Hs 117第二次世界大戦中にドイツが開発した地対空ミサイルである。

シュメッターリング
国立航空宇宙博物館に展示されるHs 117
種類 地対空ミサイル
原開発国 ナチス・ドイツの旗 ナチス・ドイツ
運用史
配備先 ナチス・ドイツの旗 ナチス・ドイツ
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦(戦後)
開発史
製造業者 ヘンシェル
諸元
重量 420 kg(170 kgのブースターをのぞく)
全長 4.2 m
直径 0.35 m

弾頭 25 kg爆薬
信管 近接信管

エンジン 初期加速ロケット(ブースター):固体燃料ロケット
主ロケット(サスティナー):BMW 109-558 液体燃料ロケット
翼幅 2 m
推進剤 SV-Stoff(硝酸)、Tonka
誘導方式 手動指令照準線一致誘導方式:目視誘導、無線誘導
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Hs 117の発射時の形態
Hs 117の先端部

歴史 編集

1941年、以前Hs293対艦ミサイルに関与していたヘルベルト A. ワーグナー博士は、シュメッテルリングもしくはシュメッターリング(Schmetterling、意味はの総称)ミサイルをドイツ航空省にHs297として提案したが、対空兵器は不要という理由から拒絶された。しかし1943年、大規模なドイツへの空爆がドイツ航空省の考えを改めさせた。そしてヘンシェル社と契約し、開発と製造を行った。

本体は有翼の液体燃料ロケットである。本体中央には後退角の主翼が、尾部には十文字の尾翼が付いている。本体の上下には2基の固体燃料ロケットである初期加速用ブースターが取り付けられる。各ブースターのノズルは外側(つまり上下)に偏向している。発射は簡易な発射台から斜め上に打ち上げられる。

59回の実験を行い、34回失敗した。実験は1944年6月に成功した。1945年11月には月産3,000基の予定だった。

1945年の1月に、大量生産のプロトタイプが完成したが、2月6日に、親衛隊大将ハンス・カムラーによってプロジェクトがキャンセルされた。

ドイツ大使館在武官であったギュンター・ホーゼルによれば、報復兵器3号はV3 15センチ高圧ポンプ砲ではなくHs117Dのことであるという[1][2]

派生型 編集

Hs117Hは空対空型で、Do 217Ju 188Ju 388によって発射される。発射した航空機の5,000 m上空の敵機を攻撃するように設計された。Hs117Hにブースターは付かない。

諸元 編集

  • 種類:地対空ミサイル
  • 請負企業:ヘンシェル
  • 初期加速ロケット(ブースター):固体燃料ロケット
  • 主ロケット(サスティナー):BMW 109-558 液体燃料ロケット
  • 噴射剤:SV-Stoff(硝酸)、Tonka
  • 長さ:4.2 m
  • 直径:0.35 m
  • 翼幅:2 m
  • 発射時重量:420 kg(170 kgのブースターをのぞく)
  • 速度:658~1008 km/h
  • 弾頭:25 kg爆薬
  • 射程:32,000 m
  • 射高:10,700 m
  • 信管:近接信管
  • 誘導システム:手動指令照準線一致誘導方式:目視誘導、無線誘導
  • ユーザー:ドイツソビエト連邦(戦後、防空システム開発のためにR-105のテストでHs-117を用いた)

出典 編集

  1. ^ 「ドイツ軍用機の全貌」1958年酣燈社刊・(ミサイル編/為我井敬義著)
  2. ^ 季刊「丸」Graphic Quarterly1973/SPRIG版 1973年潮書房刊・(丸編集部編/野沢正ほか著)

関連項目 編集

外部リンク 編集