KTM (オートバイ)
KTM Sportmotorcycle AG(ケーティーエム スポーツモーターサイクル アーゲー[1])とは、オーストリアのオートバイ、モペッド、自動車、自転車の製造会社である。
![]() | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
![]() マッティクホーフェン (オーバーエスターライヒ州ブラウナウ・アム・イン郡) |
設立 | 1934年 |
業種 | 輸送機械 |
事業内容 |
オートバイ モペッド 自転車の製造販売 |
主要株主 | KTM Powersports AG |
主要子会社 |
フサベル、ハスクバーナ WPサスペンション |
関係する人物 | 創設者:ハンス・トゥルンケンポルツ |
外部リンク | www.ktm.com |
概要編集
長年オフロードバイクを得意とするメーカーとして活動しており、同社のオフロード車はモトクロス世界選手権やダカール・ラリー、AMAスーパークロスなどで好成績を収めてきた。そのため性能も高く評価されている。オフロードバイクメーカーとして有名であるが、創業当初よりロードスポーツバイクも製造している。また別会社で自転車やスポーツカーの製作も行っている。
2019年現在、オーストリアのピエラ・インダストリーズの傘下で、インドのバジャージ・オートが大株主である。スウェーデンのオートバイメーカーハスクバーナ・モーターサイクルとオランダのWPサスペンションはKTMグループの傘下にある。
歴史編集
1934年、エンジニアであるハンス・トゥルンケンポルツによってオーストリア マッティクホーフェンに設立された。1953年まではKTMとしての製作は行われておらず、金属加工会社「クラフトファールツォイク トゥルンケンポルツ マッティクホーフェン (Kraftfahrzeug[3] Trunkenpolz Mattighofen)」として、従業員20名で1日3台のペースでオートバイ製作をしていたが、1954年その頭文字を取った「KTM」ブランドとしてのオートバイ製作を始める。1955年には実業家であるエルンスト クロンライフ (Ernst Kronreif) が同社の主要株主になったことにより、Kronreif & Trunkenpolz Mattighofenに改名している。
2021年3月、ホンダ、ヤマハ、KTM(オーストリア)、ピアッジオ(イタリア)の4社は電動二輪車のUNECE規格に沿った互換性のある交換式バッテリーの共同開発事業を立ち上げると発表した[4][5]。
デザイン編集
1990年以降、KTMオートバイと自動車(X-Bow)はザルツブルクに拠点を置く従業員100名以上企業であるKiska Designによって設計されている。キスカデザインはKTMブランドの責任を負っており、製品、販売店舗、展示会での展示方法やカタログなどの資料、環境意識なども統一された手法により行っており、その確立されたブランドを世界中の顧客に対し提供している。
金融構造編集
- KTM Sportmotorcycles GmbH (1994年に KTM Sportmotorcycle AG と改名)
- KTM Fahrrad GmbH (自転車部門)
- KTM Kühler GmbH (ラジエーター製作部門)
2005年の事業新年度時にはKTM スポーツモーターサイクル社は8万台のオートバイを世界中に輸出していた。同年ポラリス・インダストリーズとのパートナーシップを締結している。契約条件に基づき、両社は国内市場以外に双方での海外市場開拓を行った。KTMは北アメリカにその範囲を拡大し、ポラリスはヨーロッパ市場を開拓した。このパートナーシップは2年限定で試験的行われ、最終的に2社が合併する選択もあったが、2006年KTMはポラリスとの提携の早期終了を発表している。ポラリスにはATV用450cc、525ccRFSエンジンを限定的に供給している。
KTMは現在もマッティクホーヘンを本拠地として年間約8万台のオートバイを生産し、ヨーロッパ第2位のメーカーに成長、世界12カ国以上の国に販売子会社を持っている。
2007年11月、インド二輪メーカーであるバジャージ・オートはKTMパワースポーツの株式14.5%を取得した。KTMは水冷4ストローク125cc、250ccのエンジンの共同開発を、バジャージはインド国内や近隣諸国でのKTM製品の販売に対する供給の協力協定を締結し出資率が20%に上がり、2009年には31.72%[6]、2011年には39.03%へと引き上げ筆頭株主となる。[7].
2008年1月にヨーロッパ、極東向けの新型125ccオートバイの共同開発を行うとバジャージ・オートが発表し、2011年より Duke125/200 がバジャージによりインドで生産されている。
モータースポーツ編集
KTMはモトクロス世界選手権やAMAモトクロスやAMAスーパークロスといったモトクロス、インターナショナル・シックスデイズ・エンデューロ(ISDE)といったエンデューロレースなど、オフロードレースに伝統的に力を入れている。近年では、ダカール・ラリーやアトラス・ラリーなどといったラリーレイドイベントにも積極的に参加し、特にダカール・ラリーでは2001年からモト部門で連覇を続け、大会が中止となった2008年を挟み、2019年まで驚異の18連覇を達成した。また、2003年にはロードレースにも復帰し、125ccクラスを中心にサポートをしている。最も成功したのがモタードと呼ばれる車両を使用したスーパーモタードであり、この新しいジャンルが注目されるようになると、これを機にLC8と名が与えられた新型V-Twinエンジンを搭載した950アドベンチャーを送り出している。
2017年からMoto3クラスに加え、最高峰のMotoGPクラスへRC16を投入してフル参戦。2018年にはMoto3クラス、Moto2クラス、MotoGPクラスの3クラスにワークスチームを送り込む唯一のメーカーとなったが、Moto2へのフレーム供給は2019年で終了している。
KTM公式チームのチームカラーはオレンジ、黒、銀色であり、これにより力強いブランドイメージを創り出している。明るいオレンジ色のラジエターシュラウドにKTMと描かれているのも特徴である。工場出荷時点で、エンジンオイルがモトレックス製であることから、エンジンの一部に同社ステッカーが貼られている。また、同じオーストリアの企業であるレッドブルとは非常に密接な関係を持っており、ほとんどの場合にワークスチームのメインスポンサーになっている。2019年はMotoGPクラスのマシンカラーをレッドブル系F1チームと同じにして、ワークスをレッドブル・レーシング風の「紺」、サテライトのテック3をスクーデリア・トロ・ロッソ風の「青」に分けた[8]。
KTM 125 ミカ・カリオ仕様車
その他編集
2004年、俳優のユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマン出演のテレビドキュメンタリーシリーズLong Way Roundでロンドンからニューヨーク2万マイルの冒険にKTMオートバイが使用される予定であったが、サポート担当のベンチャー企業が出発の僅か数週間前に降板した。背景として、冒険のルートに対しKTMが失敗すると判断したため。ユアンが直接電話交渉するも断られたため、BMWがこの冒険のためにBMW R1150GSを寄付しこの冒険を成功させた。[9]
沿革編集
- 1953年 - モーターサイクルの生産を開始。
- 1955年 - ロードレースに初挑戦。
- 1964年 - KTMファクトリーの誕生、I.S.D.E.(インターナショナル・シックスデイズ・エンデューロ)へ参戦。
- 1970年 - 自社開発エンジンの製造を開始。
- 1974年 - ゲンナーディ・モエセフにより、KTM初のモトクロス世界選手権でのチャンピオン獲得。
- 1989年 - 創業者ハンス・トゥルンケンポルツ急死。
- 1992年 - KTM Motor-Fahrzeugbau AG倒産。スポーツバイクに焦点を絞り、KTM Sportmotorcycle-AG設立。
- 1994年 - シェーン・キングがMX500にて世界チャンピオンを獲得。
- 1998年 - マッティクホーフェンに新しい工場を建設。
- 2000年 - 8つの世界タイトル中、6つの世界タイトルを獲得。
- 2001年 - パリ・ダカールラリーの二輪部門で初優勝。この年以降、大会が中止となった2008年を挟んで2019年まで18連覇を達成。
- 2003年 - ロードレースプロジェクトを再開し、ロードレース世界選手権(MotoGP)・GP125クラスに参戦。
- 2003年 - KTM初の2気筒エンジンを搭載した950ADVENTUREの発売を開始。
- 2004年 - マレーシアGP(セパン・インターナショナル・サーキット)にてMotoGP・GP125クラス初勝利。 KTM初となる純粋なロードモデル、990 SUPER DUKEの販売を開始。
- 2005年 - MotoGP・GP250クラスへの参戦を開始。
- 2006年 - MotoGP・GP250クラスで青山博一が勝利をあげた。
- 2008年 - 同社初の四輪スポーツカー、クロスボウの発売を開始。MotoGP・GP250クラスより撤退。
- 2009年 - インドのバイク会社バジャージ・オートが31.72%の株を取得し筆頭株主になる。
- 2012年 - MotoGP・Moto3クラス(旧GP125クラスの後継)へ参戦開始。以降2014年まで連続してマニュファクチャラーズタイトル獲得。
- 2014年 - フサベルとハスクバーナが統合しハスクバーナとなったため、同社を子会社化する。
- 2017年 - 最高峰のMotoGPクラスに参戦開始。
- 2020年 - 最高峰のMotoGPクラスにおいて初優勝を飾る。
注釈編集
- ^ a b 株式会社 (ドイツ)の項を参照。なお日本法人はドイツ語の読みである「カ・テ・エム」を商号としている。
- ^ ktm-japan.co.jp・Press Release - 2012年12月12日 (PDF)
- ^ Kraftf = 造る Fahrzeug = 乗り物の意
- ^ ホンダ ヤマハ 電池の開発で連携 オートバイの電動化を見据え
- ^ 欧州でもEVバイクの交換式バッテリーを標準化へ、ホンダとヤマ発など4社が協業
- ^ http://www.business-standard.com/india/news/bajaj-auto-gains-7ktm-stake-hike-plan/67595/on
- ^ http://www.business-standard.com/india/news/bajaj-raises-stake-in-austrian-bike-maker/435462/ Bajaj raises stake in Austrian bike maker
- ^ “F1のトロロッソ再現を……レッドブル、KTMと共にMotoGP初タイトルへ準備完了”. motorsport.com (2019年2月15日). 2020年2月7日閲覧。
- ^ ユアン・マクレガーが使用した。