LOOSE (B'zのアルバム)

B'zのアルバム
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LOOSE』(ルース)は、日本の音楽ユニットB'zが1995年11月22日にRooms RECORDSからリリースした8作目のオリジナル・アルバム

LOOSE
B'zスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル
時間
レーベル Rooms RECORDS
プロデュース 松本孝弘
チャート最高順位
  • 週間1位(オリコン
  • 1996年度年間3位(オリコン)
  • オリコン歴代アルバムランキング21位
ゴールドディスク
  • 3ミリオン(日本レコード協会[1]
  • B'z アルバム 年表
    • LOOSE
    • (1995年)
    EANコード
    EAN 4938068100805
    『LOOSE』収録のシングル
    1. ねがい
      リリース: 1995年5月31日
    2. love me, I love you
      リリース: 1995年7月7日
    3. LOVE PHANTOM
      リリース: 1995年10月11日
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    概要 編集

    前作『The 7th Blues』から約1年8ヶ月ぶりのオリジナル・アルバム。

    通常盤のみの発売で、ブックレット(写真集)が付属しており、ブックレットとCDケースを入れる紙製の三方背スリーブケースも付属している。

    「B'zは2人」という原点に立ち返って制作され、大きなターニングポイントとなった作品。アルバムジャケットもこれに則り、白い背景にメンバー2人が被写体になっているシンプルなものとなっている[2]

    本作制作前に、制作スタッフ集団だった「B+U+M」を解散し、メンバー(松本孝弘稲葉浩志)の2人が製作の中心となりサウンドを構築した。本作から稲葉もアレンジャー(編曲)としてサウンド作りから参加、池田大介もアレンジャーとして初参加している。

    また、ハワイでのプリプロも行われ、そこでは4曲が製作された。

    アルバムタイトル「LOOSE」は、テーマや発売日など制約が決まっておらず、自由にやったことから付けられた[注 1]

    本作からアルバムに入るシングル曲の収録数が変わり、「ねがい」、「love me, I love you」、「LOVE PHANTOM」の3曲が収録されている[注 2]。ただし、前年に発売された「MOTEL」は未収録となった。

    前作「The 7th Blues」に引き続き歌詞カードには曲ごとに松本が使用したギターが記載されている。

    演奏時間が3分台の曲が多数収録されるようになったのも本作からである。また、5分を超える曲が存在しない初めての作品でもある[注 3]

    B'zのアルバムで初めて累計売上300万枚を達成し、オリジナル・アルバムでは最高売上を記録した。また初動売上は133.6万枚、3度目の歴代最高初動売上を記録した。

    第10回日本ゴールドディスク大賞でグランプリ・アルバム賞を受賞した[3]

    2018年に結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[4]

    収録曲 編集

    CD
    全作詞: 稲葉浩志(#14を除く)、全作曲: 松本孝弘。
    #タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
    1.「spirit loose」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘
    2.「ザ・ルーズ」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志・池田大介
    3.ねがい ("BUZZ!!" STYLE)」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    4.「夢見が丘」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    5.「BAD COMMUNICATION (000-18)」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    6.「消えない虹」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志・池田大介
    7.love me, I love you (with G Bass)」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・池田大介
    8.LOVE PHANTOM稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・池田大介
    9.「敵がいなけりゃ」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・明石昌夫
    10.「砂の花びら」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    11.「キレイな愛じゃなくても」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志・池田大介
    12.「BIG」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    13.「drive to MY WORLD」稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘・稲葉浩志
    14.「spirit loose II」(Secret Track)稲葉浩志(#14を除く)松本孝弘松本孝弘
    合計時間:

    楽曲解説 編集

    1. spirit loose
      アルバムタイトル決定後、オープニング用に制作された。
      当初はレコーディング・ブース内の10箇所にラジカセを設置して録音していたが、音が悪く断念したという話がある[5]
      松本によるエレクトリック・ギターの伴奏と、稲葉のシャウトだけで構成されている。曲の終了と同時に「ザ・ルーズ」へと続く。
      ブックレットに歌詞は記載されていないが実際には歌詞(全英詞)が存在し、ブックレットにも「作詞:稲葉浩志」と表記されている。
      本作発売時に出演した『ミュージックステーション』では、「LOVE PHANTOM」のイントロとしての組み合わせで披露された。また曲間では、タイアップであった『Xファイル』の映像も一部使用した。
    2. ザ・ルーズ
      ハワイで製作された楽曲[6]
      アルバムタイトルの正式な読みは「ルース」だが、こちらには濁点が付いている。
      制作当初は大幅にテンポの遅いシンプルな曲だったが、「東京だとあのテンポでは合わない」という理由で現在のアレンジとなった。
      歌詞は家庭教師アルバイトをしていた大学生時代の稲葉の経験をモチーフにしており[6]、「授業はサボりたい」、「家賃なんて払いたくない」など愚痴っぽいフレーズが多数登場する。また、「ファミコン」という単語、ブックレットに記載されていない台詞やラップがあるのも特徴。
      B'z SHOWCASE 2007 -B'z In Your Town-』で約11年ぶりに演奏された。
    3. ねがい ("BUZZ!!" STYLE)
      16thシングルのアルバムバージョン。
      シングルバージョンより曲が長く、フェード・アウトではなくなり、ギターリフを主体としている。
      アレンジは、同年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"』で披露されたものをベースにしている。ただし、実際に披露された際のイントロのピアノはシングルバージョンであり、かつ間奏のキーボードソロも存在しなかった。
      ライブでシングルバージョンを演奏する場合でも、イントロのピアノはこのアルバムバージョンを用いることがほとんどである。
      『ミュージックステーション』で2回目に披露した際はこのアルバムバージョンを演奏した。
    4. 夢見が丘
      16thシングルの候補に挙がっていた曲[7]
      制作には苦労したらしく、同年2月に曲は出来上がっていたが、歌入れが終わったのは8月であった。
      ファンからの人気が高く、ベスト・アルバム『B'z The Best "ULTRA Treasure"』のファン投票で6位にランクインして収録された[8]
      香港での人気投票では第1位となり、『B'z LIVE-GYM in Taipei 2001』、『B'z LIVE-GYM in Hong Kong 2001』で演奏された。また、現地で発売された『B'z The Best "Treasure"』にはボーナストラックとして収録された。日本では2008年に行われた『B'z LIVE-GYM 2008 "ACTION"』で約12年ぶりに演奏され、その後も『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』、無観客配信ライブ『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』のDay2でも演奏された[9]
    5. BAD COMMUNICATION (000-18)
      1stミニ・アルバム『BAD COMMUNICATION』収録曲のリメイクバージョン。
      前年に行われた『B'z LIVE-GYM '94 "The 9th Blues"』で披露されたアコースティック・バージョンが元になっている[10]
      000-18」とは、本曲で使用しているマーティンの「000-18」(トリプル・オー・エイティーンと読む)というアコースティック・ギターに由来する[10]
      キーは原曲より半音高いホ短調に設定されており、原曲にあった3番はカットされ、演奏時間も短くなっている。
      一部歌詞カードと歌唱が異なる部分があり、歌詞カードに注意書きがされている。
      本来は16thシングル『ねがい』の2nd beatにする予定だったが、「アルバムに入れても面白いのでは?」という理由で、本作に収録された。また、『"BUZZ!!" THE MOVIE』のエンドロールに本曲が使われている。
      後年の一部のライブではこのバージョンのギターリフを取り入れたアレンジで演奏されている[注 4]
    6. 消えない虹
      ピアノを中心に構成されたバラードで、B'zの楽曲では最もギターが使用されていない曲の一つ。
      ハワイでのプリプロ終盤に製作[6]され、その模様はファンクラブイベント「VIDEO-GYM#02」でも公開された[注 5]。メンバー曰く「スタジオの人たちへのお別れソングみたいな気分だった」。
      ファンからの人気が高く、ベスト・アルバム『B'z The Best "Treasure"』の収録曲を決めるファン投票では25位となり[11]収録を逃したが、『B'z The Best "ULTRA Treasure"』では28位となり収録された[8]。また、バラード・ベスト・アルバム『The Ballads 〜Love & B'z〜』にも収録されている。
      DVD『"BUZZ!!" THE MOVIE』では、エンドロールにて全英詞のデモバージョンを聴くことができる。
      2018年に行われたファンクラブ限定ライブ『B'z PARTY Presents B'z Pleasure in Hawaii』で約22年ぶりに演奏された。
    7. love me, I love you (with G Bass)
      17thシングルのアルバムバージョン。
      「with G Bass」の「G」は「Great(グレート)」と、金髪Golden hair)だったサポートメンバー明石昌夫を意味する[12]
      「アルバムでは雰囲気を変えたい」ということから、ベース打ち込みから生音に差し替えられ、ギターの音が大きくなっている[13]ほか、コーラスが一部追加されている。
      ライブではこのバージョンのコーラスが使用される[注 6]
    8. LOVE PHANTOM
      18thシングル。
      本作では最後に制作された。
    9. 敵がいなけりゃ
      MOTEL』の頃に「B+U+M」で作られた楽曲で、その当時の仮タイトルは「ADDICTED」だった[7]
      1998年にビーイングと契約終了した明石昌夫が在籍時にアレンジに加わった最後の曲[注 7]
      軍隊行進曲をイメージする社会風刺の曲。
      歌詞は主にジャーナリズムに対して、批判精神の形骸化、自己目的化、物神化を皮肉っている。
    10. 砂の花びら
      松本は「乾き系の曲」と評しており、「Queen of Madrid」と同タイプの曲。
      前曲「敵がいなけりゃ」と共にライブ未演奏。
    11. キレイな愛じゃなくても
      メンバー曰く、「ハワイの公園で作った」曲。
      アルバムツアー以降長らく演奏されていなかったが、2009年に行われたツアー『B'z SHOWCASE 2009 -B'z In Your Town-』で約13年ぶりに演奏された。
    12. BIG
      アコースティック・ギターと打ち込みだけで作られた曲だが、アレンジはアメリカン・ロック調など数パターン存在していた[12]
      歌詞は曲名の通り、自分の周りに起きた様々な出来事をきっかけに「明日を大きく生きる」と決意する男を歌っている。稲葉によると歌詞の舞台は東京の麻布十番。当時松本は「この曲は歌詞に尽きる」とコメントした。
      MVも制作されており、赤いオープンカーを運転しながら歌う稲葉と、そのオープンカーに乗りながらギターを弾く松本の映像で構成されている。
      アルバムツアー以降長らく演奏されていなかったが、2023年に行われたツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』で約27年ぶりに演奏された[14][15]
    13. drive to MY WORLD
      ハワイで製作された楽曲[6]
      ギターとオルガンが楽曲全体の色を特徴付けており、バンド色の強い楽曲・編曲。
      稲葉が本作で一番好きな曲として挙げている。
      歌詞に「セブンイレブン」が登場するため、その部分はNHKでは流れなかった[7]
      ライブでは松本だけでなく稲葉もエレキギターを演奏した。
    14. spirit loose II
      シークレットトラック
      エレクトリック・ギターとフットステップだけで作られたインストゥルメンタル
      本曲は、パッケージなどに記載されておらず[注 8]シークレットトラック扱いされているが、日本レコード協会へ正式な曲名を申請しなくてはいけないため曲名が付けられた。
      台湾版、香港盤でもこの曲名が付けられている。なお、BGV.JP内で配信された『LOOSE』でも、14曲目は「spirit loose II」とされている[16]
    15. ねがい (LIVE ver.)
      台湾盤、香港盤にのみ収録されているボーナス・トラック。音源は過去の映像作品のもの。
    16. LOVE PHANTOM (LIVE ver.)
      台湾盤、香港盤にのみ収録されているボーナス・トラック。音源は過去の映像作品のもの。

    参加ミュージシャン 編集

    ライブ映像作品 編集

    シングル曲については各作品の項目を参照

    夢見が丘

    BIG

    脚注 編集

    注釈 編集

    1. ^ メンバーは「ダラダラとルースにやったから」とコメントしている。
    2. ^ 以前はアルバムの全体像を重視し、年に2枚程度出されるシングルのうちアルバムの発売前に出る先行シングルしかアルバムに入っていなかったが、本作は制作期間が同じだったことから収録となった。
    3. ^ ただし、「ねがい ("BUZZ STYLE")」は空白を含め5分超となる。本作以後、『GREEN』、『THE CIRCLE』、『MAGIC』、『EPIC DAY』は5分を超える曲が存在しない
    4. ^ B'z LIVE-GYM Pleasure '97 "FIREBALL"』、『B'z LIVE-GYM '99 "Brotherhood"』、『B'z LIVE-GYM The Final Pleasure "IT'S SHOWTIME!!"』など
    5. ^ 後にファンクラブ限定で配布されたDVD『B'z Official Bootleg Hidden Treasure 〜Typhoon No.20〜』にも収録された。
    6. ^ 2005年にシングル『愛のバクダン』のプロモーションで出演した『僕らの音楽』と『ミュージックステーション』でも、こちらのバージョンのコーラスが使用された。
    7. ^ 現在、明石が最後にB'zの作品で編曲に関わったのは、契約終了後の2000年に手掛けた「UBU」(29thシングル『juice』2nd Beat)である。
    8. ^ 記載されている曲名は「spirit loose」から「drive to MY WORLD」までの13曲。

    出典 編集

    1. ^ 5月度「ゴールド・アルバム」他認定作品」『The Record』第440号、日本レコード協会、1996年7月1日、5頁。 
    2. ^ mfm I 2013, p. 222.
    3. ^ 第10回日本ゴールドディスク大賞 / Gold Disc Hall of Fame 10th|THE GOLD DISC”. 日本レコード協会. 2019年10月27日閲覧。
    4. ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日). https://rockinon.com/news/detail/174432 2018年11月10日閲覧。 
    5. ^ mfm I 2013, p. 224.
    6. ^ a b c d B'z The Book 1998, p. 33.
    7. ^ a b c 『be with!』第28巻、B'z Party、1995年12月。 
    8. ^ a b “B'z The Beat “ULTRA Treasure”リクエスト集計最終結果 TOP30”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2008年7月16日). https://www.barks.jp/news/?id=1000041791 2019年11月23日閲覧。 
    9. ^ B'z無観客配信ライブ「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day2」レポート”. ローソンチケット. 株式会社ローソンエンタテインメント. 2020年11月17日閲覧。
    10. ^ a b mfm I 2013, p. 252.
    11. ^ mfm I 2013, p. 237.
    12. ^ a b mfm I 2013, p. 251.
    13. ^ mfm I 2013, p. 11.
    14. ^ “B’z、無数の“STARS”と分かち合った35年分の思い「皆さんこそがB’zにとって最大のHERO」”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2023年9月27日). https://natalie.mu/music/news/542348 2023年9月27日閲覧。 
    15. ^ “【ライブレポート】B'z、何が起ころうとも変わらぬ誠実さと誉れ高きプロ意識”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2023年9月27日). https://www.barks.jp/news/?id=1000240306 2023年9月27日閲覧。 
    16. ^ B'z | LOOSE”. Musing. ビーイング. 2020年10月24日閲覧。

    参考文献 編集

    • 『Treasure : B'z Chronicle 1988〜1998 10th anniversary special issue』ROOMS RECORDS、1998年9月20日。 
    • 『music freak magazine & Es Flash Back B'z XXV Memories I』エムアールエム、2013年。 

    外部リンク 編集