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QR・バーコード決済

キャッシュレス決済のひとつ

QRコード・バーコード決済(QRコード・バーコードけっさい)は、QRコードバーコードを用いた電子決済システム。コードの種類を区別せず単に「コード決済」とも呼ぶ[注釈 1]

スマートフォンの機能を使用したシステムが主流な事から「スマートフォン決済スマホ決済)」と呼ばれる事もあるが、スマートフォンにはFeliCaNFCなど他の非接触型決済[注釈 2]機能も搭載されうる事から、正確な用語ではない[注釈 3]

概要編集

コード決済の形態としては2種類に大別される。商品を購入する際に、店頭レジに掲げられている専用QRコードをスマートフォンのカメラで読み取って支払う決済方法(ユーザースキャン)と、スマートフォンのアプリ上にQRコード(二次元コード)やバーコード(一次元)を表示して、店頭のバーコードリーダーや携帯端末(スマートフォンやタブレット)で店員が読み取る決済方法(ストアスキャン)とがある[1]

決済の形態としては、クレジットカード等[注釈 4]と紐付けて当該カードの決済のトリガーとするもの(決済方法の電子化)、コード決済自体にサーバ型電子マネーを内包してこれに貨幣をチャージして利用するもの(決済手段の電子化)、およびこれらの両方の機能を備えるものがある。

チャージ可能なコード決済へのチャージ方法の例として以下のようなものがある。また、同チャージ残高を利用して消費者間(CtoC)で残高の一部をやり取り(送金機能)できるものもある。

  • 連携した金融機関口座からのチャージ
  • 登録したクレジットカード等[注釈 4]からのチャージ
  • 金融機関またはコンビニ店頭のATMを用い現金等によるチャージ
  • コンビニ店頭レジで現金等によるチャージ

一部のコード決済では、おサイフケータイ搭載Android端末、あるいはApple Pay対応iPhoneにおいて、次のようにコード決済用のチャージ残高が非接触IC決済にも利用できる(共有ができる)ようになっている。

  • Android
    • LINE Pay → QUICPay
    • メルペイ → iD
    • d払い → iD
  • iPhone
    • メルペイ → iD
    • au Pay (au wallet) → QUICPay

歴史編集

現時点で判明している最初のコード決済は、暗号通貨ビットコイン用に2012年にリリースされたモバイルアプリケーションによるものである[2]

中国でWeChatなどのコミュニケーションアプリを展開するテンセントは、2014年にWeChat PayというQRコード決済サービスを展開し、中国国内でアリペイに次ぐ高いシェアを獲得した[3]

日本では、PayPayが会計の20パーセントを還元し、合計100億円を提供するキャンペーンを行ったことにより、後発にも拘わらず一気に首位に上った[4][要検証]

2019年には日本国内における共通規格としてJPQRが提唱されており、同年8月より同規格の一部について主要プロバイダが対応を開始する予定である。

システム編集

ユーザースキャン方式編集

店舗提示型(Merchant-Presented Mode、MPM)とも呼ばれる[5]
店舗側が提示するQRコードを客が読み取る。紙に印刷されたQRコードを設置し、店舗側のスマートフォンに店舗側アプリをセットアップするだけで導入可能なため、店舗側の導入コストが低い。

ストアスキャン方式編集

利用者提示型(Consumer-Presented Mode、CPM)とも呼ばれる[5]
客側がスマートフォンを操作して表示させたQRコード等[注釈 5]を、店舗側が読み取る。店舗側の決済速度は比較的速いが、コード決済システムと連携したPOSレジシステム(対応する光学リーダー、またはタブレットスキャナー)が必要なため、導入コストは高くなる。

メリット編集

導入コスト
信用照会端末が設置不要であり、ユーザースキャン方式であれば紙に印刷されたQRコードを設置するだけで導入可能なため、クレジットカード等と比べ加盟店の導入コストが低い傾向にある[6]クレジットカード電子マネー等の導入が難しい中小の店、個人経営店でも導入ハードルが低い[7]
詳細な顧客情報の把握
バーコードに顧客情報が付加されることで「どの顧客がいつどの商品を購入したか」を店舗側が詳細に把握することができるため、現金等による決済と比べ店舗側にとっては売れ筋商品の傾向の把握や顧客の動向をつかみやすくなる[8]
セキュリティ
「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」(「JPQR」参照)では、端末側に表示するQRコード等はワンタイム仕様が求められており、なおかつ大半の決済サービスはSSLで通信が暗号化されている。またスマートフォンそのものに指紋認証やPINによるロックを掛ける機能も活用したり、万一紛失時にはコールセンターを通じた利用停止も可能なため[9]、スキミングの可能性がある磁気カードやカード情報自体の窃取リスクがあるクレジットカード等よりは安全と考えられている[7][8][注釈 6]
端末依存性の低さ
おサイフケータイ等の独自機能が、客側の携帯電話・スマートフォンに組み込まれている必要はない。基本的にコード決済アプリが動作し、かつ対応するOSであり、QRコード等を読み取りできるカメラがついてれば良いため、多くの客側端末で動作可能である[注釈 7][注釈 3]
店舗と顧客の双方向接点実現
アプリの画面上にクーポンやキャンペーン情報を通知させる事によって、顧客の来店誘導を促す事が可能になる。これらは従来のクレジットカードやICカード型電子マネーでは実現が難しいとされてきた[10]
金銭授受や管理のオペレーションコスト軽減
現金が必要ないため、客側から見れば別途財布を持ち歩く必要がない。そのため衛生的であり、釣り銭が不必要となる。釣銭等の違算金による損失がない[11]
また、店舗側でも現金決済と比べて、釣銭等の違算金発生や、釣銭等を含む現金の確認、交換、輸送や金庫管理、レジ締めに要する事務作業を軽減することができる[8]
家計管理
アプリ側に利用履歴が残るため、領収証がなくても、どこで幾ら使ったかを容易に把握できる[11]
ポイントの重ね取り
多くのコード決済でクレジットカード等でのチャージが可能であり「コード決済のポイント」と「クレジットカード等のポイント」の重ね取りが多くの場合で可能となっている。さらにキャンペーンの一環として、ポイントカードの同時提示により三重取り以上が可能な場合もある[11]
決済に留まらないサービス
個人間でのお金の送金機能や、ユーザー同士での「割り勘」機能[11]、他社サービスとの連携[7]、国外ATMでの現地通貨出金[12]など、コード決済事業者ごとに幅広いサービスが提供されている。

デメリット編集

停電時・故障時の懸念
客側のスマートフォンと、インターネットを通じた決済システムに依存するため、災害などで停電移動体通信事業者での通信障害が起きた場合、全く使用できなくなる。またスマートフォン側の充電切れや故障、一時的動作不良でも使用できなくなる[11](以上は、オンライン決済を行う電子マネーでも同様)。
客側のオペレーションコスト
そのまま店舗端末にかざすだけで良いIC非接触型決済に比べ、ストアスキャン方式でも、アプリを開いてコードを表示させてからコードを読み取る(読み取らせる)という数段階の手順を踏む必要がある。ユーザースキャンの場合、さらにアプリを開いて店舗側のQRコードを読み取り、決済金額を入力してから決済を実行し、店側に確認してもらうと言う手間が発生する[7]
利用可能店舗数
普及率の低い国や地域では、使用できる店舗が少ない傾向にある[11]
セキュリティ上の懸念
詐欺などの事例として、店側のQRコードが何者かによってすり替えられ、その後のQRコード決済が犯人の口座に振り込まれた詐欺事件の事例[13]、客がレジで提示しようとしたスマートフォン上のQRコード等の画像を、第三者が何らかの方法で盗み取り、決済用スマートフォンで不正に決済し詐取する事例[14]、中国では駐車違反切符にQRコードが印刷され、違反金の納付がコード決済により完結するようになっているが、他人の車にそれを貼り付けて他人に納付させ詐取する事例[14]などがある。
決済サービスの乱立(日本)
2018年頃から日本では、キャッシュレス社会の普及に向け、多数の企業がコード決済サービスを展開している(2019年4月1日時点で25社)。決済サービスの乱立により、店舗ごとの使用可否が複雑になるなど、利用者や加盟店の混乱を招きやすい[15][16]


主要サービスプロバイダ編集

主なQR・バーコード決済プロバイダの一覧[4][17]

日本編集

金融機関のサービスとして提供されているもの編集

イベント会場での決済や個人間送金決済を想定して提供されているもの編集

事実上のハウスカードとして提供されているもの編集

その他編集

米国編集

中国編集

香港編集

韓国編集

その他編集

  • BharatQR - BharatQR(インド)
  • Easypaisa - Telenor Pakistan (パキスタン)
  • NETS Pay - NETS(シンガポール)
  • zero Pay - KFTC(韓国)
  • 台湾Pay - FISC(台湾)
  • JKOPAY - JKOS Network(台湾)

スマートストアで用いられるコード決済編集

上記の決済のみを行う決済専用アプリとは異なり、「決済」に「レジ」の機能を統合したアプリケーションである。

商品のバーコードを次々と読み取って動的に小計を出し、QRコードを店舗端末にかざすだけで決済が完了するスマートストア専用レジアプリケーション。

メリットとしては、買い物(商品選び)とレジ(バーコード読み取り操作)を同時進行で行って、スマートフォンだけで動的に小計を出せるため、最後にレジを通すステップを省略することができる。これによりレジの行列に並ぶ必要がなくなるため、レジ混雑を緩和し、店舗スタッフの負担を軽減できる。

  • Shop & Go(ショップアンドゴー) - 寺岡精工グループ
  • トライアル - トライアルカンパニー
  • ローソンスマホペイ - ローソン
  • Amazon Go - Amazon.com ※入場の際にAmazon Goアプリの会員QRコードを読み取り機にかざす。AIセンサーで自動的に小計を出すシステムが備わっているため、商品バーコードを読み取るステップが省略されている。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ ITmediaImpress Watchなどのメディアで多数採用中。
  2. ^ QR・バーコード決済がほぼスマートフォンが必須であるのに対し、非接触型決済はカード型(プラスチックカード、クレジットカードなどの物理カード)による物も主流である。
  3. ^ a b なお、フィーチャー・フォンでも原理的には実現可能であるが、実装されたシステムはほぼ存在しない。
  4. ^ a b デビットカード、国際ブランドプリペイドカードの一部を含む。以下同じ。
  5. ^ 以下、QRコードとバーコードを総称して「QRコード等」と言う。
  6. ^ ただし、これを満たさないコード決済もごく一部に存在する
  7. ^ ただし、例えばiPhone7以降やAndroid5.0以降が必須と言うような、スマートフォンOSバージョン毎の標準による制約を受ける場合があり、それはコード決済アプリや同事業者により異なる。バージョンが古いものや、標準規格を満たさないものでは、セキュリティの面からも動作しない場合もある。
  8. ^ 提携するAlipayは日本のPayPay加盟店で利用可能だが、PayPayは日本のみ利用可能。
  9. ^ LINE Pay Global Allianceで提携するWeChat Pay、Naver Payは日本のLINE Pay加盟店で利用可能だが、LINE Payは日本のみ利用可能。
  10. ^ PayPayと連携しており、日本の一部店舗でも使える。
  11. ^ LINE Payと連携しており、日本の一部店舗でも使える。
  12. ^ PayPayと連携し、日本の一部店舗でも使えるようになる予定。
  13. ^ LINE Payと連携しており、日本の一部店舗でも使える。
  14. ^ PayPayと連携し、日本の一部店舗でも使えるようになる予定。

出典編集

  1. ^ QRコード決済の普及に向けた課題とは? (1/4) ITmedia ビジネスオンライン 2018年12月3日
  2. ^ Andreas Schildbach (2012年8月6日). “Google Playstore: Bitcoin Wallet”. https://play.google.com/store/apps/details?id=de.schildbach.wallet 
  3. ^ Derrick A Paulo (2017年10月29日). “WeChat phenomenon: How a messaging app helped spark China’s cashless revolution”. https://www.channelnewsasia.com/news/cnainsider/wechat-china-cashless-revolution-9353998 
  4. ^ a b “PayPayは2019年も独走?! 「100億円あげちゃうキャンペーン」、その後のマーケティング効果を調査” (プレスリリース), 株式会社ヴァリューズ, (2019年4月8日), https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000007396.html 2019年7月17日閲覧。 
  5. ^ a b 「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」「統一用語集」を策定しました。 - キャッシュレス推進協議会・2019年3月29日
  6. ^ 「なんとかペイ」IT大合併でわかった大苦境 - Yahoo!ニュース 「週刊新潮」2019年11月28日号 掲載
  7. ^ a b c d 八巻渉 (2018年12月3日). “QRコード決済の普及に向けた課題とは?”. ITmediaビジネスオンライン. 2019年7月21日閲覧。
  8. ^ a b c Q1328. QRコード決済を小売店等に導入することのメリットを教えてください。”. J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト). 中小企業基盤整備機構 (2019年3月28日). 2019年7月21日閲覧。
  9. ^ QRコード決済利用時の個人情報保護やセキュリティ対策について解説 | PayPay Corporation. | 2019.08.01
  10. ^ 株式会社インプレス (2019年7月5日). “ファミペイと7payが本当に目指していたもの。コンビニPayはなぜ必要だったか【鈴木淳也のPay Attention】” (日本語). Impress Watch. 2019年11月19日閲覧。
  11. ^ a b c d e f 金子麟太郎 (2019年1月23日). “改めて考える、「コード決済」のメリットとデメリット”. ITmediaモバイル. 2019年7月21日閲覧。
  12. ^ LINE Payの韓国ATM両替
  13. ^ 中国の食品市場に「QRコードを張り替える」新時代の泥棒が出現” (日本語). 財経新聞 (2017年7月27日). 2019年6月28日閲覧。
  14. ^ a b ASCII. “QRコード離れを起こす中国のキャッシュレス決済事情|中国” (日本語). ASCII.jp. 2019年11月19日閲覧。
  15. ^ 押し寄せるキャッシュレス決済の需要、乱立する決済手段 現場の負担を抑えるために有効な決済端末とは?” (日本語). ITmedia NEWS. 2019年6月28日閲覧。
  16. ^ “キャッシュレス決済の課題”に関する誤解” (日本語). ITmedia Mobile. 2019年6月28日閲覧。
  17. ^ “QRコード決済の利用率1位は「楽天ペイ」、「PayPay」が猛追2位”. BLOGOS (LINE株式会社). (2019年2月5日). https://blogos.com/article/355869/ 2019年7月17日閲覧。 

関連項目編集