JUNK HEAD

2021年に公開された日本のストップモーション・アニメーション映画

JUNK HEAD』(ジャンク・ヘッド)は、2021年に公開された日本のストップモーションアニメーション映画堀貴秀監督。三部作の第1作目である。

JUNK HEAD
監督 堀貴秀
脚本 堀貴秀
製作 MAGNET
製作総指揮 榎本善紀
音楽 堀貴秀
近藤芳樹
主題歌 『人類繁栄』
撮影 堀貴秀
編集 堀貴秀
制作会社 やみけん
製作会社 MAGNET
配給 ギャガ
公開 日本の旗 2021年3月26日
上映時間 99分
製作国 日本の旗 日本
興行収入 1億3000万円[1]
次作 JUNK WORLD
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概要 編集

監督の堀貴秀が、ほぼ1人で7年かけて製作した[2]。約4年をかけ制作された30分の短編作品「JUNK HEAD 1」を修正、追加撮影を行い2017年に完成した長編版が本作である。長編版は完全に1人で製作したわけではなく、実際には3、4人のスタッフが入れ替わり制で作業を行った。

本作は、当初から三部作として製作しており、次作『JUNK WORLD』は2025年の公開を予定している[3]

ストーリー 編集

人体を無機物に転化する技術によって、生殖機能を代償に不老不死を手に入れた人類は、新種ウイルスの発生によって存続の危機に陥る。そんな中、遥か昔に創造した人工生命体マリガン」に生殖能力の可能性が見出され、地下の調査が開始される。主人公パートンは地下調査員に応募し、マリガンと協力して地下の探索を始める。

キャスト 編集

パートン / 堀貴秀
バーチャルのダンス講師を生業とする男性。人口減少に伴い仕事が無くなり、地下の調査員に一般応募する。
  • 降下任務時
地下への降下任務に臨む際の姿。頭部には6つのカメラが装備され、白いボディを持つ。降下中に地下の住民によって撃墜され、頭部のみ3バカ兄弟に回収される。
  • 研究室滞在時
博士の研究室で与えられた姿。丸い頭部に人間の児童程度の頭身の白いボディを持つ。ショックで記憶喪失になっており、3バカ兄弟の資材回収の手伝いを行っていたが、ある日突如記憶が戻ってパニック状態に陥り、さらに地下深くに落下する憂き目に遭う。
  • バルブ村滞在時
バルブ村に落着した際に、村のエンジニアによって与えられた姿。職長から「ポン太」と名付けられる。頭部は四角い箱に覆われ、ボディは有り合わせの材料で作られたため所々色は剥げ、錆だらけとなっている。頭の上にはスイッチ式のライトが取り付けられ、胸には小さな引き出しが設けられた。耳は聞こえるが声は出せず、ジェスチャーや引き出しのメモ等でしかコミュニケーションが取れない。またちょっとした事で腕が取れるなどトラブルも多い。村では専ら掃除やお使い等の雑用を押し付けられていた。
ある日狩りの手伝いをしていた所、凶暴な地下生物「トリムテ」に遭遇し同伴のハンター達を殺害され、自身も破壊されかけたが、ニコの助けもあって生還。村に危機が迫っている事を伝えた。
  • トリムテ討伐作戦時
トリムテ討伐のためバルブ村に招聘された3バカ兄弟と再会し、彼らの説明から村人に「」であると信じ込まれ、可能な限り高級な部材で再構築された姿。人間の少年程度の頭身となり、これまでの記憶は統合され、言語や精神面も安定した。自分の経歴や地下に下りた理由、その目的を説明し、障害となるトリムテの討伐に加わる。トリムテとの戦闘では一時先手を打たれるも、ニコ、ホクロ、3バカ兄弟、自身の機転と覚悟も助けとなって何とか討伐に成功する。以降はニコ、ホクロと共に旅を続ける。
3バカ兄弟 / 堀貴秀
地下に落下してきたパートンを回収したマリガンの三つ子。名前はそれぞれ「アレクサンドル」、「フランシス」、「ジュリアン」。
普段は博士の元で資源回収の仕事をしつつ、互いにからかいあって他愛のない喧嘩もしているが、その真の姿は「地獄の三鬼神」と呼ばれる凄腕の地下生物ハンター達であり、戦闘時には専用の薬剤を注射する事で一時的に強靭な肉体に変化し、高度な連携を取りつつ戦う事が出来る。
トリムテ討伐のためバルブ村に招聘されパートンと共にトリムテと戦うが、その影響で崩落事故が発生し、アレクサンドルは隙を突かれ深手を負い、フランシスとジュリアンは落盤から身を呈してパートンを守り、互いに天国へ行けることを確信しあい、圧死した。
その後もアレクサンドルは生き残ったトリムテに襲われ意識を失うが、パートンの決死の一撃でトリムテ討伐に成功。パートンに別れを告げ博士の元に戻った。
ニコ / 三宅敦子
赤いコートを羽織り、フードを深くかぶった少女型マリガン。顔の上半分が硬質化している。幼体時に老人に拾われ、以降ホクロと共に過ごす。パートンがクノコ(地下住民に食されるキノコ状の植物)を分け与えた事で知り合い、彼に興味を持つようになる。
ホクロ / 堀貴秀
ニコと行動を共にする男性型マリガン。両手の指は触手のようになっており、自在に操ることが出来る。
ドクター・ルーチー / 堀貴秀
通称「博士」。記憶力を強化されたマリガン。3バカ兄弟に回収されたパートンに機械の身体を与える。
ペリオット / 堀貴秀
バルブ村の男性型マリガン。職長ではあるが、実態は女性型マリガンに仕切られている。
マルギータ / 杉山雄治
バルブ村の女性型マリガン。非常に筋肉質で、村の実質的な仕切り役。
技師 / 堀貴秀
バルブ村の8番浄化装置を管理する老マリガン。焼却炉にも似た浄化装置の炎を管理し、強弱を調整している。非常に老齢で200年以上に渡りこの仕事に携わっているが、自身の仕事の意義については理解していない。
パートンは親切心から彼用の椅子を手作りし、非常に喜ばれるが、これが後の大惨事を引き起こす切っ掛けとなる。
村人 / 堀貴秀
子どもたち / 三宅敦子
クノコ屋 / 堀貴秀
地下でクノコ屋を営むマリガン。下半身はなく、天井から器械で吊られ、レールで移動する。人間の胴体のような培地でクノコを栽培し、住民に販売している。
サギ師 / 堀貴秀
パートンがクノコ屋へお使いに行った際、帰路で出会った男。パートンのクノコを言葉巧みに騙し取り、いよいよ後は別れる(逃げる)だけというタイミングで肉食生物に上半身を食いちぎられ死亡した。
地上の女 / 三宅敦子
アナウンサー / 堀貴秀
グローム / 堀貴秀
地下迷宮に住む凶暴な生物。腕力が強く、コンクリートを破壊する程のパンチを放つ。パートンを食い殺そうと追い回すもデスワームの群生地に追い込んでしまったため、逆にデスワームに捕食される。
デスワーム / 堀貴秀
ミミズのような長い体と巨大な口を持つ地下生物。地下迷宮に巣穴を掘り、周囲に菌糸のようなセンサーを張り巡らせ、それに触れる生物を感知し捕食する。
トリムテ / 堀貴秀
本作のラスボスにあたる異形の大型地下生物。怪力を誇る四本の長い腕と銃弾すら通さない強靭な皮膚を持ち、顔にあたる部分には何者かによって付けられた傷跡がある。本来バルブ村までは来ないはずだが、害獣除け用の電気柵が壊れたため行動範囲が広まり、結果として同村を襲撃した。マリガン含む地下生物を捕食対象とし、その性質は極めて凶暴。
パートン含む討伐隊の決死の作戦によって討伐、駆除された。
その他 / 堀貴秀

スタッフ 編集

制作メンバー
  • 堀貴秀
  • 杉山雄治
  • 牧野謙
  • 三宅敦子
制作協力
  • 川村徹雄
  • 青木基文
  • 新井果菜
  • 鵜飼洋平
  • キムラヒデキ
  • 瀬尾典功
  • 内藤祐紀
  • Y NAKAJIMA

受賞 編集

映画祭
ファンタジア国際映画祭 最優秀長編アニメーション賞
オルデンブルク国際映画祭英語版 入選
ファンタスティック映画祭英語版 新人監督賞
第31回日本映画批評家大賞 編集賞(浦岡敬一賞)

脚注 編集

外部リンク 編集