混合性結合組織病(こんごうせいけつごうそしきびょう、mixed connective tissue disease; MCTD)は膠原病の一種。

混合性結合組織病のデータ
ICD-10 M351
統計 出典:
世界の患者数  
日本の患者数 6,840
(1997年)
○○学会
日本 日本リウマチ学会
世界  
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歴史 編集

1972年米国ミズーリ大学教授のGordon Sharpによって提唱された疾患である。広義のオーバーラップ症候群に含まれる。日本では現在特定疾患に定められている。

定義 編集

全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症(SSc)、多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)の3疾患の症状を混合して持つ疾患である。血管病変や炎症、線維症などを引き起こす。全身性強皮症の1病系であるという説もあり、アメリカではその説が多くの支持を集めている。

病態 編集

以下の3つの病態が混在する。

  1. 血管病変
    内膜肥厚による内腔狭窄
  2. 炎症病変
    関節炎、筋炎、胸膜炎など
  3. 線維症
    皮膚硬化、肺線維症など

病因 編集

他の膠原病と同じく原因不明である。遺伝的要因として日本人ではHLA抗原に相関するが、一致した成績はないため原因として決定されてはいない。環境的要因では抗U1RNP抗体とウイルス感染が考えられている。

疫学 編集

男女比は1:15と圧倒的に女性に多い。

症状 編集

SLE、SSc、PM/DMの症状が起こる。

共通所見
レイノー症、指の腫脹など
SLE所見
多発性関節炎、顔面紅斑リンパ節腫脹など
SSc所見
手指硬化、肺線維症肺高血圧症、食道蠕動低下など
PM/DM所見
筋力低下、筋原性酵素異常など

検査 編集

抗U1RNP抗体
抗核抗体の一種で、高確率で検出される。
血清筋原性酵素
CKGOTLDHなど
血液検査
白血球減少、リンパ球減少が比較的高頻度で見られる。血小板減少もまれにある。
X線検査
CTや胸部単純X線検査で肺線維症や肺高血圧症、胸膜炎を診断する。
呼吸機能検査
心エコー

治療 編集

基本的に対症療法を行う。

循環障害
Ca拮抗薬、ACE阻害薬など
肺高血圧症
酸素吸入、プロスタサイクリンなど
炎症性病変
関節炎に対しNSAIDs、その他の炎症に対しステロイドを投与
血球減少
ステロイド投与

予後 編集

全身性強皮症の症状の頻度が経過とともに増加し、全身性強皮症に移行する例も見られる。肺高血圧症が死因として最多である。5年生存率は93%、10年生存率は87%である。

各国において 編集

日本 編集

上記の通り、特定疾患に定められており、2004年末現在、7,061人が特定疾患医療受給者証を所持、147人が特定疾患登録者証を所持している。

外部リンク 編集