P・T・バーナム

アメリカの興行師

フィニアス・テイラー・バーナム(Phineas Taylor Barnum、1810年7月5日 - 1891年4月7日)は、アメリカ合衆国興行師。その愉快な「ホラ話」(hoax)と、サーカス(後のリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス)を設立したことで知られる。

P・T・バーナム
肖像画
ブリッジポート市長
任期
1875–1876
コネチカット州下院議員
フェアフィールド選出
任期
1866–1869
個人情報
生誕フィニアス・テイラー・バーナム
(1810-07-05) 1810年7月5日
アメリカ合衆国コネチカット州ベセル英語版
死没1891年4月7日(1891-04-07)(80歳)
アメリカ合衆国コネチカット州ブリッジポート
墓地マウンテングローブ墓地英語版
政党民主党 (1824–1854)
共和党 (1854–1891)
配偶者
チャリティ・ハレット (m. 1829⁠–⁠1873)

ナンシー・フィッシュ (m. 1874⁠–⁠1891)
職業ビジネスマン(興行師
活動リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス設立
署名

生涯 編集

宿屋兼商店の主人を父に持つバーナムはコネチカット州ベサルで生まれ、商店主として出発したが、当時アメリカで猖獗を極めていた宝くじブームに浮かれ、事業に失敗する。1829年にはダンバリィにおいて週刊新聞『ザ・ヘラルド・オブ・フリーダム』を創刊したが、この新聞での数件の名誉毀損訴訟および一件の訴追を受けた結果、収監されることとなった。

1834年ニューヨーク市へ移り住み、1835年ジョージ・ワシントンの元乳母で160歳を超えているとの評判があった黒人奴隷の女性、ジョイス・ヘスを買い取って見世物にすることで、興行師としての人生を始めた。このヘスの存在とちょっとした付け足しをもとに非常に巧妙な宣伝を行い、1836年に彼女の死亡(その際、彼女の年齢は80歳以下であることがわかった)後の1839年までアメリカにおける巡業を成功させた。

その後は一時期不振だったが、1841年にニューヨーク市にあった「スカダーのアメリカ博物館」を買い取り、これに相当の補強をして「バーナムのアメリカ博物館英語版」 (Barnum's American Museum) と名付け、ここを拠点に国内で最も人気がある興行の一つにした。

1842年には、「親指トム将軍英語版」 (General Tom Thumb) ことチャールズ・ストラットンの見世物で大当たりをとった。インディアンのダンス団「フー・フム・ミー」を作って彼らに伝統的なダンスを踊らせ、これも評判となった。

1844年から1845年にかけては「親指トム将軍」を連れてヨーロッパ巡業を行ない、ヴィクトリア女王にも面会した。

霊と交信できるというフォックス姉妹交霊会の興行を担当し、心霊主義の爆発的ブームの端緒となった[1]

スウェーデンの女性歌手・ジェニー・リンドと、米国において一晩1000ドルで150公演行う(費用は全額興行主もち)という契約をし、1850年から巡業した。

1855年にはいったん興行界から引退したが、債権支払いを迫られたため、1857年に興行師・展示館経営者としての以前の人生を再開した。

1871年には、ニューヨーク市ブルックリンの「バーナムのアメリカ博物館」で、サーカス動物園フリークス・蝋人形展示をない交ぜにしたものを巡業させる「地上最大のショウ」を設立した。

1872年には、サーカス業界初の興業列車(サーカス列車)を立ち上げる。サーカス団の規模拡大に伴い、馬車での移動では全米中の興行が困難となり、その解決策として発案。それ以来、このサーカス列車は他のサーカス団でも採用された。

1881年には、ジェームズ・アンソニー・ベイリー英語版が経営していた「クーパー・アンド・ベイリー・サーカス」と合併して「バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」とし、世界中を巡業した。このサーカスの一番の呼び物は、バーナムがロンドン動物園から買い取ったアフリカ象ジャンボだった。

死後、1907年にサーカスはリングリング兄弟英語版に売却され、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスとなり、2017年まで興行を続けた。

LIFE誌が1999年に選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」でアメリカ人とされている人物22人の中に選ばれている。

著作 編集

関連書籍 編集

映画 編集

脚注 編集

  1. ^ 風間 2013, p. 65.

参考文献 編集

  • 風間賢二、「ゴーストハント」編集委員会(編)、2013、「疑似科学+心霊主義=オカルト探偵誕生!」、『小野不由美「ゴーストハント」読本』、メディアファクトリー ISBN 978-4840152648

関連項目 編集

外部リンク 編集