SCP財団

オンライン共同創作プロジェクト

SCP財団(SCPざいだん、: SCP Foundation)とは、自然法則に反した存在・物品・場所を取り扱う架空の組織の名称であるとともに、それについての共同創作を行う同名のコミュニティサイトである。サイトの主要な創作物は、特定のSCPオブジェクトを封じ込める方法を示す"特別収容プロトコル"を記した架空の報告書であるが、他にもSCPオブジェクトやSCP財団に関する様々な形式の掌編(サイト内では「財団Tales」またはTalesと呼ばれる)を執筆している。これらはWiki形式のウェブサイトにまとめて投稿される[4]

SCP財団
SCP Foundation (emblem).svg
URL www.scpwiki.com
日本語版:scp-jp.wikidot.com
使用言語 英語[注釈 1]
スローガン

確保、収容、保護(日本語版)

Secure, Contain, Protect
アレクサ
ランキング
増加 7,234 (2019年2月時点)[2]
営利性 非営利
登録 必要[注釈 2]
設立日
  • 2008年1月19日 (2008-01-19) (旧サイト)
  • 2008年7月19日 (2008-07-19)(現サイト)[3]
現状 活動中
ライセンス
CC Attribution / Share-Alike 3.0

サイト内の創作物は共通の背景設定に大まかに従うことが求められており、その多くがホラー小説SFの要素を持つ。また創作物はいずれもクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(CC BY-SA)ライセンスにより公開されており、『SCP – Containment Breach』を始めとする複数の二次創作物が制作・公開されている。さらに、これとは別に、『CONTROL』や『ムシカゴ オルタナティブマーチ』など、SCP財団に影響を受けた作品も存在している[5]

SCP財団には大元である英語サイトの他に、英語以外の言語を使用するサイトがそれぞれ存在しており、これらはSCP財団の支部という位置づけである[5]。支部は英語の創作物の翻訳のほか、SCP財団の背景設定に従ったその言語独自の創作物も執筆している。

大まかな設定編集

作品世界における「SCP財団」[注釈 3]は、自然法則に反した異常な存在・場所・物体・現象(SCPオブジェクト。これらはそれぞれの「特別収容プロトコルSpecial Containment Procedures)」のファイル番号で呼称される)の保護・研究を世界各国の政府より委任された秘密結社である。財団はSCPオブジェクトが一般市民の目に触れれば彼らの日常生活や正常な感覚を揺るがすだけでなく、場合によっては人類の生存そのものを脅かしかねないと考えている。そのため財団は集団パニックや予想される混乱を避け、人類の文明を正常に機能させるためSCPオブジェクトを秘密裏に保管し、また一部のSCPオブジェクトについては、将来の脅威に対処するための知識を求めて研究を行っている[6]

以上の目的のために、財団は保護下にある一つ一つのSCPオブジェクトについて特別収容プロトコルを記した報告書を作成している。 これらの報告書には、SCPオブジェクトを安全な状態に留めるための手段、その性質の説明、財団による実験や研究の記録などが科学的な筆致でまとめられている。 この設定に従って創作された架空の報告書が現実世界におけるSCP財団の主な創作物であり[7]、この文書もSCPと呼ばれる。ただし、作品世界内でSCPは本来文書の略称とされ、SCPオブジェクトそのものを指す用語と区別される[8]。また、SCPオブジェクトの性質を説明する用語の一つである「ミーム」は、「物事の情報を構成する因子」という意味で使われている[5]

なお、作品世界内においてSCPオブジェクトを認知もしくは扱う組織はSCP財団だけではなく、財団とは活動理念こそ異なるものの状況に応じて協力する組織や、財団に敵対的で危険視されている組織、自らSCPオブジェクトを作製する組織なども存在する。これらの組織は「要注意団体」と呼称される。

財団職員編集

財団の収容に関わる職員の職種は多岐にわたるが、SCPオブジェクトを研究する「研究員・博士」、現地でSCPオブジェクトの調査を行う「フィールドエージェント」、エージェントや研究要員より選抜された精鋭もしくは専門技能を持つ者達の部隊である「機動部隊」が報告書内に主に登場する。

職員にはセキュリティクリアランスが5段階に分けて設けられており、権限が大きいほど上位のセキュリティクリアランスを有している。セキュリティクリアランス5を有する最高幹部による「O5評議会」(定員は13名)の合同決議により財団の世界中の財団の活動全体を監督している。

SCPオブジェクトの実験や探査などで「消耗される」役割の職員は「Dクラス職員」と呼ばれ、逮捕された元犯罪者が雇用されている(当然、死刑囚など罪が重い者ほど死ぬ可能性が高いオブジェクトの実験に回される)。Dクラス職員の多くは忠誠心が低いが、少数ながら正規職員に引けを取らない活躍をする場合もある。

また、メタ的には財団職員が執筆者のアバターとして機能する場合があり、職員の設定が記載された「人事ファイル」という作品群も存在する。

オブジェクトクラス編集

各SCPオブジェクト報告書にはテンプレートとして「オブジェクトクラス」の項が設けられ、そのオブジェクトの収容難易度を測る指標となっている。SCPオブジェクトが特別収容手順から逸脱した状態は「収容違反」と呼ばれる。収容違反の中には、宇宙の消滅(SCP-2700)など、最悪の結末を迎えたものもある[5]

Safe
現時点において安全かつ確実に収容できるか、対象をわざと活性化させない限り異常な現象は発生しないというものが、このクラスに分類される。必ずしも異常な現象が発生しても財団職員や全人類に影響はないという意味ではなく、その性質は現実世界における核爆弾に相当する(意図しない限り爆発しない)。
Euclid
性質が不明であるか予測ができない場合に割り当てられるクラス。常に信頼できる収容が不可能ではあるが、Keterほどの危険性がない。自我や知性を持つ異常存在に対しても、「それ自身が思考・活動することにより本質的に予測不可能である」という観点から、通常はこちらに分類される。性質が判明するか再分類が行われるまで一時的に割り振られることもある。
Keter
財団職員および全人類へ対する危険性もしくは文化面や物理法則の変容と言った社会、文明に著しく損害を与える存在で、また収容時に複雑な手順を要するか現時点で財団による収容ができない場合に割り振られる。SCP財団はこれらのオブジェクトも収容できるようにすることを目標としているが、最後の手段として破壊されることもある。
Neutralized
何らかの事情によって非活性化(無力化)したオブジェクトに割り振られるサブクラス。再活性化に備え、このクラスに分類されたオブジェクトに関する資料は残される。
Explained
現時点で主流の科学によって説明できるほどに解明されたものや、虚偽やミスだと判明したもの、収容不可能なほど公に流布されたものなどに割り振られるクラス。
Thaumiel
Keter並の危険度を持つオブジェクトを収容したり影響を無効化するために割り当てられるサブクラス。財団にとって有益な存在であり最高機密でもある。

主な要注意団体編集

世界オカルト連合(通称GOC)
国連の下部組織であり、イルミナティカルト宗教団体占い師等の陰謀論に関連する組織を連合した組織。正確な加盟団体数は不明だが有力な108の組織による「108評議会」と呼ばれる存在が組織の意識決定を行っていることから少なくとも100を越える団体が加盟していると思われる。目的は財団と同様「人類から異常存在を遠ざけ安全を確保する事」だが、方針は財団が「確保、収容、保護」なのに対しGOCは「異常存在の徹底破壊」であり、方針の違いから財団と対立している。一方で目的は同じなため他団体よりは話が通じやすいというのがお互いの認識で、事案によっては共同作戦が行われる時もあるらしい。
蛇の手
小規模ながらこれまで幾度となく財団を悩ませ続けた組織。高度な知能と技術を持つSCPを多数所持しており、特に指導者と思われる女性「L.S」は単独で二度も財団のセキュリティを突破し重要なSCPの収容違反を起こさせている。組織の本部は「放浪者の図書館」と呼ばれる異空間に存在し、かつ世界中のどこかに出現するポータルを通過しなければこの空間に入ることは出来ず特定は難しいとされている。この組織の目的は「すべての異常存在や超状的現象を認め、それを全人類に公表すべきである」であり、目的の根本的な違いから財団だけでなく財団と同じ目的で活動するGOCとも敵対している。
株式会社プロメテウス研究所
これまでSCPを含む様々な異常存在を作り上げてきた高度な技術開発能力をもつ企業。SCP財団やGOCなどSCPを扱う様々な組織を顧客としており、それ以外にも一般的な食洗機などを製造する大手電気メーカーとしての一面やアメリカ政府と秘密契約を結んだうえで兵器開発も行っていた軍事企業としても一面も持つ。しかし冷戦終結後の異常存在の軍事利用に対するアメリカ政府の関心が薄れたことで顧客が減り、会社は倒産。元社員や資料を財団が収集し、最終的に本部が原因不明の大爆発を起こし再起不能になった。
カオス·インサージェンシー
元々は財団の意思決定を行う財団の最高クラスの責任者を集めた会合「O5評議会」のみが存在を認知している特別機動部隊「インサージェンシー」であり、この部隊は財団とは無関係な組織を演じながら裏では財団の部隊が表だって行動できない高度な機密作戦を遂行する機動部隊だった。しかし結成から24年後の1948年に当初の任務内容であるSCPの移動と財団職員の護送のあと本来の計画にはない財団の襲撃を行って反旗を翻し、軍事的利用可能なSCPとその資料を奪って姿を消した。現在は「カオス·インサージェンシー」と名乗り、主に独裁国家の体制に浸って人材募集や徴兵を行い組織を拡大しながら財団を妨害し続けている。この組織の最終的な目的は不明であり、離反した動機も不明である。
マーシャル・カーター&ダーク株式会社
イギリスのロンドンを拠点にしてSCPを販売する企業。発見したSCPを先進国の人々に高く売りつけることを生業としており、SCPをダイヤモンドに見立て「アフリカではいくらでも取れる石であるにも関わらず、ミドルクラスには価値のあるものだと思わせる金持ち」という喩えも行われている。社員数は100名以下と少数であり、財団及びGOCと敵対している。
マナによる慈善財団
世界的な慈善事業団体。異常性のないボランティア活動も行っているが、貧困地帯の病気や飢えを解決するためにSCPを使用している。しかし、構成員の多くはSCPに関する知識が十分ではないため逆にそれらの地域に対し惨事を引き起こしてしまうこともしばしばというのが実情である。GOCは監視のためにエージェントを派遣し、若干ながらSCPとその用法を提供している。
連邦捜査局 異常事件課(FBI UIU)
連邦捜査局内に設立されたSCPの捜査機関。しかし、実態は意欲的だが知識のない捜査員に財源不足という有様で「Xファイルもどき」「キャリアの袋小路」と呼ばれるほど活躍できない組織になっている。財団も一応の協力体制を取りながら、彼らが本物のSCPに遭遇しないよう手を回している。
サメ殴りセンター(SPC)
文字通り、サメおよびサメ型のSCPに対し攻撃を行うことを目的としたグループ。この団体に襲撃を受けたサメ型のSCPを財団が保護することもある。元はSCPを「SPC」と打ち間違えた執筆者達によるジョークから創造された団体であり、攻撃対象のサメに対し財団と同じような報告書を作成している。
その他
SCPのおもちゃを作り出す「ワンダーテイメント博士」、SCPを作り出すアーティスト集団「Are We Cool Yet?」、魔術や血肉を崇拝する「サーキック・カルト」、その敵対団体で機械やサイバネティクスを崇拝する「壊れた神の教会」など、様々な団体がSCP報告書に登場する。また、各国の支部ごとに独特の団体が登場する[注釈 4]

作品の特徴編集

SCP財団のwikiにおいて、作品の多数を占めるのはSCPオブジェクトの「特別収容プロトコル」という設定で書かれた独立記事である[4] 。標準的な特別収容プロトコルではまずSCPオブジェクトに固有の識別番号を割り振る。またその関連物に枝番号を割り振る場合もある。次にSCPオブジェクトの収容の難しさに応じて上述のオブジェクトクラスを割り振る[9]。次に適切な特別収容プロトコルと安全対策を概説したあと、件のSCPオブジェクトの解説に入る。加えて、画像、研究記録、打ち消し線による情報の更新なども記事に含まれることがある。記事は科学論文らしい調子で書かれ、しばしば演出上の検閲がなされている[10]。これらはプレーンテキストのみで表現されるとは限らず、画像ハイパーリンクによる表現が同時に用いられることもある。2018年時点で、サイトには3,000を超えるSCPが投稿されており、そして新しいものも頻繁に追加されている[11]

またSCP財団は何百もの「財団Tales」(Tales)も創作している[4]。これらはSCP記事と同じ世界設定の中で、主にSCP財団のスタッフや特定のSCPオブジェクトに焦点を当てたり言及する物語である[12][9]。 Gregory BurkhartはBlumhouse Productions上で、これらの財団Talesは暗く陰鬱な調子であることも多いが、時に「驚くほど明るい」ものもあることを指摘している。[9]

SCP財団の設定について、正典(カノン)となるものは存在しない。SCPやTalesのそれぞれは、創作者たちが財団の大まかな設定を共有したうえで、それぞれ独立したストーリーのもとに書かれている[4]。しかしそれらはしばしばリンクされてより大きな物語の一部となっている。また、製作者たちは舞台や設定、登場人物、そしてプロットを共有した幾つかのSCPやTalesを集めて独自の「カノン」を作ることができる。これらの「カノン」は多数存在し、基本コンセプトを紹介して時系列や登場人物リストといった情報を提供するためのハブページを持っている[13]。 それぞれの創作物のジャンルは、サイエンスフィクション、アーバンファンタジー、ホラーなどであり[14]都市伝説を取り込んだものや終末ものメタフィクションなど様々な趣向のものも含まれる。

著名な作品編集

SCP-173(彫刻~オリジナル~)
分類:Euclid
見た目は鉄筋コンクリート製の彫刻だが生きており、目にした人間が視線を逸らすか瞬きをした瞬間に高速で動き、首を絞めるかへし折るかして殺害する。直視し続けている限りは動かない。
加藤泉の『無題2004』を題材とした二次創作。「SCP財団」というコンテンツが生まれる起源(オリジナル)となった(後述)。
SCP-096(シャイガイ)
分類:Euclid
自分の顔を直視および写真や映像で間接的に見た相手を、地の果てまで追いかけて殺害する人型生命体。網膜に一瞬映っただけでも、写真にわずか4ピクセルしか写っていなくても反応するが、絵を通して顔を見た場合だけは反応しない。
SCP-087(吹き抜けた階段)
分類:Euclid
建物や地形を無視してひたすら果てしなく降下する階段。中は暗闇で、外部から持ち込んだ照明も一定以上の距離を照らすことができない。下層からは助けを求める子供の泣き声が聞こえてくるが、どれだけ降下しても声の発生源に近づくことはない。また、泣き声を発する子供とは別に、人間の顔のようなものを持つ存在がいることがわかっている。
SCP-682(不死身の爬虫類)
分類:Keter
恐るべき生命力と、全生命に対する憎悪および殺戮衝動を持つ巨大なトカゲ型の生物。知能があり人の言葉を話す。幾度にも渡って財団職員を殺傷しており、「確保、収容、保護」を理念に掲げる財団が「破壊」を試みているほどである。
SCP-076(アベル)
分類:Keter
立方体の石室に死体の状態で収まり、時折蘇生しては手近な人間を殺害し始める怪人。無酸素状態に一時間以上耐える、脳を損傷しても数分活動するなど異様な身体能力を持つが、殺害することは可能。ただしそのたび塵と化し、石室に死体の状態で復活する。石室はSCP-076-1、怪人はSCP-076-2と区別されている。
同じく破滅的な力を持つが人間には友好的なSCP-073(カイン)とはなんらかの関わりがある模様。これまでに様々な方法で殺されている。
SCP-073(カイン)
分類:Euclid
両手足と肩甲骨、脊椎が未知の金属に置き換わっている黒髪碧眼のアラビア系男性。額にはシュメール語と思われる未解読の文字が刻み込まれている。人間に対し友好的だが、土の中の微生物を死滅させ、植物由来の物体を全て腐敗させるという特性を持つ。
SCP-076とは何らかの関わりがあると思われる。
SCP-049(ペスト医師)
分類:Euclid
中世ヨーロッパに実在した、ペスト医師に似た姿の人型実体。マスクとマントは体の一部であり、外すことは不可能。人間に対し友好的だが、悪疫に犯されていると判断した相手には攻撃的になり、治療と称して殺してから自我を持たないゾンビにするという行動を取る。
SCP-106(オールドマン)
分類:Keter
全身が腐敗しており、黒い粘液に覆われている謎の老人男性。触った物体、生物を全て腐食させる特性があり、この特性を使って若い男性を狩り殺すことを好む。移動自体はゆっくりだが「ポケットディメンション」と呼ばれる異空間を生み出し、その空間をくぐり抜けて襲いかかる。
SCP-035(取り憑くマスク)
分類:Keter
見た目は喜劇で使われる白磁の仮面だが、ガラスすらも腐食させる強い腐食性を持つ黒い粘液を常に分泌している。被った人物はその瞬間に死亡し、SCP-035が持つ人格に体を乗っ取られる。高い知性と冷酷さを持ち、相手を言葉巧みに自殺させるばかりか、収容室を未知の物質で汚染された黒い血液で崩壊させようとしている。
SCP-294(コーヒー自動販売機)
分類:Euclid
外観はコーヒー自動販売機だがキーボードが付いていて、硬貨投入後に文字入力で注文を行うと、それに対応した液体が出てくる。「水」「コーヒー」といった内容は元より、「今まで飲んだ中で最高の飲み物」といった抽象的な注文にも応じる。
SCP-239 (ちいさな魔女)
分類:Keter
「思ったことがすべて現実となってしまう」8歳の少女。財団は彼女に「自分は魔女であり、教わった魔法しか使えない」と思い込ませることで能力に制限を設けていたが、最終的には薬物投与により無期限の昏睡状態に置かれることになった。
SCP-963(不死の首飾り)
分類:Euclid
財団職員であるブライト博士の精神が封じ込められている首飾り。触れた人物は元の人格を失い、ブライト博士の人格・記憶を持つことになる。その後に首飾りを手放すと脳死状態となるが、30日以上所持し続けると首飾りがなくてもブライト博士として独立するようになる。肉体が破壊されるなどして死亡しても、別の人物に首飾りを持たせることで再びブライト博士として復活することになる。
SCP-426(私はトースター)
分類:Euclid
関わった人間が「私」としか呼称できないトースター。このトースターのことを説明しようとすると、トースター視点での自己紹介になってしまう。接触し続けた人間は「自分はトースターだ」と思い込み、トースターとして行動するようになる。
SCP-504(批判的なトマト)
分類:Safe
つまらないジョークを発した対象に猛スピードで襲いかかるトマト。ジョークの出来によって速度が異なり、死者も出している。下ネタを嫌っている。
SCP-596(忌まわしき再生の像)
分類:Safe
人間の頭を持つヘビの形をした銅像。触れた人間は体のどんな不調も治るが、代償として二度と像から離れられなくなり、極度の苦痛と不快感を感じる。切り離すと対象はその時点で死亡し、像に残った部分から元の記憶と人格を持った人間が再生されるほか、別の人間が像に触れても、先に像に触れていた人間は死亡する。
SCP-500(万能薬)
分類:Safe
見た目は普通の赤いカプセル薬だが、飲むと2時間で体の不調が回復し、SCPの影響も取り除ける。ただし、数に限りがあり、SCPで複製しても効果を完全には再現できないという欠点がある。Dクラス職員が二日酔いを治すのに使ったことで、使用に制限がかかった。

日本支部に投稿された作品編集

SCP-040-JP(ねこですよろしくおねがいします)
分類:Safe
ある井戸を覗き込むとネコが「ねこ」という別の生き物に見え、それが伝わった相手も同様の状態になる「ミーム災害」。「ねこ」はどの方向からでも目撃者をずっと見つめているように見える。
有志によりグッズが販売されたりと、現実のインターネットミームになっている項目である[15]
SCP-100-JP(屋根裏部屋の宇宙)
分類:Safe→Euclid→Keter
木造建築の屋根裏部屋にあるミニチュアの宇宙。中にある惑星や恒星の模型が壊れると、同期して現実の惑星、恒星が破壊される。建築物は老朽化が進んでいる。
SCP-280-JP(縮小する時空間異常)
分類:Safe
0.7mのブラックホール。消失させたものの量に比例して縮小される性質があり、その都度海水や廃棄物を投入する必要がある。項目内にとあるギミックがある。
SCP-268-JP(終わらない英雄譚)
分類:Euclid
「誰かの命と引き換えに救出された人物」が触れると、その人物を消失させる本。その後、本の中に文章の形で「救出された人物」「救出した人物」が登場し、命と引き換えの救出が必要な危機的状況が綴られていく。救出が成功してもまた次の章が追加され、「救出した人物」は自身の死を伴う救出の選択を迫られる。このループは「救出した人物」が諦める、つまり「救出された人物」が死亡するまで終わることがない。ループ中、本の表題は「救出した人物」の献身を讃える内容であるが、「救出した人物」が諦めた時点で侮辱的なものに変わる。
SCP-910-JP(シンボル)
分類:Euclid→Keter
自意識を持ち、悪戯目的で超常現象を発生させる能力を持った道路標識。現象を発生させる際は標識部分が変形する。例として「落石注意」の看板に変形した場合、何もない空中から落石が生じる。過去には財団のロゴと酷似した標識に変形したこともあった。
SCP-444-JP(---[アクセス不許可])
分類:なし
「あかしけやなげ 緋色の鳥よ くさはみねはみ けをのばせ」という祝詞が書かれた紙で、読み上げると夕焼けより赤い空を飛び、緋色の鳥に食い殺されるという幻覚を見る。幻覚は祝詞を紙に書くことで脱出できるが、この状態になった人間が増えたことで悲惨な結末を招いた。このSCPの項目だけは、報告書風の画像で表記されている。

制作者たちのコミュニティ編集

SCP財団が登場する創作物の起源は、英語圏の大型匿名掲示板・4chanの /x/ (超常現象板)にある[4]2007年に投稿されたクリーピーパスタ(都市伝説コピペ風短編)の「SCP-173」(上述の「彫刻 - オリジナル」)をきっかけに、同様の「特別収容プロトコル」を模した作品が多数投稿されるようになった。その過程でSCP財団の設定が創造・共有されてゆき、そのまとめサイト2008年の1月にEditThis Wikiに開設された[16]。同年7月にサイトはポーランドのWikiホスティングサイト、Wikidotに移り[4][3]、以後の作品は直接Wikiページとして投稿されるようになった。

現在のサイトにはキーワード検索や記事一覧といったWikiとしての基本的な機能が備わっている。また、議論や情報交換のためのフォーラムや執筆者向けのガイドもサイト内で提供されている。自分の書いた作品をサイトに投稿するには、まず申込フォームを通じた参加申請を行ってサイトメンバーになる必要がある[4]。全ての作品には専用の議論ページと投票ボックスが設置され、サイトメンバー同士の建設的な批評を受けることができる。投稿できる記事に制限はないが、クオリティを保つための仕組み作りが考えられており、投票で否定的評価の多かったものはスタッフによって速やかに削除される[17]。また時折、決められた期間で提示されたテーマに沿った創作を行い、出来た作品を評価し合う創作コンテストも開催されている。

Wikiサイトのほかにも、RedditにはSCP財団の創作物に関するフォーラム(サブレディット)がある。またFanFiction.netなど外部の二次創作サイトにはSCP財団が登場する無数の二次創作小説や他作品とのクロスオーバー小説もアップされている。SCP財団についての創作を投稿している人々の中にはプロの創作関係者もおり、例として脚本家のマックス・ランディスがいる[18]

派生作品編集

SCP財団を題材とした派生作品は多数制作されている。以下に主なものを列挙する。

コンピュータゲーム編集

  • SCP-087-B
Undertow Games が開発。前述のSCP-087を題材としたゲームであり、オブジェクトと同名のゲームにインスパイアされている[19]
Undertow Games が開発[19]。SCP-087-Bの好評を受けて制作された[5]。財団施設内を一人称視点で行動するホラーゲームであり、プレイヤーに武装はなく、SCP-173などのオブジェクトを回避して生き残る[20]
  • SCP WANDER
miroefoxが開発。SCP-049(ペスト医師)を題材とした探索型ホラーゲーム。照明用のランタンや武装用のパイプやアサルトライフルを装備できる。2013年にリリースされたが、開発は中断された[21]
  • SCP: Secret Laboratory
Undertow Games が開発。SCP - Containment Breach のリメイク版であり、2017年に無料公開された。マルチプレイ専用ゲームであり、オブジェクト・財団職員・要注意団体の3派に分かれてプレイできる。プレイヤー同士の対戦やオブジェクト視点でのプレイングはSCP財団を題材としたゲームとしては珍しい[5]
  • SCP-087: Recovered document
SCP-087を題材とした、Dクラス職員のプレイヤーによる探索ゲーム。2018年1月に早期アクセスが解禁された[5]
  • SCP022
2019年2月2日に無料公開された、SCP-022(死体安置所)を舞台とする脱出ゲーム[5]
  • 器関ノ彷徨 -The will of a single Tale-
2019年2月15日に公開された、SCP財団日本支部を題材とした無料のアドベンチャー・シミュレーションゲーム[22]
  • SCP: Blackout
2019年8月9日に早期アクセスが解禁された、収容違反の起きた財団施設からの脱出を図る、有料のサバイバルホラーゲーム。オリジナルのオブジェクトが多数登場する[5]
  • SCP: The Foundation
Danstarr13が開発し、2020年8月28日に無料リリース予定。プレイヤーが最下級職員であるDクラス職員として施設内を探索するホラーゲーム。SCP-173をはじめとする5種類のオブジェクトの登場が発表されており、開発が進行するにつれて収録数は増える。オブジェクトだけでなく警備兵もプレイヤーに対する脅威として登場する[23]

その他編集

  • 鏡の国のアイリス -SCP Foundation- 1
2018年に一二三書房から発売された、SCP財団の世界を舞台とした日日日によるオリジナルノベル。SCP-105(アイリス)をメインキャラクターの1人としている[26]
このプロジェクトをもとに作成されたMinecraftMod

評価編集

SCP財団は概ね好意的な評価を受けている。CNETのMichelle Starrはシリーズに共通する不気味さを賞賛した[27]。Gavia Baker-Whitelawはデイリードットにてその独創性を賞賛し、「インターネットで最も独特で魅力的なホラー作品」と表現した[4]。彼女はSCP記事には過剰な残酷表現がめったに含まれていない点を指摘した。むしろ、多くの場合その恐怖が確立されるのは詳細が書き込まれているからだけではなく、報告書が「実用的」で「無味乾燥」に書かれているからであると[4]。Lisay SuhayはChristian Science Monitorの記事でその「からかうようなスタイル」を指摘した[28]

Alex Eichlerはio9の記事で、シリーズの質はまちまちでいくつかの報告書は退屈で繰り返しが多いと指摘した。一方、彼はSCP財団が過度に雰囲気を暗くせず、楽天的な報告書も多く含まれている点を賞賛した。さらに、彼は報告書が多種多様なコンセプトを扱っている点を賞賛し、SCP財団はあらゆる種類の読者に訴えうる著作を含んでいると指摘した[29]

Winston Cook-WilsonはInverseの記事で、SCP財団とアメリカの作家ハワード・P・ラブクラフト(1890-1937)の著作を比較した。ラブクラフトと同じく、SCP財団の事件簿は多くの場合アクションシーンを欠いており疑似科学的な調子で書かれている。ラブクラフトとSCP財団の作品は共通して、科学的な調子と語られている物語の不安を誘う恐ろしい性質が分離しているゆえの緊張によって優れたものになっているとCook-Wilsonは主張した[30]

Bryant Alexanderは著作The New Digital Storytellingの中でSCP財団のユーザーベースが文学的コンテンツを制作する大規模で循環的なプロセスによって、SCP財団はおそらく「wikiによるストーリーテリングにおける最も先進的な成果」となっていると述べた[31]

4Gamer.netの早苗月 ハンバーグ食べ男は、財団の本部や各支部のウェブサイトから、国柄や時代性が見えて面白いと評価している[5]

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ ロシア語、韓国語、中国語、フランス語、ポーランド語、スペイン語、タイ語、日本語、ドイツ語、イタリア語、ウクライナ語、ポルトガル語、チェコ語のwikiがそれぞれ存在し、他言語からの翻訳及びその言語独自の創作を行っている[1]
  2. ^ 作品の投稿は登録制だが、閲覧は非登録ユーザでも可能。
  3. ^ ただし作品世界内では「SCP財団」という呼称を用いないとされる。
  4. ^ 日本支部ではバイオ関連の技術者集団「日本生類創研」、異常な工業技術に特化した「東幣重工」、日本古来の呪術集団で日本支部の前身とも言える「蒐集院」などが登場。

出典編集

  1. ^ scp-wiki.net Site Overview”. Alexa Internet. 2019年2月7日閲覧。
  2. ^ a b Roget. “世界の歴史:Part1”. SCP財団. 2018年2月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i Gavia Baker-Whitelaw (2014年1月9日). “Meet the secret foundation that contains the world's paranormal artifacts”. 2015年2月6日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j 早苗月 ハンバーグ食べ男 (2019年12月28日). “ゲーム界をジワジワと侵食する「SCP Foundation」とは? ゲーム関連SCPオブジェクト&SCP Foundation関連ゲームを特集してみる”. 4gamer. Aetas. 2019年12月28日閲覧。
  5. ^ The Administrator. “SCP財団とは”. SCP財団. 2018年2月5日閲覧。
  6. ^ The Administrator. “SCP記事作成のガイド”. SCP財団. 5 Febraruary 2018閲覧。
  7. ^ Aelanna. “マッケンジー博士の用語集 ”. SCP財団. 2018年2月23日閲覧。
  8. ^ a b c Burkart, Gregory. “Creepypasta: The Story Behind “The SCP Foundation””. Blumhouse Productions. 2016年10月10日閲覧。
  9. ^ Dinicola, Nick. “Creepypasta Gaming: Where the Internet "Learns Our Fears"”. Pop Matters. 2015年2月6日閲覧。
  10. ^ SCPタグでサイト内検索”. SCP Foundation. 2018年2月5日閲覧。
  11. ^ Tapscott, p. 122
  12. ^ Tapscott, p. 122-123
  13. ^ SCP-087: Escaleras a lo desconocido”. 2015年3月26日閲覧。 "Esta es una comunidad de usuarios y de fanáticos del sci-fi y el terror..." (translation: "This is a community of users and of sci-fi and horror fans...")
  14. ^ ネット都市伝説「SCP」、日本政府を浸食?―内閣府の啓発リーフレットに「ねこです」”. インターネットコム (2018年1月12日). 2020年8月13日閲覧。
  15. ^ Pedullà, Lorenzo (25 July 2017) Cos'è la SCP Foundation? Fantascienza.com 2017年8月18日閲覧
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関連項目編集