クイーンズ・ギャンビット・アクセプテッド

QGAから転送)

クイーンズ・ギャンビット・アクセプテッド(Queen's Gambit Accepted)は、チェスオープニングの1つで、広義のクイーンズ・ギャンビット(1.d4 d5 2.c4)の一変化である。QGAと省略されることもある。右図にある基本形までの手順は1.d4 d5 2.c4 dcである[1]

クイーンズ・ギャンビット
・アクセプテッド
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
g8 black knight
h8 black rook
a7 black pawn
b7 black pawn
c7 black pawn
e7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
c4 black pawn
d4 white pawn
a2 white pawn
b2 white pawn
e2 white pawn
f2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
b1 white knight
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
g1 white knight
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

広義のクイーンズ・ギャンビットの変化の中ではアルビン・カウンター・ギャンビットとともにギャンビットらしいオープニングであるが、白は犠牲にしたポーンを簡単に取り返すことが出来る。白の狙いは黒にc4のポーンを取らせ、将来的にe4などを指しセンターを支配することである。なのでクイーンズギャンビットは、あまりアクセプテッド(ギャンビットを受入れること)されない。

主な変化 編集

3手目以降の定跡は、3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Bxc4 c5 6.0-0 a6 7.Qe2 b5 8.Bb3 Bb7である[2]

白の3手目では他に3.e3や3.e4と指す手もある[3]。3.e3なら3.… e5 4.Bxc4 ed 5.ed Bb4+ 6.Nc3 Nf6と進行する[3]。3.e4は1969年ユーゴスラビアで指されたヴィクトール・コルチノイズヴォンコ・メシュトロヴィッチ戦で白のコルチノイが指した手で[4]、その後3.… e5 4.Nf3 ed 5.Bxc4 Bb4+ 6.Nbd2 Nc6 7.0-0 Nh6 8.Nb3 Bg4 9.Bd5 Ne5? 10.Qxd4 Nxf3+ 11.gf Bxf3 12.Bxh6 Qd7 13.Qe5+となり[4]、黒のメシュトロヴィッチが投了した(黒は駒損になる)[4]

黒の3手目で3.… b5とc4のポーンを守る手は4.a4 c6 5.e3 Qb6 6.ab cb 7.Ne5で、次にQf3と指されてa8とf7を狙われる[3]

白の4手目では4.Nc3や4.Qa4+と指す手もある[3]。4.Qa4+は1960年にレニングラード(現・サンクトペテルブルク)で指されたタイマノフ対ポルガエフスキー戦で白のタイマノフが指した手で[3]、以下4.… Nbd7 5.Nc3 e6と進行し23手で黒のポルガエフスキーが投了した[3]

黒の4手目は4.… Bg4も良い手[3]。なお4.… g6と指すと5.Bxc4 Bg7と進行しグリュエンフェルド・ディフェンスに変化する[3]

白の6手目では6.Qe2とクイーンの交換を避ける手もある[3]

黒の7手目は7.… Nc6と指す手がある[3]。以下8.Nc3 b5 9.Bb3 Bb7 10.Rd1と変化する[3]

参考文献 編集

脚注・出典 編集

  1. ^ 『定跡と戦い方』、124頁。
  2. ^ 『定跡と戦い方』、125頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 『定跡と戦い方』、126頁。
  4. ^ a b c 『やさしい実戦集』、105-111頁。
  5. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-72171-2。
  6. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-73141-4。
  7. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-72175-0。
  8. ^ ISBNコードはISBN 978-4-309-73145-2。