FIA-F4選手権
FIA-F4選手権(エフアイエー エフフォーせんしゅけん、英語名:F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP)は、2015年より日本で開催されている自動車レースの1カテゴリ。国際自動車連盟 (FIA) が公認するフォーミュラ4 (F4) 選手権(F4 Championship Certified by FIA) のひとつ。
カテゴリ | フォーミュラカー |
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国・地域 |
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開始年 | 2015年 |
コンストラクター | 童夢 |
エンジン サプライヤー | トムス |
タイヤ サプライヤー | ダンロップ |
ドライバーズ チャンピオン | 小出峻 |
チーム チャンピオン | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
公式サイト | https://fiaf4.wordpress.com/ |
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概要編集
FIA-F4はレーシングカート出身者向けの入門フォーミュラとして、日本では2014年以降選手権シリーズがスタートした。それ以前はフォーミュラチャレンジ・ジャパン (FCJ) が同カテゴリとして開催されていたが、2013年に休止した。その後を受け継ぐ形でSUPER GTを主催するGTアソシエイション (GTA) が2014年に運営団体として名乗りを上げ[1]、服部尚貴がプロジェクトリーダーに就任。2015年より海外ラウンドを除くSUPER GT全戦でサポートレースとして開催されている。なお、1993年から国内独自シリーズとして開催されているフォーミュラ4選手権 (JAF-F4) とは運営組織も車両規格も異なる。
日本自動車レース工業会(JMIA)主導により開発された専用F4車両のワンメイクとし、イコールコンディションとコスト抑制が図られている。また、下位カテゴリからの参加者支援として、オーディション合格者に1年間のスカラシップを与える「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」を2017年から行っている[2]。
FIA-F4参戦のメリットとして、国内自動車レースの最高峰カテゴリのひとつであるSUPER GTと併催されることで、メーカーやスポンサー、観客に対するアピール度が高まることが挙げられる。レース映像はGTAテレビが制作し、SUPER GTのレース中継を行うJ SPORTSでダイジェスト放送されているほか、テレビ東京系列の「SUPER GT+」でも取り上げられることがある。
ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)、トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム(TDP)といったメーカー系の育成ドライバーが参戦しており、成績優秀者は上位の全日本F3選手権やスーパーフォーミュラ、SUPER GTへステップアップしている。その一方、趣味として参加するレーサーもおり、毎戦30台前後のエントリーを集める賑わいを見せている。
開催方式編集
- ドライバーの参加資格は「限定国内競技運転者許可証A」以上、「国際ドライバーライセンスB」以下の競技ライセンス所持者。ただし、過去3年間に上位カテゴリ(F3、F2、スーパーフォーミュラ)のレースで3位以内に入賞した者は参加できない。レース出場実績とJAF公認コースにおけるスポーツ走行経験時間も条件となる。
- 競技は1ラウンドあたり予選1回・決勝2レース制。選手権は7ラウンド計14レースで行われる。2019年よりF1日本グランプリのサポートレースとしてノンタイトルの特別戦が行われる[3][4]。
- 木曜午後・金曜午前にそれぞれ90分間の練習走行を行い、土曜日に20-30分間の公式予選を行う。各々のベストタイムで決勝レース1、セカンドベストタイムで決勝2のスターティンググリッドが決定する。
- 土曜日に決勝レース1、日曜日に決勝レース2を行う。それぞれレース距離60kmまたは最大30分間。
- タイヤは木・金曜は2セット、予選から2回の決勝レースの間は1セットしか使用できない。
- SUPER GTの国内ラウンドが1つ減る2020年は、当初2つのラウンドで3レース制を予定していた(6ラウンド14レース)が、新型コロナウイルス感染症の影響のため、本年はSUPER GT第5戦以降の4ラウンド12レース(全ラウンドで3レース制)が開催される。土曜日に決勝レース1・2、日曜日にレース3を行い、レース3のグリッドはレース1のベストラップで決定される。また、予選・3回の決勝で計2セットのタイヤが使用可能となる[5][6]。
- 入賞ポイントはJAF地方選手権規定に則り上位10位までに20-15-12-10-8-6-4-3-2-1点が与えられる。初年度のみ全得点の80%を対象とする有効ポイント制が採用された。
- GTA独自の表彰として、JAF地方選手権対象とならない海外ライセンス参加者も含めた「GTAアワード」が授与される。また、2018年から女性ドライバーや40歳以上のジェントルマンドライバーの健闘を称える「インディペンデントカップ」が制定された。
- FIAスーパーライセンス取得に必要となるポイントは年間成績上位7名までに12-10-7-5-3-2-1点が与えられる。
マシン編集
- 車両規則は2015年から2019年までの5年間は固定される。
- シャーシは2015年 - 2023年まで童夢製の「童夢・F110」が使用される。エンジンはトヨタ・ZRエンジンをベースにしたトムス製の2リッターNA直列4気筒「TZR42」、ギアボックスは戸田レーシング製6速シーケンシャルミッション(パドルシフト)。
- マシン開発は日本自動車レース工業会 (JMIA) が主導し[7]、トヨタもトヨタテクノクラフトを通じて開発を後援する[8]。
- タイヤはダンロップ[9]、ホイールはTWS RACINGのワンメイク。
- ブレーキは7メーカーの中から選択可能。使用ブランド名のステッカーをリアウィング翼端板に提示する。
- 2024年からは東レ・カーボンマジック製の新型車両「MCS4-24」が採用される[10]。MCS4-24では、FIAの安全基準改訂に伴いHaloを標準装備する予定。エンジンはトムス、タイヤはダンロップが引き続き供給する。エンジンは現行より約20ps出力が上がり、約180psを発揮する[10]。
歴代勝者編集
ドライバー部門編集
年 | ドライバー | 所属チーム (車名) |
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2015年 | 坪井翔 | TOM'S SPIRIT (FTRSスカラシップF4) |
2016年 | 宮田莉朋 | トムス・スピリット (FTRSスカラシップF4) |
2017年 | 宮田莉朋 | TOM'S SPIRIT (FTRSスカラシップF4) |
2018年 | 角田裕毅 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト (HFDP/SRS/コチラレーシング) |
2019年 | 佐藤蓮 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト (SRS/コチラレーシング) |
2020年 | 平良響 | TGR-DC Racing School (TGR-DC RS トムススピリットF4) |
2021年 | 野中誠太 | TGR-DC Racing School (TGR-DC RS トムススピリットF4) |
2022年 | 小出峻 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト (HFDP RACING TEAM) |
チーム部門編集
年 | チーム |
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2015年 | TOM'S SPIRIT |
2016年 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
2017年 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
2018年 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
2019年 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
2020年 | TGR-DC Racing School |
2021年 | TGR-DC Racing School |
2022年 | Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト |
インディペンデントカップ編集
年 | ドライバー | 所属チーム (車名) |
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2018年 | 植田正幸 | Rn-sports (Rn-sports 制動屋 F110) |
2019年 | 佐藤セルゲイビッチ | フィールドモータースポーツ (結婚の学校 フィールドモータースポーツ) |
2020年 | 佐藤セルゲイビッチ | フィールドモータースポーツ (結婚の学校 フィールドモータースポーツ) |
2021年 | HIROBON | Rn-sports (Rn-sports Andare) |
2022年 | 鳥羽豊 | HELM MOTORSPORTS (HELM MOTORSPORTS F110) |
脚注編集
- ^ GTA、FIA-F4の概要発表。童夢F110シャシー公開 - オートスポーツ・2014年8月29日
- ^ “若手にチャンスを授ける『FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE』のアドバイザーに吉本大樹が就任”. autosport web. (2017年2月10日) 2020年4月15日閲覧。
- ^ “若き才能をこの目で……F1日本GPのサポートレース、FIA-F4特別戦の概要が明らかに”. motorsport.com 日本版 (2019年4月25日). 2020年4月10日閲覧。
- ^ 2019年は台風19号接近によるスケジュール変更のため中止となった。
- ^ 2020 FIA-F4選手権 大会日程改定についてのご案内 FIA-F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP・2020年11月29日閲覧
- ^ 2020富士大会公式予選、第1戦は神、第2戦は平良が初PP 平木がともに3番手、IND-Cは大阪が初のポール獲得 FIA-F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP・2020年11月29日閲覧
- ^ JMIA、FIA F4車両開発へ。15年からマーケット投入 - オートスポーツ・2013年11月28日
- ^ トヨタ自動車、2014年のモータースポーツ活動および支援計画を発表 - トヨタ自動車・2014年1月30日
- ^ FIA-F4シリーズの指定タイヤがダンロップタイヤに決定 - F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP・2014年12月16日
- ^ a b GTA、東レ・カーボンマジック製シャシー採用のFIA-F4第2世代車両概要発表 SUPER GT最終戦で初公開へ - CAR Watch・2022年8月8日