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PV-7は、カシオ計算機から1984年10月15日[1] に発売されたMSX規格のホームコンピュータ。

目次

概要編集

標準的なMSXの価格帯が5万円以上だった1984年当時、29,800円という低価格で発売された。

カシオが当時得意とした電卓の技術を駆使し、片面基板にすることで製造コストを抑え、19,800円で発売する事を目指して開発された。価格は当初の目標を越えてしまったものの、3万円を切る事に成功した。一方、価格を重視したためにスペックが犠牲となり、メインRAMは規格で認められている最低容量の8KBに抑えられ、[2]カートリッジスロットも1つのみの実装となった。

搭載されているRAM容量が少ないことから、本体だけではBASICで提供されるソフトウェアの多くが使用できず、キーボードもかろうじて文字が入力できる大きさであることから、用途は必然的にROMカートリッジで提供されるゲームが主となる。位置付け的にはカシオが前年に発売した独自仕様のパソコン「PV-2000」の後継機で、キーボード部分に独立したトリガーキーがあるのもPV-2000を踏襲している。PV-2000用のゲームの一部がMSX用に移植された。

低スペックながらも売れ行きは好調だった。クリスマス商戦では電器店に山積みされ、営業から喜びの声が上がったと開発担当者は回想している[3]しかし後述の#後続機も含めて、カシオ製MSXによる価格破壊でMSXは値崩れし、採算が取れなくなった多くの家電メーカーがMSXから撤退する事態も引き起こした[4][5][要検証]

特徴編集

外観
平たい長方形の本体に、間隔の空いたキーが配置されている。カラーバリエーションは本体が黒でキーが灰色基調のものと、本体が赤くてキーが黒を基調としたものの2種類がある。キーは役割によってさらに細かく色分けされている。ソフトウェアによって、キーボードにオーバレイシートを取り付ける使い方もできた。
上部左奥にはROMカセットのスロットがあり、そのそばにPV-7のロゴが大きく記されている。スロットとロゴの右手には排熱のために溝が複数本刻まれている。
他の多くのMSXマシンでカーソルキーがある箇所には八角形の「ジョイパッド」が配置され、左下隅には2個のトリガーキーがある。当時の開発者はファミリーコンピュータをライバルとして強く意識しており、ゲーム機としてのMSXという考え方からジョイパッドを設置した。これらの入力機器はゲームでの使用を前提としているため、他のキーに比べて耐久力が上げられている。
ジョイパッドの入力情報はジョイスティックのものとして処理されるため、BASIC画面でカーソルキーを動かすことはできない。本来のカーソルキーは十字型ではなく、4つのキーが横一直線に並ぶ配置で、カーソルキー入力のみ対応のソフトでは操作しづらい場合がある。
スペック
メインRAMがMSX1規格最小の8KBのMSX1。RAMについては別売の専用拡張ボックスやRAM増設カートリッジにより、最大64KBまで増設できる[6]。メモリマッパーRAMにより64KBを超える容量への拡張もできる。また、他のMSX1と同様に、拡張ボックスにさらに拡張スロットを接続してバージョンアップアダプタと64KB以上の増設メモリ(バージョンアップアダプタは2カートリッジのためここまでで3スロットで、本体と拡張ボックスのスロットが埋まるため、ROM BASICでテープを使う以外では拡張スロットが必要。MSX2用のROMのゲームもディスクのゲームも拡張スロットなしではできない)を接続してMSX2にすることもできる[7]。なお、本体のROMカセットスロットの端子の仕様により、コナミのソフトのSCCFM-PACは鳴らない[8]。データレコーダを使用する場合は、別売のCMTインターフェースユニットが必要[8]
キーボードのかなは50音順配列、寸法は307mm×210mm×49mm、重量1.56kg。

ソフトウェア編集

ここではカシオオリジナルのMSX用ソフトを記載する。

(※)はPV-2000にもラインナップされていたソフトウェア。

ゲームソフト
  • 大障害競馬(※)
  • 熱戦甲子園
  • スキーコマンド(※)
  • パチンコUFO(※)
  • アイスワールド
  • イーグルファイター
  • カシオワールドオープン
  • 伊賀忍法帖
  • カーファイター
  • シンドバッド7つの冒険
  • エクゾイドZ
  • 妖怪屋敷
  • 仔猫の大冒険
  • 賢者の石
  • 伊賀忍法帖 満月城の戦い
  • エクゾイドZ エリア5
  • モアイの秘宝
  • 闇の竜王 ハデスの紋章
  • 一寸法師のどんなもんだい
クリエイティブソフト
  • ゲームランド(※)
  • ゲームランドスペシャル
  • 描きくけコン
入門ソフト
  • BASIC入門
  • BASIC入門II
  • コンピュータ入門

キャラクター編集

佐倉しおり
テレビコマーシャルでイメージキャラクターとして起用された。
バーネットおばさん
ピアノ教師。PV-7付属のマニュアルは、彼女によるガイドというスタイルで書かれていた。長髪で眼鏡をかけた、面長の中年女性。

後続機編集

PV-16
1985年発売。PV-7と同じ価格でRAM容量を16KBにしたモデル。カセットインターフェースも内蔵された。外観はPV-7と同一であるが、中の基板は両面基板になっている。
MX-10
1986年発売。PV-16を更に小型化させ、価格を19,800円に抑えたモデル。キーボードは軟質ゴム製(チクレットキーボード)。カセットインターフェースはオプションとなった。
MX-101
1986年11月発売。松下ソニーの3万円MSX2とほぼ同時期の発売となった。MX-10のRF出力を、テレビのUHFチャンネルにワイヤレスで送信できるようにしたモデル。送受信用アンテナ付属。

これらの機種は、安価なゲーム機としてのMSXというPV-7の基本コンセプトを継承しており、すべてジョイパッドとトリガーキーがついている。

脚注編集

  1. ^ MSXマガジン 1984年12月号
  2. ^ メモリについては別売の増設RAMカートリッジにて補うことが想定されていた。
  3. ^ 『MSXマガジン永久保存版3』、71ページ。
  4. ^ 関口和一『パソコン革命の旗手たち』日本経済新聞社、2000年、p.196
  5. ^ 滝田誠一郎『電脳のサムライたち 西和彦とその時代』実業之日本社、1997年、p.94
  6. ^ MSX増設RAMカートリッジ 「らむまっくす2」 - 電子部品通販 M.A.D.
  7. ^ しおんパパのひみつきち: MA-20 MSXバージョンアップアダプタ NEOS(1986)
  8. ^ a b バブルラジカセファンサイト・バブリズム(レトリズム・PV-7)

外部リンク編集

参考文献編集

「カシオ計算機インタビュー カシオなら、いつでもきっと何かやる」(『MSXマガジン永久保存版3』、株式会社アスキー、2005年、70-73ページ。)