Kbs wz. 1996 ベリル

Kbs wz. 1996 ベリルポーランド語: 5,56 mm Karabinek szturmowy wzór. 1996 Beryl)とは、ポーランドのファブルィカ・ブローニ・ウーチュニク7.62mm口径AK-47 / AKM及び5.45mm口径Kbk wz. 1988 タンタルの後継として設計した、5.56x45mm NATO弾を使用するアサルトライフルである。なお、Berylとはベリリウムを表すポーランド語の単語である。

Karabinek szturmowy wzór. 1996 Beryl
Rifle wz.1996 Beryl.jpg
オプションの二脚と、レシーバー上部にアクセサリーレールを取り付けたwz. 96ベリル初期型
Karabinek szturmowy wzór. 1996 Beryl
種類 軍用小銃
製造国 ポーランドの旗 ポーランド
設計・製造 ラドム社
仕様
種別 アサルトライフル
口径 5.56mm
銃身長 457mm
ライフリング 6条右回り、228mm/回転
使用弾薬 5.56×45mm弾
装弾数 30発
作動方式 長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミオート/フルオート/3点バースト切替射撃
全長 943 / 742mm
重量 3.35kg(マガジン無し)
発射速度 700発/分
銃口初速 920m/秒
有効射程 m
歴史
設計年 1995年~1996年
製造期間 1997年~
配備期間 1997年~
配備先 ポーランド軍
関連戦争・紛争 コソボ紛争アフガニスタン紛争 (2001年-)イラク戦争国際連合中央アフリカ・チャド・ミッション
バリエーション #派生型を参照
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目次

概要編集

1989年にポーランドは、AK-74のクローンモデルであるwz. 88タンタルの生産を開始したが、間もなく冷戦が終結し共産主義政権が終焉を迎えたこと、ポーランドが西側諸国への接近を図りNATOへの加盟を目指し始めたことから、ポーランド軍は5.56x45mm NATO弾を使用する新型のKbs wz. 1996 ベリルを1996年に採用、1997年から製造・配備を開始した。

wz. 96 ベリルは、実質的にはwz. 88 タンタルの5.56x45mm NATO弾仕様と言える。内部構造は、wz. 88 タンタルとほとんど変わらずAK-74とほぼ同一であり、ガス圧利用式(ロングストロークピストン方式)、回転ボルト閉鎖機構を備えている。

wz. 88 タンタルから継承した、AK系アサルトライフルと異なる特徴は、3点バースト機構を備えている点である。レシーバー左側面には射撃モード(セミオート、フルオート、3点バースト)切り替え用の小型レバーが設置され、グリップを握ったまま親指で操作可能となっているが、安全装置はレシーバー右側面にあるAK系本来のセレクターによって操作するようになっており、操作系が2つのレバーに分割されている(本来のAK系アサルトライフルでは、右側面の安全装置がセレクターも兼ねる)。

銃身もAK系アサルトライフルとしては珍しく、フロントサイトよりも前方に銃身の一部が突き出ており、先端に装備したフラッシュサプレッサーにはライフルグレネードの運用能力がある。また銃身下部には、wz. 74 パラド グレネードランチャーの装着が可能である。これらのAK系アサルトライフルとの差異も、wz. 88 タンタルから継承したものである。

wz. 88 タンタルからの変化が著しいのは、むしろ外部オプションである。レシーバーカバー上部に覆いかぶせる形でピカティニー・レールを装着する[1]ことによって、ドットサイトやスコープを装備することを容易なものとした。

右側面折畳式銃床の形状は2本の鉄パイプとショルダーパッドを組み合わせたものが標準装備されているが、前後に伸縮可能な新型銃床を装着させることも可能である。下部ハンドガードも握りやすいように縦に溝が掘られたものが標準装備となっているが、一部のベリルは改良型の下部ハンドガードを装着している。この改良型ハンドガードは、ルーマニア製AIM / AIMS / AIMS-74と同様に下面から垂直フォアグリップが突き出ているほか、左右両側面に小型のピカティニー・レールを装備することが可能である。

数次に渡って改修が続けられており、後述のwz. 2004 ベリルもその1つである。

これらのwz. 1996 ベリル、wz. 2004 ベリルは、コソボ紛争イラク戦争アフガニスタンの治安維持活動等、NATO軍等の一員として海外派遣されたポーランド軍部隊に対し、弾薬の統一性・補給の確保を目的として支給された。しかし、近代化改修されているとは言えAKクローンモデルであり旧式化しつつあること、国家予算の制約等から、ポーランド軍全体への制式採用はなされていない(2011年までに累計45,000以上のwz. 2004 ベリルが配備されているが、それはポーランド軍の小銃の約半分である)。

そのため、ラドム社はポーランド軍向けには5.56x45mm NATO弾を使用する新型のモジュール・ライフル・システム(MSBS Radon)の開発を進めており、wz. 1996 ベリルおよびwz. 2004 ベリルは、AK-74系ライフルを軍用装備する国々に対する近代化改修モデル提案として輸出向けに力点を置いている。

派生型編集

Kbk wz. 96 ミニベリル(karabinek krotki wzór. 1996 Mini-Beryl
銃身長を235mmに短縮化したアサルトカービンモデル。銃口部分にはSkbk wz. 89 オニキスのものと同形状のフラッシュサプレッサーが装着されている。全長730 / 525mm、重量3.00kg。
ベリル・コマンド
銃身長を406mmに短縮化したカービンモデル。ガスピストン・シリンダーも短縮化され、ハンドガードの左右と下部にピカティニー・レールを装備する。
Kbs wz. 2004 ベリル(karabinek szturmowy wzór. 2004 Beryl
前部のハンドガードをすべて取り外し、その代わりに上下左右の4面全てにピカティニー・レールを装着させた改良型。前後に伸縮可能な新型銃床を装着。標準で垂直フォアグリップが装備される。
Kbk wz.1997 ボゾKarabinek wzór. 1997 (BOŻ-1)
wz. 96 ベリルをベースとするブルパップ方式のアサルトライフル。
Kbk wz. 2002 BINkarabinek wzór. 2002 BIN
wz. 97 ボゾをベースに設計されたブルパップ方式のアサルトライフル。外部は木製部品を使用しており、試作品の趣が強い。
Kbk wz. 2005 ジャンターkarabinek wzór. 2005 Janter
wz. 2002 BINをベースに設計されたブルパップ方式のアサルトライフルで、こちらはより実戦的な外見を有している。中国製の86S式自動歩槍ウクライナ製のVeprと同様、wz. 96 ベリルのレシーバーをほとんどそのまま利用している。
2007年から実戦配備が開始されているが、wz. 96 ベリル同様、ポーランド軍への配備は進んでいない。
ベリル M762
使用弾を7.62x39mm弾にしたモデル。海外への輸出がメインのライフルでナイジェリアが採用している。

脚注編集

  1. ^ ピカティニー・レールユニットは、照門部分と銃床基部で固定する。

関連項目編集


外部リンク編集