M9化学兵器検知紙(M9かがくへいきけんちし、M9 Detector Paper)は化学兵器の検知器剤[1][2][3]アメリカ軍においては、1980年代に制式採用された[1]

長さ30フィート (9.1 m)、幅2インチ (5.1 cm)の茶色の紙テープであり、裏地が粘着テープのため、それを用いてズボンや袖口等に貼り付けて使用する[1][3][4]。その際、検知用染料には発がん性物質が含まれているため、手袋を用い、皮膚で直接触れてはいけない[3][4]M8化学兵器検知紙より感度は高く、神経剤及びびらん剤液体に反応(気体には反応しない)し、赤みを帯びた色に変色する[3][4]。化学兵器を検知した場合は、直ちに防護措置ないし除染の実施が求められる[3]

検知した物質の特定はできないため、それにはM8化学兵器検知紙等を用いて調査を行う必要がある[4]。また、不凍液や、その他の有機溶媒にも反応し、偽陽性を示す場合があるため、注意を要する[2][4]

脚注 編集

  1. ^ a b c Jeffery K. Smart. “A Century of Innovation THE ARMY'S CHEMICAL AND BIOLOGICAL DEFENSE PROGRAM” (PDF). p. 52. 2020年10月4日閲覧。
  2. ^ a b 瀬戸康雄「生物化学剤の現場検知法」『分析化学』第55巻第12号、日本分析化学会、2006年、891-906頁、2020年10月4日閲覧 
  3. ^ a b c d e UNITED STATES MARINE CORPS. “FMSO 210” (PDF). p. 2-95. 2020年10月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e M8検知紙、M9検知紙使用法」、鳥取県西部広域行政管理組合、2020年10月4日閲覧