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HZ 21

かみのけ座の白色矮星

HZ 21は、かみのけ座の方角におよそ516光年の距離にある白色矮星である[1][3]。ヘリウムイオンのスペクトルがみられる白色矮星の典型とされる[1]。

HZ 21
仮符号・別名 WD 1211+332
星座 かみのけ座[1]
見かけの等級 (mv) 14.688[2]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  12h 13m 56.2639830406s[3]
赤緯 (Dec, δ) +32° 56′ 31.359805342″[3]
視線速度 (Rv) -17.97 km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: -100.883 ミリ秒/年[3]
赤緯: 30.132 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 6.3199 ± 0.0739ミリ秒[3]
（誤差1.2%）
距離 516 ± 6 光年[注 1]
（158 ± 2 パーセク[注 1]）
絶対等級 (MV) 8.7[注 2]
HZ 21の位置（丸印）
物理的性質
半径 ∼ 0.016 R☉[5]
質量 0.56 M☉[6]
表面重力 6.4 ×104 G[6][注 3]
スペクトル分類 DO2[4]
表面温度 53,000 K[6]
色指数 (B-V) -0.327[2]
色指数 (U-B) -1.236[2]
色指数 (V-R) -0.149[2]
色指数 (V-I) -0.350[2]
色指数 (R-I) -0.201[2]
他のカタログでの名称
EGGR 86, GSC 2527-2161, PG 1211+332[3]
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発見 編集

HZ 21は、ヒューメイソンとツヴィッキーが、パロマー天文台の18インチシュミット望遠鏡による多色撮像で、暗い高温度星、特に白色矮星を発見しようという研究の中でみつかった。発見された天体は予備的な一覧にまとめられ、二人の頭文字 (Humason & Zwicky) をとって、HZ番号が付与された。その一覧の21番目にあることから、この天体は「HZ 21」と呼ばれる。発見当初、B0型の恒星に分類されていた[7]。その後、エッゲンとグリーンスタインによって白色矮星と特定され、二人の名前にちなんだ白色矮星のカタログの86番目としてEGGR 86 (EG 86) とも呼ばれる[8]。

特徴 編集

エッゲンとグリーンスタインは、HZ 21の特徴として、電離ヘリウムのスペクトルが目立ち、O型準矮星より青い、としている[8]。このような特徴を持つ白色矮星を彼らは、DO型と分類したが、当初はO型準矮星との区別がはっきりしなかった[9]。後にグリーンスタインが白色矮星の性質を洗い直し、HZ 21だけがDO型白色矮星となった[10][注 4]。DO型白色矮星は、恒星風によって表面の水素が失われてヘリウム層がむき出しとなり、ヘリウムは高温のために電離していて、電離ヘリウム (He II) の吸収線が強く、ヘリウム原子 (He I) と水素原子 (H I) の吸収線は一方または両方がみえる。HZ 21はこのDO型白色矮星の代表とされる天体である[1]。

大きさの比較
地球 HZ 21
   

HZ 21の表面温度はおよそ53,000K、質量が太陽の0.56倍、半径は太陽の1.6%程度で、白色矮星となってからの年齢はおよそ175万年と推定される[6][5]。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差（秒）より計算、光年は1÷年周視差（秒）×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log（年周視差（秒））より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典での表記は、 
  4. ^ HZ 21だけが残ったのは、エッゲンとグリーンスタインのDO型候補であって、その間に別のDO型候補天体も浮上している。その後DO型白色矮星は次々とみつかり、2014年の白色矮星カタログでは候補を含め60以上が掲載されている[11]。

出典 編集

  1. ^ a b c d Kaler, James B. (2006-05-07), The Hundred Greatest Stars, Springer Science & Business Media, pp. 104-105, ISBN 9780387216256 
  2. ^ a b c d e f Landolt, Arlo U.; Uomoto, Alan K. (2007-03), “Optical Multicolor Photometry of Spectrophotometric Standard Stars”, Astronomical Journal 133 (3): 768-790, Bibcode: 2007AJ....133..768L, doi:10.1086/510485 
  3. ^ a b c d e f g “HZ 21 -- White Dwarf”. SIMBAD. CDS. 2020年3月25日閲覧。
  4. ^ a b Holberg, J. B.; Barstow, M. A.; Sion, E. M. (1998-12), “A High-Dispersion Spectroscopic Survey of the Hot White Dwarfs: The IUE NEWSIPS SWP Echelle Data Set”, Astrophysical Journal Supplement Series 119 (2): 207-238, Bibcode: 1998ApJS..119..207H, doi:10.1086/313161 
  5. ^ a b Althaus, L. G.; et al. (2009-10), “New Evolutionary Sequences for Hot H-Deficient White Dwarfs on the Basis of a Full Account of Progenitor Evolution”, Astrophysical Journal 704 (2): 1605-1615, Bibcode: 2009ApJ...704.1605A, doi:10.1088/0004-637X/704/2/1605 
  6. ^ a b c d Dreizler, S.; Werner, K. (1996-10), “Spectral analysis of hot helium-rich white dwarfs”, Astronomy & Astrophysics 314: 217-232, Bibcode: 1996A&A...314..217D 
  7. ^ Humason, M. L.; Zwicky, F. (1947-01), “A Search for Faint Blue Stars”, Astrophysical Journal 105: 85-91, Bibcode: 1947ApJ...105...85H, doi:10.1086/144884 
  8. ^ a b Eggen, Olin J.; Greenstein, Jesse L. (1965-01), “Spectra, colors, luminosities and motions of the white dwarfs”, Astrophysical Journal 141: 83-108, Bibcode: 1965ApJ...141...83E, doi:10.1086/148091 
  9. ^ Eggen, Olin J.; Greenstein, Jesse L. (1967-12), “Observations of Proper-Motion Stars. III”, Astrophysical Journal 150: 927-942, Bibcode: 1967ApJ...150..927E, doi:10.1086/149392 
  10. ^ Greenstein, Jesse L. (1976-05), “Multichannel spectrophotometry and the luminosities of white dwarfs”, AstronomicalJournal 81: 323-338, Bibcode: 1976AJ.....81..323G, doi:10.1086/111892 
  11. ^ McCook, G. P.; Sion, E. M. (2016-10), “Spectroscopically identified white dwarfs”, VizieR On-line Data Catalog: B/wd, Bibcode: 2016yCat....102035M 

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • “Hz 21”. ESO. 2020年3月25日閲覧。

座標:   12h 13m 56.2639830406s, +32° 56′ 31.359805342″

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