KOI-1843.03は、地球から見てこと座の方向にある恒星 ケプラー974 (KOI-1843) の周辺を公転する太陽系外惑星である。ケプラー宇宙望遠鏡によって得られたデータを解析したSaul Rappaportらによって発見され、2013年7月に論文が公表された。

KOI-1843.03
星座 こと座
分類 太陽系外惑星
軌道の種類 周回軌道
発見
発見年 2013年
発見者 Rappaport, S. et al.
発見方法 トランジット法
軌道要素と性質
元期:BJD 2454964.5523 ± 0.009
軌道長半径 (a) 120万 km
(0.008 AU)[注 1]
離心率 (e) 不明
公転周期 (P) 0.1768913 ± 0.0000002 日
(4.245391 時間)
軌道傾斜角 (i) 72+12
−20
KOI-1843の惑星
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  19h 00m 03.0s[1]
赤緯 (Dec, δ) +40° 13′ 15″[1]
物理的性質
半径 0.61+0.12
−0.08
R
質量 <8 M
0.44+0.38
−0.16
M
平均密度 < 193 g/cm3
10.7 g/cm3[注 2]
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軌道の種類 編集

KOI-1843.03は、ケプラー974の手前を通過する事によってケプラー974の見かけの明るさが減光する現象を利用したトランジット法によって発見された。KOI-1843.03の通過は4.2時間かかるが、その周期はわずか4時間15分しかなかった。これは2013年時点で発見されている太陽系外惑星の中では、PSR J1719-1438 bについで2番目に短い周期である。また、PSR J1719-1438 bはミリ秒パルサーPSR J1719-1438の周辺を公転しており、PSR J1719-1438 b自体もかつては恒星の中心核であったと推定されており、通常の恒星と惑星と考えられているものの中ではKOI-1843.03が最短の公転周期を持っている。また軌道長半径もケプラー70cに次いで5番目に小さな軌道長半径を持っている。

物理的性質 編集

大きさの比較
地球 KOI-1843.03
   

KOI-1843.03は地球半径の61%しかない、知られている太陽系外惑星の中でも小さな部類の天体である。そして、KOI-1843.03はKOI-1843から極めて近いところを公転しているため、ロッシュ限界に近く、潮汐力によって惑星が破壊されてしまう可能性がある。KOI-1843.03が高密度の天体ならば、潮汐力に耐えるほどの強度を持つ。観測によって得られたKOI-1843.03の質量は地球質量の8倍以下であり、理論上得られた潮汐力に耐える密度を持つ質量は0.44倍である。これほど高密度の KOI-1843.03は、そのほとんどがで出来た、理論上の存在である鉄惑星ではないかと推定されている。

名称 編集

主星 KOI-1843 には KOI-1843.03を含めて3つの惑星候補が知られていたが、2016年にその内のKOI-1843.01の存在が確定し、「ケプラー974b」という確定名称が付与された。しかし、KOI-1843.03に関してはまだその存在が議論されている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 恒星の質量と公転周期より計算
  2. ^ 惑星の質量と半径により計算。

出典 編集

参考文献 編集

  • Saul Rappaport; Roberto Sanchis-Ojeda; Leslie A. Rogers; Alan Levine; Joshua N. Winn (15 July 2013). "The Roche limit for close-orbiting planets: Minimum density, composition constraints, and application to the 4.2-hour planet KOI-1843.03". arXiv:1307.4080v1 [astro-ph.EP]。

関連項目 編集

座標:   19h 00m 03.0s, +40° 13′ 15″