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H&K PSG1は、ドイツH&K社が対テロ特殊部隊向けに同社のG3G3SG/1)をベースに開発した、セミオートマチックの狙撃銃である。

H&K PSG1
PSG-1 rifle museum 2014.jpg
H&K PSG1
H&K PSG1
種類 狙撃銃
製造国 ドイツの旗 ドイツ
設計・製造 H&K
年代 現代
仕様
種別 セミオートマチックライフル
口径 7.62mm
銃身長 650mm
ライフリング 4条右回り
使用弾薬 7.62x51mm NATO弾
装弾数 5・10・20発(着脱式箱形マガジン
作動方式 ローラーディレイドブローバック
全長 1,208mm
重量 8,100g
銃口初速 868m/秒
有効射程 700m
歴史
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なお、PSG1とはドイツ語で「PräzisionsSchützenGewehr1」(1号精密狙撃銃)を意味する。

目次

概要と特徴編集

開発の元となったのは1972年9月5日に発生したミュンヘンオリンピック事件である。この事件では、当局の不手際と装備の不足から、人質となった9名のイスラエル選手全員および警察官1名が死亡する惨事となってしまった[1]

この事件により西ドイツ政府は、銃器メーカー各社にセミオートの狙撃用ライフルの設計を依頼し、その結果、H&K社のPSG1が採用された。また、当時、ワルサー社がWA2000を開発したが、PSG1と同じく7,000ドルと高価だったため採用には至らなかった(価格が同じであるのにPSG1の方が採用された理由は不明である)。

元々、オートマチックライフルはボルトアクション方式のライフルに比べ、構造が複雑で命中精度が低下するため、狙撃ライフルには不向きであった。しかし、セミオート式はボルトアクション方式のライフルに比べて重量はあるが、複数の標的に対する対応が素早いという利点がある。

PSG1はG3の中から特に命中精度の高いものを選び、これを基に、熟練した銃器職人が手作業で制作することで、セミオートマチックでの高い命中精度を実現した。これにはG3がガスポートを持たないローラーロッキング・ディレードブローバックだったため、バレルのフルフロート化が容易であったという理由もある。

ストック繊維強化プラスチック(FRP)でできており、射手の体格にあわせて、パッドなどのサイズ調節が可能になっている。

採用状況編集

現在、ドイツGSG-9イギリスSAS韓国のKNP-SWATなどの、各国の特殊部隊特殊警察部隊に配備されている。また、日本警察特殊部隊(SAT)および海上保安庁特殊警備隊(SST)などに配備されているとも言われている。

日本国内では少数ながら狩猟用途で所持許可されている個体もある。

値段は7,000ドルと高額なため、配備される部隊は限られているのが現状である。さらに、構造が複雑で繊細なため、整備に手間がかかり、有効射距離が比較的短いことなどから、一部を除くとほとんど使用されていないともいわれている。

トルコではMKE社がTUFAN-80として、パキスタンでもPOFがPSR-90としてライセンス生産している。

その他のG3タイプの狙撃銃編集

T12
トルコMKE社が独自に開発したもの。HK33バレルを延長し、リアサイトを取り外し、PSG1のストックピカティニー・レールのハンドガードを装備したモデル。
MSG3
G3タイプの狙撃銃のなかで一番G3に近い。MSG90タイプの少し短いストックを装備し、リアサイトの位置がG3より少し前にある。
MSG90
PSG1の用廉価版。
MSG90 SDN
メキシコSEDENA社がMSG90の銃床の顔当てとハンドガードを製にしたもの。
SR9
サムホールストックを装備したHK91。
 
SR9T
SR9(T)
SR9にPSG1タイプのトリガーとピストルグリップ、MSG90タイプのストックを装備したモデル
SR9(TC)
SR9にPSG1タイプのトリガーとピストルグリップ、ストックを装備したモデル(映画『山猫は眠らない』によく似たモデルが登場)。
HSG1
ルクセンブルクのLUXDEFTECがPSG1にオリジナルパーツをつけたもの。
PSR90
POF社が独自に開発したフロントサイトなしのG3SG/1にPSG1のストックを組み合わせたもの。
MSG 91
アメリカ合衆国のPTR-91 Inc.社が製造するG3タイプの狙撃銃。光学機器搭載用のレールがあるためかリアサイトが小さく、ハンドガードはオリジナルで、マグプル社のPRS2ストックを装備している。

諸元編集

スコープ
Hensold製6倍x42(光学発光装置付属)・シュミット&ベンダー製1.5-6倍光学式

使用国・組織編集

組織名称 モデル
  アルバニア 特殊部隊[2]
  イギリス イギリス陸軍SAS PSG1
  ドイツ ドイツ連邦警察局国境警備隊第9部隊 PSG1
ドイツ地方警察特別出動コマンド[3]
  イタリア イタリア国家治安警察隊特殊介入部隊
内務省治安作戦中央部隊
  インド 国家保安警備隊「NSG[4] -
  ルクセンブルク ルクセンブルク大公警察特殊部隊「USP[5][6][7] PSG1
  マレーシア マレーシア空軍テロ対策特殊部隊「PASKAU[8] PSG1A1
マレーシア警察テロ対策特殊作戦部隊「PGK[8] PSG1
  オランダ オランダ警察特殊介入部隊「Korps landelijke politiediensten[9] PSG1
  パキスタン パキスタン特殊作戦軍「SSG[10] PSR90
  スペイン スペイン警察特殊部隊「GEO[11]
  韓国 大韓民国海軍特殊戦旅団[12] MSG90・PSG1
  アメリカ合衆国 アメリカ連邦捜査局人質救出部隊「HRT[13] PSG1
  アルゼンチン
  イラン
  ウルグアイ
  中華民国
  エジプト
  シンガポール
  セルビア
  タイ
  日本 日本警察特殊部隊「SAT
海上保安庁特殊部隊「SST
  フィリピン フィリピン国家警察
  ブラジル ブラジル陸軍
  ベネズエラ
  ポーランド 緊急対応作戦グループ「GROM」
  ラトビア
  リトアニア
  ルーマニア

登場作品編集

脚注編集

  1. ^ 惨事となった経緯はミュンヘンオリンピック事件#人質救出作戦の失敗要因を参照
  2. ^ http://www.specialoperations.com/Foreign/Albania/Default.htm
  3. ^ http://www.visier.de/bilder/pdf/visier_inhalt_1996-2008.pdf
  4. ^ Bharat Rakshak (2008年). “NATIONAL SECURITY GUARDS”. Bharat Rakshak. 2009年10月2日閲覧。
  5. ^ Unofficial Pistols Page, Equipment”. http://USP.lu - Unofficial Website of Unité Spéciale, Officially Endorsed. 2009年10月6日閲覧。
  6. ^ L'Unite d'Intervention de la Police Luxembourgeoise” (French). RAIDS Magazine (2006年3月). 2009年9月23日閲覧。
  7. ^ Lasterra, Juan Pablo (2004年). “UPS Unidad Especial de la Policia Luxembourguesa” (Spanish). ARMAS Magazine. 2009年9月23日閲覧。
  8. ^ a b Thompson, Leroy (2008年12月). “Malaysian Special Forces”. Special Weapons. 2009年11月29日閲覧。
  9. ^ www.arrestatieteam.nl - Scherpschutters BBE Politie”. 2010年6月18日閲覧。
  10. ^ Pakdef.info - Pakistan Military Consortium: Special Service Group”. Saad, S.; Ali, M.; Shabbir, Usman (1998年). 2009年8月15日閲覧。
  11. ^ Grupo Especial de Operaciones - Fusiles de precisión” (Spanish). www.policia.es. 2009年12月10日閲覧。
  12. ^ Special Weapons, February 2010 issue. Page 67-68.
  13. ^ “Anything, Anytime, Anywhere” The Unofficial History of the Federal Bureau of Investigation’s Hostage Rescue Team (HRT)

関連項目編集

外部リンク編集