IBM ES/9000(IBM Enterprise System/9000)は、IBM1990年から1998年の間に販売した、メインフレームコンピュータのシリーズである[1]

概要 編集

IBM ES/9000シリーズは、IBMの当時の最上位のコンピュータであり、ESA/390アーキテクチャを最初に実装し、そのアーキテクチャをサポートしたオペレーティングシステムであるVSE/ESAVM/ESAMVS/ESAを稼働できるよう開発された。新しいハードウェアには光ファイバーを使用したチャネルであるESCONが登場した。

ES/9000ファミリーは、ESA/370ベースのモデルである、IBM ES/3090IBM 4381などの直接の後継として発表され、拡張ストレージ(ES)、LPARベクトル機構(VF)なども継承した。

ES/9000ファミリーは、ES/9021、ES/9121、ES/9221の3シリーズから構成された。ES/9000ファミリーの後継は、1994年に発表されたIBM S/390 Parallel Enterprise Serverである。なおS/390(正確にはG3)からはCMOSを使用したプロセッサによる並列処理に移行したため、ES/9000はバイポーラを使用したプロセッサの最後のシリーズとなった。

モデル 編集

ES/9000ファミリーは以下の3シリーズと各モデルにより構成され、「ES/9021-900」のように表記された。

  • ES/9021シリーズ
    • 水冷(ES/3090の後継)
    • モデル 900 [2], -820, -720, -620, -580, -500, -340, -330
  • ES/9121シリーズ
    • 空冷、スタンドアロン(ES/4300の後継)
    • モデル -480, -440, -320, -260, -210, -190
  • ES/9221シリーズ
    • 空冷、ラックラウント(ES/9370の後継)
    • モデル-421, -211, -170, -150, -130, -120

参照 編集

  1. ^ http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/mainframe/mainframe_FS9000.html IBM ES/9000 Characteristics. Retrieved on 17-09-2007.
  2. ^ http://www-03.ibm.com/servers/eserver/zseries/zvse/about/history1990s.html z/VSE Operating System - History. Retrieved on 17-09-2007.

関連項目 編集

外部リンク 編集

IBMメインフレーム
シリーズ名 アーキテクチャ 主なモデル 主なOS 主な特徴
1952 701シリーズ - 701, 704, 709, 7090, 7040, 7094 - 科学技術計算用、真空管/トランジスタ
1953 702シリーズ - 702, 705, 7080 - 真空管/トランジスタ
1953 650シリーズ - 650, 7070, 7074, 7072 - 科学技術計算用、真空管/トランジスタ
1959 1401シリーズ - 1401, 1410, 1440, 7010, 1460 - 商用計算用、オールトランジスタ
1961 その他 - 305(RAMAC), 7030(Stretch) - ディスク装置(RAMAC)、マルチタスク(Stretch)
1964 System/360 S/360 20 - 195 OS/360, DOS/360, CP-67/CMS 汎用機アーキテクチャIC24ビットアドレッシング、仮想機械
1970 System/370 S/370 115 - 195 OS/VS(MVS), DOS/VS, VM/370 仮想記憶マルチプロセッサPPAR
1977 30x0, 4300, 9370 S/370, S/370-XA 303x/308x/3090, 43x1, 937x MVS/XA, DOS/VSE, VM/XA 31ビットアドレッシング・動的チャネルサブシステム(S/370-XA)
1990 ES/9000 S/390, ESA/390 9021, 9121, 9221 MVS/ESA, VSE/ESA, VM/ESA, AIX/ESA 64ビットデータ空間、拡張ストレージ(ES)、LPARESCONFICON
1994 S/390 ESA/390 9672/9674(G1 - G6), IBM Multiprise 2000/3000 OS/390, VSE/ESA, VM/ESA, Linux CMOS, 並列シスプレックス, UNIX互換環境(OS/390 USS)、Linuxサポート
2000 eServer zSeries z/Architecture z800/z900, z890/z990 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux 64ビットアドレッシング、IFL、zAAP、zIIP、IPv6
2005 System z z/Architecture z9, z10 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux IRD
2010 zEnterprise z/Architecture z114/z196, z12 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux ブレード拡張(POWER, x86)
2015 z System z/Architecture z13, LinuxOne (z13)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
2017 IBM Z z/Architecture z14, LinuxOne II (z14)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
暗号化zHyperLink
2019 IBM Z z/Architecture z15, LinuxOne III (z15)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
(LinuxOne) Linux, z/VM
全方位型暗号化技術、Data Privacy Passports、OpenShift
2022 IBM Z z/Architecture z16 (z16)z/OS, z/VSE, z/VM, Linux IBM Telumプロセッサー、オンチップのAIアクセラレーター、耐量子暗号