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ROMA/ローマ』(Roma)は、アルフォンソ・キュアロン監督・脚本・共同製作・共同編集による合作のドラマ映画である。1970年と1971年を舞台としたこの映画はメキシコシティで育ったキュアロンの半自伝的な物語であり、とある中流家庭とその家政婦の日常が描かれている[4][5]。タイトルはメキシコシティ近郊のコロニア・ローマ英語版に基づいている[6]

ROMA/ローマ
Roma
監督 アルフォンソ・キュアロン
脚本 アルフォンソ・キュアロン
製作
  • アルフォンソ・キュアロン
  • ガブリエラ・ロドリゲス
  • ニコラス・セリス
製作総指揮
出演者
撮影
  • アルフォンソ・キュアロン
編集
  • アルフォンソ・キュアロン
  • アダム・ガフ
製作会社
配給 Netflix
公開 イタリアの旗 2018年8月30日 (VIFF)
日本の旗 2018年11月2日 (TIFF)
アメリカ合衆国の旗 2018年11月21日
世界の旗 2018年12月14日 (配信)
日本の旗 2019年3月9日 (劇場公開)
上映時間 135分[1]
製作国
言語
製作費 $15,000,000[2]
興行収入 $1,900,000[3]
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ワールド・プレミアは2018年8月30日に第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で開催され、最高賞である金獅子賞を獲得した。2018年11月21日にアメリカ合衆国で限定公開が始まった後、12月14日よりNetflixで配信された[7][8]。映画は評論家達から「痛いほど美しい」、「魅力的」と絶賛され、『タイム』誌やニューヨーク映画批評家協会からは2018年のベスト作とされた他、ナショナル・ボード・オブ・レビューの2018年トップ10入りも果たした[9][10]第76回ゴールデングローブ賞では外国語映画賞監督賞脚本賞にノミネートされ外国語映画賞と監督賞を受賞した。第91回アカデミー賞外国語映画賞にメキシコ代表作として出品され[11][12]、同賞および作品賞を含む同年最多の10部門にノミネート。外国語映画賞・監督賞撮影賞の3部門を受賞した。

Netflix作品として初めて日本映画館で興行的に劇場公開された作品である[13]

プロット編集

1970年、クレオはメキシコシティコロニア・ローマ英語版で住み込みの家政婦として働き、ソフィアとその夫で雇い主のアントニオ、彼らの4人の子供、ソフィアの母のテレサ、同じく家政婦であるアデラと暮らす。医者であるアントニオはカナダのケベックでの会議のために留守にする。クレオの掃除、料理、子供の送り迎え、就寝と起床といった日常が描かれるのと平行してソフィアとアントニオの結婚関係が希薄化していることが明らかとなる。アントニは一時的に帰宅した後すぐにまたケベックへと発つ。

休暇中、クレオとアデラはボーイフレンドのフェルミンとラモンと共に映画館に行く。映画館の入り口でクレオとフェルミンは映画鑑賞の代わりに部屋を借りることにする。全裸のフェルミンはシャワーカーテンのロッドとポールを使って武術の技をクレオに披露する。後日、2人は映画館で会い、クレオは自分が妊娠している可能性があることをフェルミンに告げる。映画(『大進撃』)の終了間際、フェルミンはトイレに行くと言って席を立ったまま戻らず、クレオが外を探しても見つからない。クレオがソフィアに相談すると医者に連れて行かれ、妊娠が確定する。

ソフィアはクレオ、アデラ、子供達を連れて新年を祝うために友人のアシエンダへ行く。地主も労働者達も最近のこの地域の土地を巡る緊張状態について言及する。パーティの間に森で火事が発生し、年越しに向けて男が歌を唄う後ろで人々は消火活動をする。

街に戻り、クレオは子供達とその祖母を『宇宙からの脱出』を鑑賞するために映画館に連れて行ったところ、若い女と一緒にいるアントニオを目撃する。ソフィアは子供達にアントニオとの別居を隠そうとするが、次男が電話での会話を盗み聞きしてそれを知ってしまう。彼女は父親がまだカナダに出張していると信じている他の子供達に事実を明かさないように次男に頼む。

アデラのボーイフレンドを通じてクレオは野外の武術訓練場でフェルミンを発見するが、彼は赤ん坊の父親が自分であることを認めず、2度と会いに来ないように脅す。

クレオの出産予定日間近、テレサはベビーベッドを見るために彼女を買い物に連れて行く。店への道中で彼女らは抗議のために集まる学生達を目撃する。2人が家具屋を見物している間、路上では抗議団体に警官隊が発砲し虐殺に発展(コーパスクリスティの虐殺英語版)、若者達で構成される民兵集団(ロス・アルコネスであることが暗示されている)によって抗議者が次々と射殺される。負傷した男女が店内に逃げ隠れるが、追ってきた民兵たちにより見つかってしまい、客の目の前で男は射殺される。追跡してきた民兵の中にはフェルミンもおり、クレオにも銃を向けて睨み付けた後に店を立ち去る。直後にクレオは破水する。

すぐにクレオとテレサは車で病院に向かうが、暴動のせいで走行を邪魔される。到着したクレオは分娩室に向かう途中で会ったアントニオによって励まされるが、彼は言い訳をした後に去る。クレオの子宮からは心音が聞こえず、医者達は手術室で帝王切開するが、死産に終わり、蘇生措置も全て失敗する。医者達は少しの間クレオに赤ん坊を抱かせた後に連れ去って行く。

ソフィアは家のガレージには駐めるには大きすぎたフォード・ギャラクシーを売却してひとまわり小さな車を購入する。彼女はギャラクシーを引き取られる前にトゥスパン英語版のビーチへの家族旅行を提案し、傷心のクレオも誘う。旅先での夕食の際、ソフィアはアントニオと別居し、この旅行は父親が私物を自宅から持ち去るためのものでもあると子供達に告げる。ビーチで子供2人が強い波に飲まれて溺れかけるとクレオは泳げないにもかかわらず海に飛び込んで彼らを救出する。ソフィアと子供達が無心の献身を見せたクレオに感謝と愛を告げると、彼女は出産を望んでいなかったことを明かして罪悪感から抜け出す。一家が自宅に戻るとアントニオによって本棚が持ち去られており、彼らは寝室の割り当てをやり直す。クレオがアデルに話が沢山あると言いながら洗濯の準備を始め、その頭上を飛行機が飛ぶ場面で映画は終わる。

キャスト編集

  • クレオ - ヤリッツァ・アパリシオ
  • ソフィア - マリーナ・デ・タビラ
  • アントニオ - フェルナンド・グレディアガ
  • フェルミン - ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ
  • ペペ - マルコ・グラフ
  • ソフィ - ダニエラ・デメサ
  • トーニョ - ディエゴ・コルティナ・アウトレイ
  • パコ - カルロス・ペラルタ
  • アデラ - ナンシー・ガルシア
  • テレサ - ヴェロニカ・ガルシア
  • ラモン - ホセ・マヌエル・ゲレロ・メンドーサ
  • ゾベック教授 - ラテン・ラヴァー英語版

日本語吹き替え版キャスト編集

日本語吹き替え版が制作されているが、なぜか配信されていない。 以下配役不明

  • 吹替翻訳:池田美紀
  • 演出:山本洋平
  • 制作:ACクリエイト

製作編集

2016年9月8日、アルフォンソ・キュアロンが1970年代のメキシコシティに住むメキシコ人一家に焦点を当てたプロジェクトで脚本、監督を務めることが発表された。製作は2016年秋に始まった[14]

事件編集

2016年11月3日、撮影中にスタッフが強盗被害に遭ったことが報じられた[15]。スタジオは「2人の女性が攻撃され、5人のスタッフが病院へ行き、携帯電話、財布、宝石が盗まれた」と発表した[16]

公開編集

2018年4月、Netflixが配給権を獲得したことが報じられた[17]。2018年7月25日にキュアロンのTwitter上でティーザー予告が公開された。それは約1分にわたってタイルの上に水が繰り返し流れ、洗濯の音が聞こえるだけものであった[18]

ワールド・プレミアは2018年8月30日にヴェネツィア国際映画祭で行われた[19]。北米では2018年8月31日にテルライド映画祭で初上映された[20][21]。この他に9月10日にトロント国際映画祭[22]、10月5日にニューヨーク映画祭で上映された[23]

日本では、2018年11月2日第31回東京国際映画祭の「特別招待作品」部門の上映作品としてTOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン3で4回上映[24][25]され、同年12月14日にNetflixで配信された後、第91回アカデミー賞授賞式の12日後である2019年3月9日に全国48館のイオンシネマにてR15+(15歳未満の観覧禁止)で劇場公開された[26][27]。公開4日後の3月13日には、上映館を29館増やして全国77館(うちイオンシネマは60館)で拡大公開されることが発表された[28]。その後もイオンシネマ以外の上映館を増やした[29]

評価編集

興行収入編集

Netflixは『ROMA/ローマ』の興行収入を公表していないが、報道によると2018年11月23-25日の公開初週末に約9万-12万ドル、感謝祭の5日間で20万ドル、ロサンゼルスとニューヨークの劇場では完売と言われている。もしもこの成績が公式発表されたものであったならば、1館あたりの興行収入は6万6600ドルであり、外国映画史上最高額の平均値となっていた[30][31]。2週目末の劇場数は17館まで拡大された。IndieWireはこのうち4館(完売したサンフランシスコを含む)で11万ドルを売り上げ、2018年で「最も簡単に興行収入を上げる字幕付き映画」になるだろうと推定した[32]。第3週末には100劇場から約50万ドルを稼ぎ、累計は90万ドルに達した[33]。12月14日にはNetflixでの配信が開始されたにもかかわらず147劇場に拡大されて第4週末で36万2000ドル、累計で約140万ドルに達した[34]。翌週には30万ドル、累計は190万ドルに達した[3]

批評家の反応編集

レビュー・アグリゲーター英語版Rotten Tomatoesでは300件のレビューで支持率は96%、平均点は9.1/10となった[35]Metacriticでは50件のレビューを基に加重平均値が96/100となった[36]

受賞歴編集

参考文献編集

  1. ^ Roma”. Toronto International Film Festival. 2018年7月24日閲覧。
  2. ^ Thompson, Anne (2018年9月14日). “TIFF 2018 Winners and Losers: Timothée Chalamet Shines, ‘Roma’ Wows, Xavier Dolan Flops”. IndieWire. 2018年10月6日閲覧。
  3. ^ a b Brueggemann, Tom (2018年12月23日). “‘Cold War’ Another Strong Foreign-Language Opener as ‘Roma’ Remains Strong”. IndieWire. 2018年12月24日閲覧。
  4. ^ ‘Roma’ Review: Alfonso Cuarón’s Masterpiece of Memory”. The New York Times (2018年12月13日). 2018年12月29日閲覧。 “[Roma] centers on a young indigenous woman who works as a maid for a middle-class white family that’s falling apart.”
  5. ^ Alfonso Cuaron Thrived on Chaos When He Shot His Own Memories for ‘Roma’” (英語). Variety (2018年11月17日). 2018年12月29日閲覧。 “... “Roma,” a clearly autobiographical tale that follows the life of a middle-class family in Mexico City in the early 70s.”
  6. ^ Bradshaw, Peter (2018年8月30日). “Roma review: Alfonso Cuarón returns to Venice – and Mexico – for a heart-rending triumph”. The Guardian. 2018年12月6日閲覧。
  7. ^ Anderson, Ariston (2018年7月25日). “Venice to Kick Off Awards Season With New Films From Coen Brothers, Luca Guadagnino and Alfonso Cuaron”. The Hollywood Reporter. 2018年7月25日閲覧。
  8. ^ Vivarelli, Nick (2018年7月25日). “Venice Film Festival Lineup: Heavy on Award Hopefuls, Netflix and Star Power”. Variety. Penske Business Media. 2018年7月25日閲覧。
  9. ^ Zacharek, Stephanie (2018年11月15日). “The Top 10 Movies of 2018”. Time. 2018年11月27日閲覧。
  10. ^ Kelle Long (2018年8月31日). “Review Roundup: Critics Hail the Breathtaking Beauty of Roma”. Motion Picture Association of America. 2018年11月26日閲覧。
  11. ^ Roma, la película de Cuarón en español y mixteco, representará a México en los Óscar y los Goya”. SinEmbargo (2018年9月14日). 2018年9月14日閲覧。
  12. ^ Hecht, John (2018年9月14日). “Oscars: Mexico Selects 'Roma' for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 2018年9月14日閲覧。
  13. ^ 海江田宗 (2019年3月6日). “『ROMA/ローマ』劇場で上映へ!Netflixオリジナル映画の劇場公開は日本初 - シネマトゥデイ”. シネマトゥデイ. 2019年6月19日閲覧。
  14. ^ Kroll, Justin (2016年9月8日). “Alfonso Cuaron Sets Mexican Family Drama as Next Film”. Variety. https://variety.com/2016/film/news/alfonso-cuaron-new-movie-participant-media-1201855134/ 2016年11月7日閲覧。 
  15. ^ Evans, Alan (2016年11月3日). “Alfonso Cuarón film crew 'attacked and robbed' in Mexico City”. The Guardian. https://www.theguardian.com/film/2016/nov/03/alfonso-cuaron-film-crew-attacked-robbed-mexico-city 2016年11月7日閲覧。 
  16. ^ Jones, Julia (2016年11月3日). “Alfonso Cuarón film crew says Mexico City workers attacked them”. CNN. http://www.cnn.com/2016/11/03/americas/alfonso-cuarns-film-crew-attack-mexico-city/ 2016年11月7日閲覧。 
  17. ^ Netflix Threatens to Pull Five Films from Cannes”. Vanity Fair (2018年4月6日). 2018年4月6日閲覧。
  18. ^ Tartaglione, Nancy (2018年7月25日). “‘ROMA’: Alfonso Cuaron Shares First Look At Venice-Bound Personal Drama”. Deadline Hollywood (Penske Business Media, LLC). https://deadline.com/2018/07/alfonso-cuaron-roma-teaser-venice-film-festival-netfli-1202433161/ 2018年7月30日閲覧。 
  19. ^ Tartaglione, Nancy (2018年7月25日). “Venice Film Festival Lineup: Welles, Coen Brothers, Cuaron, Greengrass, More – Live”. Deadline Hollywood. 2018年7月25日閲覧。
  20. ^ Tapley, Kristopher (2018年8月30日). “‘First Man,’ ‘Front Runner’ and ‘Roma’ Among 2018 Telluride Film Festival Selections”. Variety. 2018年8月30日閲覧。
  21. ^ Telluride Film Festival Program Guide”. Telluride Film Festival. 2018年8月30日閲覧。
  22. ^ Vlessing, Etan (2018年7月24日). “Toronto: Timothee Chalamet Starrer 'Beautiful Boy,' Dan Fogelman's 'Life Itself' Among Festival Lineup”. The Hollywood Reporter. 2018年7月24日閲覧。
  23. ^ Fleming Jr, Mike (2018年7月18日). “Alfonso Cuarón’s ‘ROMA’ Set As New York Film Festival Centerpiece”. Deadline Hollywood. 2018年7月18日閲覧。
  24. ^ 【ROMA/ローマ】 | 第31回東京国際映画祭”. 東京国際映画祭. 2019年6月19日閲覧。
  25. ^ 第31回東京国際映画祭 | スケジュール”. 東京国際映画祭. 2019年6月19日閲覧。
  26. ^ 中林暁 (2019年3月7日). “Netflix映画「ROMA/ローマ」がイオンシネマで上映。アカデミー3部門受賞 - AV Watch”. Impress Watch. 2019年6月19日閲覧。
  27. ^ Netflix「ROMA ローマ」3月9日から劇場公開決定 配給会社介さず異例の興行に : 映画ニュース - 映画.com”. 映画.com (2019年3月6日). 2019年6月19日閲覧。
  28. ^ Netflix「ROMA ローマ」劇場公開、全国77館に拡大決定! : 映画ニュース - 映画.com”. 映画.com (2019年3月13日). 2019年6月19日閲覧。
  29. ^ 「ROMA/ローマ」の映画館 | 映画-Movie Walker”. Movie Walker. 2019年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月19日閲覧。
  30. ^ D'Alessandro, Anthony (2018年11月25日). “Netflix's ‘Roma’ Makes Estimated $200K in 5-day Thanksgiving Opening”. Deadline Hollywood. 2018年11月25日閲覧。
  31. ^ McClintock, Pamela (2018年11月25日). “Box Office: Netflix’s 'Roma' Opens Strong in Limited Release, Say Experts”. The Hollywood Reporter. 2018年11月25日閲覧。
  32. ^ Brueggemann, Tom (2018年12月2日). “‘The Favourite’ and ‘Roma’ Continue to Pull Arthouse Audiences”. IndieWire. 2018年12月2日閲覧。
  33. ^ Brueggemann, Tom (2018年12月12日). “‘Mary Queen of Scots’ Leads Limited Openers, ‘Amazing Grace’ Wows New York”. IndieWire. 2018年12月12日閲覧。
  34. ^ Brueggemann, Tom (2018年12月16日). “‘Mary Queen of Scots’ Leads Limited Openers, ‘Amazing Grace’ Wows New York”. IndieWire. 2018年12月17日閲覧。
  35. ^ Roma (2018)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2018年8月31日閲覧。
  36. ^ Roma Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2018年8月31日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集