JR東日本E653系電車

東日本旅客鉄道の交直流特急形電車

E653系電車(E653けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流両用特急形電車である。

JR東日本E653系電車
0番台K302編成(2003年4月7日)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所
製造年 1997年 - 2005年
製造数 72両
運用開始 1997年10月1日
投入先 常磐線フレッシュひたち
主要諸元
編成
  • 基本編成:7両(4M3T
  • 付属編成:4両(2M2T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
交流20,000 V・50 Hz / 60 Hz
架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度(非常) 5.2 km/h/s
編成定員 466人(普通車のみ)※1
268人(普通車のみ)※2
編成重量 236.5 t※1
133.9 t※2
編成長
  • 145.5 m(基本編成)
  • 84 m(付属編成)
全長 先頭車 21,500 mm
中間車 20,500 mm
全幅 2,950 mm
全高 3,550 mm
車体 アルミニウム合金
台車 ボルスタレス台車
DT64形(電動車)・TR249形(付随車・制御車)
主電動機 MT72形かご形三相誘導電動機
主電動機出力 145 kW
駆動方式 TD継手式平行カルダン駆動
歯車比 5.65(96:17)
編成出力 145 kW×16 = 2,320 kW※1
145 kW×8 = 1,160 kW※2
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置
保安装置 ATS-PATS-Ps
備考 ※1は基本編成
※2は付属編成
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概要 編集

常磐線特急は、1989年(平成元年)3月から651系の導入が進められていたが、停車の多い「ひたち」には国鉄から継承した485系が引き続き使用されており、それらの置き換え用として開発された。

車両デザインはGKインダストリアルデザイン、製造は日立製作所近畿車輛東急車輛製造の3社が担当した。

本系列は「ひたち」用を含む「JR東日本管内で運用される485系の取替え[1]」を視野に開発が行われた。そのため設計コンセプトは「East Japan Standard Express=これからの定番特急」「Sophisticated Simplicity=洗練されたシンプルさ」とされた[1]

国鉄分割民営化後に設計・開発された一般旅客輸送用交直流電車としては唯一の商用電源周波数50 / 60 Hz両用対応車とされた。これは485系電車引退後の波動輸送団体輸送に対応できるように北陸本線への乗り入れをあらかじめ考慮したものである[注 1]

1998年度財団法人日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞受賞。

構造 編集

本項では落成時の仕様について解説を行う。

車体 編集

「優雅さと力強さ[2]」をコンセプトとした。アルミニウム合金製大形中空押出型材を用いたダブルスキン構造を営業用鉄道車両としては初めて採用し[3]、軽量化と構体構造の簡素化を図り[4]全車耐寒耐雪構造を施している。車体の裾絞りは上部下部とも最小限に抑えることにより客室空間を拡張させているため、651系から続いたハの字型の車体形状ではなくなっている。客用扉は上野方制御車のクハE652形のみ片側2扉それ以外は1扉とされ、車内側には全車青色の塗装が施されている。またK70,K71編成にはドア開閉時に『ドアが閉まります』等の警告音声が、ドア付近で流れる装置を追設している。

車体側面の行先表示器は3色LED式で行先・愛称のほか号車番号を表示する。

空調機器集約分散式冷房装置を搭載しており、車体にマッチさせるためFRP製大型カバーを装着。端部にラジオ輻射装置用アンテナを内蔵する[1]

先頭部は衝撃吸収材を設けたボンネット構造の非貫通高運転台とし、前照灯シールドビームHIDランプ各2灯を前面腰部、プロジェクションランプ2灯を運転台上部に設置。このほか、特殊印刷処理によるパターンをパネル全面に発光する装置を下部前照灯上部に搭載しており[1]、「Hitachi express」のロゴが表示されるようになっている。

落成当初の塗装は、上部を651系や常磐線中距離電車で運用されていた415系鋼製車と共通の白(ホワイトブロッサム=white blossom:白梅の花[1])、窓周りをシルバーメタリック(チタニウムメタリック=titanium metallic:チタンの輝き[1])とし、下部については編成ごとで異なる常磐線沿線の観光資源をイメージしたカラーを採用。乗降口横にはそれぞれのカラーごとにシンボルマーク[注 2]が配された。

東日本旅客鉄道新潟支社は、2024年5月の新潟駅開業120周年と7月の羽越本線全線開通100周年に合わせ、H202編成の塗装を「上沼垂色」に変更する。上沼垂色の列車の営業運転は2024年4月21日の「いなほ3号」からである[5]

車体色 編成 製造所 モチーフ 備考
スカーレットブロッサム
(scarlet blossm:緋色の花・紅梅)
[1]
 
K301・K305 日立製作所
7両基本編成
ブルーオーシャン
(blue ocean:青い大洋)
[1]
 
K302・K308
イエロージョンキル
(yellow jonquil:黄スイセン)
[1]
 
K303・K306 近畿車輛
グリーンレイク
(green lake:緑の湖)
[1]
 
K304・K307 東急車輛製造
オレンジパーシモン
(orange persimmon:橙色の柿)
 
K351 近畿車両 4両付属編成
K352 東急車輛製造
K353・K354 日立製作所

車内 編集

車内全景
グリップ付き座席
PS32形パンタグラフ
側面行先表示器

全席普通車[注 3]、インテリアは「機能性と無駄の排除」を主題とし[1]、天井横方向に設けたリブ状突起・客室仕切りや天井近くに使用した鏡・客室仕切扉用強化ガラスなどで空間に広がりを持たせた。客室は乗客に近い位置にファブリック系素材、離れた位置にクリスタル素材を使用し、仕切り壁・荷棚下面は曇りガラスを模した素材とした[1]。出入り台付近壁面には鏡面材や曲面の木目材を使用する[1]。内装はダブルスキン構体に一体成型されたカーテンレール状の取り付け座(マウンティングレール)に、あらかじめアウトワークで製作した荷棚、座席などのモジュール品を取り付けている[4]

シートピッチは定員確保を考慮して485系電車と同一の910 mmとしたが、座席スライド機構の採用・背面部スリム化による実質的間隔拡大・ヒーターを床置からつりさげ式変更による足元空間拡大・シートバック背面の曲面構成化などによる視覚的圧迫感緩和などの改良を実施し居住性向上が図られた[1]。これにより定員は7両編成で485系より7名多い466名を確保した[2]。このほか客室側鴨居部に情報案内装置を装備する。

機器類 編集

床下には機器の取付・取外が可能な機器取付用レールを設置し、製造・整備・仕様変更にともなう機器換装等を容易なものとした。また車両状況自己診断プログラムを搭載するなど車両整備に際しての利便性向上にも重点が置かれた。

主変換装置素子に日立製作所製IGBT(2,000 V / 600 A・3レベル方式)を用いるCI8形(一部更新機器はCI8E形)を搭載[6]。コンバータ部とインバータ部から構成され、交流電化区間ではコンバータにより、いったん直流に変換した上でインバータにより三相交流に再変換する。直流電化区間ではインバータ駆動のみとし、本装置1基で1時間定格出力145 kWのMT72形かご形三相誘導主電動機4基を一括制御する。営業運転時の最高速度は651系と同一の130 km/hである。

補助電源装置はIGBT素子を使用した東洋電機製造製の静止形インバータ(SIV・定格出力210 kVA)を採用している[7]

台車はボルスタレス方式で可変絞り付き空気ばねならびにヨーダンパを搭載するDT64形電動台車・TR249形付随台車を装着。軸箱支持は軸はり式で上下動ダンパーを搭載するほか、軸ばねには防雪カバーを、先頭台車は雪対策として強化型雪かきを装着する[1]

集電装置はPS32形交流直流両用シングルアームパンタグラフを搭載する[8]。構造的にはばね上昇・空気下降式で集電舟は651系と共通である[9]。本機はE351系に搭載される直流用PS31形をベースに交流区間対応の絶縁碍子を装備する[8]。また中央本線などの狭小トンネル通過には対応していない。

ブレーキ装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを装備し、発電ブレーキを準備工事とした。系統は常用ブレーキ・非常ブレーキ直通予備ブレーキ抑速ブレーキ耐雪ブレーキの5系統とし、付随車のブレーキ力を電動車で負担する遅れ込め制御を行う。

デッドセクションでの主回路切替はE501系電車と同一仕様で、ATS-P地上子を使用した自動切替である。車内照明は直流電源方式で、デッドセクション通過時には蓄電池からの供給に切り替わるため基本的に消灯しない。

形式 編集

モハE653形
主変換装置と集電装置を搭載する中間電動車(M1)で、モハE652形とユニットを組む。いわき寄りにデッキを備え、電話室・清涼飲料自動販売機を設置。定員72人。7両編成の2・5号車と4両編成の2号車(付属編成の9号車)に組成される。
当初は全て0番台であったが、「いなほ」転用時に7両編成は1000番台、4両編成は1100番台に改められた。
モハE652形
主変換装置と補助電源装置(静止形インバータ)を搭載する中間電動車(M2)で、モハE653形とユニットを組む。いわき寄りにデッキを備え、トイレと洗面所を設置。定員72人。7両編成の3・6号車と4両編成の3号車(付属編成の10号車)に組成される。
番台区分に関してはモハE653形と同様。
クハE653形
いわき・新潟向きの制御車(Tc)で、空気圧縮機(CP)と蓄電池箱を搭載し、0番台のみ電気連結器を装備。いわき寄りにデッキを備える。定員68人。基本編成の7号車には0番台が、付属編成の11号車には100番台が組成される。
「いなほ」転用により1000・1100番台に改められ、それぞれ7・4号車となった。
クハE652形
上野・新井向きの制御車(Tc')で、0番台のみCPと蓄電池箱を搭載し[注 4]、0・100番台は電気連結器を装備。両端にデッキを備え、いわき寄りにトイレ・洗面所を設置。定員56人。基本編成の1号車には0番台が、付属編成の8号車には100番台が組成される。
「いなほ」転用により1100番台もしくはクロE652形に改められ、前者は4両編成の1号車(定員54人)となった。
サハE653形
7両編成のみに存在する中間付随車。いわき寄りにデッキを備え、車掌室・車販準備室・トイレ・洗面所などを設置。また客室に車椅子スペースを設置しており、最もいわき寄りとなる列は通路側の座席[注 5]が存在しない。洗面所やトイレは車椅子対応とされ、側引戸も拡幅された。定員54人。4号車に組成される。
クロE652形
全室グリーン車である秋田向きの制御車(Tsc')で、CPと蓄電池箱を搭載する。両端にデッキを備え、いわき寄りにトイレ・洗面所を設置。定員18人。1000番台が7両編成の1号車に組成される。座席配列は1+2の3列式でシートピッチは1,820 mm 、前後の仕切りによって各列が独立しており、リクライニングによる干渉が発生しない。また後位側にはラウンジスペースが設置された。
「いなほ」転用に際してグリーン車が必要となったために、クハE652形を改造したものである。

新潟地区への転用 編集

2013年3月、それまで本系列と651系で運転されていた上野 - いわき間の「スーパーひたち」「フレッシュひたち」全列車がE657系に置換えられた。

余剰となった本系列の新たな転用計画は、羽越本線白新線特急「いなほ」への充当が立案され、2012年9月に2013年より485系置換えに7両編成を転用予定であると報道[10]2013年6月26日には新潟支社が同年秋から順次投入するプレスリリースを正式発表した[11][12]

さらに北陸新幹線金沢延伸開業に伴う2015年3月14日ダイヤ改正で新潟 - 直江津 - 上越妙高・新井間を信越本線えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン経由で運転する特急「しらゆき[注 6]」を新設[13][14]。番台区分を1100番台とした転用改造施工の4両編成を充当することが2014年8月に発表された[15]。この転用に伴い、全車新潟車両センターに転属した。

改造は2013年から2015年にかけて全72両に実施された。7両8編成・4両4編成の内訳は変わらないが、本改造に際して7両編成のK308編成は中間車3両[注 7]を抜き取った4両編成へ、4両編成のK354編成は前述の3両を組み込んだ7両編成へとそれぞれ変更されている。これはK354編成の製造時期が遅かったために同編成のみ交通バリアフリー法[注 8]による規制の対象であった(そのままでは単独運用ができない)ことに起因するものである。

 
1000番台

1000番台 編集

「いなほ」用への転用改造を実施した7両基本編成のグループで、U-101 - U-108の8編成が登場。改造はすべて郡山総合車両センターで施工。

最初の7編成(K301 - K307 → U-101 - U-107)は基本編成がそのまま改造されたが、U-108編成はK354編成にK308編成の中間車3両[注 7]を組み込んだものとなっている。

  • 新潟・秋田支社管内での走行環境に適応するため、耐寒耐雪構造を強化[16][17]
    • 強化スカートへ換装
    • スノープラウ・着雪防止装置を装着
    • ワイパー停止位置を縦に変更
    • 台車上部ふさぎ板・空気ばねカバー・高さ調整棒保護材を装着
    • 台車の軸箱を軸箱体と輪軸支えが一体のものへ変更
    • 電動車制輪子を焼結型へ変更
    • 主要機器へ防雪カバー設置
    • 車端部に着雪防止ふさぎ板設置
    • 客室暖房を強化
  • 先頭車の電気連結器を撤去
  • 全編成とも、日本海に沈む夕日と稲穂をイメージしたカラーリングに変更
  • 普通車シートモケットを「小千谷ちぢみ」へ変更[18]
     
車内
座席
ラウンジ
  • グリーン車の新設(1号車を改造)
  • クハE652-104からクロE652-1008への改造に際して、CPと蓄電池を取付

正面の発光装置については改造当初は空白であったが、2016年3月ごろから「いなほ」のイラストつきヘッドマークが入るようになった[19]

車両番号と形式の推移
旧形式 旧車両番号 新形式 新車両番号
モハE653
モハE652
1 - 15・20 1001 - 1016
クハE653 1 - 7・104 1001 - 1008
クハE652 1 - 7・104 クロE652 1001 - 1008
サハE653 1 - 8 1001 - 1008

1100番台 編集

 
1100番台

「しらゆき」転用改造を実施した4両編成のグループで、H-201 - H-204の4編成が存在。改造はすべて郡山総合車両センターで施工。

最初の3編成(K351 - K353 → H-201 - H-203)は付属編成がそのまま改造されているが、H-204編成はK308編成を短縮(前述の中間車3両[注 7]を脱車)したものとなっている。

改造内容は耐寒耐雪構造強化など1000番台とほぼ同一である。独自の内容を以下に示す[20][21]

  • 車体色をアイボリー基調に上部・下部へ紫紺とした上で朱赤のストライプを配置。
  • シートモケットを新幹線E7系・W7系電車に合わせたタイプへ変更。
  • クハE652形へ車椅子スペースを設置[注 9]。サハE653形のものと同じ形態をとるもので、2人掛け座席を撤去し1人掛け座席を新設している[注 10]。これに伴い定員が56人から54人へ減少した[21]
  • クハE652-108からクハE652-1104への改造に際して、CPと蓄電池を撤去。
車両番号の推移
形式 旧車両番号 新車両番号
モハE653
モハE652
17 - 19・16 1101 - 1104
クハE653 101 - 103・8 1101 - 1104
クハE652 101 - 103・8 1101 - 1104

運用 編集

勝田車両センター 編集

14両編成の「フレッシュひたち」
基本編成・付属編成連結部
(2005年7月 日暮里駅
K70編成
(2019年4月22日)
K71編成
(2023年10月13日)

当初は本系列全車が配置され、特急「フレッシュひたち」(上野駅 - 土浦駅勝田駅高萩駅いわき駅間)に充当されていた。2013年以降は1000・1100番台改造施工と併せて新潟車両センターへ転出し、2014年に配置がなくなったが、2018年11月に1000番台7両1編成が再転入した[22][23]

「フレッシュひたち」では、基本7両編成・基本+付属の11両編成・基本編成を2本併結した14両編成の計3種類で運用された。

1997年10月1日のダイヤ改正で、勝田電車区(当時)に配置された7両基本編成4本で営業運転を開始した。1998年には、2次車として7両基本編成4本・4両付属編成3本の計40両が増備され、同年12月8日のダイヤ改正で485系電車の全面置換えを完了した。その後、2005年(平成17年)2月に3次車として4両付属編成1本が増備されている。

2007年3月18日から全車両が禁煙となった。

2012年3月17日ダイヤ改正で一部の「フレッシュひたち」がE657系へ置換えられ、2013年3月16日ダイヤ改正では「スーパーひたち」「フレッシュひたち」全定期列車がE657系による運転となった。

なお当初の発表では、2012年秋までに「スーパーひたち」「フレッシュひたち」をE657系で統一し、本系列はいわき駅 - 仙台駅間に新設される特急列車に転用される予定となっていた[24]。だが、東日本大震災による被災や福島第一原子力発電所事故の警戒区域に当該区間が含まれていたことから実現しなかった[注 11]

以後は、転用改造が未施工の編成が多客期の臨時「フレッシュひたち」など関東圏の臨時列車で運用された[25]が、2014年8月17日の「フレッシュひたち92号」を最後に本系列による臨時運用もすべて終了。その後、全車が新潟車両センターへ転出した。

しかし、2018年11月7日にU108編成(1000番台7両)がK70編成として勝田車両センターへ再転入し[26][27][22][23]、国鉄特急色をイメージした塗装に変更された。以降、2019年2月2日の「E653系おかえり号」を皮切りに、再び関東圏の臨時列車や団体専用列車に充当されている。さらに2023年8月29日にU102編成がK71編成として勝田車両センターへ再転入し、これまでなかった「水色のフレッシュひたち色」として臨時列車や団体専用列車として運用されている[28]

勝田車両センター編成表
 
← いわき・高萩・勝田
上野 →
製造 竣工
基本編成 号車 7
(14)
6
(13)
>5
(12)
4
(11)
3
(10)
>2
(9)
1
(8)
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
サハE653
(T)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
車両番号 K301 1 1 1 1 2 2 1 日立製作所 1997.07.22
K302 2 3 3 2 4 4 2 1997.08.04
K303 3 5 5 3 6 6 3 近畿車輛 1997.08.07
K304 4 7 7 4 8 8 4 東急車輛製造 1997.08.26
K305 5 9 9 5 10 10 5 日立製作所 1998.11.04
K306 6 11 11 6 12 12 6 近畿車輛 1998.11.18
K307 7 13 13 7 14 14 7 東急車輛製造 1998.11.24
K308 8 15 15 8 16 16 8 日立製作所 1998.11.25
付属編成 号車 11 10 >9 8   製造 竣工
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
車両番号 K351 101 17 17 101 近畿車輛 1998.11.18
K352 102 18 18 102 東急車輛製造 1998.11.24
K353 103 19 19 103 日立製作所 1998.11.25
K354 104 20 20 104 2005.02.27

新潟車両センター 編集

2013年6月29日に、上述の転用改造を実施した1000番台U-101編成が竣工[29]。以後、2015年3月までに72両全車に施工され、順次転入した。

編成番号は7両編成(1000番台)がU101 - 108編成[注 12]、4両編成(1100番台)がH201 - 204編成となった。

2013年9月28日のダイヤ改正にて「いなほ」1往復で運行を開始し[30]、以降も順次運用を拡大した。2014年7月12日には最後まで485系の運用となっていた「いなほ」2往復を置き換え、定期列車全7往復を本系列で統一した。また、2015年3月14日のダイヤ改正からは、新たに運行を開始した特急「しらゆき」でも運用されている。

2018年11月7日、U-108編成が勝田車両センターへ転出した。

2023年3月18日ダイヤ改正以降は以下の定期列車に充当されている。

なお、かつては快速「らくらくトレイン村上」などの着席通勤列車も本系列によって運行されていたが、2022年3月12日のダイヤ改正で「信越」が廃止されたのを最後に列車自体が消滅している。

1000番台の塗装変更 編集

瑠璃色(U106編成)
ハマナス色(U107編成)

2017年に、一部編成のエクステリアデザインの変更が発表された[31]

  • U-106編成は海の色を表現した「瑠璃色」となり、2017年10月27日に営業運転を開始した[32][33]
  • U-107編成は「ハマナス色」となり、2017年12月29日に営業運転を開始した[34]
新潟車両センター編成表[35]
 
← 新潟
酒田・秋田 →
改造所 竣工 勝田再転入 改造前
1000番台 号車 7 6 >5 4 3 >2 1
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
サハE653
(T)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クロE652
(Tsc')
車両番号 U-101 1001 1001 1001 1001 1002 1002 1001 郡山総合車両センター 2013.06.25 - K301
U-102

K71
1002 1003 1003 1002 1004 1004 1002 2013.08.28 2023.08.29 K302
U-103 1003 1005 1005 1003 1006 1006 1003 2013.10.31 - K303
U-104 1004 1007 1007 1004 1008 1008 1004 2014.01.09 K304
U-105 1005 1009 1009 1005 1010 1010 1005 2014.03.18 K305
U-106 1006 1011 1011 1006 1012 1012 1006 2014.06.19 K306
U-107 1007 1013 1013 1007 1014 1014 1007 2014.09.01 K307
U-108

K70
1008
 
 
1015
 
1015
 
1008
1016
 
1016
 
1008
 
2015.03.26 2018.11.07 K354
K308
 
← 新潟
上越妙高・新井 →
改造所 竣工 改造前
1100番台 号車 4 3 >2 1
形式 クハE653
(Tc)
モハE652
(M2)
モハE653
(M1)
クハE652
(Tc')
車両番号 H-201 1101 1101 1101 1101 郡山総合車両センター 2014.12.1 K351
H-202 1102 1102 1102 1102 2014.10.27 K352
H-203 1103 1103 1103 1103 2015.3.4 K353
H-204 1104 1104 1104 1104 2015.2.26 K308

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 分割民営化後は広域転配をすることがないため、旅客用車両については交流電源は50 Hz(651系など)・60 Hz(681系683系など)のどちらかだけに対応させているケースが多く、本系列のほかに50 / 60 Hz両対応車の旅客用車両は2017年時点でE655系E001形(交流25 kV・50 Hzも対応)が存在するが、いずれも一般旅客輸送には対応していない。
  2. ^ 常磐線特急が発着する上野駅16・17番線ホームにも基本編成となるK301 - K308編成のシンボルマークが描かれた。
  3. ^ グリーン車連結の「フレッシュひたち」は651系・E657系で運用された。
  4. ^ 100番台は準備工事
  5. ^ 14B・14Cにあたる。
  6. ^ ダイヤ改正以前に運転されていた特急「北越」ならびに快速「くびき野」の運行体制を継承する。
  7. ^ a b c K308編成のうち、4 - 6号車(サハE653-8・モハE653-15・モハE652-15)
  8. ^ 正式には「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」
  9. ^ トイレ・洗面所等の車椅子対応化は未施工。
  10. ^ 製造時期の違いから、既存の座席とは仕様が異なる。
  11. ^ 常磐線の全線運行再開後は仙台駅発着の「ひたち」が再設定され、この区間のみを運行する特急列車は設定されなかった。
  12. ^ 2018年11月7日付で勝田車両センターへ転出[23][22]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『鉄道ファン』1997年11月号 pp. 6-13
  2. ^ a b 『鉄道ファン』1997年8月号 「JR東日本E653系この秋常磐線にデビュー!」
  3. ^ 日本機械学会交通・物流部門ニュースレターNo.16 (PDF) - 日本機械学会 1998年9月18日
  4. ^ a b 日立製作所『日立評論』 1999年3月号「最近の鉄道車両技術 (PDF) 」。
  5. ^ E653系「上沼垂色」が登場、営業運転は4月21日「いなほ3号」から 前日には撮影会も”. article.yahoo.co.jp (2024年3月16日). 2024年3月16日閲覧。
  6. ^ 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」1997年(第34回)「E653系特急形交直流電車の主回路システム」論文番号504。
  7. ^ 東洋電機製造「東洋電機技報」1998年3月号(第101号)3P。同書ではE653系向けに補助電源装置、駆動装置、パンタグラフを納入したことが記載されている。
  8. ^ a b 『J-train』通巻39号、p.105
  9. ^ 『J-train』通巻39号、p.108
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  13. ^ 北陸新幹線 長野〜金沢間開業に伴う運行計画の概要について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2014年8月27日http://www.jreast.co.jp/press/2014/20140814.pdf2014年8月27日閲覧 
  14. ^ 北陸新幹線 長野〜金沢間開業に伴う運行計画の概要について』(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2014年8月27日http://www.westjr.co.jp/press/article/2014/08/page_6073.html2014年8月27日閲覧 
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  35. ^ 『JR電車編成表 2016冬』、交通新聞社、2015年11月、[要ページ番号]ISBN 978-4-330-62315-3 

参考文献 編集

  • 「JR東日本E653系この秋常磐線にデビュー!」『鉄道ファン』436号、交友社、1997年8月。 
  • 東日本旅客鉄道(株)運輸車両部企画課車両開発グループ「JR東日本E653系特急形交直流電車」『鉄道ファン』439号、交友社、1997年11月、6 - 13頁。 
  • 「JR東日本E653系1000番台」『鉄道ファン』631号、交友社、2013年11月、46 - 47頁。 
  • 「JR東日本E653系1100番台(CAR INFO)」『鉄道ファン』649号、交友社、2015年5月、60 - 61頁。 
  • 長和昭栄「E653系フレッシュひたち」『J-train』第39号、イカロス出版、2010年10月、97 - 109頁。 
  • 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」1997年(第34回)「E653系特急形交直流電車の主回路システム」論文番号504
  • 東洋電機製造「東洋電機技報」1998年3月号(第101号)「東日本旅客鉄道(株)向けE653系特急形交直流電車用電機品」

関連項目 編集

外部リンク 編集