ミニ (BMW)
ミニ (Mini ) は、ドイツの自動車メーカーであるBMWが展開している小型車のブランドである。ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)時代のミニをモチーフとして2001年に登場し、BMWが一から開発した初の前輪駆動車となった[注 1]。BMC時代のミニと区別する場合、BMC製を「クラシックミニ」「ローバーミニ」、BMW製を「ニューミニ」「BMWミニ」などと呼称されることがある。
概要編集
ミニの後継車の開発は、1994年にBMWがローバーを傘下に収め、生産をはじめとするミニに関する全ての権利を有したことで開始された。
開発当初はイギリスを拠点にローバーが中心となって進められ、1997年のジュネーヴ・モーターショーで2台のコンセプトカーが公開された。しかし、ローバーの経営が悪化の一途を辿ったことから、ローバーはBMWの傘下から離脱することになったため、次期ミニの開発拠点もドイツに移された。インチサイズのヤード・ポンド法から、ミリを用いるメートル法への再設計を行うなどの紆余曲折の末、2001年に新生ミニが発表された。
ボディサイズは軽自動車規格より小さかったBMCミニと比べて大幅に拡大され、各種ボディカラー、インテリアカラー、オプション装備を組み合わせることにより、バリエーションは約10万通りにも及ぶ。先代が40年間キープコンセプトで生産していたのと同様に、モデルチェンジを経てもほぼ同じデザインを継承している。
日本ではBMW JAPANが3月2日を「ミニの日」と制定し、2002年3月2日に発売された。正規輸入される全車種の全グレードでMTが選択可能であったが、2014年9月8日のカントリーマンのマイナーチェンジより、AT限定のモデルが設定されるようになった。
BMWはミニの生産にあたり、オックスフォード近郊にある旧ローバーのカウリー工場を本社とする生産子会社の“BMW (UK) Manufacturing Ltd”を設立し、オックスフォード工場として2001年4月から生産を開始した。BMWグループとなった後もMINIの伝統を守る方針から、ドイツではなくイギリスで生産されているが、カントリーマンとペースマンはオーストリアのマグナ・シュタイアが生産している[1]。
増産対応のため、2006年9月12日よりミニプロダクション・トライアングル(通称:トライアングル)と称される英国内3工場での生産が開始された。ボディパネルのプレス、シャーシコンポーネントとサブASSYはスウィンドン工場、シャーシ、塗装、完成車組立はオックスフォード工場、以前ブラジルで行っていたミニ専用ガソリンエンジンの生産は、バーミンガム近郊のハムス・ホール工場が担当している。
初代 (2001年 - 2006年) R50/52/53 R16編集
ミニ | |
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ワン | |
概要 | |
販売期間 | 2001年-2006年 |
ボディ | |
ボディタイプ |
ハッチバック コンバーチブル |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン | 直列4気筒 1.4L/1.6L NA/SC/]] |
最高出力 | 90-170ps |
変速機 | 5MT/6MT/6AT/CVT |
サスペンション | |
前: ストラット 後: マルチリンク | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,465mm |
全長 | 3,625mm |
全幅 | 1,690mm |
全高 | 1,425mm |
車両重量 | 1,130kg/1,270kg(コンバーチブル) |
その他 | |
最小回転半径 | 5.1m (ワン) |
系譜 | |
先代 | BMC・ミニ |
2001年3月2日発売開始。ボディは3ドアハッチバックとコンバーチブルで、型式のR50はハッチバックのワンとクーパー、R52はコンバーチブル、R53はハッチバックのクーパーSを表す。基本グレードは3種類で、90psのワン、エンジン制御プログラムの変更により116psに出力を高めたクーパー、スーパーチャージャーを装着した163ps[注 2]のクーパーS。デザイナーは、フランク・ステファンソン[注 3]。
メカニズム編集
エンジンは、BMWとクライスラーとの合弁会社でブラジルに拠点を置くトライテックが製造する、1.6Lの通称トライテック・エンジン[注 4]を搭載。スーパーチャージャーの1.6 Lは、1.4 Lから1.8 Lのカテゴリーにおいて「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー for 2003」「テン・ベスト・エンジン2005」を受賞している。欧州仕様には1.4 L コモンレール式ターボディーゼルを搭載するワンDも設定されており、このためにトヨタから、欧州向けのヤリスとカローラ用の1ND-TVが供給されていた。トランスミッションは、ワンとクーパーが5速MTとCVT、クーパーSは6速MTと6速AT[注 5]。
サスペンションは、フロントにストラット、リヤにマルチリンクを採用する。また、ワンはばねやダンパーの設定が比較的柔らかめなのに対して、クーパーは前後ともスタビライザーを装備し、ばね定数とダンパー減衰力を高めたスポーツサスペンションを、クーパーSは更に径の太いスタビライザーと、堅めのダンパーを持ったスポーツサスペンションプラスを標準装備している。
バリエーション編集
コンバーチブル編集
2004年9月に発売された[注 6]。電動ソフトトップを採用し、フルオープンまでの所要時間は約15秒。電動開閉が可能なだけでなく、ウインドシールド上部にあるスイッチを1回押すと40cmほど開いた所で一度停止するサンルーフモードとなり、再度スイッチを押し続けるとZ字型に折り畳まれてフルオープンとなる凝った仕掛けとなっている。
Bピラーを結合するロールバーがないため、サイドシル (左右ドア下部フレーム) の板厚を増して補強プレートを追加し捻り剛性を確保したほか、Aピラーのスチール製パイプによる補強、アルミロールバーの追加、極太フレーム付きの幌、側面衝突対策としてドアの強化等が施されたことなどにより、重量はハッチバックのクーパー比で約130kg増加し1,270kgとなった。グレードはクーパーとクーパーS。2007年5月、専用デザインのホイールやレザーシートを装備、特別色を用意した「サイドウォーク」が発売された[2]。
沿革編集
2004年、コンバーチブルの追加に合わせ、既存のサルーンもマイナーチェンジが行われ、ヘッドランプ周り、前後バンパー形状、リアコンビランプ割付、リアフォグランプ配置、インテリアの見直しなどが施された。2005年、BMC時代のモデルをモチーフに、それぞれポップ・シック・スポーツをテーマとしてドレスアップを施した「セブン」「パークレーン」「チェックメイト」が追加[3][4]。同時に、バックミラーやドアハンドルなど、インテリアデザインを中心にマイナーチェンジが施され、専用色と特別装備が設定された。2006年9月、「クーパーS with JCW GP kit[注 7]」という全世界2000台の限定生産モデルが日本でも160台が発売された。11月、日本専用として限定300台[注 8]の「デザイナーズチョイス」が発売された[6]。
第2世代 (2006年 - 2016年) R55/56/57/58/59/60/61編集
ミニ | |
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クーパー | |
概要 | |
販売期間 | 2006年11月-2016年 |
ボディ | |
ボディタイプ |
ハッチバック エステート コンバーチブル カントリーマン クーペ ロードスター |
駆動方式 | FF/4WD |
パワートレイン | |
エンジン | 直列4気筒 1.4L/1.6L NA/ターボ |
最高出力 |
98-211ps(72kW-155kW) 6000rpm |
最大トルク |
15.6-26.5kg·m(153-260N·m) 1850-5600rpm |
変速機 | 6速MT/6速AT/CVT |
サスペンション | |
前: ストラット 後: マルチリンク | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,465-2,595mm |
全長 | 3,715-4,120mm |
全幅 | 1,685-1,790mm |
全高 | 1,430-1,550mm |
車両重量 | 1,130-1,460kg |
その他 | |
最小回転半径 |
5.1m (ワン) 5.5m (クラブマン、クラブバン) 5.8m(カントリーマン) |
2006年のパリサロンで発表。2006年11月、クーパー、クーパーSが英国とドイツで発売開始、日本での発売は2007年2月24日。同年4月、英国を皮切りにベーシックモデルのワン、クーパーDが発売されたが、日本にはワンのみが導入されている。ハッチバックのサルーンは第2世代となったがコンバーチブルは初代が継続して生産され、2009年モデルより新型へ移行した。なお、この代でバリエーションが一気に増え、全7種のボディを持つようになった。型式については、R55はクラブマン(含:クラブバン)、R56はサルーンのワン、クーパー、クーパーS、R57はコンバーチブル、R58はクーペ、R59はロードスター、R60はカントリーマン、 R61はペースマンを表す。
オリジナルミニ同様、「変わらない良さ」が基本コンセプトとなっており、外観は、先代ミニとの区別が難しいほど類似しており、「変えないこと」に対する意思が強く現れている。ボディーサイズは前後左右に20mmほど拡大された。ヘッドランプはエンジンフードから車体側に固定されたため、コスト低減と共にフードの開閉も軽くなった。燃費、省資源や安全面は相応の改良が施され進化しているが、R53 クーパーSと比べ新型クーパーSの車重は+30kgの1,210kgとなった。
2013年7月11日、世の中で長く愛され続ける秘訣を探るため、日本のゆるキャラであるくまモンがオックスフォード工場を訪れた。これは、イギリスの国民的キャラクターベアであるパディントンベアから招待されたためである。パディントンベアとのツーショットが実現したのはもちろん、サプライズとしてR57をベースとした「くまモンMINI」も披露された[注 9]。このモデルは2016年現在、クーペ、オープンカーを除いて日本国内で新車販売されている数少ないハードトップの車種である。
メカニズム編集
エンジンは、BMWとフランスのPSAグループとの共同開発による「Prince」のコードネームで呼ばれた新型。バルブトロニック技術を採用した直列4気筒DOHC1.6L (120ps) のクーパーと、通常のバルブ機構を備えた1.6L ツインスクロール直噴ターボ (175ps) のクーパーS。2007年に1.4L (95ps) のワンと1.6L ターボディーゼル (110ps) のクーパーDが追加されたことにより、ディーゼルエンジンに関するトヨタとの提携関係は解消された。トランスミッションはゲトラグ製6速MTと、パドルシフト付きのアイシンAW(現:アイシン)製6速ATが用意され、油圧制御式湿式多板クラッチの制御問題から評判の良くなかったCVTは引き継がれなかった。
後期モデル(2010年3月〜)からはMT車にアイドリングストップ機構が追加された。
バリエーション編集
クラブマン編集
シリーズ初となるエステートで、往年のシリーズ名から「クラブマン」と名づけられた。発売に先立つ2007年7月29日から写真と動画が配信、日本ではクーパー、クーパーSの展開となり2007年10月の東京モーターショーで発表と受注が開始され、2008年3月2日 (ミニの日) に納車が開始された[8]。
2005年のフランクフルトモーターショー (IAA) で発表されたコンセプトカーのスタイルを踏襲している。全長はワンと比べて240mm長く、ホイールベースも延長された。「アシメトリック・クラブドア」と呼ばれる左右非対称ドアを採用し、車体右側にのみ観音開きの小さなリアドア(クラブドア)が追加されている。このクラブドアはマツダ・RX-8やトヨタ・bB オープンデッキ、サターン・アイオン クアッドクーペなどと同様に、前席ドアをいったん開いてからでないと開けることができない構造である。バックドアは左右対称の観音開きでヒンジの中心線が垂直ではなく、前傾している所などもオリジナルに倣っている。
“コントラスト・リアピラー”と呼ばれる車体後端の隅は外板と異なる色で仕上げることが可能で、これも往時のウッドフレームを彷彿とさせる。リアのコンビネーションランプを囲む部分はバックドアのヒンジを兼ねているため、ドアを開けた場合もランプ類は車体側に残る構造となっており、被視認性を確保した上でヘッドランプとエンジンフードの関係を反復する遊びも見せている。
クラブマンの派生車種として商用パネルバンの「クラブバン」がある。2012年のジュネーブモーターショーでコンセプトモデルとして発表され、後に日本市場にも少数ながら導入された。クラブマンとの大きな違いは2シーターであることと、リアクオーターウィンドウ部分にボディ同色のフィルムが貼られていること等である(室内側には樹脂パネルが貼られている)。後部座席がないため、ラゲッジスペースはクラブマンの260Lに対し860Lとなっており、車重も50kg軽量である。日本では各種法規の関係で4ナンバーではなく5ナンバーとして登録される。
コンバーチブル編集
2009年に追加された。グレードはクーパーとクーパーS。ソフトトップは走行時でも30km以下であれば動作可能となっている。横転時の安全を確保するロールバーは、先代の固定式から格納式となり、横転を検知すると0.15秒で伸長する。荷室容量は先代比で+5L、後席を倒した状態では+55Lに拡大された[9]。
カントリーマン(日本名:クロスオーバー)編集
2008年のパリサロンで発表された「MINIクロスオーバー」がルーツで、2010年1月に発表、同年9月より欧州で販売を開始。シリーズ初の4ドアであり、 クロスオーバーSUV[注 10]でもある同車のボディサイズは、全長4,105 mm×全幅1,790 mm×全高1,550 mmで、ホイールベースも2,595 mmとシリーズで最も大きく長い。全長はサルーン比で+365 mm、エステートのクラブマンと比べても125 mm長く、全高は1,561 mmでサルーン比+120 mmとなる。
日本仕様の特徴として、機械式立体駐車場への駐車できるようにルーフアンテナのマウント形状を日本専用に開発し、全高を1,550 mmとしている点が挙げられる。全幅が1,700 mmを超えるため、日本で正式発表されるシリーズでは初の3ナンバー登録車である。
インテリアは独立タイプの後席が標準だが、オプションで3人掛けのベンチシートも用意。スライド機構とリクライニング機構を備え、荷室容量は通常で350 L、後席を格納すると最大1,170 Lとなる。足元、頭上、ショルダー周りが広く、シートポジションは他モデルより高めとなっている。特有の装備としてセンターコンソールの代わりに“MINIセンターレール”が採用され、小物入れやドリンクホルダー、外部オーディオ機器などを自由に装着可能となっている。
初代ラインナップは、ワン、クーパー、クーパーS、クーパーSで4WDも設定される。エンジンは全て1.6 Lで、ワンとクーパーが、それぞれ最高出力98 psと122 ps、最大トルク15.6kg·mと16.3kg·mのNA、クーパーS、クーパーS ALL4には最高出力184 ps、最大トルク24.5 kg·mを発生するツインスクロールターボを搭載。クーパーS ALL4はシリーズ初となる4WDシステム“MINI ALL4”を採用、ファイナルドライブに直接取り付けられた電子制御油圧式ディファレンシャルによって前後アクスルの駆動力配分を無段階に制御。駆動配分量は走行状況に応じて前後0:100 - 100:0まで自動的に変化する。
2014年9月8日のマイナーチェンジにより、クーパーSが廃止され、ディーゼルが追加された。ただし、ディーゼルはAT限定となり、全車種全グレードでMT選択ができなくなった。ラインアップはワン、クーパー、クーパーSD、クーパーDで、4WDも設定される。エンジンはディーゼルが2.0 Lとなり、クーパーD、クーパーD ALL4には最高出力112 ps、最大トルク27.5 kg·mを発揮するターボディーゼルを搭載。クーパーSDには最高出力143 ps、最大トルク31.1·mを発揮するターボディーゼルを搭載。
クーペ編集
2011年6月20日、シリーズ5番目のバリエーションとして追加された。同年9月27日、日本仕様の発表と同時に予約を開始した。グレードはクーパー、クーパーS、ジョン クーパー ワークス (JCW) の3種。シリーズ初の2人乗りであり、同時にボディ後部にリアデッキがある3ボックス型でもある。ミニでは「クラシックなグラン・ツーリスモ (GT) スタイル」と表現している。室内はリアシートを備えない代わりに、荷室容量はハッチバック比で+120Lの280Lを確保している[10]。
エクステリアは、フロントウインドシールドがシリーズ中最も大きく傾斜し、車高もハッチバックより40mm以上低い。また「ヘルメットルーフ」と呼ばれるルーフは2トーンカラーで塗り分けられ、その後端に帽子のつばを連想させるスポイラーを装着。加えて、トランクリッドには走行速度が80km/hを超えると自動的にせり上がる格納式のウイングも備えている[10]。
ロードスター編集
2011年10月30日、シリーズ6番目のバリエーションとして2009年のフランクフルトモーターショーに出品された「MINIロードスターコンセプト」を市販化した「MINIロードスター」を発表[11]。グレードはクーペ同様、クーパー、クーパーS、ジョン クーパー ワークス (JCW) の3種。
日本仕様は2012年1月19日に発表・受注を開始。なお、日本では登場を機に布袋寅泰とのコラボレーションモデル[注 11]を特別に製作することを発表[12]。後に「HOTEIxMINIコラボカー」としてブラックのロードスターをベースにホワイトの幾何学模様を模した「ギタリズム・モデル」とレッドのクーペをベースにブラックの炎を模した「ブラック・ファイヤー・モデル」が製作され[13]、全国各地で展示されている[14]。
同じオープンモデルでもある「コンバーチブル」との決定的な違いとして、2シーターで独立したトランクを備えている事が挙げられる。これはコンバーチブルがサルーンをベースにしているのに対し、ロードスターがクーペをベースにしているためである。ソフトトップの開閉は手動式を採用し、ベースのクーペ同様に格納式ウイングも備わる。なお、後期モデルについてはオプションでソフトトップの電動式開閉を選べるようになった。
2015年2月12日、クーペとロードスターの生産終了が明かされた[15]。
ペースマン編集
2011年1月、デトロイトショーで世界初公開、2013年3月に発売された。カントリーマンをベースとした3ドアのクーペ仕様で、ミニではクロスオーバーSUVでは無くSAC[注 12]としている。名称は、MINIブランド全体をペースメーカーのように引っ張ってゆくモデルになって欲しいとの願いから名付けられ[16]、リアゲートに名称のエンブレムが付く(カントリーマンもマイナーチェンジで同様のエンブレムが追加された)。初代グレードは、クーパー、クーパーS、JCWで、カントリーマンと同様に4WDも設定される。
2014年9月8日のマイナーチェンジによりグレードは、クーパー、クーパーS、クーパーDが設定されている。
カントリーマンと比較して、スポーティーなセッティングとされているほか、ボディサイズは全長+15mm、全幅−5mm、全高−20mm。荷室の容量は−20Lとなる330Lで、リアシートを畳むことで1,080Lに拡大する[17]。
第3世代 (2013年 - ) F54/F55/F56/F57/F60編集
ミニ(第3世代)[注 13] | |
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クーパーS 3ドア 2013年発売型 | |
クーパーD 3ドア 2021年改良型 | |
運転席 | |
概要 | |
販売期間 | 2013年 - |
ボディ | |
ボディタイプ | ハッチバック、ステーションワゴン、コンバーチブル |
駆動方式 | FF・4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
直列3気筒 1.2L/1.5L ターボ 直列4気筒 2.0L ターボ 直列4気筒 2.0L ディーゼル |
最高出力 |
ワン前期型 102ps(75kW)/4100rpm ワン後期型 102ps(75kW)/3900rpm クーパー 136ps(100kW)/4400rpm クーパーD(ディーゼル) 116ps(85kW)/4000rpm クーパーS 192ps(141kW)/5000rpm クーパーSD(ディーゼル) 170ps(125kW)/4000rpm ジョンクーパーワークス 231ps(170kW)/5200rpm ジョンクーパーワークスGP 306ps(225kW)/5200rpm |
最大トルク |
ワン前期型 18.4kgfm(180Nm)/1400rpm ワン後期型 19.4kgfm(190Nm)/1380rpm クーパー 22.4kgfm(220Nm)/1250rpm クーパーD(ディーゼル) 27.5kgfm(270Nm)/1750rpm クーパーS 28.6kgfm(280Nm)/1350rpm クーパーSD(ディーゼル) 36.7kgm(360Nm)/1500rpm ジョンクーパーワークス 32.6kgfm(320Nm)/1450rpm ジョンクーパーワークスGP 45.9kgfm(450Nm)/1450rpm |
変速機 | 6速MT/6速AT/7速DCT/8速AT |
サスペンション | |
前: マクファーソンストラット 後: マルチリンク | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,495mm |
全長 | 3,821mm |
全幅 | 1,727mm |
全高 | 1,415mm |
その他 | |
最小回転半径 | 5.1m |
JC08モード燃費 |
19.2km/L (MT) 17.9km/L (AT) |
ミニの生みの親であるサー・アレック・イシゴニス生誕107年に当たる2013年11月18日、オックスフォード工場で世界初公開[18]、2日後の11月20日には東京モーターショー2013でショー初披露、2014年のジュネーブモーターショーではドア数の変更と併せ、クラブドアが観音開きから全て前ヒンジの一般的な4ドアに変更された「クラブマン・コンセプト」が公開[19]、7月には5ドアハッチバックの生産が開始された[20]。ボディサイズの拡大により、日本では3ナンバー (普通車) 登録となる[21]。プラットフォームは新開発の「UKL」ならびに「UKL2」が採用され、ホイールは4穴から5穴へ変更され、PCDも100から112に変更された。なお、F54はクラブマン、F55は5ドア、 F56は3ドア、F57はカブリオ(日本名:コンバーチブル)、F60はカントリーマン(日本名:クロスオーバー)を表す。
エクステリアは「アイコニックデザイン」を踏襲した先代のキープコンセプトだが、インテリアは、初代から採用されていたセンターメーターが廃止されたことに伴い、スピードメーターは一般的なステアリング奥へと変更された。センターメーターが設置されていた位置には、iPhoneやAndroid端末にも対応する「MINI Connected」を備えた「センターディスプレイ」が設置され、オプションで車速を表示する「ヘッドアップディスプレイ」も設定した。
メカニズム編集
エンジンは、ガソリン&ディーゼル共に直列3気筒DOHC12バルブの1.2/1.5 L[注 14]、直列4気筒DOHC16バルブの2.0 L。BMWグループの“ツインパワーターボテクノロジー[注 15]”に基づくターボ仕様で、CO2排出量は、96 ps/70 kWのディーゼル1.2 Lが最小の89 g/km、最も高出力な221 ps/162 kWのガソリン2.0 Lでは172 g/kmとなっている[注 16]。トランスミッションは6速MTまたは6速AT。日本仕様はエコカー減税の対象となるよう、ドライブトレーンが独自に調整されている[23]。オプションのMINIドライビング・モードは、走行特性を標準のMID、ハンドリング重視のSPORT、燃費重視のGREENから選択可能。同モードを搭載するATモデルには、コースティング機能[注 17]が備わる[21]。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤがマルチリンクの基本構成は同じだが、ストロークが改善された。オプションとして、2段階に可変する電子制御式のダイナミックダンパーコントロール (DDC)[24]が設定され、ドライビング・モードとの組み合わせで連動制御が可能となっている[25]。
安全面では、5 km - 15 km/hで作動する自動ブレーキのドライビングアシスト、ETC内蔵のルームミラー、LEDヘッドランプ、アクティブクルーズコントロールなどが新たに採用された。また、前モデルではMT仕様のみに採用されていたアイドリングストップ機構が、AT車にも採用された。
また、クラブマンにはミニ史上初となる電動式パーキングブレーキも採用されている。 2019年現在、世界的に見ても採用例の少なくなったハードトップ車であり、日本国内でクーペ、オープンカーを除き新車で購入できる数少ないハードトップ車である。
モータースポーツ編集
BMC時代同様、ラリーを中心に活動している。2011年、プロドライブがBMWワークスとして、改定されたWRカー規定に則ったミニ・ジョン クーパー ワークス WRCでWRC参戦を開始。2012年のラリー・モンテカルロで、ダニ・ソルドが2位入賞するなどしたが、2月に資金を巡ってプロドライブとBMWの関係が決裂。代わってチーム・ミニ・ポルトガルがワークス指定を受けたが、結局優勝を挙げることはできないまま2013年を最後にミニはWRCから姿を消した。WRカーのベースとなったスーパー2000規定仕様も開発・供給されたが、大きな戦果を挙げることはできなかった。
WRCと同じく2011年から、これまでパイプフレームのBMW・X3CC[注 18]でラリーレイドに参戦していたX-レイドラリーチームの手により、X3CCの競技専用設計の鋼管フレームをカントリーマンに変えただけの[26]MINI ALL4 レーシングでラリーレイドにも参戦。エンジンは同じ直列6気筒ディーゼルの3.0Lツインターボで、最高出力315ps/231kW、最大トルク72.4kg·m/710N·mを発生する[27]。ダカール・ラリーでは2012年と2013年にステファン・ペテランセル、2014年はナニ・ロマ[注 19][29][28]、2015年にはナッサー・アルアティヤが勝利し、砂漠の王者の地位を築いた。
2016年と2017年は二輪駆動のプジョー・3008の後塵を拝したため、2018年は従来の四輪駆動車4台に加え、二輪駆動のバギー3台の計7台を投入。その後も両駆動形式での参戦を続けたが、2021年はついに二輪駆動を2台のみに絞り、それでも総合優勝を果たしている。
サーキットレースでは、米IMSAのコンチネンタル・タイヤ・スポーツカー・チャレンジにLAPモータースポーツをワークス支援する形で参戦している。
脚注編集
注釈編集
- ^ BMWが開発に関与したものでは1998年のローバー75とMG・ZTが初、BMWブランドでは2014年の2シリーズ アクティブツアラー(F45)が初。
- ^ マイナーチェンジ後は170ps。
- ^ 2002年7月からフェラーリ・マセラティ・グループのコンセプトデザイン担当役員を務め、2005年2月よりフィアット、2007年6月よりアルファロメオに在籍。
- ^ ペンタゴン・エンジンとも呼ばれる。
- ^ クーパーSのATは2005年のマイナーチェンジで追加。
- ^ ワンの販売は海外のみ。
- ^ JCW (ジョン・クーパー・ワークス) というこのモデルは、レーシングミニの名チューナーとしてのブランドイメージを強く押し出したモデルで、クーパーSの170psという出力に対して、48ps増の218psという高出力を引き出している。内装も後席を撤去し2シーター化されたほか、フォグランプやリアワイパーも撤去し、ヘッドランプも軽量化のためにHID→ハロゲンに変更している他、リアサスペンションのロアアームもアルミ製とし、JCW専用のセッティングとブレーキを採用するなど、走りに振った構成となっている。シートも全モデルがレカロ製のスペシャル品を採用する。軽量化の反面、大径の18インチホイールの採用や各部の強度アップ、整流板の追加などもあり、車両重量はクーパーSより15kgほど増の1,195kgとなった。他にも多くの部分で見直しが図られ、スポイラーや車体下部の整流板など空力にも手を入れられた結果、最高速度は240km/h、0-100km/h加速は6.5秒という、シリーズ最高の性能を発揮している[5]。
- ^ クーパーが100台、クーパーSが200台である。
- ^ 「くまモンMINI」は7月13日より故郷・熊本にあるMINI熊本で展示される[7]。
- ^ BMWではクロスオーバーSUVではなくSAV = Sports Activity Vehicle と呼称している。
- ^ 布袋のトレードマークである白黒の幾何学模様にデザイン
- ^ Sport Activity Coupe: スポーツ・アクティビティ・クーペ
- ^ 数値は3ドアハッチバックのクーパー
- ^ PSAと共同開発の新型で、プジョー・208と基本を共有する。
- ^ 直噴と可変の2つの技術で、ツインターボではない[22]。
- ^ 6ATは184 g/ km
- ^ 走行中にアクセルペダルから足を離すとエンジンとトランスミッションの駆動力の伝達を切断、惰性走行により燃料消費を抑制する。GREENモード時のみ作動する。
- ^ Cross Country: クロスカントリー
- ^ 2004年の2輪部門総合優勝に続き4輪部門を制覇し、史上3人目の両部門優勝選手となった[28]。
出典編集
- ^ “マグナシュタイヤー、BMWグループと新たな受託生産契約を締結へ”. Response. (2014年2月3日)
- ^ “2007 MINI クーパーS コンバーチブル サイドウォーク (R52型)”. MOTOR DAYS. (2010年6月1日)
- ^ “「MINI」の新顔3台がデビュー”. webCG. (2005年6月27日)
- ^ “試乗レポート BMW MINI ONE SEVEN MINI COOPER PARK LANE MINI COOPER S CHECKMATE”. carview
- ^ “ミニ史上最強、ジョン・クーパー・ワークスGPキット”. HOBIDAS AUTO. (2006年7月11日)
- ^ “日本専用、スペシャルデザインの「MINI」、300台限定で発売”. webCG. (2006年11月13日)
- ^ “パディントンベアから特別なサプライズ!斬新な「くまモンMINI」が登場!”. autoblog 日本版. (2013年7月12日)
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