シトルリン

アミノ酸
L-シトルリンから転送)

シトルリン(Citrulline)とは、アミノ酸の1種で、尿素回路を構成する化合物のひとつである。1930年に日本でスイカの中から発見され、そのラテン語citrullusに因んで名づけられた。動物、特に哺乳類で広く存在する。化学式はC6H13N3O3IUPAC命名法では2-アミノ-5-(カルバモイルアミノ)ペンタン酸であり分子量は175.2g/mol。CAS登録番号は[372-75-8]である。

シトルリン
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識別情報
CAS登録番号 372-75-8 チェック
PubChem 9750
ChemSpider 9367 チェック
UNII 29VT07BGDA チェック
KEGG C00327 チェック
ChEMBL CHEMBL444814 チェック
722
特性
化学式 C6H13N3O3
モル質量 175.19 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ミトコンドリアオルニチントランスカルバモイラーゼによって触媒される、オルニチンカルバモイルリン酸の反応でリン酸と共に生成する。またサイトソルアスパラギン酸ATPと反応しオルニチンとAMPピロリン酸となる。この反応はアルギニノコハク酸合成酵素英語版によって触媒されるがこの酵素が欠けていると血中にシトルリンが蓄積し、また尿中に排出されるようになってシトルリン血症(シトルリン尿症)を発症する。

シトルリンはコドンで指定されているアミノ酸ではないため、遺伝子発現における翻訳(mRNAに依存したタンパク質合成)には用いられない。ただし、翻訳直後はタンパク質に含まれないが、タンパク質中のアルギニン残基がペプチジルアルギニンデイミナーゼ英語版によってシトルリンに変えられる。また関節リウマチ患者の80%はシトルリンを含むフィラグリン免疫反応を示すため、抗環状シトルリン化ペプチド抗体が診断に用いられている[1]

生体での機能 編集

シトルリンは体内での尿素回路でアルギニンを経て一酸化窒素(NO)を産生する。NOが産生されると血管は拡張し、血液循環を促進する。NO産生による血流改善により、動脈硬化の予防・改善、神経系・免疫系への作用が示唆されている。なお、NO産生に関わるアミノ酸としてアルギニンがあるが、アルギニンよりもシトルリンを摂取したほうが血中アルギニン濃度を上昇させて、より効率良くNOを産生する[2]

出典 編集

  1. ^ 大田俊行 『関節リウマチにおける抗シトルリン化ペプチド抗体測定の有用性』 モダンメディア 53巻 8号 2007年[新しい検査法]
  2. ^ http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-08.pdf 生化学 第86巻第3号(2014)

外部リンク 編集

シトルリン|「健康食品」の安全性・有効性情報 | 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所