MW-08は、オランダのシグナール社(現在のタレス・ネーデルラント社)が開発した3次元レーダー。先行して同社が開発したSバンドSMARTをもとに、より高周波数のCバンドを使用するよう設計変更した派生型である。

MW-08
種別 3次元レーダー
目的 目標捕捉
開発・運用史
開発国 オランダの旗 オランダ
就役年 1990年
送信機
形式 コヒーレント増幅器+進行波管 (TWT)[1]
周波数 Cバンド (4-6 GHz)[1]
パルス 0.6マイクロ秒 (パルス圧縮後)[2]
送信尖頭電力 50 kW[2]
アンテナ
形式 プレーナアレイ
素子 ストリップライン×8段
直径・寸法 幅2.49 m×高さ1.16 m[2]
ビーム幅 幅2°×高さ12°
走査速度 27 rpm
方位角 全周旋回無制限
仰俯角 +70度
探知性能
探知距離 32 km (17 nmi) (目標RCS 2 m2)[3]
精度 角度 0.25度 / 距離 40 m[3]
分解能 角度 2度 / 距離 90 m[3]
その他諸元
重量 430 kg+駆動部90 kg[2]
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概要 編集

送信機として進行波管(TWT)を、またアンテナとしてストリップラインを積み上げたプレーナアレイ・アンテナを採用するという基本設計は共通であるが、アンテナを構成するストリップラインは16段から8段に減少した。これによってアンテナ重量は1,200 kgから430 kgと軽量化されているが、ビームの生成能力は12本から6本に低下し、仰角は70度までと、天頂方向の捜索には非対応になっている[2]

探知公算80%を期待できる有効探知距離は、レーダー反射断面積(RCS)が0.1平方メートルの目標に対しては17キロメートル、1平方メートルであれば27キロメートルである。マッハ4までの目標を探知可能である。全自動で20個の空中目標と10個の水上目標を追尾でき、また、2個の水上目標に対する射撃指揮を行なうことができる[2]

このように探知可能距離は比較的短いことから、これを補完するため、同社のDA-08アメリカ合衆国AN/SPS-49など、より長波長で探知距離の長いレーダーとともに搭載されることが多いが、小型艦艇の場合は本機のみに頼ることもある。

採用国と搭載艦 編集

  大韓民国海軍

  ギリシャ海軍

  ポルトガル海軍

  トルコ海軍

  オマーン海軍

  インドネシア海軍

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b Streetly 2005, pp. 118–119.
  2. ^ a b c d e f Friedman 1997, pp. 317–318.
  3. ^ a b c Office of Naval Research 1989.

参考文献 編集

  • Friedman, Norman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681 
  • Office of Naval Research [in 英語] (1989年). MW 08-Multi-Beam Air and Surface Surveillance Radar (PDF) (Report).
  • Streetly, Martin (2005). Jane's Radar and Electronic Warfare Systems 17th Edition. Janes Information Group. ISBN 978-0710627049 

関連項目 編集

  • TRS-3D - EADS製の3次元レーダー。同周波数だがより大型で、長距離探知を可能としている。
  • OPS-28 - 日本無線製の2次元レーダー。