:最上級の秘密
国籍:不明、地球連邦 宇宙軍少佐、エクスマキナ艦長
唯我独尊、高圧的、生意気で高貴な、典型的なわがまま女王様。万事に対してしたたかで、白と黒をはっきりさせる性格。かなりの負けず嫌い。独占欲が強く、人の挑戦はすべて受けて立つ。重要なことや気になることには直接行動し、自分の目で確認しないと気が済まない積極的な性格。
フジワラ・ナギサ(藤原汀)
女、2120年1月19日生まれ、26歳、163cm、53kg
国籍:日本、地球連邦 空軍中尉、エクスマキナ医務官(兼 操縦士)
常に淡々とした表情を維持し、心の内をさっぱり見せないマイペースな美人。小声で話すため、意思疎通には熟練のための若干の期間が必要である。
空軍の医務官だが、操艦資格も持っており、その技術は想像を絶する。
リー・ウェン(李文)
男、2104年6月6日生まれ、42歳、194cm、98kg
国籍:中国、地球連邦 海軍大佐、特任専隊ナイトメアの専隊長
2メートル近い長身で、体中が筋肉に覆われた武闘派だが、海千山千のベテラン情報担当官。地球連邦軍全体で唯一、シネを制御することのできる人物であり、エクスマキナ関連のすべての作戦を立案、下達する。
ユン・ジス(尹地粹)
女、2121年7月7日生まれ、25歳、158cm、44kg
国籍:韓国、地球連邦 陸軍少尉、特任専隊ナイトメアの首席副官
とんでもなくそそっかしくドジで、センスもなく、リー・ウェンの秘書を担当する副官だが、副官には到底見えない。常にミスが多く、その事後処理をする際にも壮絶なミスを繰り返す。

世界観と用語 編集

背景 編集

2111年、宇宙開発公社の地質探査船ベルボウ(Bell Bow)が、木星の衛星ガニメデ(Satelite Ganymede)の探査中に、超大型の穿孔を発見する。ゲート(Gate)と正式に命名されたこのワームホールを通じて、2113年3月13日、有人探査船トリニティ(Trinity)が新たな恒星系および地球とよく似た環境をもつ惑星を発見する。ガニメデ(Planet Ganymede)と命名されたこの惑星には、のちに「先住民」と命名される、地球の歴史でいう中世にあたる程度の文明を持った知的生命体が暮らしていた。

2122年、新たな地球外文明が英語を解析して地球と交信を試み、地球連邦政府は、『神聖ラクシア帝国』と自称する地球外文明の存在を公式に認める。当初は友好関係にあった両勢力は2130年の帝国による交流断絶と、2132年に勃発した第1次宇宙戦争で敵対関係となり、のちに休戦したが、2144年に第2次宇宙戦争が勃発し、現在(2145年)にいたるまで戦火は止んでいない。

地球側 編集

  • 地球連邦(Earth Federal)
地球全体を1つの連邦とする政府機関。この作品で重要な位置を占める地球連邦軍が所属する機関でもある。作中では国際連合と敵対関係にあるとされているが、勢力は地球連邦がまさっている。
  • 地球連邦軍
地球連邦に属する陸軍・海軍・空軍・宇宙軍とその他の部署で構成される、地球を代表する軍隊。ここに属する宇宙艦は艦名の前にEFS(Earth Federal Spaceship)が付く。[2]
  • ナイトメア(Nightmere)
正式名称は「地球連邦軍情報司令部 対帝国情報収集専担部隊」、通称「特任専隊」。2130年11月に創設された[3]。一般の軍からはあまりよく思われていない。所属するすべての宇宙艦は黒で塗装される。専隊長は地球連邦海軍大佐のリー・ウェン。
  • EFSエクスマキナ(ex Machina)艦
地球連邦情報司令部特任専隊に属する。宇宙航行試験用の宇宙護衛艦(Space Frigate Experimental)第3番艦。艦番号SFX045[4]。設計から構築まで、シネが担当した。
古代ギリシアの演劇で、葛藤がピークに達した時に舞台装置を利用して神が登場する場面を意味する言葉。ここから派生して、創作物のクライマックスですべての葛藤を一挙に解消する解決策を意味するようになった。艦名の「エクスマキナ」はこれに由来する。
    • 月宮姮娥(げっきゅうこうが、ウォルグンハンア)
正式名称は「第7世代人工知能型開発試作品バージョン0.4コードネーム月宮姮娥」[4]。通称「姮娥」(こうが、ハンア)。由来は中国神話姮娥。エクスマキナの中央管制システムで、すべてシネが開発した。操艦能力が不完全で、自動では過激な機動しかできない。このためヒョンジュンは操艦士を同乗させることを勧めたが、ナギサの操艦能力を見て口をつぐんだ。自然な合成音声を駆使し、「対人親和目的多種語彙駆使機能」という人工知能を備えているため、乗組員と冗談を言い合うこともできる。通常の状況では、シネをご主人様、ナギサをお嬢さん、ヒョンジュンを執事と呼ぶ。

帝国側 編集

  • 神聖ラクシア帝国
地球と同じかまたは若干優れた程度の文明を持つと考えられる地球外文明。惑星ガニメデを巡って地球連邦と対立している。地球の「帝国」、「帝国人」などの名称は神聖ラクシア帝国を指す固有名詞になっている。
  • 帝国語(kaiserlichen Deutsch)
神聖ラクシア帝国の言語。その響きがドイツ語に似ていることから「帝国式ドイツ語」と呼ばれているが、不正確な表現。作中では便宜的に、帝国語の単語にはドイツ語が併記されている。[5]
  • 神聖帝国軍
大地軍、海洋軍、蒼空軍、銀河軍(それぞれ、地球連邦軍の陸軍・海軍・空軍・宇宙軍と対応)とその他の部署で構成される、神聖ラクシア帝国の軍隊。電子戦装備と生体兵器を主な戦力としている。
  • 銀河閃撃艦(die Galaktisch Sturmschiff)
1巻でSPG(Space Patrol Group)006(ブリート(EFS Brighid)哨戒専隊)を急襲した帝国部隊の主力艦。地球連邦軍のタイプ32級SDD(Space Destroy Defense/宇宙駆逐艦)級に相当する。[6]
  • シャイネン(Scheinen)
帝国人が使用する生体兵器で、独特な信号体系を発散する。この信号を増幅すると声楽に似て聞こえるため、地球人はこの信号の音域に相当する音域をその用語で命名している。第1次宇宙戦争では地球連邦軍の電子戦兵器と無人兵器を無力化させ、帝国軍の序盤の優位を確定させた。[7]
  • ムスケル(Muskel)
帝国軍の装備を構成する独特な素材。当初は単純な有機化合物のかたまりだと考えられていたが、シネは駆動装置の役割を果たすある種の生命体であることを明らかにした。外部からの信号を受けて動作を遂行し、複数の広範な動作を1つのムスケルで遂行することができる。[8]

ガニメデ側 編集

既刊一覧 編集

出版地域:韓国、言語:韓国語

白虎D&Cメディアシードノベル〉、既刊2巻

  • 『EFS 엑스마키나: 우월한 함장님』(副題:優越する艦長様)
  • 『EFS 엑스마키나 2: 마이 페어 레이디(My Fair Lady)』(副題:マイ・フェア・レディ)

脚注 編集

  1. ^ 1巻 pp.163-164 参照
  2. ^ 外部リンクの第1巻刊行記念インタビュー参照
  3. ^ 1巻 作品年表参照
  4. ^ a b 1巻 エクスマキナ艦紹介 参照
  5. ^ 1巻 p.252 参照
  6. ^ 1巻 p.140 参照
  7. ^ 1巻 p.251 参照
  8. ^ 1巻 p.244 参照

外部リンク 編集