Pleroma

ActivityPubに準拠したSNSを実装したソフトウェア

Pleroma[注釈 1](プレーローマ)とは、自由かつオープンソースミニブログソーシャル・ネットワーキング・サービスである。X新浪微博などの人気なミニブログサービスと異なり、Pleromaはサーバウェブドメイン[注釈 2]を持つ人なら誰でもセルフホスト英語版して運用できる。インスタンス管理者は独自の行動規範利用規約英語版モデレーションポリシー英語版を管理できるので、ユーザーの閲覧するコンテンツや体験をより細かく制御できる[3]

Pleroma
開発元 lain, et. al
初版 2019年6月28日 (5年前) (2019-06-28)[1]
最新版
2.7.0[2] ウィキデータを編集 / 2024年8月1日 (4か月前)
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
対応OS クロスプラットフォーム
種別 ミニブログ
ライセンス AGPLv3
公式サイト pleroma.social ウィキデータを編集
テンプレートを表示

このソフトウェアはActivityPubプロトコルも実装しており、ユーザーは他のPleromaインスタンスや一般にFediverseと呼ばれる分散型英語版ネットワークであるActivityPubをサポートするマストドンMisskeyPixelfedなどのソフトウェアを実行している任意のサーバと通信や交流ができる[4]

2024年7月 (2024-07)現在、1,000を超えるPleromaインスタンスに138,000を超えるアカウントが存在する[注釈 3][5]

歴史

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PleromaのマスコットのPleroma-tan

2016年、Pleromaプロジェクトは「lain」という仮名の匿名のドイツ人開発者によって作成された[6]。元々は初期のTwitterのユーザインタフェース似ており人気だったフロントエンドのQvitterと多くの類似点のあるGNU socialの代替ユーザインタフェースとして設計された。初期のPleroma(フロントエンド)はVue.jsJavaScriptフレームワークで書かれていた。

フロントエンドの開発が進むにつれて、プラグインを使用して機能を実装するGNU socialの設計には多くの欠点があること、GNU socialのコードベースPHPの使用に問題があると認識され、GNU socialに代わるバックエンドの開発に繋がった[7][8]。Pleromaのバックエンドをホストするリポジトリへの最初のコミットは2017年3月17日に行われた[9]

2019年2月22日、Pleromaバックエンドの最初の安定版であるバージョン0.9.9が公開された[10]。バックエンドにはメインユーザインタフェースとしてPleromaフロントエンド、OStatusActivityPubを使用したユーザーのコンテンツの連合、GNU socialとマストドンクライアントAPIのサポートが含まれている。バックエンドはElixirプログラミング言語とPhoenix英語版Webフレームワークを使用して構築されており、データベースにはPostgreSQLを使用している[11]

2019年6月28日、Pleroma 1.0が公開された。このリリースではアンケートの作成、コンテンツの通報、予約投稿などの機能が追加された。ユーザーと管理者向けのドキュメンテーションを含む新しいウェブサイトも公開された[1][12]

2020年3月8日、Pleroma 2.0が公開された。このリリースでは使用率の低さと活発にメンテナンスされていないことを理由にOStatusプロトコルのサポートが廃止され、管理用の新しいユーザインタフェースが導入され、Unicodeの絵文字を使用した投稿へのリアクションが追加された[13][14]

2020年8月28日、Pleroma 2.1が公開された。このリリースではマストドンなどの他のソフトウェアで使用されているダイレクト・メッセージシステムの代替となるActivityPubに基づく分散型インスタントメッセージシステムが含まれている[15]

2023年10月29日、Pleroma 2.6が公開された。このリリースでは投稿の引用機能と投稿へのリアクションにカスタム絵文字を使用できる機能が実装された[16]

Pleromaは元々はフロントエンドとバックエンドのバージョンが同期して公開されていたが、Pleroma 2.6.1以降ではこの方針は廃止された[17]

2024年8月1日、Pleroma 2.7が公開され、IPFSを介したファイルのアップロードのサポート、ブックマークの分類、テーマの改善、様々な利便性の向上が追加された[18]

フォーク

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Akkoma
 
初版 2019年6月28日 (5年前) (2019-06-28)[19]
最新版
3.13.2[20]   / 2024年5月22日
リポジトリ https://akkoma.dev/AkkomaGang/akkoma.git  
プログラミング
言語
Elixir
対応OS クロスプラットフォーム
種別 ミニブログ
ライセンス AGPLv3[21]
公式サイト https://akkoma.social/  
テンプレートを表示

Akkomaは2022年に開発が開始されたPleromaのフォークである。Akkomaはより速い開発ペースをサポートすると共に、より多くのユーザーによるカスタマイズをサポートするために作成された[22][23]

機能と特徴

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Pleromaはシステムリソースへの負荷が少なく、他のソフトウェアへの依存性も低いので、マストドンなどの代替よりもより軽量であると説明されている[24]

Pleromaの既定の投稿の長さの制限は5,000文字で、インスタンス管理者がこれを変更することもできる[11][25]。Pleromaはマルチメディアのアップロードと共有、アンケート機能も備えている[26]。投稿は既定ではプレーンテキストだが、HTMLBBコードMarkdownなどの様々なマークアップ言語を使用することもできる。

Pleromaには既定で独自のフロントエンドが付属しているが、インスタンス管理者はマストドンの上級者向けモードの移植版[注釈 4]Gopherプロトコルのインタフェースなどの追加のユーザインタフェースをインストールできる[27]

PleromaにはMessage Rewrite Facility(MRF)として知られているシステムが含まれており、Pleromaインスタンスの管理者は送受信するコンテンツを変更できる。既定では、Pleromaは他のインスタンスとの連合英語版に制限を設定できる基本的なモデレーションポリシーを含む、様々なポリシーを提供している。カスタムMRFポリシーはBEAM英語版仮想機械で実行可能な任意の言語で記述できる[28]。このシステムは有効化されているポリシーの一覧が既定でAPIフロントエンドの両方を通じて公開されるので、Fediverseでのモデレーション英語版の仕組みと、それが直面する課題を調査する方法として使用されてきた[29]

採用

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Debianコミュニティはメンテナ向けのソーシャル・ネットワーキング・サービスのスイートを構築するプロジェクトの一部として、Pleromaを使用して独自のミニブログサービスをホストしている[30][31]

Pleromaは開発の支援のためにNLnet財団英語版から資金提供を受けている[32]

脚注

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注釈

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  1. ^ 同名の宗教的概念に由来する。
  2. ^ 一般的にインスタンスと呼ばれる組み合わせ。
  3. ^ Fediverseの全ユーザーの1.3%。
  4. ^ TweetDeckに類似。

出典

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  1. ^ a b Pleroma 1.0.0” (英語). pleroma.social (2019年6月28日). 2024年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年8月5日閲覧。
  2. ^ https://git.pleroma.social/pleroma/pleroma/-/releases/v2.7.0.
  3. ^ ElixirConf® US 2019”. elixirconf.com. 2024年7月14日閲覧。
  4. ^ Microblogging with ActivityPub [LWN.net]”. lwn.net. 2024年7月14日閲覧。
  5. ^ FediDB, Fediverse Network Statistics” (英語). fedidb.org. 2024年7月10日閲覧。
  6. ^ Tilley, Sean (2018年4月25日). “Blushy-Crushy Fediverse Idol: A Chat with Lain about Pleroma” (英語). We Distribute. 2024年7月10日閲覧。
  7. ^ Files · 191c02af1ebfc7e6c53dc88d97c4e3ca23fbea8b · Pleroma / pleroma-fe” (英語). GitLab (2016年10月26日). 2021年1月21日閲覧。
  8. ^ Tilley, Sean (2017年9月24日). “A quick guide to The Free Network” (英語). Medium. 2021年1月21日閲覧。
  9. ^ Files · a93f3421a704d6728a856d5d82cdbf9c43f3f897 · Pleroma / pleroma · GitLab” (英語). GitLab. 2024年7月11日閲覧。
  10. ^ Pleroma's First Release! 0.9.9” (英語). pleroma.social. 2024年7月12日閲覧。
  11. ^ a b What Is Pleroma?” (英語). blog.soykaf.com (2018年3月7日). 2021年1月21日閲覧。
  12. ^ Tilley, Sean (2019年6月28日). “Pleroma Releases 1.0!” (英語). We Distribute. 2024年7月11日閲覧。
  13. ^ Tilley, Sean (2020年3月23日). “Hooray! Pleroma Officially Releases 2.x Series” (英語). We Distribute. 2021年1月21日閲覧。
  14. ^ Releasing Pleroma 2.0.0” (英語). pleroma.social. 2024年7月11日閲覧。
  15. ^ Releasing Pleroma 2.1.0” (英語). pleroma.social. 2024年7月11日閲覧。
  16. ^ Pleroma major release: 2.6.0” (英語). pleroma.social. 2024年7月11日閲覧。
  17. ^ Separating Frontend and Backend versions” (英語). pleroma.social. 2024年7月11日閲覧。
  18. ^ Pleroma Major Release: 2.7.0” (英語). pleroma.social. 2024年8月1日閲覧。
  19. ^ v1.0.0” (英語). Akkoma Development (2019年6月28日). 2024年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年8月25日閲覧。
  20. ^ "Akkoma stable 2024.04.1 - Security Update"; 閲覧日: 2024年8月25日; 出版日: 2024年5月22日.
  21. ^ akkoma/AGPL-3 at 3bb31117e65079d710e5129eb70c946d4ffe99ff” (英語). Akkoma Development (2019年3月31日). 2024年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年8月25日閲覧。
  22. ^ Akkoma: A vision to refocus Pleroma” (英語). Coffee and Dreams (2022年6月24日). 2024年7月6日閲覧。
  23. ^ Fediverse-Serie: Pleroma & Akkoma: Einfache Kommunikation im Fediverse” (ドイツ語). GNU/Linux.ch (2023年). 2024年7月11日閲覧。
  24. ^ Pleroma” (英語). LinuxReviews. 2024年7月10日閲覧。
  25. ^ Pleroma User's Guide”. edith.reisen. 2021年1月21日閲覧。
  26. ^ Pleroma 1.0.0” (英語). blog.soykaf.com (2019年6月28日). 2021年1月21日閲覧。
  27. ^ Gopher Support in Pleroma” (英語). pleroma.social. 2024年7月12日閲覧。
  28. ^ Message Rewrite Facility - Pleroma Documentation”. docs-develop.pleroma.social. 2024年7月7日閲覧。
  29. ^ Hassan, Anaobi Ishaku; Raman, Aravindh; Castro, Ignacio; Zia, Haris Bin; De Cristofaro, Emiliano; Sastry, Nishanth; Tyson, Gareth (2021-12-03). “Exploring content moderation in the decentralised web: The pleroma case”. Proceedings of the 17th International Conference on emerging Networking EXperiments and Technologies. CoNEXT '21. New York, NY, USA: Association for Computing Machinery. pp. 328–335. doi:10.1145/3485983.3494838. ISBN 978-1-4503-9098-9. https://doi.org/10.1145/3485983.3494838 
  30. ^ Debian Looks To Go More Social From Microblogging To A Federated Image+Video Platform - Phoronix”. www.phoronix.com. 2021年1月21日閲覧。
  31. ^ Announcing Debian Social”. lists.debian.org. 2024年7月11日閲覧。
  32. ^ NLnet; Pleroma”. nlnet.nl. 2024年7月10日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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